資料3 財政融資資金等の実地監査について 平成 28 年 6 月 10 日 財 務 省 理 財 局 1 法人等実地監査 ―1― 法人等実地監査の概要及び実施状況 ○ 法人等実地監査は、財務省理財局において、公的資金たる財政投融資(財政融資、 産業投資、政府保証)の供給者として、財投機関に対して、①財投対象事業にふさわし い政策的意義、②財務の健全性・償還確実性・適正なポートフォリオマネージメント、 ③資金の適正な執行、等の実態を実地に確認し、必要に応じて改善を求めるもの。 ○ 平成26事務年度からは「財政投融資を巡る課題と今後の在り方について」の提言を 踏まえ、内部統制やリスクコントロールに焦点を当てた監査及び官民ファンド等の産投 機関に対して、ガバナンス機能の実態確認に重点を置いた監査等を実施。 【 実施状況 】 平成27事務年度(平成27年7月~平成28年6月)は、以下の4機関に対して実施。 平成27事務年度 (参考)平成26事務年度 ・(株)農林漁業成長産業化支援機構 ・(株)海外需要開拓支援機構 ・(独)日本学生支援機構 ・(独)奄美群島振興開発基金 ・国立研究開発法人 国立成育医療研究センター ・国立研究開発法人 国立循環器病研究センター ・国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター ・国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター ・国立研究開発法人 森林総合研究所 ※平成27事務年度の第4・四半期(平成28年4月~6月)については、熊本地震の発生を踏まえ、 監査の実施を見合わせた。 ―2― 各機関の監査結果の概要① 株式会社海外需要開拓支援機構 (初回監査) ・ 官民ファンドの運営に係るガイドラインに沿って、内部統制の状況等を監査。 検証項目 改善・検討等を求めた事項 投資決定プロセス ・ 投資案件に係る投資先との基本合意等の締結に際しては、内部規程において海外需要開 拓委員会の事前承認がすべて必要とされているが、案件の内容により、同委員会の承認を 得ずに締結した案件が認められた。適正な投資決定プロセスを確保する観点から、所要の 措置を講じた上で、投資規程と運用の一致を図ること。 委 員 会 の 事 務 局 ・ 海外需要開拓委員会等の議事録は、機構法等により作成等が義務付けられているが、作 運営 成等が一部行われていなかったため、投資決定過程等の透明性を確保する観点から、同委 員会等の事務局運営を適切に行うこと。 業務の適正な執行 ・ 内部規程において、全ての規程等を網羅した「規程集」を作成し、社内公開するとしている が、業務運営上の重要な規程等の一部が編綴されておらず、役職員が容易に閲覧できない 実態が認められた。規程等の制定、管理及び周知態勢について改善を図り、適正な業務運 営を確保すること。 利益相反チェック ・ 投資案件担当者の利益相反チェックの実施時期については、外部からの批判を受けるリス クを可能な限り排除するよう早期化を図ること。 資金調達 ・ 投資原資として政府保証借入を行う予定としていることから、具体的な調達方法等について 早期に検討を行うこと。 ―3― 各機関の監査結果の概要② 独立行政法人奄美群島振興開発基金(平成22事務年度に続き2回目の監査) ・ 中期計画達成に向けた取組状況や、リスク管理等について内部統制の状況等を 監査。 検証項目 保証・融資の審査 改善・検討等を求めた事項 ・ 保証・融資の審査において、債務超過先に対する融資案件を含む大半の案件で、償還確 実性の判断の根拠を明確にした資料は存在せず、また、審査委員会等の議事録は、大半 が単なる許諾等の結果の記載に留まっている状況であった。審査の厳格化及び債権管理 の徹底強化を図る観点から、委員会での意思決定に至る過程等を合理的に跡付け、又は 検証することができるよう改善すること。 経営・再生支援 ・ 再生支援先等に対して、経営改善計画の妥当性に係る検証及びフォローアップが適切に 実施されていない実態が認められたため、内部規程に基づき適切に実施すること。 債権管理 ・ 債務者からの財務諸表の徴求が、全債務者の24%程度に留まっているため、早急に徴求 基準の見直しを行うとともに、債務者の経営状況把握に努め、債権管理の徹底強化を図る こと。 保 証 業 務 に 係 る ・ 保証業務において「有担保割引」を導入しているが、担保余力が無い案件に対しても、「有 有担保割引 担保割引」を適用した不適切な実態が認められたため、「有担保割引」の適用方法について 早急に改善すること。 ―4― 各機関の監査結果の概要③ 国立研究開発法人国立循環器病研究センター (初回監査) 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター (初回監査) ・ これまでに実施した国立高度専門医療研究センターに対する監査において確認さ れた医業未収金の指摘事項や、財務状況等について組織の対応状況等を監査。 検証項目 改善・検討等を求めた事項 医業未収金の 【共通】 管理・回収 ・ 医業未収金(患者負担分)に係る債権の償却処理について、内部規程に基づいた回収 手続きを行うことなく償却処理を行っている事例が認められたため、内部規程に基づき適 正に実施すること。 財務管理 【循環器センター】 ・ センター移転後の現センター跡地の売却収入は、今後の財政融資資金の償還財源に 充てられることから、売却に向けた具体的な計画を策定するとともに、売却できなかった 場合等のリスクを想定した将来収支見込み等を検討すること。 ・ 中長期計画で作成している収支計画では、センター移転の際の影響が見込まれていな いため、この影響を反映させても、中長期計画が確実に達成できるよう、適切な収支計 画を作成すること。 【精神・神経センター】 ・ 多額の繰越欠損金を抱えており、その解消には長期間を要すると認識しているものの、 将来収支見通しを作成していないことから、将来収支見通しを作成するとともに、収支改 善計画の作成など所要の改善を行うこと。 ―5― (参考)法人等実地監査における監査フロー図 ―6― 2 地方公共団体に対する実地監査 ―7― 地方公共団体に対する実地監査の概要及び結果① ○ 全国の財務局・財務事務所等の資金実地監査官等が、財政融資資金の貸付先である地方公共 団体を定期的に監査し、資金の使用状況及び事業の成果、公営企業の経営状況等の実態を実地 で確認し、必要に応じて改善を求めているところ。 ○ 平成26年度から監査手法を見直し、損益実績だけでなく、キャッシュフローと債務残高(債務償還 能力)を分析・評価し、中長期的視点からの財務分析やアドバイス機能を充実することとした。 平成27年度 地方公共団体に対する実地監査の結果について ①実施状況(平成27年4月~平成28年3月) ―8― 地方公共団体に対する実地監査の概要及び結果② ②監査実施企業の経営状況等 図1 【料金回収率等】 図2-① 【下水道事業の「汚水処理原価」と「使用料単価」】 (企業数の割合) 上水道事業 <60企業> (料金回収率) 106 企業 (35.6%) <298企業> (経費回収率) B市 86 企業 (28.9%) 71 企業 (23.8%) 35 企業 (11.7%) C町 病院事業 22 企業 (30.1%) 49 企業 (67.1%) 2 企業 (2.7%) 60%未満 図3 14企業 (23.3%) A市 下水道事業 <73企業> (医業収支比率) 30 企業 (50.0%) 6 企業 10 企業 (10.0%) (16.7%) 60%以上80%未満 80%以上100%未満 100%以上 図2-② 【病院事業の「病床利用率」と「医業収支比率」】 【下水道事業の「水洗化率」と「経費回収率」】 A市 B市 C町 ―9― 地方公共団体に対する実地監査の概要及び結果③ ③ 監査実施企業における経営上の課題等(問題意識の共有化) ・ 財政投融資分科会からの提言を受け、平成26年度より、中長期的な債務償還能力の状況、 経営上の課題や将来的なリスクについて「留意すべき事項」として、監査先全てに通知。 ・ 平成27年度実地監査において、通知した経営上の主な課題等は以下のとおり。 課題 上・下水道事業 ① 収入に関する課題 ャッ 償 還 キ 病院事業 料金設定が類似企業平均と比べ低い若しくはコスト ① 医師・看護師等の人員確保 に見合わない【上水道・下水道】 ② 人口密集度の低い地域を整備していることで費用に ② 入院及び外来患者数の確保 ⇒医療圏における役割の明確化 見合う収入が困難【下水道】 (医療需給のミスマッチ) ③ 水洗化率の低迷【下水道】 ⇒地域医療機関との連携強化 ュ シ 確 保 企 業 債 残 高 ① 山間部等地勢的要因によりコスト高 【上水道・下水道】 ② 包括的外部委託や施設の統廃合等による経費削減 【上水道・下水道】 ① 後発医薬品採用拡大による医療材料費の圧縮の取り 組みなど 費用に関する課題 ① 今後の大規模な建設事業(施設更新事業含む)の実施により企業債残高が増加【3事業共通】 設備投資に関する課 ② 今後の整備にあたり施設の統廃合の必要性【上水道・下水道】 題 収支計画の策定 ③ 今後の人口密度の低い地域への整備に対する処理方法の検討(公共下水道or合併浄化槽)【下水道】 今後の需要見通しや施設の更新、修繕計画等を反映した収支計画の策定が必要【3事業共通】 ―10― 平成26年度に改善報告を求めた企業に対する フォローアップ(モニタリング)の実施 ○ 平成26年度において実施した監査の見直しの一つとして、監査先から改善策の報 告を求めるのみではなく、 当該改善策についての定期的なフォローアップ(モニタリン グ)を実施(注)することとしたところ。 ○ 平成27年度は、昨年度(平成26年度)に改善報告を求めた6企業(すべて下水道事 業)に対して、その実施状況を確認。水洗化率の向上など、いずれの企業も概ね計画 どおり進捗しており、引き続き、フォローアップすることと した。 (注)受理した改善策の実施状況の確認を次回監査までの間、年に1度実施。 決算書等を基にモニタリングを実施し、改善策の着実な実行を促すとともに、次回監査時期の参考と している。 ―11― 貸付資金の使用状況等(不適切な借入) ○ 貸付対象外事業費の混入など、以下のような不適切事案を確認し、是正措置を 行った。 (事例1) 対象外事業費である備品類の混入による貸付超過 ○ 緊急防災・減災事業について、貸付対象外事業費である備品類が混入(複数) していたた め、貸付限度額を超過していた事例。 貸付限度額の超過分については、繰上償還とした。 ※ 貸付の対象となる備品は、原則として一品あたりの取得価格が20万円以上であって、かつ 耐用年数が5年以上のもの。(地方債同意等基準運用要綱) (事例2) 控除財源(交付金)の過小計上による貸付超過 ○ 全国防災事業について、貸付時に申告のあった事業費の財源である交付金が過小に計上 されており、 これにより貸付限度額を超過していた事例。 貸付限度額の超過分については、繰上償還とした。 ―12― 3 参考資料 ―13― 平成26事務年度の法人等実地監査結果のフォローアップ① 株式会社農林漁業成長産業化支援機構 指摘事項 【案件受付から支援決定に至る手続き】 ・ サブファンドに対する支援決定の審査に係る内部規程において、 ・ 案件組成力等の個別審査項目について、合否等の評価基準が 定められていないため、具体的かつ実効性のある評価基準を 定めること。 また、長期間にわたり案件組成実績のないサブファンドに対し ては、支援決定の審査が適切であったかの検証を行い、その結 果を具体的かつ実効性のある評価基準の策定に反映させると ともに、案件組成に向けたサブファンドに対するフォローアップを 実施するなど、機構の政策目的が適切に達成されるよう所要の 改善を行うこと。 ・ 直接支援の審査手続きについて、内部規程で「間接支援の審 ・ 査に準じる」とするのみであり、直接支援の審査に必要な具体 的な手続・基準を定めていない。このため、官民ファンドの運営 に係るガイドライン等の趣旨に沿った規程等の整備を行うこと。 対応状況 長期間にわたり案件組成実績のないサブファンドについては、 支援決定時に係る審査の適切性を投融資検討会において検証 し、その結果を踏まえた具体的かつ実効性のある評価基準を定 めた。 また、案件組成実績の少ないサブファンド等については、機構 職員の直接訪問、支援候補先への同行など、案件組成が進捗 するよう積極的にサポートを行った。 直接支援の審査手続きについては、投融資業務規程に審査基 準、ハンズオン・モニタリングの方針等を盛り込んだ改正等を 行った。 【モニタリング態勢やモニタリング方法】 ・ サブファンドに対するモニタリングは、サブファンドのGPとの意 ・ サブファンドのモニタリングを定期的に行い、その結果を投融資 見交換等により行っているとしているが、内部規程がなく組織と 検討会に報告を行う旨、投融資業務規程を改正した。 して定期的にモニタリングが実施されていない。このため、具体 的かつ実効的な規程を整備した上で、サブファンドの財務状況 等について、組織として定期的にモニタリングを実施すること。 ・ 機構も参加するサブファンドの経営支援委員会は、原則月次開 ・ 経営支援委員会については、開催頻度を各サブファンドの状況 催にもかかわらず、極めて少ない開催実績のサブファンドが複 に応じて機動的に開催するように見直した。 数見受けられる実態を踏まえ、重要な意思決定時において有効 に機能等するよう見直しを行うこと。 ・ サブファンドが支援する6次産業化事業体に対するモニタリング ・ 6次産業化事業体に対するモニタリングについては、「業況判定 については、平成27年2月に策定された内部基準等を的確に運 基準」等を的確に運用し、定期的に投融資検討会等に報告等を 用していくことが重要である。