TMI 中国最新法令情報 ―(2016 年 5 月号)

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TMI 中国最新法令情報
―(2016 年 5 月号)―
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皆様には、日頃より弊事務所へのご厚情を賜り誠にありがとうございます。
お客様の中国ビジネスのご参考までに、「TMI 中国最新法令情報」をお届けします。記事
の内容やテーマについてご要望やご質問がございましたら、ご遠慮なく弊事務所へご連絡下
さい。バックナンバーについては、弊事務所のウェブサイトに掲載させていただきますので、
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目次
一.中国最新法令
1. 中央法規
(1) 国家工商行政管理総局による工商行政管理法令の廃止及び一部改正に関する決定
2. 司法解釈
(1) 最高人民法院が公布する 2015 年度の中国法院による 10 大知的財産権案件及び 50 件の
典型的な知的財産権案件
二.連載 中国企業法実務/第九弾:刑事法
(第 8 回 治安管理処罰法 )
三.中国法務の現場より
1. 「IPHONE」商標に係るアップルと中国企業との紛争
2. 日本人駐在員の過労死について考える
1
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一.中国最新法令(2016 年 4 月中旬~2016 年 5 月中旬公布分)
1.中央法規
(1) 国家工商行政管理総局による工商行政管理法令の廃止及び一部改正に関する決定 1
国家工商行政管理総局令第 86 号 2016 年 4 月 29 日公布 2016 年 4 月 29 日施行
① 背景
行政管理の簡便化、権限委譲及びサービスの一層改善という改革精神を徹底し、市場
活力を呼び起こし、安全な成長、改革の促進、構造調整及び国民生活の改善という政策
の実施を徹底するために、国家工商行政管理総局は、工商行政管理法令の整理として、
10 件の法令を廃止し、4 件の法令の一部の条文を改正した2。
② 主な内容
ア 廃止された法令について
廃止された 10 件の法令のうち、広告管理条例施行細則 3、煙草広告管理暫定弁法4、
広告経営資格検査弁法 5、印刷品広告管理弁法 6及び室外広告登記管理規定 7は、いずれ
も広告と関連する法令である。これらの法令を廃止する主な原因は、2015 年 9 月 21
日に改正法が施行された広告法(以下「広告法」という。) 8等の上位法との抵触、又
は許認可若しくは登記制度の取り消しに伴うものといえる。
(a) 広告管理条例施行細則、広告経営資格検査弁法
広告管理条例施行細則及び広告経営資格検査弁法は、広告法及び広告管理条例 9に
基づいて制定された法令であり、広告経営企業資格の審査認可、広告の発布をする
にあたっての条件及び手続等に関する内容を定めていた。しかし、国務院による一
連の決定 10が公布され、また、広告法の改正により、広告経営に必要な条件、すな
わち、専門技術者及び制作設備を有し、また、会社登記又は広告経営登記が必要と
の条件 11が削除され、これに伴って、広告経営企業資格の審査認可及び広告の発布
条件等の内容は廃止又は改正された。
これにより、広告管理条例施行細則及び広告経営資格検査弁法は、広告法と抵触
することとなったため、廃止されることになった。これらの法令が廃止されること
により、広告経営資格審査が廃止されるなど、広告業の参入条件を緩和されたため、
広告事業の発展が促進されうるという点において、重要な意味をもっているといえ
る。
1
《国家工商行政管理总局关于废止和修改部分工商行政管理规章的决定》
国家工商行政管理総局による工商行政管理法令の廃止及び一部改正に関する決定別紙 1、別紙 2
3
《广告管理条例施行细则》
4
《烟草广告管理暂行办法》
5
《广告经营资格检查办法》
6
《印刷品广告管理办法》
7
《户外广告登记管理规定》
8
《中华人民共和国广告法》
9
《广告管理条例》
10
具体的には、「国務院による第一回の行政審査認可項目の取消しに関する決定」(国务院关于取消第一
批行政审批项目的决定、国发[2002]第 24 号)及び「国務院による第四回の行政審査認可項目の取消し及び
調整に関する決定」(国务院关于第四批取消和调整行政审批项目的决定、国发[2007]第 33 号)
11
改正前の広告法第 26 条第 1 項
2
2
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(b) 煙草広告管理暫定弁法
煙草広告管理暫定弁法では、煙草の広告を掲載するメディア及びその場所的範囲
が規制されていたが、省レベル以上の広告監督管理機関等の認可を経た場合には、
規制されたメディア、場所以外で広告を掲載することが許されていた。また、これ
