YMN004807

偽経との関連を中心に
﹁悉曇 蔵 ﹂と五行思想
一 はじめに
安然の﹁悉曇成口一元慶四年一八八 0一成一は、古代 悉曇 学 上 の
最大の成 果 とされるが、 巻 二の第三節、 梵漢の二方音 を論じた章に
は 五行思想と悉曇 学 との融合が顕著に見られる。﹁悉 暴威白 の学史
的検討はすでに馬淵和夫氏の﹁日本韻学史の研究白で 詳細に行われ
ているところだが、本稿ではこの二方音の議論を中心 に、思想史的
な観点から悉曇 学と五行思想の関係を検証していくこ ととする。 以
千引用文末尾 - 一内、ダッシュに続く部分は大正 新脩 大蔵経の
為 :種子。成口土器世界 及以有情屡 ﹂云々とあるこ とから、王に
今、問題とした
い のは、 A の前半部、外教の部分である。そこでは 天地の交合によ
﹁大日経ヒ 秘密 曇茶羅品 によったものと思われる。
って生じた五行が五音の気となって、 内に発しては四十 斤四昔の響き
大
二方音 -
すべて 実貰 才蔵出からの引用であり、﹁悉曇
九一
となり、外には六位大呂の曲となるという一種の生成 論が説かれて
内 、大文字アルファベット で記したのは
秀
正蔵八四巻・三八一頁︶を典拠とするものに関しては、出典を省略
巻 ・頁 ・段を示す。︵︶
田
している。引用にあたって字体は新字体とし、訓点な ども一部補っ
蔵ヒ 第二
諸
浜
部分
た
お
が
お
いる
この外教の議論は、どのような背景をもつものなのだ ろうか。 ま
た、なぜ安然はこの外教の議論をみずからの悉曇 学に 取り入れたの
て
Ⅱ日
仝・血
四一十戸
ることによっ
だろうか。以下、本稿では﹁悉曇 蔵﹂巻こに見られる 外教の議論、
特に五行と五音の関係について論じた部分を検証す
﹁五行﹂への注記
て、﹁悉曇成口における五行思想の構造を考えたい。
二
﹁悉曇
蔵﹂二方音での議論は 、先に見た A の﹁五行
西晋﹂といった諸概念に任記する形で進められる。 ま ず ﹁五行﹂に
ついてであるが、﹁悉曇
蔵﹂では以下のように述べる。
︵B︶ 言毛打 者。黄帝密法 三天地上気交合 各有 :五行。金木
Ⅱ
水火工 如 ,循環占文一。
文口は、引用の方法を示すミ大正蔵 ヒでは小字で示し てあるが、
今一口で表示する 一
。安然は実算 成ヒ序文で引用 の手法を細か
く論じ、原文を引く時には﹁文一と注し、内容を抄録 するときには
﹁砂ロ
と注すると述べているので、その引用態度は厳 正 のように見
えるが、この一文を﹁黄帝密法﹂なる書物から直接 引 いたかどうか
火炎市
木
Ⅰ
は疑問である。
この少し後に同様の内容を敷桁しているところがある 。こちらに
の
氷水火
上値。
JO
な
四
/
つまり、 司
悉曇蔵 ﹂ B.C
は、﹁止観ヒアを直接の
と典
す拠るもの
執。
規 市治。春。英和大歳 其獣青龍共音色某日甲乙其味酸兵気臭
壇 。南方人 其帯祝融 其 佳木明朝。 衡 市治。夏。真神漿 惑其獣朱雀
共音散兵口内工具陳 苦英気 臭樵。西方金具希少兵具 佐葺収執 。
と考えられるのである。傍線を施したところが B に 相 呈 する。
﹁止観三病患境は、五行思想に基づく中国の伝統的 疾病観 が濃厚
矩市 治。秋。其神太白兵獣白虎 其昔商某日庚手兵 味辛甘 @ 臭胆。
北方水兵帝嗣項其位文具執 。
権 市治。冬。某神辰星獣玄武具音羽
に見られるところである。﹁悉曇蔵口 B で﹁黄帝密法 白とあ フw
月
アL
@こ
ろが、﹁止観ヒアでは宮主帝 秘法 ロ となっている。
某日田楽典 味 賊兵気臭腐。中央土 兵帝 黄帝其位后土 執 。
網市制
こ れば ついて 慧
澄 ﹁止観締付講義ヒでは﹁ 素 問難 経中ノ語 ナリ﹂と 注するが、現行
日 方。 其神鎮星 其獣黄龍 其者官兵 日戊 己共味 甘英気 臭労兵仕者
多少の異同が見られるものの Dはほぼそのまま 湛妖の ﹁止観輔行
幸於五行乞官 ﹁
文 u。
の ﹁
難経﹂には直接ここに相当する部分は見いだせず、中国仏教研
一九八セ午 ︶
安藤俊雄氏に
完全﹁﹁摩詞 止観﹂引用典拠 総廿星 ︵
中 m書房仏書林
でもこの出典については﹁未検 ﹂としている。一方、
伝弘決ヒ ︵以下﹁輪竹ロ と 略す-巻第八 Z 二に見出せる
︵イ ︶初五色者。 如 二白虎通博物志 云 。東方 木。某帝 大晦。 某
は内経第二巻
の ﹁陰陽応 豪大論 五 ﹂﹁陰陽離合 ぁ型ハ
﹂﹁陰陽川論セ﹂ の内容を要約
佐何 %。執。
規市治 春 。其屋太歳。 其獣青鹿。共音角 。某日 中
