クラリスロマイシンの結晶多形を 応用した新規徐放性製剤の設計 静岡県立大学 薬学部 薬学科 教授 板井 茂 1 従来技術とその問題点 従来の医薬品徐放化技術には製剤に徐放 化、腸溶化、胃溶化等の機能性を付与した高 分子を被膜したり、主薬を脂溶性低融点物質 に溶解、分散させ、凝固してマトリックを形成し ていた。そのため、製造時間やコストがかかる だけでなく、いくつかの添加剤が必要となり、服 用しにくい大きな製剤で開発せざるを得なかっ た。 2 新技術の特徴・従来技術との比較 • クラリスロマイシンの結晶転移を利用した徐放 化従来技術であり、従来、製造の律速になっ ていた、フィルムコーティング工程やマトリック 工程を必要としないため、製造時間の大幅な 短縮が図れる。 • 添加剤を殆ど必要しないため、製剤の小型化 が可能 • 上市されれば、本邦初のクラリスロマイシン徐 放性製剤 3 想定される用途 • 服用しやすい小型のクラリスロマイシンの1日 1回製剤 • また、微結晶が製剤表面に析出することに着 目し、ヘリコバクタ・ピロリ除菌を企図した胃内 浮遊性製剤や胃内低pHにおけるクラリスロマ イシンの安定化に伴うバイオアベイラビリテー の向上といった製剤設計へ展開することも可 能と思われる。 4 実用化に向けた課題 • 現在、本邦においてはクラリスロマイシンの除 放性製剤は上市されておらず、臨床試験の 実施が必要となる。 • 1日一回服用を想定した放出速度の最適化 • 最適処方の確立 • 製造方法の確立 5 企業への期待 • 現在、本邦においてはクラリスロマイシンの徐 放性製剤は上市されておらず、臨床試験の 実施が必要となる。 • ジェネッリク製品を開発中の企業及び今後、 新薬開発事業への移行を考えている企業に は、本技術の導入が有効と思われる。 6 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :クラリスロマイシンの徐放 性医薬製剤 • 出願番号 :特願2012-073119 • 出願人 :静岡県公立大学法人 • 発明者 :板井 茂、野口修治、 岩尾康範、藤木定弘 7 問い合わせ先 静岡県立大学 産学官連携コーディネーター 柴田春一 TEL 054-264-5124 FAX 054-264-5099 e-mail: renkei2@u-shizuoka-ken.ac.jp 8
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