らの規制に違反した場合の罰則については、広告費用の没収及び 1 倍以上 5 倍以下
の過料にとどまっていた。
これに対して、広告法では、煙草広告の公衆場所における発布及び大衆メディア
による煙草広告の発布を全面的に禁止され、かつ過料の金額範囲が明確に定められ
たことから 12、煙草広告管理暫定弁法は、広告法の内容と抵触することとなったた
め、廃止されることになった。
(c) 室外広告登記管理規定、印刷品広告管理弁法
室外広告登記管理規定及び印刷品広告管理弁法については、
「国務院による第二回
の 152 項の中央により指定され、地方政府が実施する行政審査認可事項の取消しに
関する決定」 13により、各市又は県の工商行政管理部門が審査認可権限を有する室
外広告登記、及び省レベルの工商行政管理部門が審査認可権限を有する固定様式の
印刷品広告登記は、いずれも行政審査認可事項とされなくなった。
これにより、上記規定等は、かかる決定と抵触することになったため、廃止され
ることになった。
(d) 工商行政管理暫定規定
工商行政管理暫定規定 14については、一部の内容が市場経済の発展需要に沿わな
くなっており、また、商標法、消費者権益保護法、広告法等の法令の改正に伴い、
これらの法令と抵触することとなったため、廃止されることになった。
また、廃止された他の法令は、マドリード商標国際登録実施弁法 15、商標代理管
理弁法16、仲介人管理弁法 17及び景勝地の個人事業者に関する監督管理弁法 18である。
イ 改正された法令について
(a) 企業法人登記管理条例施行細則 19
「外商投資企業の審査認可及び登記の管理における法律適用に関する若干問題の
執行意見」 20によって、外商投資企業の事務所(弁事処)に係る登記制度は廃止さ
れ 21、既に登記がされている事務所については、変更登記又は延期登記は受理され
ないとの扱いとなり、また、期限が満了した事務所については、抹消登記を行なう
か、必要に応じて分公司を設立しなければならないものとされた。
このような外商投資会社の事務所に係る登記制度の変更に伴い、企業法人登記管
理条例施行細則に残存していた、外商投資企業の事務所に係る登記に関する内容は、
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
広告法第 22 条第 1 項、第 57 条(過料の範囲は 20 万元以上 100 万元以下)
《国务院关于第二批取消 152 项中央制定地方实施行政审批事项的决定》
《工商行政管理暂行规定》
《马德里商标国际注册实施办法》
《商标代理管理办法》
《经纪人管理办法》
《旅游景区个体工商户监督管理办法》
《企业法人登记管理条例施行细则》
《关于外商投资的公司审批登记管理法律适用若干问题的执行意见》(工商外企字[2006]第 81 号)
外商投資企業の審査認可及び登記の管理における法律適用に関する若干問題の執行意見第 25 条
3
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全部削除された。
(b) 外国(地域)企業の中国国内で生産経営活動の展開に関する登記管理弁法 22
「外国(地域)企業の中国国内で生産経営活動の展開に関する登記管理弁法」
(以
下「登記管理弁法」という。)が改正される以前、中国で一定の生産経営活動を展開
する外国企業は、国家工商行政管理総局又はそれにより授権された地方の工商行政
管理局にて登記を申請する必要があった。しかし、改正後の登記管理弁法では、当
該登記権限は、国家工商行政管理総局から省レベルの工商行政管理局に全て委譲さ
れた23。
また、登記管理弁法における「石油及びその他鉱産物資源の開発で商務部門の認
可、海洋石油プロジェクトの請負で中国海洋石油総会社の同意書、陸上石油プロジ
ェクトの請負で中国石油天然ガス総会社又はそれにより授権される会社の同意書、
外国銀行による支店の設立で中国人民銀行の認可、不動産、土木工事の建設並びに
装飾、線路、パイプ及び設備の取り付け工事の請負で建設部が発行する外国企業請
負工事資質証、外商投資企業の経営管理の請負又は受託で外商投資企業の契約及び
定款並びに審査認可期限の認可をそれぞれ提出しなければならない。その他生産経
営活動を展開する場合、当該生産経営活動の所属業界に従って、相応する主管部門
の認可を提出しなければならない」という内容 24は、全て削除された。
これによって、外国企業が中国で生産経営活動を展開する際、各業界の主管部門
の認可等を提出する義務がなくなり、手続が簡便化された。
なお、2014 年 10 月 1 日に企業情報公示暫定条例 25が施行されたことに伴い、企業
は、毎年の 1 月 1 日から 6 月 30 日まで、企業信用情報公示システムを通じて工商行
政管理部門に、前年度の年度報告を提出し、社会に公示する義務が付けられること
となったが26、登記管理弁法もこれと同旨の内容に改正された 27。
(c) 外商投資企業授権登記管理弁法 28
