JAXAタウンミーティング in 角田「宇宙産業による地域振興」

2016年6月12日
JAXAタウンミーティング in 角田
「宇宙産業による地域振興」
宇宙航空研究開発機構
角田宇宙センター
研究開発部門 第四研究ユニット
宇宙科学研究所
第一宇宙技術部門
主任研究開発員
博士(工学) 高田 仁志
本日の内容
・ 「日本の宇宙開発」 と
「ロケット技術と角田宇宙センター」
・ 民間活用と民間転用
・ 宇宙産業による地域振興への模索
・ 産業振興についての課題と展望
「日本の宇宙開発」と
「ロケット技術と角田宇宙センター」
日本では1955年(ペンシルロケット水平発射)から宇宙開発の歴史
が始まり、1970年に初めて日本製人工衛星(おおすみ)が誕生した。
N-1ロケットの開発スタート(1970年)より前に(1965年)、科学技術庁
・航空宇宙技術研究所(NAL)の角田支所が開所された。
昭和31
(昭和53年に宇宙開発事業団の角田ロケット開発室発足)
昭和40
日本のロケット
ペンシルロケット N-1
1955年
H-Ⅰ
N-2
1975年
1986年
1981年
静止衛星打ち上
げ能力 130kg
静止衛星打ち
上げ能力
550kg
静止衛星打ち
上げ能力
350kg
LE-5開発
NAL
角田支所誕生
(1965)
H-Ⅱ
H-ⅡB
H-ⅡA
2001年~
1994年
静止衛星打ち上
げ能力 2 t
静止衛星打ち上
げ能力 3.8 t
LE-5A開発
LE-5B開発
LE-7開発
LE-7A開発
2009年~
静止衛星打ち上
げ能力 6 t
LE-7Aの
クラスタ化
JAXA場所
角田宇宙センターにおける研究業務の特徴
多量の液体水素や液体酸素を取り扱う研究
水素/酸素を燃焼させるロケット燃焼器の研究
超音速/極低音速気流における燃焼研究
高エンタルピ極超音速流の研究
「大学で同等の研究実施は不可能」
角田宇宙センター
•
•
•
•
•
•
JR船岡駅から徒歩30分
ロケットエンジンなど各種実物展示
LE-7Aエンジンターボポンプ試験設備
LE-5Bエンジン燃焼試験設備
宇宙エンジンの研究/開発拠点
一般公開年1回・随時見学可
H‐IIロケット
LE-5Bエンジン
宇宙先進各国でも、材料から機械要素、ロケットエンジンまでの研
究を同じ施設で実施できるセンターは見当たらない。
紛れもなく、世界最高のロケットエンジン研究所の一つである。
ロケットエンジンターボポンプの研究開発
新型基幹ロケット用ター
ボポンプ要素および機
構部品の研究開発
(LE-9)
LE-7高圧液酸タ
ーボポンプ開発
LE-5液酸ターボ
ポンプ開発
高圧液酸ターボポ
ンプ技術確立
再使用観測ロケット用エン
ジンの研究開発(~2014)
極低温ターボポ
ンプ技術確立
液水ターボポンプ
要素技術確立
高圧液水ターボポ
ンプ技術確立
ロケットエンジン燃焼器の技術開発
ノズル横推力可視化試験
新型基幹ロケット用エ
ンジンの燃焼器の研
究開発
(LE-9)
ノズル横推力の研究推進
高圧2段燃焼試験
冷却構造パネル試験
エアロスパイクエンジン等の研究推進
傾斜機能材料の
基礎技術確立
液酸・ケロシン燃焼試験
電気加熱液水冷却試験
耐久性燃焼試験
液水冷却燃焼試験
炭化水素エンジン
の基礎技術確立
(メタン、RJ-1等)
LE-7ロケットエンジ
ン燃焼器技術
液酸・ケロシンロ
ケット燃焼器技術
LE-5ロケットエン
ジン燃焼器技術
エアロスパイクノ
ズル燃焼試験
メタン冷却燃焼試験
プラグノズル燃焼試験
地上燃焼試験設備建設
液水要素試験設備建設
液酸冷却燃焼試験
1970
1980
1990
年度
2000
新しい宇宙輸送機を目指して
~ラムジェットエンジン試験設備~
研究目的:スクラムジェットエンジンの研究
• 整備:平成5年度
• 最大飛行マッハ数:8
• 飛行高度:35km相当
• 推進薬:液体水素、ガス水素
• 実績:世界で初めてスクラムジェットで推力を発生
~高温衝撃風洞~
研究目的:宇宙輸送機の熱空気力学の研究
(宇宙からの帰還のための研究など)
• 整備:平成11年度
