緩やかな利上げを示唆「ベージュブック」

2016年6月3日
(No.1,835)
〈マーケットレポートNo.4,834〉
緩やかな利上げを示唆「ベージュブック」(米国)
「ベージュブック」は、米国の12地区の連邦準備銀行(地区連銀)が管轄地域の経済状況をまとめた「地区
連銀経済報告」のことです。表紙のベージュ色が名前の由来であり、経済情勢についての総合判断、主要産
業の動向や雇用・物価動向などがまとめられています。「ベージュブック」は、年に8回開催される連邦公開市場
委員会(FOMC)の2週間前の水曜日に公表され、金融政策の判断材料として用いられます。
経済活動は「緩やかなペース」で拡大
前回報告とほぼ同じ評価
■6月1日に公表された最新の「ベージュブック」は、「経済活動は穏やかなペースで拡大を続けている」と総括し
ました。4月13日に発表された前回報告とほぼ同じ評価です。今回の評価を地区別に見ると、ニューヨーク
(NY)地区がほぼ横ばいだったほかは、残り11地区とも程度の差こそあれ拡大を維持しました。
個人消費、住宅投資は拡大の基調を維持
労働需給は熟練工、非熟練工ともに逼迫
■個人消費については、NYなど北東部の地区で、春
先の肌寒い気候の影響から季節物商品が伸び悩ん
だほかは、総じて緩やかな増加となりました。
■建設・不動産は、商業用、住宅とも、ほとんどの地区
で拡大しました。住宅では、特にボストン、サンフラン
シスコなどの地区での販売増が目立ちました。
景気の拡大
+
物価の安定
=
緩やかな利上げ
■他方、製造業は、アトランタやリッチモンド地区で拡
大した反面、NYやフィラデルフィア地区で落ち込むな
ど、地域や業種によって、まちまちな評価でした。
■労働市場については、需給逼迫、緩やかな賃金上
昇が報告されました。高度な知識・技術を有する人
材のみならず、非熟練工の不足も指摘されています。
金融資産に有利な「物価安定の下での景気拡大」という環境が継続
■米国経済は持ち直しへ
■利上げは緩やかなペースとなる見込み
2016年1-3月期の米国経済は低成長に止まりまし
たが、「ベージュブック」などから判断すると、4-6月期は
上向いたと見られます。6月14日、15日開催FOMC
で利上げが実施される可能性は高いと考えられます。
米国は利上げ局面に入っていますが、物価の安定を
踏まえると、そのペースは緩慢なものとなる見込みです。
株式をはじめとする金融資産にとって良好な環境が、
しばらく続くと予想されます。
2016年5月31日 米国の金融政策(2016年5月)
2016年5月25日 最近の指標から見る米国経済(2016年5月)
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