JAPONAIS

BACCALAURÉAT GÉNÉRAL
SESSION 2016
JAPONAIS
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VENDREDI 17 JUIN 2016
LANGUE VIVANTE 1
Durée de l’épreuve : 3 heures
Séries ES et S – coefficient : 3
Série L Langue vivante obligatoire (LVO) – coefficient : 4
Série L LVO et Langue vivante approfondie (LVA) – coefficient : 8
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Dès que ce sujet vous est remis, assurez-vous qu'il est complet.
Ce sujet comporte 5 pages numérotées de 1/5 à 5/5.
Répartition des points
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Compréhension de l’écrit
10 points
Expression écrite
10 points
Page : 1/5
Notion : Mythes et héros
TEXTE
ようかい
妖怪
ようかい
よう かい
日本人は昔から、たくさんの妖怪を生み出してきました。「妖怪先生」のあだ名
こ まつ
よう かい
を持っている小松先生は「妖怪を通じて、日本人の歴史やその心の世界が分かるこ
とができる」と言います。
かべ
「真っ暗な夜の道を歩いていると、前に壁 ができて進めないような感覚になっ
5
ふ
し
ぎ
た」「川から聞いたことがない音がする」――。こんな日常の不思議な体験や音、
あずき
ようかい
においなどを人々は「ぬりかべ」「小豆洗い」などと呼んで妖怪をつくり出しまし
ふ
し
ぎ
げん しょう
よう かい
きょう ふ
た。不思議な現 象 に妖怪の名前をつけることで、不安や 恐 怖心をコントロールし
ようとしたのです。
ようかい
よう かい がく
てつがく
ところで、妖怪を研究する学問「妖怪学」は明治時代にできました。当時の哲学
10
ようかい
めいしん
う
者たちは、妖怪 を「迷信 」とみなして、それを打 ち消そうとしました。例えば
おおにゅうどう
かげ
み ま ち が
ち しき
「大 入 道 」。これは、月の光がつくった木の影を見間違えたものだと、科学的知識
ひ
じゃま
をつかって説明しました。近代日本を立ち上げるために、非科学的なものは邪魔だ
と考えたのでしょう。
みんぞく
やなぎたくにお
一方、大正(1912-1926)から昭和初期に働いた民俗学者1の柳田国男は、近代化で消
15
のうそん
きろく
ようかい
き ろく
えていく農村の文化や生活を記録するべきだと考えました。妖怪のことも記録する
のは重要だとみなしていました。
こ まつ
ようかい
ようかい
う
ほ ぞん
小 松 先生の妖怪 学は、妖怪 を打 ち消すためでも保 存 するためでもありません。
ようかい
かか
きょう ふ
妖怪を生み出した日本文化を見つめることで、日本人や日本社会が抱える2 恐 怖心や
あら
不安などを表わすことができるのではないかと考えています。
ようかい
20
おに
だいひょうてき
しゅてんどうじ
おに
妖怪と言えば、鬼やかっぱ、てんぐが代 表 的ですが、「酒呑童子」という鬼がい
へいあん
おおえやま
ます。平安時代(794-1184)、京都の西の大江山 に住んで、都に出てきては、人をさ
しゅてんどうじ
たい じ
せん
らって食べたりしました。酒呑童子は退治される3直前にこう言いました。「私は先
1
民俗学者:un ethnologue
抱える:porter
3
退治する:exterminer
2
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Page : 2/5
ぞ
まも
ひ ら さ ん
か ん む てんのう
でんぎょうだいし
お
こ まつ
祖からずっと守っていた比良山を桓武天皇と伝教大師4に追われた5」と。小松先生は
ことば
しゅてんどうじ
しゅぎょうしゃ
この言葉に注目します。酒呑童子の物語は、その土地にいる神々を信じる修 行 者6た
25
お
しめ
ちが、新しく日本に伝わってきた仏教によって、活動の場を追われたことを示して
せんじゅうしゃ
はいしゃ
おに
せいふくしゃ
しょうしゃ
いるのではないか、と思うのです。「先 住 者=敗者7=鬼、征服者8= 勝 者=人間」
という関係性が見えてきます。
むろまち
ひゃっきやこうえまき
ようかい
こと
室町時代(1336-1573)の「百鬼夜行絵巻」には、夜の大通りを、妖怪に変化した琴
かさ
だい なべ
よう す
か
つくもがみ
や傘、大鍋などが歩く様子が描かれています。これらの妖怪を「付喪神」と言いま
30
れい
す。当時、道具は100年たつと霊を持つようになって、人をだますと信じられて