• 能力:圧力~1500気圧、温度~10000度相当
• 実績:HOPEの再突入空力試験、スクラムジェット
の高速試験(M12相当)
「民間活用と民間転用」
Ⅰ JAXAの組織の位置づけ
Ⅱ 過去と最近・・・今後の研究開発体制
Ⅲ 研究の手順
JAXAの組織の位置付け
経済産業省
防衛省
内閣府
宇宙開発
戦略本部
日本
協力関係
文部科学省
共同研究
民間企業
地元業者
応援
JAXA
ロケット
KHI
国民
発注
人工衛星
科学
メーカ
MHI
学会
共同研究
IHI
NTN
大学
独法(研究所)
実機開発
協力関係
ロケットダイン(米)
ボーイング
EKK
CNES
(フランス)
ASI
(イタリア)
DLR
(ドイツ)
NASA
(アメリカ)
海外
過去と最近・・・今後の研究開発体制
従来の研究開発体制
航空宇宙技術研究所(NAL)と宇宙科学研究所(ISAS)
宇宙開発事業団
→ NAL or ISAS
→ 大手重工(試験機やエンジン部品)
民間(供試体)←基盤技術を研究
試験(実験) → NAL or ISAS
設計
製作
設計製作
→ 大手重工
試験(実験) → 大手重工
人数と予算での脅迫?
目先の成果にとらわれて・・・
最近までのJAXAの研究開発体制
設計製作
試験(実験)
→ 大手重工
→ 大手重工
民間移転が前提
プロジェクト(開発)
価値観の違い
はやぶさ・あかつき・再使用観測ロケット等
今後のJAXAの研究開発体制
研究
→ 大手重工
エンジン部品メーカ
試験(実験) → 大手重工
設計製作
研究開発本部→ 弱体化(日本の技術力低下)
ISAS
→ 実力行使・半独立
共存共栄
設計
製作
試験(実験)
研究成果 :宇宙機器開発に発展
他分野への技術移転
新しい技術が生まれてない
国としての危機感
→ JAXA + 民間
→ 大手重工(エンジン)
民間(試験機や供試体)
→ JAXA + 民間
今後のJAXAの研究開発体制
JAXAの研究開発
プロジェクト(開発)
(民間移転が前提)
大手重工 民間 JAXA
プロジェクト(開発)
(JAXA主体、協力体制)
JAXA 大手重工 民間
研究(JAXA内)
(JAXA主体)
JAXA 民間 大学 大手重工
要素開発
要素研究
大手重工+ JAXA
大手重工+民間
JAXA単独
JAXA+民間
JAXA+大手重工
要素開発
JAXA単独
JAXA+大手重工
JAXA+民間
基盤研究
民間企業
基盤研究
JAXA単独
JAXA+大学
JAXA+民間
宇宙機以外へ適用
民間企業が所有する宇宙機以外への適用で開発された技術
研究開発の手順(一般論)
これら全てを実施できるのが研究者
注:時間・予算・内容によって、部分的
に協力していただく
研究内容の検討
研究の提案と研究費獲得
具体的な作業作成(WBS)
試験機設計
共試体設計
計測制御設計
設備設計
解析方法検討
試験機製作
共試体制作
計測制御制作
(購入含む)
(設備制作)
解析ソフト作成
試験機組立
供試体を試験機に取付
設備準備
設備に計測制御機器を取付
試験機に計測制御機器を取付
絶対に研究者実施
普通は研究者実施
可能なら研究者実施
外注する場合が多い
Feedback
試験機(供試体)を設備に組付
試験(実験)
データ整理
データ解析
宇宙開発に利用
民間機器に転用
特許
論文
製作をお願いした供試体等の例
トルク計Assy
トルク計測部
高温水素用軸受試験機
(LE-9用)
極低温高速軸受試験機
(世界初の高速振動荷重負荷機構付き)
6800
LUX-B200N-ID
20-M6
G240
20-M6
LUX-B200D-ID
G240
6902
6902
6902
6902
6205
F1B-015-BAWF
F1B-012-BAWF
3-M4
3-M4
PAT-B400S003-010_P_-K3_
GC1-12S
GC1-I
HG-JR503
G40
G35
UCM56
UTMⅡ-10Nm(20Nm仕様) UCM39
6205
UCM39
G150
2-1/2パイプ
GC1-12S
GC1-I
超高速、高性能計測器
バルブ駆動部試験機
(LE-9用)
MATL.
