2015 年 4 月 へ けんさの豆知識 [47] 臨床検査部 発行 (一般検査室) ~ 検査値の信頼の源 内外精度管理 当検査室での試み ~ 臨床検査結果は医師が患者さんの疾患の診断・治療方針・治療効果などを予測するために重要なものです。 重要なだけにその臨床検査結果には、信頼性が必要となってきます。 今回の豆知識は「信頼性の高い臨床検査結果」を導き出すために当検査室が行っていることは何か?ということを お話しします。 「信頼性の高い臨床検査結果」を導き出すとは、「正確度」と「精密度」を保てるように測定機器や検査試薬を管理し ていくということです。 では、 「正確度」とは何か? 「精密度」とは何か? 「正確度」とは測定値が真の値にどれほど近いかをあらわし、 「精密度」とは同一試料を同じときに繰り返し測定しても日を違えて測定しても同じ値を出すかという再現性をあら わしています。 「信頼性の高い臨床検査結果」を保つための「正確度」と「精密度」の管理を精度管理と言います。 精度管理は、大きく2つに分けられます。 「内部精度管理」自施設内での取り組み⇒精密性の向上のため 精度管理 「外部精度管理」自施設と他施設の測定値を比較⇒正確性の向上のため 【内部精度管理】 自施設内で行う、精度管理です。 これは同一の管理検体を測定したときの測定値がいつも一定であるかどうかで、測定系の「精密度」が良好に保た れているかを判断します。 当検査室にある機械は、機械ごとの濃度の異なる複数の管理検体を 1 日に複数回測定し、良好な状態であるのを 確認してから検体を測定しています。 【外部部精度管理】 同一の管理検体を複数施設で測定し、その測定結果を比較します。参加全施設の平均値が真値に代わるもの と考えられる事から「正確性」を判断します。 当検査室で参加している外部精度管理 1) 日本医師会が行っている臨床検査精度管理調査(3220 施設参加) 調査項目は臨床化学検査・免疫血清検査・感染症検査・尿検査・血液検査・血液凝固検査で、49 項目あ ります。当検査室は 47 項目 123 テストを自施設で測定しています。 評価方法は検査項目によって 2 濃度から 3 濃度を測定し、真値(=測定値が参加全施設の平均値)と一 番差がないものをA評価 5 点(施設測定値が1SDI以内に入っている)、B評価 4 点(施設測定値が 2SDI以内に入っている)、C評価 2 点(施設測定値が3SDI以内に入っている) 、D評価 0 点(施 設測定値が3SDIを超えている)とします。 当検査室は 2012 年・2013 年・2014 年とも全項目A評価を受ける事が出来ました。 2012年 2013年 2014年 自施設の評価点数/参加項目満点数 595/595 615/615 615/615 総合評点(100点修正) 100点 100点 100点 2) 日本臨床衛生検査技師会が行っている日臨技臨床検査精度管理調査(参加施設が 3,800 施設を超え、 わが国において最大規模の外部精度管理調査) 調査項目は臨床化学検査・免疫血清検査・微生物検査・尿検査・血液検査・生理検査・輸血検査・病理 検査です。 日臨技の評価方法はA~D評価(絶対評価)とSDI評価(相対評価)の2本立てで行われています。 A~D評価(絶対評価)は評価C・Dを取るような極端に外れた測定値を報告する施設への警告のため、 SDI評価(相対評価)は自施設と他施設を比較しています。 下の表ではA~D評価(絶対評価)の点数ですがほとんどA評価という事は、もちろんSDI評価(相 対評価)も問題ないという事です。 2012年 2013年 2014年 自施設の評価点数/ 参加項目満点数 190/190 187/189 220/221 総合評点(100点満点) 100点 98.9点 99.5点 3) 日本総合健診学会が行っている臨床検査精度管理調査(384 施設参加) 年 4 回実施され 2012 年から 2014 年、すべて評価「良好」により優良総合健診施設認定を受けています。 東芝病院総合健診センターの検査結果も当検査室で結果を出しています。 4) 東京都臨床検査技師会が行っている都臨技精度管理調査(221 施設参加) 調査項目は臨床化学検査・血液検査です。 この精度管理調査は日臨技と同じ評価方法です。 2012年 2013年 2014年 自施設の評価点数/参加項目満点数 60/60 61/62 58/58 総合評点(100点満点) 100点 98.4点 100点 5)各種試薬メーカーが行っている精度管理調査 ① アークレイ(ヘモグロビンA1cは 1549 施設・尿は 1174 施設) ② WAKO(便潜血は 131 施設) ① ・②の精度管理調査とも 2012 年から 2014 年、すべて評価「良好」 正確度の精度管理は、内部精度管理である精密度(再現性)が十分に確立されてから実施するべきものと言 われています。 当検査室は内部精度管理をしっかり行ったうえで、外部精度管理に参加し他施設と比較することで正確性を 追求しています。 それゆえ、日々の機械のメンテナンスや機械の特性を知る努力などを怠らず、惜しまず、頑張っています。 当検査室が「信頼性の高い臨床検査結果」を導き出すための取り組みは、まだまだ続きます!
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