当日配布資料(PDF:1968KB)

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せ こ う じ しゅうへん い せき
長谷小路 周 辺 遺跡 発掘現場見学会
説 明資料
平成 28 年 6 月 12 日(日)
主催:鎌倉市 教育委員会 文化財部 文化財課 鎌倉市 こどもみらい部 こどもみらい課
海岸砂丘に刻まれた古代・中世の歴史
( 株 ) 斉藤建設 埋蔵文化財調査部 縮尺=1/5000
この遺跡は、長谷小路周辺遺跡といい、由比ガ浜一帯に広がる砂丘
上に営まれた遺跡です。
当地点では「(仮称)由比ガ浜こどもセンター※」の建設に先立
ち、約 1100 ㎡を対象に埋蔵文化財の発掘調査を(株)斉藤建設埋
蔵文化財調査部が行っています。調査期間は平成 28 年 2 月1日~
6 月末の予定です。現在は南側のⅠ区全体の調査、Ⅱ区の奈良・平安
時代の調査が終わって、Ⅱ区の古墳時代の調査に進んでいます。
今回の調査で、古墳時代から鎌倉~室町時代にかけての遺跡が見つ
かっており、鎌倉~室町時代では方形竪穴建物 7 軒、井戸 1 基、
土壙墓(お墓)1 基、溝の中に捨てられたイヌ、ウマ、ヒトの骨など
が見つかっています。方形竪穴建物とは、地面を方形に掘り下げて木
材や鎌倉石で床や壁を作って上屋を架けた建物で、地下式あるいは半
鎌倉市
地下式の倉と考えられています。
※(仮称)由比ガ浜こどもセンターとは、認可保育所(津波対策として鎌倉市立稲瀬川保育園、材木座保育園を移転統合)、子育て支援セン
ター(鎌倉市福祉センターの中にある鎌倉子育て支援センターを移転)、障害児放課後余暇支援施設(新設)からなる複合施設です。この建
物の周辺は、津波浸水予測区域となることから、津波避難建築物(津波避難ビル)としても活用できるように整備しています。
写真2 ▲ Ⅱ区で検出された古墳時代の石棺墓 写真1 ▲ 北側上空から見たⅠ区の全景(第1面調査時) 写真上方に由比ガ浜~材木座海岸が望めます。
頭を東南に向け、仰向けで体を伸ばした姿勢です。
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中世の遺構全体図
縮尺=1/500
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Ⅱ区
Ⅱ区
方形竪穴建物
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土壙墓
Ⅰ区
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井戸
写真3 ▲ Ⅱ区で検出された土壙墓(北から) X-76160
頭を東に向け、仰向けで体を伸ばした姿勢です。
現代攪乱
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Ⅱ区
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古墳時代・
奈良・平安時代の
遺構全体図
土壙墓
石棺
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縮尺=1/500
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Ⅰ区
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写真4 ▲ Ⅱ区 埋納土器
写真5 ▲ Ⅱ区 埋設壺
土壙墓(写真3)は、石棺墓の西側 8.3m の位置で見つかっています。穴を掘り、頭を東に向けて仰向けに体を伸ばし
て埋葬されています。埋葬された人物の性別や年齢はまだわかっていません。
火山灰
石棺墓(写真2)は、部分的に加工した磯石の泥岩を、長さ 235cm、幅 114cm に積み上げて、その中央に、長さ
竪穴住居
162cm、幅 35cm、深さ 45cm の埋葬施設を作り、床には泥岩を砕いて敷いています。埋葬された人物は、頭を東南
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確認トレンチ
に向けて仰向けで体を伸ばした仰臥伸展葬の姿勢をしています。またこの人物は骨や歯の状況から 15 歳前後の男性で、
身長は156.2cm と計測されています。類例は、横須賀市久里浜の八幡神社遺跡で見つかっています。今回見つかった石
上層遺構・撹乱
棺墓は、神奈川県内で調査・報告された 2 例目となります。
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今回の調査で見つかった石棺や埋葬されていた人骨などは今後、専門家に依頼して詳しく鑑定を行う予定です。
奈良・平安時代では竪穴住居 12 軒、土坑(穴) 7 基が見つかっています。これらの遺構は、Ⅰ区の東半分からⅡ区
にかけて広がっています。竪穴住居には、粘土を固めたカマドが残っています。
古墳時代では、北に向かって下がる斜面から火を燃やした炉跡 1 箇所、埋設土器 2 基、散乱した土器、貝殻、軽石な
どが見つかっています。この斜面が海岸から吹き寄せた砂で 1m ほど埋まった後に、石棺墓 1 基、土壙墓 1 基、土坑な
どが見つかっています。
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せ こ う じ しゅうへん い せ き
長 谷小 路 周 辺 遺 跡 発掘現場見学会 説明資料
平成 28 年 6 月 12 日発行
編 集・発行 ( 株 ) 斉藤建設 埋蔵文化財調査部