また、将来案件が増加した場合に 行っており、引き続き、モニタリング手法の効率化、業況判定方 は、より効率的なモニタリング方法について検討を行うこと。 法の精度の向上に努める。 ―14― 平成26事務年度の法人等実地監査結果のフォローアップ② (株)農林漁業成長産業化支援機構 (前頁からつづく) 指摘事項 対応状況 【ポートフォリオ管理】 ・ 現状では、6次産業化事業体への出資実績は少ないが、今後、 ・ ポートフォリオ管理については、管理方法等の検討を行い、投融 出資件数が増加していく中で、ポートフォリオの規模に応じた管 資検討会での議論を経て、成長産業化委員会に報告を行った。 理・運営を行うこと。 今後も機構の規模・特性に応じた管理方法を検討しつつ、定期的 に報告を行う。 【情報管理】 ・ 情報管理について、内部規程に沿った運用がなされていない ・ 情報管理については、従来の規程を見直し、新たに「情報セキュ ため、適正な情報管理態勢を構築すること。 リティ規程」「個人情報管理規程」を制定した。また、本規程に基 づき、各役職員に対して、情報セキュリティに関するeラーニング を実施した。 独立行政法人日本学生支援機構 指摘事項 対応状況 【奨学金貸与業務】 ・ 奨学金貸与において、「返還誓約書」が一部未提出となってい ・ 返還誓約書の提出がない奨学生が在籍する全学校に対して、 るため、今後、新規の奨学生については、全ての奨学生に対し 機構より「返還誓約書未提出者に対する振込保留の徹底につい て同誓約書を徴求するとともに、現時点において同誓約書が未 て(依頼)」を発出し、学校による奨学生への振込保留の実施の 提出の奨学生に対しても、速やかに提出するよう督促等を行うこ 徹底と返還誓約書の提出の督促、問題解消に向けた指導を依 と。併せて、新規の奨学生から確実に徴求する新たな仕組みを 頼した。 検討すること。 ・ 「返還誓約書未提出者調書」に提出できない理由等を記載でき るように様式を変更し、理由等の集計・分析を行い、この結果等 を踏まえ、文部科学省と機構が連携して、新規契約者に対する 更なる返還誓約書徴求策を検討することとした。 ・ 理事長を委員長とする「奨学金事業に係るマニュアル検証等委 員会」を設置、開催し、奨学金関係の全てのマニュアルについて 検証し、必要に応じてマニュアルの見直しを行うこととした。 ―15― 平成26事務年度の法人等実地監査結果のフォローアップ③ (独)日本学生支援機構 (前頁からつづく) 指摘事項 対応状況 【リスク管理】 ・ 機構は、独法改革等に関する基本方針等を踏まえ、平成26年 ・ 奨学金事業に伴う種々のリスクを機構全体のリスクとして統 度末までにリスク管理態勢等の見直しに係る検討を行っている 合・管理する態勢を整備するため、理事長を委員長とする「リス が、延滞リスク等の奨学金事業に伴う種々のリスクを機構全体 ク管理委員会」を設置し、リスク管理規程の整備、リスク管理の として統合・管理する態勢の構築等について、同検討を行う際 実施計画策定、実施状況の報告を行うなど、PDCAサイクルの に留意すること。 構築を実施した。 【延滞防止策の取り組み】 ・ 政策目的等に則した事業の適正な執行等を確保する観点から、 ・ 更なる延滞防止策として、 今後も、延滞債権の回収促進策と並行し、①奨学金事業の理 ①奨学金事業の理解度向上のため、機構において採用時説 解度向上、②奨学生に対する貸与の適切性確保、③減額返還 明会用マニュアル及び返還説明会用マニュアルを改訂し、 制度の弾力化、といった延滞防止策の更なる充実の検討を行う また、業務実施時期にあわせて学校担当者向け研修会を こと。 実施した。 ②貸与の適切性確保について、文部科学省と協議・検討し、 第二種奨学金の貸与回数に制限を設ける等の見直しを行っ た。 ③減額返還制度の弾力化については、機構と文部科学省に て検討を行うこととしている。なお、機構において減額返還 制度と返還期限猶予制度の違いを分かりやすく説明した返 還DVDを制作し、各学校へ配布する等の周知を行った。 ―16― 平成26事務年度の法人等実地監査結果のフォローアップ④ 国立研究開発法人国立成育医療研究センター ・ 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 指摘事項 対応状況 【医業未収金の徴収及び管理】 (成育センター)医業未収金のうち診療報酬分について、請求 (成育センター)理事長を委員長とし、全課長級以上が参加して、セン 期限を過ぎても請求していない診療報酬債権を、確実に請 ターの決定内容の周知等を行う情報連絡会において、「レセプト 求・回収するとともに、発生防止に努めること。