インサービス検査事業本部 防火設備が新たに定期

■ インサービス検査事業本部
防火設備が新たに定期報告制度の対象に
平成28年1月15日付で交付された建築基準法の改正に伴い、定期報告制度も改正され、平成28年6月1日より
施行されました。今回は、新たに加わる防火設備点検についてご説明します。
平成25年10月に福岡市内の診療所で発生した火災事故では、火災時に自動閉鎖するはずの防火扉が正常に
作動しなかったため、死者10名を含む多数の犠牲者が発生する惨事となりました。今回の改正では再発防止策
として、防火設備点検に関する規定が強化されました。
改正前の定期報告制度における問題として、
• 建築基準法で防火設備の設置基準、維持管理が定められているが、専門的な検査基準と資格者の規定が
無い
• 建築基準法における定期報告制度の指定対象は、特定行政庁に委ねられている
の2点が挙げられます。
今回の改正では、新たな検査基準の導入と、国の検査対象の見直しにより、防火設備が正常に作動するかを点
検し、今後事故を防いでいくことになりました。従来、特殊建築物定期調査の一環として行われていた防火設備
点検ですが、今後は独立した形で約1年間隔での報告が求められます。
改正のポイント
(1) 定期報告制度の対象に、防火設備点検が加わりました
(2) 防火設備点検委託先は、専門技術を有する資格者に限定されます
委託対象となる資格者は、一級建築士、二級建築士、新設された防火設備検査員です。
(3) 防火設備点検対象となる建築物
国が法令により一律で定め、それ以外の建築物については地方自治体(特定行政庁)が地域の実績に応じて指
定します。
出典:国土交通省ウェブサイト「定期報告制度の見直し案(PDF)」より抜粋
(4) 専門的な検査内容
防火設備点検は、消防法が定める消防設備点検と、目的・対象が異なります。
防火設備点検では、火災時の防火区画形成、延焼拡大防止、避難安全確保という視点より、各設備の安全性、
耐久性の維持、経済性などの経年劣化対策や管理不備などが無いかを確認します。防火区画を形成する上で
の基本的性能については、遮炎性能・遮煙性能・遮熱性能・避難性能などが求められます。
防火設備点検は、万が一の時に人命を守るために定められました。消防設備点検を行っているから大丈夫では
なく、防火設備点検と消防設備点検の両方を必ず行う必要があります。また定期報告の時期が各自治体によっ
て違うと予想されるため、今後確認が必要です。
参考文献:国土交通省主催「防火設備検査員に関する講習」(平成27年度)使用テキスト
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インサービス検査事業本部 丸瀬篤史
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