よると百王 帝秘法 ヒは ﹁黄帝内経ヒを指し、この一節
したものという。
己共味酸 。臭壇 。南方人。英希炎帝。
に続き、
A
の﹁五音﹂に
圧記した部分が 、 D である。
二一 ﹁五寸口﹂への
圧ミ山
下の音韻に関する議論を含んでいないことに任意すべきである。
B
︵D︶ 言,五音者白虎通博物誌 云。東方水兵帝大兵具 佐面前。
九三
﹁
輔行 ﹂は﹁止観﹂のもっとも代表的な注釈であるが 、イは ﹁止
臭香 。仕者 主五行 -Z
官。三輔打ヒ 八 Z ニー 四六・一二九八 c-
土。 執 。網所制 :四方。 星 鎮星。 獣黄龍 。吉富。 日戊 己。味甘。
獣玄武。音羽。日子 発。味鹸。臭腐。中央 土。其帝黄帝。佳局
味辛 。臭胆。北方水 。帝叔項。佐 文具。 執。
権市 治。冬。星辰星
矩 市治 秋。 星 太白。 獣 白虎。 昔商 。 日東 辛 。
埠 。 佐葺収 。執 。
佐 祝融。 執。
衡 市治。夏。
いずれにせよ、﹁悉曇蔵 ﹂に関して云えば、 BC
其屋 焚惑 。鳥朱雀。吉徴。口内 丁。味苦。臭焦。西方 金。希少
A及
のび
外教に
する部分は﹁止観﹂を経由して取り入れられたものと考えてよか
ユ日﹂
う 。ただし、﹁止観ヒの記述は実 寡 蔵ヒ A に存在す る ﹁エ土
関
ろ
以
観ヒ病患境 にみえる﹁母即思 五色声香味触等﹂という 一節の﹁五色﹂
の注に相当する。
九四
縦 Ⅰ樽兆
、縦
五坪
があるが、これは三者の立場の違い な微妙に反映した ものである。
D に引き続き、 実寡 才蔵ヒ では﹁英五昔者。
るのが自然だろうが、班固﹁白虎通ヒ、張華 ﹁博物志目は共に﹁ 輔
基盤とする個々のカテゴリーに配当していく -五根は 二ヵ所ある 一。
変 、 適毛根 発 、握 五位 極 。﹂と、 五 昔を﹁ 五 ﹂ を
住、上古時 -
発 、従,五触 動 、従:五姓 起、全五気 響 、 応 :五十Ⅱ行 、感:五色 -
行﹂にしばしば引かれるところで、この二本を指した ものである 可
それらの記述もまた、ほとんどが﹁止観 ヒ ﹁
輔行 ﹂ の影響下に書か
実寡 蔵﹂ D の文面からは、﹁白虎通博物誌目なる書物があると取
能性もある一ただし、文章として D.イと直接の引用 関係にあると
れたものと思われる。以下、逐一比較していくことと しよう。
五廟・五根
︵E ︶吉二五歳 者。 肝属 二木角 。 心属 ,
火徴 。 肺属 :
金 商。腎
0
解釈できる部分は見 ぃだせな②
い 一。また﹁ 味﹂と﹁ 臭﹂に関する部
分 に欠けるものの﹁油両三天文 訓 にも類文を認める@﹂とができる。
春。某神馬二歳星。 其獣蒼龍 。共音 色 。英日甲乙。 南 方人也。
属 :木羽。脾属 :上宮 。
︵
ゥ︶何謂 五星。東方本地。英希大暉。其位 句苦 。執 。規市治。
其帝炎帝。其位未明。執。衛所
治。
夏。真神馬,
焚惑 。某 獣朱鳥。
刊 血方 。兵禍為 ,鎮星。某獣黄龍 。共音宮。某日戊 己。西方
︵ェ︶大業病者。成事 是 先世業。 或 今世破 。
戒動 :先世業 。業力
ユ軸 皿
︵F ︶ 肩 五根 者。 眼主 ,
肝角 。耳玉: 宵 宮 。鼻 圭三師 商 。舌
余地。英希少長。其位 庫収。執 。
矩市治。秋。某袖石,太 白 。某
成。
病。遠的Ⅰ 根 知。
有:
所犯 。若殺罪之業是肝 眼病 。飲酒 罪
共音 徴。某日面 工。中央上地。 其帝 黄帝。其位后土。 執。網所
獣白虎。共音 商。某日東 辛 。北方大也。 其帝顎頃 。其 仕女真。
業是小口病 。婬罪業足音耳痛妄語罪業 是脾 苦痛。 若盗 罪業是肺
鼻病。股五戒美肌五五蔵五根病起。
。身主 二心敬。
執。
権市治。
冬 。某神為 :辰星。其獣玄武。共音羽。某 田主菜。
委細は後考に 侯 つほかないが、﹁悉曇成口Dに関して一
ムえばロ立 山
宅止観ヒ八上|四六・一0七。︶
︵
ォ︶木主。
肝。若枝葉枯燥
是木之病。故無,光沢等
如,
木無:
という表示はあるものの直接の典拠はやはり﹁ 輔行﹂ イ によるもの
と考えて良いだろう。﹁輔打ヒでは﹁五色﹂の、﹁悉曇蔵ヒ では﹁五
水:
王。
腎
。土圭。
潤。人主。心血
金工。
肺。
昔﹂の、﹁准南子 ヒ では﹁五星﹂の任になっていると いⅠ留に違い
本来の五行思想の趣旨から言えば、五臓は五行のサブ クラスに過
ぎない。五塵・五根といった仏教的カテゴリーが五行 思想に取り込
三輔行 ﹂ 八之ニー 四六・三九八 a-
Eは王威 は ついて、 Fは五根についてそれぞれ﹁悉曇 蔵 ﹂で述べ
まれたとしても、他の諸カテゴリーとの相互作用が可能 になるのは、