また、債権 点検の適切な実施」及び「未請求等の発生防止について」を全て 償却の処理において、内部規程に沿った業務運営を行うこ の医師に周知した。 と。 (長寿センター)医業未収金のうち患者負担分の回収業務や債 (長寿センター)理事長及び監事が出席する運営会議において、診療 権償却の処理において、内部規程に沿った業務運営を行う 費追加発生時の迅速な対応や柔軟な支払方法など、効率的な こと。患者への一部請求漏れによる医業未収金について、 回収方法を盛り込んだ全面改定のマニュアルを承認した。また、 発生防止に努めること。 少額医療費の患者への請求漏れが生ずることのないよう事務フ ローを精査し、見直しを行った。 貸倒処理に関しては、電話等での督促により債権回収の見込 みを厳格に精査した。 【財務管理】 (成育センター)平成25年度決算の経常損失の発生を契機とし (成育センター)繰越欠損金の早期解消を図るとともに、経常収支 て、収支改善等の取り組みを行ったとしているが、①平成 100%以上を達成するために、月次決算ごとに詳細に収入、費用 25年度決算の経常損失を契機とした収支改善のための取 を確認、分析することとし、資金繰りも含めて試算をすることとし り組みが不十分、②平成26年度中の収支悪化の要因分 た。 析が不十分、③中長期計画(第2期)における収支目標に また、収入確保、費用削減に絞って検討を進め、理事長を中心 ついて未達の懸念、④円滑な資金繰りの確保、といった問 に部長級が参加する経営改善ワーキンググループに「経費削減 題点等が認められるため、この問題点等を改善し、抜本的 の概要」等を報告した。 な財務体質の見直しを速やかに実施すること。 円滑な資金繰りの確保のために資金管理要領を改定し、適切 に短期借入の時期を判断することができる体制を整備した。 (長寿センター)将来の収支見通しについて、診療収入が下振 (長寿センター)理事会や運営会議に将来収支の見通しを報告させる れする等のリスクを踏まえた将来収支の試算を定期的に ようにし、組織として今後の見通しを把握できるようにした。 行い、将来の収支悪化を組織として認識できるようにする また、今後において大きな収支変動(患者数、診療点数の増減、 こと。 多額の費用発生)が生じる場合は、適時報告するとともに大きな 変化に対応できるよう運営会議等で確認を行うこととした。 ―17― 平成26事務年度の法人等実地監査結果のフォローアップ⑤ 国立研究開発法人森林総合研究所 指摘事項 対応状況 【水源林造成事業】 ・ 分収造林契約の契約相手方である土地所有者の所在確認が 一部の契約において十分に行われておらず、契約変更や契約 履行の上で障害となっている。既契約の契約変更の結果とし て最長160年の超長期の契約を締結する中、将来にわたって 適切な契約管理を行うことができるよう管理態勢の強化を行う こと。 ・ 土地所有者の所在確認については、整備局において実施す るとともに、定期確認を行う頻度等について契約管理マニュア ルを改正し、整備局の一元管理の下、当該マニュアルに沿った 業務運営を適切に実施することとした。 【前回の監査指摘のフォローアップ】 ・ 長伐期化等への契約変更を行えないまま契約期日が到来し ・ 契約期間満了契約地の契約変更未了状態の解決を図るため、 た契約について、地方事務所において、前回監査で指摘した 本部において実態把握や具体的な対応策を示すなど、これま 契約変更未了の解消が十分でないことや、土地所有者に未接 で以上に本部と整備局等の連携・情報共有を進め、本部の役 触のまま長期にわたって放置している事案があり、本部主導で、 割強化を図ることとした。 契約変更の未了状態の解決を図ること。 【リスク管理】 ・ 超長期の契約を推進する中、財務の健全性を確保するため、 木材価格の変動等のリスクについて組織的に把握し、継続的 に管理を行うよう所要の改善を行うこと。 ・ 水源林造成事業リスク管理委員会において、木材価格や金利 等について複数の前提条件を置いて試算した将来収支の結果 を審議し、借入金が確実に償還されることを確認した。さらに、 同委員会から今後の試算方法等に関する提言があった。 また、同委員会の意見については、理事長及び森林整備セン ター所長に報告し、組織的に把握することにより、適切なリスク 管理に努めている。 ―18―
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