グローバル化は、「するもの (目的) 」か「なるもの (結果) 」か ある大学で、 「グローバルプロフェッショナル」を 育てるプログラムの報告会を聞く機会を得た。報告内 容は学生らしく、好印象を受けた。発表を終えた学生 の一言がとても刺激的であったので、今回は、それに まつわる話題を提供したい。 その一言とは、 「グローバルプロフェッショナルを、 目的としてではなく結果と位置づけて、皆の意見をま とめて取り組んできました」というものである。 グローバル化、グローバル人材の育成など、いず れの企業も「グローバル」という言葉に振り回されて いるかのように、その取組みに力を注いでいる。当然 のことながら、必要性があるからだ。 一方、ボーングローバルと据えて起業するベン チャー企業は、 「グローバル化にどう対応するか?」 という基本的課題を考えることもなく、まず現地へ出 向き、市場を実感し、ローカルを理解して、現地に根 づこうとしていく。かつて日本が高度成長期にあり、 海外進出のために片道切符で企業戦士が送り込まれ たことを彷彿とさせる。そうした企業は、そもそもが グローバルなのだから、グローバル化を目的とする考 えはない。それぞれ進出した国で、いかにローカルと して根づき、そこでいかに事業を行っていくかを考え ているだけだ。 「する」 「なる」 という言葉で捉え直して考えるならば、 「グローバル化する」と言っているがため、 「グローバ ル化しない」のではないだろうか。むしろ「グローバ ルになる」と言い、ローカル化に挑戦しつづけ、自社 内で検証したらローカル化が積層化していて、その積 層化した結果が、グローバルになっている、というこ とではないだろうか。 「する」という目的として考えるか、 「なる」という 結果として考えるか。その視点の置き方の違いは、グ ローバル化の課題にかかわらず重要である。学生の一 言からおおいなる刺激をもらった。 ブンヒン (編集室 文斌) JMA マネジメント 2016.6 7
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