計画単列都市、副省級都市工商行政管理局及び地方級都市の工商行政管理局の総
称を「地級工商行政管理局」から「省級以下の工商行政管理局」に修正すること等
登記機関に関する改正のほか、出資検査制度及び年度検査制度が廃止されたため、
関連する内容が削除された。
(d) 工商行政管理機関による持分質権設定登記弁法 29
改正前の同法で定められていた「外商投資の会社の持分に質権を設定する場合、
当該会社の設立を認可した審査認可機関による認可を経てから質権設定登記を行う」
との規定30は削除された。
22
23
24
25
26
27
28
29
30
《外国(地区)企业在中国境内从事生产经营活动登记管理办法》
登記管理弁法第 2 条
改正前登記管理弁法第 5 条第 2 項
《企业信息公示暂行条例》
企業情報公示暫定条例第 8 条第 1 項
登記管理弁法第 14 条
《外商投资企业授权登记管理办法》
《工商行政管理机关股权出质登记办法》
工商行政管理機関による持分質権設定登記弁法第 5 条
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2.司法解釈
(1) 最高人民法院が公布する 2015 年度の中国法院による 10 大知的財産権案件及び 50 件の
典型的な知的財産権案件 31
最高人民法院 2016 年 4 月 21 日公布
① 背景
最高人民法院は、16 回目の世界知的財産権の日の 5 日前である 2016 年 4 月 21 日に、
杭州での記者会見で、去年全国の人民法院が受理した各種類の知的財産権の一審案件が
130,200 件で、2014 年より 11.73%増加したことを発表し、同時に、中国法院による 10
大知的財産権案件及び 50 件の典型的な知的財産権案件を発表した。
10 大知的財産権案件には、8 件の民事案件、1 件の行政案件及び 1 件の刑事案件が含
まれており、50 件の典型的な知的財産権案件には、6 件の特許権侵害案件、18 件の商標
権侵害又は商標権契約の紛争案件、10 件の著作権侵害又は著作権帰属紛争案件、10 件の
不正競争、独占、集積回路配置設計、植物新品種と関係する案件、4 件の特許及び商標
の行政案件並びに 2 件の刑事案件が含まれている。
以下、本稿では 10 大知的財産権案件の中から 3 件の事例を選んでご紹介する。
② 典型的な案件の紹介
ア ホンダ自動車の意匠権侵害及び損害賠償の不成立を確認した事案
(a) 事案の概要
本田技研工業株式会社(以下「本田社」という。)は、石家荘双環汽車股份有限公
司(以下「双環社」という。)が本田社の自動車意匠権を侵害することを理由に、2003
年から双環社に警告書を発行し、かつ人民法院に意匠権侵害訴訟を提起した。
他方、双環社は、2003 年に国家知的財産権局特許復審委員会(以下「特許復審委
員会」という。)に対して、本田社の自動車意匠権が日本国意匠権公報 JP1004783
の意匠と類似するため、既存の意匠と比べて顕著な区別を有するという意匠権付与
の要件32を満たさないことを理由として、無効宣告決定の請求をした 33。特許復審委
員会による自動車意匠権の無効宣告決定(以下「無効宣告決定」という。)34は、一
審及び二審の行政訴訟を経て維持された。
そこで、双環社は 2003 年に石家荘市中級人民法院に対し、生産販売された自動車
が本田社の意匠権を侵害していないことの確認を求めて提訴した(以下「本件確認
請求訴訟」という。)。本件確認請求訴訟において、双環社は、本田社から繰り返し
警告書を出されたことによって、自動車の販売が影響を受け、また、製品の意匠及
び鋳型の改造をせざるを得なくなったことによって損失を被ったなどとして、2008
年に本田社に対して約 2579 万人民元の損害賠償請求を追加した。
本田社は、無効宣告決定を維持する行政訴訟の判決を不服として、最高人民法院
に提訴したところ、2010 年、最高人民法院は無効宣告決定を取消す判断をした。こ
れを受け、本田社は、河北省高級人民法院に対し、意匠権侵害に基づく損害賠償を
求めて提訴した(以下「本件損害賠償請求訴訟」という。)。
最高人民法院は、河北省高級人民法院を第一審の裁判所として、本件確認請求訴
31
32
33
34
《2015 年中国法院十大知识产权案件》、《2015 年中国法院 50 件典型知识产权案件》
特許法(《中华人民共和国专利权》)第 23 条
特許法第 45 条
特許法第 46 条
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訟と本件損害賠償請求訴訟を併合審理するとの判断をし、これを受けて河北省高級
人民法院が案件を受理したところ、双環社は、本田社が警告書を発行して世論を作
ったことにより経営権及び名誉権が損害されたとして、2013 年 1 月に損害賠償請求
金額を 36574 万人民元に増額変更した。
河南省高級人民法院は、双環社による自動車の生産販売が本田社の意匠権を侵害