す
おこ
いました。そこで、人々は99年間道具を使ったら捨てていました。怒った道具た
せつ ぶん
ようかい へん げ
え
ちは、節分の夜に妖怪変化の力を得て、人間や牛馬をさらって食べたと言われてい
あらわ
ます。人々の、もったいないという後ろめたさ9の気持ちの 表 れなのでしょう。
こ まつきょうじゅ
ようかい
小松 教 授 「妖怪と現代人」asahi.com(朝日新聞社)より
4
伝教大師:le moine Saichô (767-822)
…を追われる:être chassé de
6
修行者:un pratiquant
7
敗者:un vaincu
8
征服者:un conquérant
9
後ろめたさ:mauvaise conscience
5
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TRAVAIL À FAIRE PAR LE CANDIDAT
1) Les candidats traiteront le sujet sur la copie qui leur sera fournie en faisant
apparaître la numérotation.
2) Ils composeront des phrases complètes sauf indication contraire.
3) Les citations seront limitées aux éléments pertinents et suivies de la mention de
la ligne.
I.
COMPRÉHENSION DE L’ÉCRIT
Tous les candidats traiteront les questions suivantes
Répondez aux questions suivantes en japonais :
ようかい
1) 「日本人は昔から、たくさんの妖怪を生み出してきました。(1 行目)」とあ
ようかい
りますが、なぜたくさんの妖怪を生み出してきたと作者は考えていますか。
ようかい
2) どんな体験から妖怪「ぬりかべ」を作り出しましたか。
ようかい
あつか
3) いつから妖怪を学問として 扱 うようになりましたか。
ようかい
ようかい
4) このテキストの中に、妖怪の名前は全部でいくつありましたか。妖怪の名前
も書いてください。
やなぎだくにお
ようかい
ほぞん
5) 柳田国男は「妖怪の保存」のためにどんなことをしましたか。
しゅてんどうじ
つくもがみ
とくちょう
6) 「酒呑童子」と「付喪神」の共通の 特 徴 は何ですか。
つくもがみ
ようかい
7) 何が「付喪神」という妖怪になったのですか。どうしてですか。
つくもがみ
ようかい
あら
8) 「付喪神」という妖怪は昔の人について何を表わしますか。
Seuls les candidats composant au titre de la LVA (Langue Vivante Approfondie)
traiteront également les questions suivantes
ようかい
こ まつ
ていしょう
ようかい
ちが
9) 昔の「妖怪学」と小松先生が提 唱 する「妖怪学」は、どう違いますか。説明
してください。
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II.
EXPRESSION ÉCRITE
Afin de respecter l’anonymat de votre copie, vous ne devez pas signer votre
composition, citer votre nom, celui d’un camarade ou celui de votre
établissement.
Seuls les candidats des séries S et ES et ceux de la série L qui ne composent
pas au titre de la LVA (Langue Vivante Approfondie) traiteront les questions
suivantes
ようかい
すがた
とくちょう
1) あなたのオリジナル妖怪を考えて書いてください。どんな 姿 、特 徴 をして
いますか。いつ、どんな場所に現れますか。(250 signes)
きょうふ
2) あなたは、どんな時に、「不安」や「恐怖心」を感じましたか。あなたの体
験を書いてください。(150 signes)
Seuls les candidats composant au titre de la LVA (Langue Vivante
Approfondie) traiteront la question suivante
むろまち
現代社会と室町時代を比べて、物や道具の使い方はどのように変わりましたか。「も
ったいない」「後ろめたい」という気持ちにならないようにするために、私たちはど
んなことができると思いますか。(400 signes)
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