材 質
CUSTOMER
得意先
承
認
---
点 検
TREATMENT
処 理
設 計
製
図
CHANGED No.
AREA
DATE
No 区
域
年月日
変更番号 変更内容 CONTENT OF CHANG
WT.
name
重 量 -.-- Kg (乾燥時) 品 名
ボールネジ試験機 assy FULL
DATE
作成年月日
PART.No.
DWG. SIZE.
SCALE
品 番
尺
度 1:5 図面サイズ
CUSTOMER'S PART No.
THIRD ANGLE
得意先品番
PROJECTION
第三角法
A3
まとめ
① 1955年から日本の宇宙開発が始まり、1970年に日本
製の人工衛星が誕生した。
② 1965年に科学技術庁・航空宇宙技術研究所角田支所
を開所し、宇宙開発において多くの実績を残してきた。
③ 今まさに、次世代の宇宙開発のために、角田宇宙セン
ターでは新たな活動を始めようとしている。
④ 市民の皆様、企業の皆様の協力を必要としている。
行政(角田市)は、今後のJAXAとの産業連携について、どのように考えている?
総務部次長 兼 総務課長 中畑 様
宇宙産業による地域振興への模索
目標
・角田宇宙センターと角田市との連携による産業振興(地域活性化)
生産・製造における関係性の強化
技術開発拠点
教育の充実
角田ブランド力強化
宇宙産業による地域振興(技術的観点)
・ 実験用試験機等の製造
一品物製作
全然儲からない
作っていて楽しい
社内技術の維持向上が可能
・ 宇宙用機器の開発
少量生産(手続き大変)
手間の割に儲からない
宇宙機器を作れることの喜び?
・ 宇宙用機器で開発された技
術の利用(奨励中)
特殊環境技術の必要性を探る
水素社会での転用の可能性を探る
・ 一般産業で開発した技術の
宇宙機への転用(奨励中)
低コストで高性能化が進む産業機
器の極限環境試験を地域産業と共
に実施(宇宙機への転用を探る)
・ JAXAとの共同開発やコラボ
レーションによる、企業の活
性化(促進中)
技術的な問題点等を、JAXAの研究
者やJAXAの設備を使って解決
宇宙関連商品の開発
(共同研究)
宇宙産業による地域振興(環境的観点)
・ 技術開発拠点
現存企業との研究開発の促進
・ 教育の充実
学校での普及活動
・ ブランド力の強化
宇宙にちなんだ商品の開発
技術者同士の信頼関係の構築
→ 試験機等を提供することで、地元企業
の技術力高さを示す。
地域の産業拠点やベンチャー企業誘致
をめざす。
本物の研究者による、技術の難しさに
秘める面白の伝授
→町を離れた子供たちが、角田市を宣伝
してくれるような自慢の町作り
角田大学を設立をめざす(会津大学?)
角田の名物の創出
→ 斬新なアイデアを取り入れた、角田市
の産業を活用した、独自の商品開発。
エンジンビール(炭酸多め?)
ロケットニンジン、梅星(もじり系)
産業振興についての課題と展望
• 試験機や供試体の製作
少量生産ですが、ご協力をお願いできませんか?
• 今後の宇宙開発では、民需製品の活用が必要不可欠
現存技術の極限環境試験を一緒にやりませんか?
• 宇宙開発で培った技術のスピンオフ
我々の技術が産業機器に使えないか一緒に考えませんか?
• 宇宙教育の普及
子供に技術の楽しさを伝える事業を共に進めませんか?
(親御さんに理解して頂く事が極めて重要)
• ブランド力の強化
角田市の名を全国に轟かせませんか?
角田市独自の新商品を作ってみませんか?
地域の発展こそが、日本を支える事は間違いありません。そのためには、皆様の
御協力と行動が必要不可欠です。
角田市の未来、日本の未来、地球の未来のために、
「アイディア」、「ご意見」を頂ければ幸いです。