しないこと、また、2003 年に本件確認請求訴訟が受理されたにもかかわらず、本田
社が双環社の全国代理店に対して警告書を発行し、また、マスコミや関連政府機関
への報告は、いずれも合理的な権利保護範囲を乖離し、悪意がある行為であり、双
環社の生産経営及び名誉権に損害を与えたものとして、本田社の双環社に対する、
5000 万人民元の損害賠償責任を認めた。
これに対し、本田社及び双環社の双法が判決を不服として、最高人民法院に提訴
したが、結論として最高人民法院は、意匠権の侵害を認めず、本田社の双環社に対
する 1600 万人民元の損害賠償責任を認めた 35。
(b) 事案の分析
本件は、管轄権異議、意匠権侵害関連訴訟、特許権確認訴訟等の複数の紛争が絡
み合った事案であったため、12 年間かけて漸く最終的な判断が下されるに至り、結
論としては、権利侵害不成立の確認及び本田社の双環社に対する損害賠償責任が確
認された。
また、権利者による権利維持行為の正当性は、警告された相手方による対象行為
が権利侵害行為に該当するか否かではなく、権利者の権利維持手段として妥当なも
のであるか否か、そして、これが公平な競争秩序を破壊し、競合他社に対して不当
な影響を与えるかどうかによって決められる。
本件判決は、相手方に対して警告書を発行することの適法性、公平競争との関係
及び市場取引者の商業リスク、並びに知的財産権侵害行為に対する警告行為が正当
な権利維持行為又は不正競争行為であるかという点、及び損害賠償責任の有無につ
いて詳細に理由を述べており、知的財産権利者による権利侵害行為への警告に関す
る先例として同種事案での参考となり、重要な意味を持っているといえる。
イ 電子商取引業者が特許権侵害行為の連帯責任を負う案件
(a) 事案の概要
威海嘉易烤生活家電有限公司(以下「嘉易烤社」という。)は、赤外線加熱調理装
置の発明特許(以下「本件特許」という。)の特許権者である。本件特許は、2014
年 11 月 5 日に国家知的財産権局から嘉易烤社に付与されている。
嘉易烤社は、永康市金仕徳工貿有限公司(以下「金仕徳社」という。)がタオバオ
の天猫オンラインショップで販売した焼き炉が本件特許を侵害しており、当該オン
ラインショップを運営する浙江天猫網絡有限公司(以下「天猫社」という。)が特許
権侵害のクレームを受けたにもかかわらず有効な措置を取らないため、金仕徳社と
共同により権利侵害したものであり、その責任を負担すべきとの主張をした。
35
最高人民法院では、出店の遅延及び生産停止による損害は、損害賠償の対象とすべきではないこと、ま
た、本田社が政府機関に対して報告をすることも妥当なものであり、損害発生の根拠事由とならないため、
双環社が販売できなかった自動車の数量、利益、評価報告書、本田社による警告書の発行行為の情状及び
その影響範囲を総合的に考慮し、不正競争防止法第 20 条に基づき、損害額を 1600 万人民元に減らすことが
妥当との判断がされ、最終的な損害賠償額が減額された。
6
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浙江省金華市中級人民法院(以下「金華法院」という。)は、金仕徳社の製品が嘉
易烤社の特許権を侵害するものと判断し、金仕徳社に対し、権利侵害製品の販売停
止及び嘉易烤社への 15 万人民元の損害賠償責任を認める判断をした。更に、金華法
院は、嘉易烤社が提供したクレームに係る資料が天猫社の要求に合ったものである
にもかかわらず、天猫社が合理的な対応をせず、損害拡大を防止するために必要な
措置を取らなかったことを理由として、天猫社に対し、損害拡大の部分(5 万人民
元)に関して、金仕徳社と連帯責任を負うべきとの判断をした。
天猫社は、第一審の判決を不服として、浙江省高級人民法院に提訴したが、浙江
省高級人民法院は、第一審の判決結果を維持した。
(b) 事案の分析
本件は、電子商取引業者の責任に関する事案である。第二審判決では、不法行為
法に定める「必要な措置」の具体的な内容について、天猫オンラインショップにお
ける権利侵害内容の削除及び遮断、並びに天猫オンラインショップとのリンクの切
断を講じることの他、権利侵害の性質、権利侵害の具体的な状況及び技術手段など
を総合して判断すべきであると述べられている。本件では、天猫社が、嘉易烤社か
ら提供されたクレームに係る資料すら金仕徳社に転送していなかったこともあり、
必要な措置を取らなかったものと判断されたと考えられる。
ウ 調味料登録商標冒用案件
(a) 事案の概要
被告人の張氏は、2012 年以降、被告人の王氏から、「南街村」との商標が印刷さ
れている調味料包装袋を 10,000 枚、「蓮花」との商標が印刷されている調味料包装
袋を 25,000 枚、それぞれ購入した。張氏は、被告人の鄒氏と事前に購入した普通の
ブランドの調味料を包装し、
「太太楽」、
「蓮花」の商標を冒用して販売し、自分で製
造した調味料を「南街村」の商標で販売した。販売金額は、115,565 人民元である。