自十
。
た部分である。直接の引用関係を確定できる部分はな ぃが、内容的
上位にある五行概念を介してのはずである。
ところが、興味深いことに、﹁止観口 では明示的な﹁木人士金氷﹂
には﹁止観﹂病患 填めェ 、﹁輔行 ﹂の オに対応すると考 えられる。
いずれも通常の五行思想の範囲内にとどまっているが 、﹁悉曇蔵ヒ
の使用は少ない。﹁止観ヒ においては五塵・正蔵・ 五色 といった カ
﹁止観ヒの 病患 境は ついては、従来中国の医学思想と の関係が論
EF には﹁宮 ・商 ・角 ・
徴 ・羽﹂という五音名が入っ ている一方、
じられてきたⅤ 智顎は、漫妖と中国医学思想の導入を 図ったのでは
テゴリーが五行概念なしに直接関連しているかのよう な様相を呈し
﹁止観ヒ では、母親が﹁ 色 ・声 ・香 ・味 ・触 ﹂の五塵 に触れるこ
﹁止観ロェでは、五音・五行概念は見られず、五戒 五根と五歳 の
とが機縁となって、胎内で﹁ 肝 ・心 ・肺 ・腎 ・脾 ﹂ の五臓が生成す
ない。山野論文によれば、﹁・・・鷹詞止観は五根と 五塵という 仏
ているのである。
ると考える。また、五塵はさらに五分されるが、この 臓器への配当
教独特の概念をこの中国医学の原理組織のなかに挿入 し、五行の名
対応が直接に示されているに過ぎない︵傍点部︶。
関係はそこへも延長される。例えば﹁ 色﹂はさらに﹁ 青 ・赤 ・白
る。かくて 智 顎は五根を新しく中国医学の根本原理で ある五行に代
を出さず、五根の名に 於 いて生理と病理を五行に拠って説明してい
肺 ・腎 ・脾 ﹂
黒 ・
黄﹂へと五分割され、それぞれの色に﹁ 肝 ・心
国の医学理論を仏教哲学に組み込む糸口に過ぎず、 この目標が達成
さまに言及することを控えている。﹁止観ヒ における 五行説は、中
智 顎は五行思想の相生・相剋概念を利用しながらも 五行 にあから
た﹂という事情があったのである。
わらしめることによって、仏教医学と中国医学とを 総合しようとし
が 対応する。 いま五塵の色、感官の側で云えば五根の ﹁眼﹂に相当
する部分を取り出してみよう。
宰止観白人上 | 四六・一 O 七 b 一
黒多
復次 眼縁。青 多動。肝 。 縁 。
赤 多動。心 。 縁 。
白 多動。肺 。 縁 。
動 。腎 。 縁 。
黄 多動。脾 。
のカテゴリーである。﹁止観ヒ ではこの両者を折衷 す ることによっ
されればむしろ不要な存在として背景に退く運命に ある。﹁輔 打日
五塵や五根は、仏教の ヵ テゴリーだが、正蔵 は 紐状 た る五行思想
て 、病理現象を扱おうとしている。
九五
においては、 @
﹂の緊張関係は失われ、五行概念が前景に
工船
浮かび出る。
さらに﹁悉曇成口に至ると、そこに五音という音韻 概 念を忍ばせる
ようになる。
O
︵G︶青二触者。木性多直属・角。人性多転属。徴。金性 堅利 属。
商。水性流注 属。羽。土性聖法 属。
宮。
︵力︶如。木性参画今人洪直。次大佐外合多軽浮。金性 堅利合太
三輔打目人文二| 四六・三九八 a一
尖鋭。水性流注 今則滴涯 。土性聖法令 太沈重。式佐 過 外政。病
或衰弱故市政。
患也。
境 に行きつく。対応する箇所を示す。
九六
︵
キ︶ 夫脈法 関二医道休 。可。言具。昭示ゴ豆蔵病相 。 着服浜面
肺病相。軽浮足心痛 相。尖鋭 衝刺肺病相。如 ,
連迷腎 病相。沈
重遅緩脾病相。委細加俸治衆説 。
宮止観口入上| 四六・一O六b︶
ている。一方
もとの﹁止観 ヒ では二蔵と病相を対応させているにす ぎないが、
﹁
輔行 ﹂では五行をその説明の中に積極的に導入し
﹁悉曇成口に至ると、病理との関連は切り捨てられる 一方で、例の
五姓
如く五行・五音の記述がある。
O
﹁悉蔵
曇
三の寛文一二年・寛政元年火
両佳
版歩
本
転
﹂で
のは﹁ ︵H︶ 言:立処-者。宮百中音 別喉 。簡閲。口腹即脾。角舌角藩邸
﹁
転﹂字イ
に
本校合で
軽﹂
﹁字を注記する。本
東で
寺は
金
剛。
蔵
睡
﹁
﹂
牙。微音栓。歯即歯。羽振。口聚即唇。
厳院
は
﹁大日本仏教全書・悉曇具書
日本
影印
印刷
のが
横不
川鮮
棚明 ﹁悉曇蔵 ﹂で﹁五姓﹂について述べるところは、﹁ 止
親日﹁輔行 ﹂
に対応するところを見いだせない。類友 は、守温 ﹁
韻 学残春日、宋
木工 篇に収める﹁五音亡国﹂・宋の王応麟﹁小学 紺珠 ヒ等にみられ
るところであるが、詳細は黄耀塑氏の議論を参照され
﹁火大
升﹂
性となっており、文意から,
