otsu2919_thesisreview

別紙1
論 文 審 査 の 要 旨
報告番号
乙 第 2919
論文審査担当者
号
氏 名
主査
小林
洋一
教授
副査
大塚
成人
教授
副査
九島
巳樹
教授
野呂瀬
準
(論文審査の要旨)
欧米での検討では 80 歳以上の約 25%に 老人性全身性アミロイドーシス( senile systemic
amyloidosis; SSA) を認めるとの報告 があり、本邦での検討はいまだ少ないのが現状であ
る。
2006 年から 2012 年までに剖検を施行した 80 歳以上の日本人高齢者 102 症例、平均年齢
89.0 歳±6.1、男性 36 例、女性 66 例を対象に検討を行った。
結果として 16.7%(102 症例中 17 症例;男性 7 例、女性 10 例、平均年齢 90.9 歳)に心
臓での TTR 染色陽性アミロイド沈着が確認された。発生頻度は、欧米の報告では約 25%、
本研究では 16.7%とやや低い傾向がみられた。
SSA grade 3 の症例は、いずれも 95 歳以上であり、SSA grade 3 の 5 症例中 4 症例、SSA
grade 2 の 5 症例中 2 症例が心不全症状を呈しており、SSA grade 3 の 4 症例に不整脈(心
房細動や脚ブロック)を認めた。
左室駆出率(Ejection fraction; EF)は測定可能であった 15 例中 40%以下の心収縮能
低下を認めた症例は 2 例(13.3%)のみであった。 左室拡張能指標(A/E)は、測定不能で
あった症例を除き、13 例すべてで 1 以上であり、 拡張能障害の存在を示していた。今回
の検討により、SSA の存在が拡張不全の病態の原因の1つである可能性も考えられた。
本論文が新しい知見を得ており、学術上価値のあるものと考えられる。
論文題名:高齢者の心臓における ATTR アミロイドーシスの臨床病理学的検討
掲載雑誌名:心臓
第 48 巻第 1 号
(主査が記載、500 字以内)
2016 年掲載予定