2013 年 8 月 14 日に、湖北省襄陽市老河口市公安局は、張氏及び鄒氏の住居及び
賃借した倉庫を捜査し、大量の模造品の生産設備、原材料、包装及び商標標識を発
見した。
湖北省襄陽市中級人民法院は、張氏及び鄒氏の行為が登録商標冒用罪に、王氏の
行為が偽造商標標識販売罪にそれぞれ該当すると判断し、張氏は、懲役 2 年及び
60,000 元の罰金に、鄒氏は、懲役 1 年及び 50,000 元の罰金に、王氏は、懲役 1 年及
び 10,000 元の罰金に処された。
(b) 事案の分析
本件は、民事、行政及び刑事案件を統一で審理する裁判所に審理された 36。本件
においては、登録商標冒用罪及び偽造商標標識販売罪の成否について明確な線引き
がなされ 37、また、登録商標冒用罪の主犯に対する協力行為が共犯又は独立の犯罪
を構成するかについても明確に判断されたと解されている 38。
(苗 暁艶・中国法顧問)
36
本件は刑事事件ながら、知的財産権に係る民事、行政、刑事事件を 1 つの法廷にて審理する、いわゆる
“三合一”に係る事案である。
37
すなわち、張氏及び鄒氏の行為は、商標を冒用した上で販売をするため登録商標冒用行為に、王氏の行
為は偽造商標標識を販売したのみであるため、偽造商標標識販売行為に該当するとの判断がされた。
38
http://finance.sina.com.cn/sf/news/2016-04-22/133628133.html
7
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二.連載 中国企業法実務
第九弾:刑事法(第 8 回/全 8 回)
第1回
2015 年 10 月号
中国刑法の特徴
第2回
2015 年 11 月号
刑法総則
第3回
2015 年 12 月号
刑法各論 1
第4回
2016 年 1 月号
刑法各論 2
第5回
2016 年 2 月号
刑法各論 3
第6回
2016 年 3 月号
刑法各論 4
第7回
2016 年 4 月号
刑事訴訟法
第8回
2016 年 5 月号
治安管理処罰法
第8回
治安管理処罰法
1.背景
本連載の第 8 回となる今月号では治安管理処罰法 39について紹介する。
治安管理処罰法は、社会治安秩序を守るために、刑法では犯罪として処罰されるに至ら
ない治安管理に違反する行為(以下「治安管理違反行為」といい、治安管理違反行為に違
反した者を「治安管理違反行為者」という。)40について、公安機関により治安管理処罰を
行うために制定された法律であり、2005 年 8 月 28 日に公布、2006 年 3 月 1 日に施行され
た後、2012 年 10 月 26 日に改正が行われている。
治安管理処罰法は、1987 年 1 月 1 日に施行された治安管理処罰条例 41の個別の内容を改
定したものであるが、この治安管理処罰条例は、施行されて以降、社会治安秩序と国民の
合法的な権利・利益を守り、公共安全の維持及び犯罪の予防と減尐に重要な役割を果たし
てきた。しかし、社会経済の発展により、社会治安管理面で新たな状況と問題が発生し、
これに伴う実務上の需要に対応するため、同条例の内容を改定することが必要となった。
この様な背景のもと、2005 年 8 月 28 日に開催された第 10 期全国人民代表大会常務委員
会第 17 回会議において治安管理処罰法が可決された42。
治安管理処罰法は、治安管理処罰条例と比べて条文数が 45 条から 119 条に増加しており、
また、(a)過料の金額の増額、(b)行政拘留処罰に対する自由裁量の縮小、(c)処罰手続の整
備及び(d)公安機関と警察の法律執行行為の規範化による、当該行為に対する監督の強化、
といった内容となっている。
今回は、治安管理処罰法における処罰の種類、治安管理違反行為とそれに対する処罰、
処罰手続43及び法律執行に対する監督の概要について条文に沿って簡単に紹介する。
39
40
41
42
43
《中华人民共和国治安管理处罚法》
治安管理処罰法第 23 条ないし第 76 条にて、治安管理違反行為が個別に規定されている。
《中华人民共和国治安管理处罚条例》
治安管理処罰条例は治安管理処罰法の施行と同時に廃止となっている。
治安管理違反行為に対する処罰は刑事罰ではなく、行政罰であり、処罰手続も刑事訴訟手続ではなく行
8
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2.処罰の種類と適用
(1) 種類
治安管理処罰法に定める処罰の種類としては、警告、過料、行政拘留、公安機関発行
の許可証の取消の 4 つがあり44、その他、外国人に対する「期限を定めた出国命令又は
国外退去処分」は、治安管理処罰条例では定められていなかったが、治安管理処罰法に
て定められたものである 45。
また、行政拘留処罰の決定を受けた者が保証金を納付し、行政拘留の猶予を受けた後、
行政拘留処罰の執行を逃避した場合、保証金は没収され、国庫に上納されるとされてい