いが
っ
っ
良て
かも
ろこ
うの
。ほ
いずれにG
せ
とよ
カ
の対応はほぼ認めるこ
だと
ろが
うで
。きる
さて輔
﹁
打目
力ささかのぼれば、やヒ
は巻
り第
﹁
八
上止
の観
病患 ︵1︶旦苗気 -者。何属:於商 -。吹呼属。羽。嘘属 :於徴 一O@
良
@@
Ⅰ
し
n
e
@,
@
︵ク ︶同属。商吹 砕屑。羽 。嘘属 。
徴唄属 。宮崎 属 。
角 。 五 竹村。之
属於宮 。噛属 ,船戸。
︵ケ ︶故 五声亦暉 五行五音。 呼喚属 ,角木 。 まm@属 二
散人 。
吟属 二羽水 歌屑 ,官士 。
芙属 ,商会 。吟属 ,利水 歌属 ,官士。
三輔行 ﹂ 人 文二 | 四六・三九九 a︶
三輔打日八二三 | 四六・三九八 b 一
この﹁ 輔行 ﹂ クの 文も﹁止観 ヒ病患境 に対するものである。とこ
咲 層面 会 ﹂
この両者も関連していると結論して良いだろう。 1 の ﹁
は偶 古碑。
ろで、この﹁輔行 ﹂の文には、 五昔の配当が明示され ている。一方
は 、﹁大正蔵 臼 ・横川拐厳 院本・寛文一二年・寛政 元 年の 市 刊本 い
ケからの引用関係を 前提とするな
ずれも﹁ 咲 ﹂ 字 だが、 観智 院本では﹁ 芙﹂の異体字 ﹁央 ﹂を書き、
二蔵の治療に
﹁止観ヒ 病患境 では﹁ 吹呼咄呵嘘庸 ﹂を六気と呼び、
利用できると論じるが、高商角徴 干の五音にふれるこ とはない。
イ本校合として﹁ 咲 ﹂字を示す。
ら 、これも元来は﹁ 芙 ﹂であったと思われる。﹁止観ヒで 対応する
先にも述べた如く、目止観﹂の病理理論において五行 思想は押さ
えた形で使用される。五音など、疾病を論じるのに 必ずしも必要と
のは、やはり病患境 における一節である。こちらには 五行・ エⅡ土日の
名はなく、臓器との対応のみが問題となっている。
思われないものにあえて言及する必要は無いのである
一方で﹁輔 打目 は ﹁止観ヒの 注釈という性格を持って い るためか、
︵コ︶ 耳縁 :
呼喚 多動。肝 。 縁 。語 多動。心 。 縁 。
芙多動 。肺 。縁 。
宍止観 ヒ八 上| 四六・一 O 七 b ︶
﹁止観ヒが 控えていた五行への舌口及を非常にしばしば行っている。
五色
吟 多動。腎 。 縁 。歌 多動。脾 。
O
﹁
輔竹口にとって、背後に隠されている五行概念を閏 下することこ
そが﹁止観三の解明を意味したのだろう。
︵J︶二五色 者。 青属 境木 角 。赤属 南人 徴 。古層 晒 金商 。
﹁悉曇蔵豊 が ﹁止観口 よりも、﹁ 輔行﹂の利用を中心と したのは、
このような 観占から理解できる。﹁輪竹b には五行 思想の素材が多
ただし、直接の引用関係の確定は難しい。
これについては、先にみた﹁輔た互イ の引立と内容的に 対応する。
。
黒属 二化水押。貫属:中上宮
五声
く存在しており五音への言及も含まれているのである
O
︵ー︶
言五声者。
呼喚属:角木
。まm@
属,散人
。咲属,商会。
九セ
O
五時
五時については Cですでに述べたところである。ただ し C には 以
0部分が続く。
﹁
輔行 ﹂で直接の引用関係を見いだす ことはでき
い。いずれも五音をいったん五行に配当した上で、 相 生相剋関係
,
C には﹁止箪
角通。南面 違 。商遇 。
徴而蕩 。 此相剋 也 。
従。
宮而商張 。 是 相生。 徴遇 。羽 面上。 羽遇 。
宮 両罪。 宮 遇 ・月央。
一
,
C ︶従 。面面羽聚 。従 。調所角開 。 従 。色所徴柱 。 従 。徴而 宮仕。
T
もって解釈したものと考えられる。
な
を 生み出すこと、相剋とは、五つのエレメントが 、木 4 土 4大 +
相生とは、五行が 、木Ⅰ火ヰ 土 +全Ⅰ水の順番で 次な る エレメン
な
4金の順で、上のものが下のものに打ち勝つ関係にあ ることを 意
ト
たとえば C の﹁ 商 ︵金一に従い 羽 ︵永一聚まる﹂とは 、 金 4 水の
相剋の関係太一羽 一Ⅰ 火 ︵
徴 一山金一面一4 本 角︶J 土 二目-
相生の関係金一面 一4 大一羽︶t 木 一角一4 人 -散 -J土 宮-
相剋の関係性が引き継がれるということを意味する。
が 五行に配当されるということは、五音それぞれに 五 行の持つ相
質 の諸関係を一種の象徴的な論理として見立てたもの である。 五
する。これはたとえば木が燃えて広一十︶となるとい った 現実の
生 音 物 妹 人
九八
憂。帝居
喚
相生関係を、﹁羽
敏一
一水
人
にⅠ
遇して止まは
る水
﹂火
