分散型システムの理解と設計のための理論

教員氏名:
山下 雅史 教授
履修課程: C/C
所属: 情報学部門
研究テーマ1:分散型システムの理解と設計のための理論
たとえば, 生体分子からの機能発現, 分散ロボットの相互位置制御, Cyber-
Physical System の機能分担, 選挙といった多くの問題から領域固有の問題を捨
象し, 内包する分散計算構造に注目すると, 典型的な分散問題である合意形成問
題が共通して出現する. この事実に着目し, 広範な領域に出現する巨大分散シス
テムを分散計算という観点から統一的に理解し議論するための (汎用の) 分散計
算モデルを提案し, 巨大分散システムを理解し制御するための理論を構築するこ
とを研究目的とする. 様々な話題があるので, 具体的な研究対象は相談の上で決
定する.
研究テーマ2:巨大な問題を解くためのアルゴリズムの設計と解析のための理論
たとえば, VLSICAD やデータマイニングのような巨大な問題を解くためのア
ルゴリズムを設計するための方法論を検討し, 具体的に目的に沿ったアルゴリズ
ムを設計することを研究目的とする. このような目的のために, 確率的手法と近
似アルゴリズムが検討されている. 本テーマでは, 与えられた問題を O(n) あるい
はそれ以下の計算量で解くための手法を研究する. 研究テーマ1と同様, 本テー
マでも様々な話題があるので, 具体的な研究対象は相談の上で決定する.
研究テーマ3:分散型ゲーム理論の構築
分散型システムの最大の特徴はシステムを構成する要素がシステムの大域的
情報を獲得することが困難である点である. たとえば, インターネットでは, 所
属する計算機台数すら誰にも分らない. 従来のゲーム理論では, 多くの場合には,
各プレーヤーはゲームの状況を正確に把握できると仮定されてきた. 本テーマで
は, 現実の分散型システムで生じる状況を考慮したゲーム理論の構築を目指す.
コメント:
最近の就職状況を見ても分ると思いますが, 本当に求められているのは, 誰でも
ちょっと勉強すればすぐにできるようになることができる人ではなく, 深い情報数理的知識に裏付けられた正確な理解に基く判断ができる人です. このような学
生を育てることを目指して私達は研究指導に当っており, 毎年, 学生が(ほとんど
が学部4年生や修士1年生)学会から表彰を受けています. 2012,2013 年度は 3
件, 2007,2008,2009 年度は 2 件, 2010,2011,2014 年度は 1 件の表彰を受けました.
私達の研究に対する外部の評価は Google Scholar (http://scholar.google.co.jp/
で, たとえば, Masafumi Yamashita を調べる) でご確認下さい. 論文が海外で引
用されている回数を確認できます. なお, 研究活動は来嶋秀治准教授, 山内由紀
子助教と一緒に行います.
キーワード:
分散型システム, アルゴリズム理論, 確率的システム, 離散最適化, ゲーム理論
1