る 46。一部の専門家の間では、この「保証金の没収」も治安管理処罰法の処罰の一種で
あるとの見方が存在する 47。
(2) 適用
治安管理処罰法では、未成年者、精神障害者、盲者、聾啞者及び酩酊者に対する減軽
と不処罰について以下のとおり定められている。
対象者
内容
未成年者
14 歳以上 18 歳未満の者が治安管理に違反した場合、軽きに従い処
罰し、又は処罰を減軽する。14 歳未満の者が治安管理に違反した場
合は処罰しないが、その後見人に対して厳しい監督・教育を行うよ
う命じるものとする 48。
精神障害者
精神障害者が自己の行為を判断できず、又は抑制できないときに、
治安管理に違反した場合は処罰しないが、その後見人に対して、当
該精神障碍者を厳しく監督し又は治療を受けさせるよう命じなけれ
ばならない。間欠性の精神障害者が精神の正常な状態のときに治安
管理に違反した場合は、処罰する49。
盲者、聾啞者
盲者又は聾啞者が治安管理に違反した場合は、軽きに従い処罰し、
処罰を減軽し、又は処罰しないことができる 50。
酩酊者
酩酊者が治安管理に違反した場合は、処罰する。
酩酊者が酩酊状態にあり、本人にとって危険があり、又は他人の身
体、財産もしくは公共の安全を脅かす場合は、酩酊状態から醒める
まで当該酩酊者に対して保護措置を講じ、拘束するものとする 51。
政手続である。
44
治安管理処罰法第 10 条第 1 項
45
治安管理処罰法第 10 条第 2 項
46
治安管理処罰法第 110 条
47
治安管理処罰法については、処罰の種類の設定が厳密ではないとの批判もある。
48
治安管理処罰法第 12 条
49
治安管理処罰法第 13 条
50
治安管理処罰法第 14 条
51
治安管理処罰法第 15 条
9
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治安管理違反行為に対する処罰の減軽及び加重事由52は以下のとおりである。
種類
処罰減軽事由
内容
53
(a) 事案が特に軽微な場合
(b) 違法の結果を自発的に除去し、又は軽減し、かつ被害者の許
しを得た場合
(c) 他人から強迫され、又は勧誘された場合
(d) 自発的に自首し、公安機関に対して自己の違法行為を事実ど
おり陳述した場合
(e) 手柄となる行為があった場合
処罰加重事由54
(a) 結果の程度が比較的深刻な場合
(b) 他人を教唆し、脅迫し、又は勧誘して治安管理に違反させた
場合
(c) 届出人、告訴人、通報者又は証人に報復した場合
(d) 6 か月以内に治安管理処罰を受けたことがある場合
なお、治安管理違反行為者が、(a)14 歳以上 16 歳未満の場合、(b)16 歳以上 18 歳未
満で、初めての治安管理に違反した場合、(c)70 歳以上の場合、又は(d)妊娠中又は自身
の 1 歳未満の嬰児に授乳中の場合のいずれかに該当する場合は、治安管理処罰法により
行政拘留の処罰に相当する場合でも、行政拘留処罰は執行されない 55。
また、治安管理行為違反があってから 6 か月以内に公安機関により当該違反が発見さ
れない場合には、処罰されない 56。
3.治安管理違反行為とそれに対する処罰
治安管理処罰法上、治安管理違反行為として、(a)公共の秩序を撹乱する行為、(b)公共
の安全を妨害する行為、(c)身体の権利及び財産権を侵害する行為並びに(d)社会管理を妨
害する行為に分けて定められており、同法に定める治安管理違反行為は、治安管理処罰条
例から大幅に増えて約 110 種類となっている 57。本稿では、紙幅の都合上、これらの治安
管理違反行為のうち、中国での企業活動に密接な関係があると思われるものを選び、それ
に対する処罰規定を紹介する。
(1) 公共の秩序を撹乱する行為と処罰
52
53
54
55
56
57
58
内容
処罰
機関、団体、企業、事業組織の秩序を乱し、業務、
生産、営業、医療、教育、科学研究を正常に行う
ことができない状態に至らしめたが、重大な損失
をもたらすには至らなかった場合58
警告を与え、又は 200 元以下の
過料に処する。情状が比較的重
い場合、5 日以上 10 日以下の拘
留に処し、500 元以下の過料を
刑が加重される場合には、重きに従って処罰されることとなる(治安管理処罰法第 20 条)。
治安管理処罰法第 19 条
治安管理処罰法第 20 条
治安管理処罰法第 21 条
治安管理処罰法第 22 条
治安管理処罰条例では、73 種類(12 大類)の違法行為が規定されていた。
治安管理処罰法第 23 条第 1 号
10
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併科することができる。
(a) 集団で殴り合いをした場合
(b) 他人を追跡、妨害した場合
(c) 公私の財物を強引に奪い、又は任意に毀損、
占有した場合
(d) その他挑発してもめごとを起こした場合 59
5 日以上 10 日以下の拘留に処