との相
Ⅰ
五位
︵
サ︶耳縁
二喚
坪多動肝
。
。縁。
語多動心
。
。縁。
芙多動
。
肺。縁。
吟多動腎
。
。縁。
歌多動脾
。
。 宅止観
ヒ八
上|四六・O
一
セb﹁
羽属人豪﹂人
の
﹂﹁
字は﹁大正蔵﹂厳
・
院横
本
川は
傍人
﹂
で
﹁
だが
観智
院本・寛文一二年・寛政元年
いの両版本では
ず
れ
も
吟
﹁
﹂
である。引用関係の確定は難サ
し
・
コ
いが
、
﹁と
止行
観﹂
﹁
旭
@、
リ
川
三
の
ケ
などが対応しそうである。
Kが
た﹁
だ五
し根
、﹂
な括
ぜされて
と
一
いるのか、またな
Fと
ぜK
五
の根
ニが
カ所に重の
複か
すと
るい
占う
ほついては不明である。
O
︵
L︶言:五者
位。五行客吉
諦
二三
五老
相
位囚。
死春水火水金
土。真火土木水
私金
金水
。土木
人
。冬水木全土主
人知
。次
。
。
五星五
地位
。五加,
二
甲
水乙
生
長:船丁
内
老三壬
施発病於庚申
-
季夏の部分を取り去り﹁ 王|相1死1匹 |老﹂を﹁ 王|相|老|
L の傍線部と一致するこ とがわかる。
﹁玉柏老囚死 ﹂という概念を導入した
ミ大正蔵ヒ四六・
のは、五行 相
二教 混清 の 産
安吠が 五行思想を悉曇学 に導入す るにあたっ
ニハOc 一という言葉に由来するのか もしれない。
昔 ﹂という用語自体、﹁ 輔ゲ亘 第一之 三 にある﹁ 唐 菊二 方言舌 不 。同 ﹂
て 、﹁止観 ヒ ﹁輪竹﹂を存分に利用したことは明らかで ある。﹁二方
以上をまとめると、
付記にからめた議論を行っているが、省略に従う。
なお、以下﹁悉曇 蔵ヒ 二方音では以下四声や十二律に ついても 五
物であることを示している。
土浦老死の四苦に﹁ 長 ﹂を付け足したものと思われ、
ほ ついては、仏教の側から﹁玉柏君困殆﹂概念に対応 させるために
L後半部の出典についても定かではないが・﹁生長病名死 ﹂︵傍点部-
生 ・相剋概念をさらに精微化しようとしてのことでは なかったか。
﹁悉曇蔵ヒが
﹁悉曇蔵 口や﹁占事略決﹂が何を元にしたかは今明らか ではないが、
囚1死﹂の順に変えれば、
両造
連
。
宮
。
面無@
。
弘他
化
云々。
L
は
ついてヒ
は
﹁
輔
打
﹁
に
ヒ
直
止接
観の出典を
泊見いだせ
ない。﹁
南子
墜﹂
形
で訓
は五行
壮・
の
老・
生
消
・
囚
長
・
死を﹁
﹂
概
念
を
使
用
して微細に説いている
。維
相持
生的
・関
相剋概念では五行のう
ち
、
係
をもつ二者に焦点が壮
あ
た
・
老
・
生っている訳だが、この﹁
囚・
化
﹂概、
念ホ
は
﹁
壮
が
﹂のと
水﹁
老
き
﹂、
火
﹁
生
﹂
金
・
﹁
囚
﹂土
・
﹁
死
﹂という状態に五
あ者
るを
、共
と特
い約
うように、
。
君
連
。
ロ
南
目
口
構造として捉えるとこ
に
特
﹁ろ
五
行
大徴
義が
﹂ある。同様の説は
・
ザ
・
ケ
・
ロ・
死
﹂﹁
概念をもっる
てが、
﹁白虎王
通
﹂
で
は
示
さ
れ
いずれ蔵
﹂
もの
﹁
王・
相
﹁
悉
・
老
曇
・
囚・
死
﹂と
異同
は
があL
る。
に
類似した表現はいささ
﹁か
略
占時
決
事代
口が下るが、安倍晴明の
一九八三年もしくは九
で七
き九
る年
。ご
﹁ろ成立か︶に見ることが
内は小字による表記である。
五行正和死囚若浜第九
﹁止観口 にあっては、五行思想の導入は病理を論じ、 また儒教的人
っな葛藤はう
ち捨てられ、注釈という性格もあってか、この ぉ
月旦
示に退いていた 五
ることとなった。一方、﹁輔 打ヒにあっては、このよ・
教の立場からするそれは、あからさまな五行概念の使 用を控えさせ
倫との調和を計るという点に動機づけられていたが、 あくまでも 仏
夏二月人主
相一
﹁金
白
恭死
﹂
ニ
一二
水
十黄
口口
木
君邑
門
季夏十芭
王金
相
﹁田重
方
水﹂
死本国
一
白日
口火
老﹁
ロ
主
秋
三月
王余
﹁白二
萩水
旦
大一
死
巨
相人口目
重
土
老赤
ロ口
尽
三月水主重
赤
﹂出
火水
花和
一
呈
﹁
白
ニ
金
ヤ﹂
ろ主
﹁因
晋三
九九
行 思想が前景化されることとなった。﹁悉曇蔵 ﹂はこ の傾向をさら
に推し進める一方で、病理というコンテクストを全く 捨て去り、 昔
﹁悉曇成口と﹁ 疑経 ﹂
演説への読 替を行ったのである。
四
安然は、悉曇 蔵養二で、内教と外教の関係について 述 べている。
。日光害
