お知らせ 乳用牛群検定農家における優良乳用牛の導入を支援します 我が国の酪農は、高齢化等による酪農家戸数や飼養頭数の減少等により、生産基盤の弱体化が進んでいる現況 です。さらに、近年まれに見る初妊牛等の高騰が、この現況に追い打ちをかけている様相を呈しています。 そこで、当団では、平成28年度より新しい事業として「乳用牛能力向上事業(優良乳用牛導入支援対策) 」に より、ふたつの支援を行うこととなりました。ひとつ目は、都府県の牛群検定農家が一定の要件を満たす優良乳 用牛を導入する場合に支援を行うというものです。ふたつ目は、全国の牛群検定農家に飼養管理の改善指導を行 い、乳用牛を健康に保ち、供用年数の長期化を図ります。具体的には、全国の牛群検定組合における、牛群検定 データを用いた飼養管理の改善指導を強化する取組を支援するものです。 なお、詳細について、要領を当団HP(URL:http://liaj.lin.gr.jp/japanese/kentei/kentei_info.html)に掲載し てありますので、ご参照ください。また、本事業は、独立行政法人農畜産業振興機構の補助により行うものです。 1 優良乳用牛の導入 概略を図 1 に示しました。まず、都府県の牛群検定 (1)対象となる優良乳用牛と補助金額 以下の要件を満たす優良乳用牛に対して、 4 万円を 補助します。 農家への支援となりますので、ご注意ください。この 事業は、高能力な優良乳用牛を生産者集団等が導入し ●購買する本牛の要件は、家畜改良事業団の発行する 牛群検定農家に貸付を行うものです。補助は生産者集 「牛群改良情報」等における遺伝評価値である総合 団等が行う優良乳用牛の購買費用に対して一定の金額 指数(NTP)または産乳成分のパーセント順位(注 が補助されます。 1 )において上位33%以内となることです。初妊牛 等の未経産牛においては、PA(注 2 )またはゲノ 図1 28 ミック評価(注 3 )が上位33%に相当すれば、事業 図2 対象となります。要件確認に用いる遺伝評価値に履 歴記録がある場合は、一定期間内に最低でもひとつ の記録が要件を満たす必要があります。また、本牛 が要件を満たす場合は、血統登録を取得している牛 であれば、その母牛が同様の要件を満たせば事業対 象となります。 (2)その他の要件と補助金額 前述の要件を満たした優良乳用牛が、更に次の要件 を満たす場合は、1 万円を追加して 5 万円を補助します。 ●購買する本牛が、家畜改良事業団の発行する牛群改 良情報等において、ゲノミック評価をもつこと、ま たは、泌乳持続性評価値で100より高い値をもつこ (注 1 )パーセント順位 と。なお、泌乳持続性評価値はPAであっても構い 全体頭数を100%としたときに、該当牛が上位から ません。遺伝評価値の履歴記録については、前述と 数えて区分されるパーセントのこと。例えば、 1 万頭 同様です。 の牛がいる場合、 1 %順位とは「上位から数えて100 頭以内に入るエリート牛」という意味。 (3)生産者集団等 優良乳用牛を検定農家に貸付する組織です。具体的 (注 2 )PA(ペアレントアベレージ) には、農業協同組合、農業協同組合連合会などになり 初妊牛等の未経産牛は、未だ自身の泌乳記録が無い ます。また、生産者が独自に 3 戸以上集まって、組織を ため育種価を計算出来ません。そのため、父牛と母牛 立ち上げることもできます。この場合は、本事業が定め の育種価を平均したものを遺伝評価値として用いま る規約を整備することが必要になります。注意点とし す。 「牛群改良情報 (参考情報) 」に掲載されています。 て、本事業は、次項にあげる指導事業とセットになって いますので、牛群検定組合との連携が必須となります。 (注 3 )ゲノミック評価 毛根のDNAを調べるSNP検査により求められる遺 (4)優良乳用牛の購買 優良乳用牛を購買するのは前述の生産者集団等で 伝評価値です。 「牛群改良情報(ゲノミック評価) 」に 掲載されています。 す。購買方法としては、家畜市場、相対取引等でも補 助対象となります。購入する事前に、 「補助対象牛かど うか」を知りたい場合のために、現在、当団で図 2 の ようなシステムを準備中です。これは、スマートフォ 2 適切な飼養管理指導 (1)概略 ンやタブレットを用いて、耳標10ケタの個体識別番号 この事業は、前述の優良乳用牛の導入の支援とセッ を入力すれば、補助対象かどうか判断できるシステム トになっているので、前述の導入支援を受けた場合 です。また、購入先は全国どこからでもかまいません。 は、必ずこの飼養管理指導も行わなければなりません。 ただし、前述の導入支援に事業参加しない場合であ (5)貸付 生産者集団等は優良乳用牛を賃貸借契約により、検 っても、単独で飼養管理指導への参加も可能です。補 助対象は北海道を含めた全国となります。 定農家に貸付します。貸付期間中途での盗難、死亡等 の取り扱いは別途に定めてあります。 貸付期間:初妊牛は、最低36カ月以上 経産牛は、60カ月から対象牛の月齢を引いた期間以 上(最低12カ月以上) 29 − LIAJ News No.158 − (2)内容 図 3 に示した取組となります。牛群検定データをよ り積極的に活用できる「飼養管理チェックシート」の 見本を準備しますので、このシートを基に地域の課題 図3 に則した農家指導をしてください。シートの見本は、 昨年度に配布した「乳用牛ベストパフォーマンス実現 マニュアル」に準じたもので、その中から最小限のチ ェックができるようになっています。例えば、 「乳房 炎予防のために、ミルカーを定期点検してますか?」 「分娩後の発情回帰を見逃していませんか?」とい ったものです。地域の課題を折り込み、より現場に則 した形で農家指導を行ってください。詳細について は、準備が整い次第お知らせします。 (情報分析センター 相原 光夫) 牛群検定を体験してみませんか?検定試行を募集しています。 当団では、これから牛群検定を開始する農家のために「乳用牛改良対策事業(通称、お試し 事業)を行っています。これは、牛群検定に要する費用(検定員経費、指導費等)を、当団よ り全額補助し、6 カ月間、牛群検定を無料体験出来るというものです。また、 乳量計(ミルクメー ター)のレンタルもあわせて行っています。 今回、紹介した優良乳用牛の導入の補助支援も、牛群検定に参加していることが要件です。 お試し事業で、これから牛群検定に参加頂ければ、導入支援を受けることができます。これを 機会に、是非とも牛群検定への加入をご検討ください。詳細は、当団 HP をご参照ください。 30
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