し、500 元以下の過料を併科す
ることもできる。情状が比較的
重い場合、10 日以上 15 日以下
の拘留に処し、1000 元以下の
過料を併科することができる。
5 日以下の拘留に処する。情状
が比較的重い場合は、1 日以上
テムに侵入し、損害をもたらした場合
(b) 国の規定に違反し、コンピュータの情報システム 15 日以下の拘留に処する。
(a) 国の規定に違反し、コンピュータの情報シス
の機能を削除し、変更し、追加し、又は妨害し、
コンピュータの情報システムが正常に稼働でき
なくなった場合
(c) 国の規定に違反し、コンピュータの情報シス
テムにおいて保存し、処理し、又は伝送するデ
ータとアプリケーションソフトを削除し、変更
し、又は追加した場合
(d) 故意にコンピュータウイルス等の破壊的なプ
ログラムを作成し、又は伝送し、コンピュータ
の情報システムの正常な稼動に影響を与えた場
合60
(2) 公共の安全を妨害する行為と処罰
59
60
61
62
内容
処罰
車両又は歩行者が通行する場所で工事を行う場合
に、溝、井戸、窪み及び穴に覆いをかぶせず、防
護用の囲いや注意を喚起するための標識を設けな
い場合、又は蓋となる物品、防護用の囲い若しく
は注意を喚起するための標識を故意に毀損し、若
しくは移動させた場合 61
5 日以下の拘留又は 500 元以下
の過料に処する。情状が重い場
合は、5 日以上 10 日以下の拘留
に処し、500 元以下の過料を併
科することもできる。
旅館、ホテル、映画館、娯楽場、競技場、展覧館
その他の社会の公衆活動に供する場所の運営管理
者が、安全規定に違反したことにより、当該場所で
安全にかかわる事故の生じる危険が生じた場合62
公安機関が是正を命じても、是
正しない場合は、5 日以下の拘
留に処する。
治安管理処罰法第 26 条
治安管理処罰法第 29 条
治安管理処罰法第 37 条第 2 号
治安管理処罰法第 39 条
11
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(3) 身体の権利及び財産権を侵害する行為と処罰
内容
処罰
(a) 暴力、脅迫その他の手段で他人に労働を強要
した場合
(b) 違法に他人の身体の自由を拘束し、違法に他
人の住居に侵入し、又は違法に他人の身体を検
査した場合63
10 日以上 15 日以下の拘留に処
し、500 元以上 1000 元以下の過
料を併科する。情状が比較的軽
い場合は、5 日以上 10 日以下
の拘留に処し、200 元以上 500
元以下の過料を併科する。
(a) 脅迫状を書く又はその他の方法により他人の
人身の安全を脅かした場合
5 日以下の拘留又は 500 元以下
の過料に処する。情状が比較的
に重い場合、5 日以上 10 日以下
の拘留に処し、500 元以下の過
料を併科することができる。
(b) 公然と他人を侮辱し、又は事実を捏造して他
人を誹謗した場合
(c) 事実を捏造し、他人に虚偽の事実を伝えて罪に
陥れ、他人が刑事責任を追及され、又は治安管
理処罰を受けるよう謀った場合64
他人を殴打し、又は故意に他人の身体を傷つけた場 5 日以上 10 日以下の拘留に処
し、200 元以上 500 元以下の過料
合65
を併科する。情状が比較的軽い
場合、
5 日以下の拘留又は 500 元
以下の過料に処する。
他人にわいせつな行為をした場合66
情状が悪質な場合、5 日以上 10
日以下の拘留に処する。
強引に商品を売買し、他人を脅迫してサービスを
5 日以上 10 日以下の拘留に処
し、200 元以上 500 元以下の過
料を併科する。情状が比較的軽
い場合、
5 日以下の拘留又は 500
元以下の過料に処する。
提供させ、又は他人を脅迫してサービスを受けさ
せた場合67
他人の郵便物を違法に受領し、隠匿し、破棄し、無断 5 日以下の拘留又は 500 元以
で開封し、又は違法に検査した場合68
下の過料に処する。
公共又は私有の財物を窃取し、詐取し、集団で略 5 日以上 10 日以下の拘留に処
奪し、強奪し、ゆすり取り、又は故意に毀損した し、500 元以下の過料を併科す
場合69
ることもできる。情状が比較的
重い場合、10 日以上 15 日以下
の拘留に処し、1000 元以下の過
料を併科することができる。
63
64
65
66
67
68
69
治安管理処罰法第 40 条第 2 号、第 3 号
治安管理処罰法第 42 条第 2 号、第 3 号
治安管理処罰法第 43 条第 1 項
治安管理処罰法第 44 条
治安管理処罰法第 46 条
治安管理処罰法第 48 条
治安管理処罰法第 49 条
12
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(4) 社会管理を妨害する行為と処罰
内容
処罰
(a) 人民政府による非常事態における法による決
定又は命令の実行を拒否した場合
(b) 国家機関職員の法による職務の執行を妨害し
た場合70