︵M︶ム﹁検 :内教須弥四 域教云 。宝応祥 菩薩 為三伏義 薩 名馬,女抑也 ﹁
抄 u。清浄浩行経芸。 我遣 Ⅰ二人漸教 ,衆生。
迦葉菩薩被毛 三
老子 。儒童 菩薩被毛 二
仲尼 。北澤菩薩 役名工顔
凹目 抄一。題謂 経芸。 夫 五戒者是則 天文五星 地 五岳人 之 五常 五
宅悉曇蔵目ニー 八四・三八二 b一
行 五臓五方五音﹁ 抄一。故知内外 雄。異 源流唯一。
M で代議・ な嫡 ・老子・孔子・顔回・五常・五行とぃ った外教の
人物・カテゴリーは、内教にぞの対応物を見出すこと によって 、む
しろ究極的には仏教に統合される存在なのであると 理解されてい
る。ここには、中国伝統の五行 説が 悉曇学 へと結びつ けられるにあ
たっての安然の理念が示されている。
ところで、この論拠として引かれる﹁須弥四 域経 ﹂﹁清海法行経ヒ
﹁
題謂経 ﹂はいずれも中国で撰述されたいわゆる﹁ 偽 経﹂として 知
られる。牧田 諦亮 ﹁
疑経 研究 目 一一九セ六年臨川 書店︶では﹁ 須
一
OO
弥域
四﹂
経﹁清浄決行経口
調
和
をや
﹁優
中劣
国を
の
子
。偏彼
重:
名
菩礼
薩ナ。北海
抄。
菩
ロ薩被毛
省
悉蔵
曇
﹂一八
|四・三六
N
で﹁智
云
﹂
者と
止し
観て引か目
れ
と
生る
オ
従
二こ
ハろ
空大阪﹂について論じ
た儒
部教
分道
が徳
は
、
薬の
ヒ
仏
は
法︵﹁
薬
﹂
出﹁
世出
間法
世
の
間
法
上に
上の
二世
法
﹂
薬
よ
︶
って克服されねば量
な
なら
れ
なも
い
もた
の
ば
薬
虹
ま
量
である﹂として、一定の位置が
豆
こ店
病。
葉
授
者。既之
知
。
病
又
,,
道
識
苦Z
滅
菜
薬
。若衆
我
生禅機
出
。世
根性薄弱
。
但小
:
世
授。
薬
坦三深化
された日清浄法行経目の事例を二十三例挙げて、それ らがいずれも
孔子・老子・顔回と仏の関係について述べたものであ ることを指摘
故
宅止観ヒ 大下| 四六 七八 b︶
しておられ鏑。氏の挙げられた列立にはそれぞれ複雑な差異があり、
せ揖
:三聖化 ,
彼 真竹 。礼義前聞大小乗経 然後可 。
信。
すなわち五常に代表される儒教的倫理観念︵ 世薬 ・世法︶が行き
ただちに結論を導くことは難しいが、﹁輔行 ヒスを 引用する南宋 志
前月:世法面授二年
之 云云。
渡ってはじめて大乗・小乗経を信じることもできるの で、そのため
聖化彼 真竹﹂という表現からも明らかなように、この部分は﹁清浄
0列女 Nと現行の﹁ 輔行 ヒスとの違いは、﹁輔 竹二別 本の存在が反
﹁湛然弘決云 ﹂の引立と内容的に一致する。﹁悉曇成口 での﹁輔 打日
N目
の
@ゅ哩一一 盤の ﹁仏祖枕詞目 には﹁別本﹂からの列立があり、﹁来ゅ暑ヌ蔵
に 三聖を遣わしてまずは世法を授与したのであるとい う。﹁穏
浩行経﹂を下敷きにかかれている。﹁止観月第六のこ の節では儒教
映しているのであろう。
︵ソ︶提謂波利 等間。仏。何不﹁為。
我説 :口上%ハ。仏答。五者 天
ものと考えられる。 智 顎の﹁仁王護国般若経疏目 の 一文を挙げてお
さらに、 M の後半部、﹁提 諸経﹂からの引用も智顎の 影響による
の五常が仏教の五戒に一致することが前提とされて ぃる。
輔打日
また Nで﹁湛然弘法 云﹂として引かれた部分に相当す る ﹁
原文は 、
世法薬 中。
。
。在 。人為、五臓千之大数。 在 。大月毛桿 。 在 。地神五岳 -
︵ス︶投薬 中。小矢 給挙 二葉
柄。衆生干 別明 。授 。薬。克明。授 :
。光浄
震旦 冥加商調 。清浄 法行経 云。月光菩薩 彼 祐二顔回-
色為 :
在 ,陰陽偽五 ﹁
ク 。在。工夫五帝 。在 。
世偽 五徳 。在 。
二
且寄二
此土化初 面謝。我遣 三聖等者。小一方
菩薩彼称 ,仲尼。迦葉菩薩彼祐二老子。
菩薩名 には Nとス でずれが見られる。近年セ幸一切経 から平安時代
とあるところが対応するであろう。ただし、孔子と顔 回に対応する
放れ 。
有 。義者。不 :邪淫。不飲酒 乱 :南方。南方是火。火主 :
揮
放任 。 仁以 。
養 。土石。
義 。小盗 配 :北方。北方 是水 。水主 榛
五色 。在 。浅石:五坪。以 :下盤配 ,東方。東方忌 木 。木主 二
末期書写と思われる﹁清浄法行経﹂の残閾が紹介され たが、そこで
於信 。
乱妨:船夫也。り 不妄語 配二中央 。中央呈上。土圭 ,
三輔行ヒ六之ニー 四六・三四三 c一
は老子が摩詞迦葉に、仲尼が北海童子に、 顔渕が 月明儒童に比定さ
義也。
妄語玄人五角両頭 小葵ニ中正 。中正 以 不偏乖 為。
。
。智者下洛為 。
義 。不邪淫祀二
西方 。西方足金。金 ユ % 義 -
れており、ここにも表現上の差異がある。石橋成康 氏は典籍に引用
一O 一
宅仁王護国般若経 疏 ﹂ ニー三三・二 工ハ
Oc ︶
智 顎の思想との関係で問題に されてきた
ただし、 Mに﹁五音﹂とある部分は、やはり﹁悉曇蔵 ヒの 側での
付加とおもわれる。
﹁提 諸経口については、
﹁法華次第 初 門口﹁法 華 玄義ヒ﹁仁
ところである。﹁ 提 諸経口の名は直接﹁止観 口 には 出 てこないのだ
が、塚本善 隆 氏に ょ れば、 智顎は
一0 一一
しかし、それらは言語論を展開したものではなく、 五 土日の記述に
も 乏しい。つまり、安然はなぜ言語 ゐ
而において五行思 想を組み込も
﹁大股浬薬経ヒ 文字 品と粟貰古蔵ヒ
ぅとしたのか、その動機の解明は別になされねばならないのである。
五
﹁悉曇
蔵ヒ第一梵文本源は本源・相承・字数と三節に分 かれるが、
本源に関する一節は﹁大紋 浬架経 ヒ文字 品 に対する注 釈を集めて 展
﹁止観三
王護国般若経 琉ヒ などでしばしば﹁ 提 諸経﹂を引いて
閲されている。
種種異論。呪術言語文字皆是仏説。非外道諦
。迦葉 菩薩白 。
。善 男子所有
︵P︶宏二本源老大理 薬経文字 品云 。 仏告 :迦葉-
第六で五戒を五常五行五経に配しているのも、﹁提訴 経ヒの 影響に
よ るものだという。
また m 野俊郎氏に ょ れば、﹁止観 目第八で病因を論ず るに当たっ
に組み入れたという。この議論は中嶋 隆蔵氏 によって さらに進めら
言語文字皆是仏説。非魂 通説﹂という一文の解釈に 集中している。
冥寡 蔵ヒの 梵字本源論はこの淫薬経文字 早め ﹁種種異論。呪術
宅悉曇蔵ヒ一| 八四・三六八 a一
ね 、 智頻が 仏の金口から出た首ヌ @として﹁ 提 諸経﹂ を 積極的に活用
は 下、濯頂 ﹁大股淫薬
経疏ヒ ・道逼 ﹁淫楽
経疏私記﹂
仏言。
し、その疾病理論を構成したことが、﹁止観日の下敷 きになった と
経疏 私記目 ・吉蔵﹁
浬磐義疏ヒといった 浬薬経 の話注 が引かれるが、
ては、五戒・五根という仏教概念を﹁ 提 詰紐﹂によっ て五行説の中
見られる﹁釈禅 波羅蜜次第法門口を素材として 級密に 論じられてい
興味深いことにこれら 諸注は ﹁異論呪術皆是仏説﹂という部分を解
法中。三宝四諦浬架 四徳忍足仏法中名教。長者去後勘 二掠群羊。
︵色酒旗 疏云。異論究 術皆是仏説百二 癖 。一五根 本音在 仏
に先に述べた偽経が援用されているのである。
して、外教を仏教の一段階に位置づけるものと解釈し ている。そこ
行満 ﹁淫楽
る。
安妹 が利用したのは、﹁止観ヒ巻六と巻八 、および 対 応 する 湛嫉
安 抹の理念を示すものとして偽 経の名が提示
の注釈であった。いずれも偽経類の影響により、五行 思想の浸透が
みられる部分であり、
されるハツも、目地体であると舌口
えよ う。
既 二・一切皆是仏説瓦石星仏法
為﹂字の誤記であろうか 耳
は ﹁
︵S ︶吉蔵疏瓦。
辻出世教。 依 :河西判 荘子等皆是人来。老子 則 天来。 岩井 孔
在名筆 此号外道法 。今明皆是仏法 。何故 爾。仏説 天人五乗
孔等数卵応提 仏法 。若如 ・
施所 :明。七言柄 迦教是 仏法周礼
セ伯
。 ム﹁周
@
は ﹁不審﹂、両版本は﹁ 此 一字不審﹂とそれぞれ注記する。ある ぃ
をもって答える一己文末尾﹁老子多足迦葉﹂の 多字に東寺金剛蔵本
仏法に入るのか、という疑問に、河西道朗の判により ながら五乗 説
べて仏説であると述べる。では、外道の説はどうなる のか、これも
清
法
浄
行
外楡
道
:
安
典
巳。
耳
待三五号
Z
。
説
。
仙
如
,
方
便
。
。
同
薦
。
明
,
為
偏
:
顔
老
重
。
叩
子
洗為
浄
孔二
菩
子薩
経芸迦葉
。
認
非
L
。
一云云
字正
皆法
仏
非
・。
者与
別
冥
悉曇
一八
戴
|四
白b
・
︶三六八
Q
は安然濯
引﹁
頂
く
浬
大
と
架
股
口
こ
経
巻
ろ
疏
十
の
早二
る、
僻
文字
説
﹂
に
対
し
て酒旗
釈したとこは
ろ
﹁で
異あ
論
仏
る
呪。
術こ
皆こ
是で
二
解を示す。ひとつ
仏は
の﹁
説異
い論
た呪
も術﹂といえどももと
一
道
切
呪
立
の
切
漫
術 盗んだ 説を仏 法で
三乗
嚢威 ﹂ 一|八四・三六八 b-
耶 。故 清浄法行経由 既自明老子多足迦葉等﹁云々 口
法-
つまり、天来・人来のいわぬる世間 乗に 外道諦を配す ることによ
って、仏教の優位性を保ちつつ外道の説も統合するというのである。
そしてここにも﹁清浄 法行経口の名が引かれるのであ る 。
非机 道諦:
義小咄百坪。
以下﹁止観﹂では淫薬 経 の一節から、五常・五行・
五経そ それぞ
宮止観ヒ大上| 四六・ セセ b ︶
何以故 。 束 弘士芦 。深知五常五行
︵T︶大経芸。一切世間外道経圭皆是仏説。
文字 品 に関する一群の注釈に、﹁止観白も付け加える-﹂とができる。
﹁悉曇蔵 ﹂が直接引用するところではないが、実はこ の ﹁担架経口
八四盛
b
・
︶
三六八
宅
悉%
曇|
一
行記
満し濯
で頂
Q
は
の
疏
﹁
第
白二解。
のこ
方こ
便で
説は
を採る
﹁
﹁ヒ
止
か
シ
観
ら法
、
行﹁
が
経
引清
ロ
用浄
されている。
二
蔵ロ
目
疏では
度
些
、
卦
か
﹁ら
大、
智仏
・法
弟を
子説くものに
益る
すと
れい
ばう
す五種火説を引いて、
諸天・化人の五がを
あ
一0 一二
れを促したようである。﹁悉曇蔵ヒ において音韻論の 思弁化がすす
一O 四
れ 五戒に 甘旧 させる。大経とは﹁大股浬磐経﹂のこと であり、例の
められたという占は、
︵
在︶
部 である。
なお本稿は平成一五年度天理大学学術研究助成費によ る 成果の 一
虹視 できないものがあるのであ る 。
文字 品 の一節が問題となっていることがわかる。すで に述べたごと
く、ここは﹁提謂経﹂の影響とされている部分である
安臥 が悉曇学 において五行思想を取り入れるにいたっ たのは、 こ
れら﹁淫薬経文字 品 に関する諸注釈の存在を抜きに しては考え も
れないのである。
﹁
浬架経口の﹁異論呪術言語文字皆是仏説。非外道 諦 。﹂という 一
店
平楽手書
という問題と直結せざるをえなかった。ここで中国 撰 述 のいわゆる
② 張華 ﹁博物誌 ヒは 全巻が残っておらず、その逸文 の確認につい
年
偽経 群が 援用されることとなった。偽経を引用するこ れら 諸佳 の 記
ては叢書集成初編木と沌寧 ﹁博物志校註 ヒ によった。
①安藤俊雄﹁ 天ムロ
学論集| 止観と浄土 | ﹂一九 セ五
述は 、濃淡はあるものの化教をいわば仏教の一部とし て統合する 態
③代表的なものとして安藤俊雄﹁ 治病法 としての 天 ムロル
止軒
@l
ぬ月
.蚊
虹
かに考えるか
度を共有している。末木立美 士民 は、安然が﹁ 教時評 ヒ弁詩論で天
学論集| 止観と浄土 | ﹂ 平 楽手書店
の医学思想序説 | ﹂﹁天ムロ
節は 、中国においては儒 ・道の二教と仏教の関係をい
台の通常の五時の教判とは異なり、﹁提謂経 ﹂をその 中に入れてい
九七五年山野俊郎﹁
二セ九頁
ることを指摘しておられるが、﹁悉曇蔵目 もまた、 こ の思想圏内に
研究所紀要三一九八五年
天ムロ
智 顎の医学思想序説﹂﹁ 真 宗 総合研究所
一
あったといってよかろう。
一一号一九八二年。なお、この問題に関するもの
④﹁ 試秋柏︵丸井 図︶ 的 "五音 "1双 "五音芝家 "略説 ﹂﹁均社 論叢﹂
響力を持つたと思われる。もっとも典型的なのは 承澄 で、﹁豆床土日
Wこ
仏
﹁
有閲 "五音立衆 "資料初編﹂﹁ 均社論叢﹂一二号一九 八二年・、有
﹁
一定の影
では﹁悉曇 蔵ヒの 導入した諸説をひとつの図にまとめ 上げて提示し
閲 "五音芝家 "資料初編二三﹁ 均社 論叢 口
三一三号
安扶が ﹁悉曇蔵﹂二方音で五行思想を導入したことは
ている。﹁悉曇 蔵 ﹂で引かれる五行 説が 羅列的な印象 は 免れず、 素
がある。
一九八三年
として同氏の
材の提示に終わっている点も、かえってその後の五行 理論の受け入
中 国撰述経典
⑤以下﹁占事略法目の引用は中村樟八 ﹁日本陰陽
一九八五年 波古書院による。
⑥牧田 諦亮 監修﹁ セ 手占 逸 経典研究叢書第二巻
宜 @ 二こ一九九六年大東出版社
⑦石橋成康﹁新出土手 蔵 ﹁清浄決行経ヒ孜 ﹂﹁東方仝
ホ数日 セ 八号
一九九二年
⑧﹁支那仏教正研究北魏篇三一九四二年弘文堂
⑨山野前掲論文一二九頁
⑩中嶋隆哉﹁偽経に見える疾病・養生観の一側面 | ﹁
提 諸経ロ と
その周辺| ﹂坂出 祥仲編﹁中国古代養生思想の総合 的研究﹂一九
八八年平川出版社
道書の研究﹂
⑪﹁平安初期仏教思想の研究安然の思想形成を 中心として﹂
一九九五年春秋社
一O 五