警告又は 200 元以下の過料に
処する。情状が重い場合は、5
日以上 10 日以下の拘留に処し、
500 元以下の過料を併科するこ
ともできる71。
国の規定により公安機関の許可が必要とされる事
業を無断で行った場合 72
10 日以上 15 日以下の拘留に処
し、500 元以上 1000 元以下の過
料を併科する。情状が比較的軽
い場合は、5 日以下の拘留又は
500 元以下の過料に処する 73。
(a) 行政法律執行機関が法により押収し、差押え、 5 日以上 10 日以下の拘留に処
又は凍結した財産を隠蔽し、移転し、換価し、 し、200 元以上 500 元以下の過
料を併科する。
又は毀損した場合
(b) 証拠を偽造し、隠匿し、若しくは隠滅し、又
は虚偽の証言を提供し、若しくは虚偽の報告を
し、法に基づいた行政法律執行機関による事件
の処理に影響を及ぼした場合
(c) 盗品である事実を明らかに知りながら、隠匿
し、移転し、又は代わりに販売した場合 74
営利目的で、賭博のために条件を提供した場合、
又は賭博に参加し、掛け金が比較的高額の場合
75
5 日以下の拘留又は 500 元以下
の過料に処する。情状が重い場
合は、10 日以上 15 日以下の拘
留に処し、500 元以上 3000 元
以下の過料を併科する。
10 日以上 15 日以下の拘留に処
業等を営む組織の者が、公安機関による麻薬、賭博、 する。
旅館業、飲食サービス業、文化娯楽業、タクシー
売春、買春の取締りの際に、違法犯罪行為者に情報
を漏洩した場合 76
70
治安管理処罰法第 50 条第 1 項第 1 号、第 2 号
法に基づいた人民警察の職務執行を妨害した場合は、厳重に処罰する(治安管理処罰法第 50 条第 2 項)。
72
治安管理処罰法第 54 条第 1 項第 1 号
73
本項の行為があった場合は、これを取り締まる。公安機関の許可を得た経営者が、国家管理に関する規
定に違反し、情状が重い場合、公安機関は許可証を取り上げることができる(治安管理処罰法第 54 条第 2
項、第 3 項)。
74
治安管理処罰法第 60 条第 1 項第 1 号、第 2 号、第 3 号
75
治安管理処罰法第 70 条
76
治安管理処罰法第 74 条
71
13
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なお、上記の治安管理違反行為のうち、多くのものについては、当該行為によって所
得が発生する可能性があるにもかかわらず、治安管理処罰法では、治安管理違法行為に
対する処罰として拘留と過料が規定されているのみで、違法所得の取扱いについては定
められていない。
4.処罰手続
(1) 調査
公安機関は、事件の届出、告訴、告発又は治安管理違反行為者による自発的な自首及
びその他の行政主管部門や司法機関から移送された治安管理違反に関する事件を速やか
に受理し、また、登録を行わなければならず 77、受理したものが、治安管理違反行為に
該当すると認める場合には、速やかに調査を行わなければならず、他方、治安管理違反
行為に該当しないと認める場合には、届出人、告訴人、告発者、自首した者へ理由を説
明の上その旨通知しなければならないとされている78。
治安管理違反行為者に対しては、召喚して取調べを行うことができるが、取調べの時
間は原則として 8 時間を超えてはならない 79。但し、状況が複雑であり、行政拘留の適
用がありうる場合には、取調べの時間は 24 時間を超えてはならないとして、取調べ時間
が延長される。
なお、公安機関は、召喚の理由と場所について、被召喚者の家族に通知しなければな
らないとされている 80。
(2) 決定
処罰の決定は、通常、県レベル以上の公安機関が行うが、警告及び 500 元以下の過料
については派出所にて決定することができる 81。行政拘留の決定を受けた者が、それま
でに身柄拘束をされていた時間は、行政拘留期間に算入される 82。公安機関は、処罰の
対象者に対して処罰決定を行う前に、事実、理由、証拠及び権利を告知する義務があり、
対象者は、事実や証拠を提出して陳述、弁解をすることができる 83 84 85。
治安事件の調査終了後、公安機関は、それぞれの状況に応じて、それぞれ次の処分を
しなければならないとされている86。
77
治安管理処罰法第 77 条
治安管理処罰法第 78 条
79
8 時間の起算点について、条文上は必ずしも明確ではないが、実務上は、被召喚者が関連案件に関わった
時点から起算されると解されている(http://www.cpd.com.cn/gb/newspaper/2006-11/18/content_688731.htm)。
80
治安管理処罰法第 82 条
81
治安管理処罰法第 91 条
82
治安管理処罰法第 92 条
83
治安管理処罰法第 94 条
84
治安管理違反行為者が提出した事実、理由又は証拠が成立する場合には、公安機関はこれを聞き入れな
ければならないとされている(治安管理処罰法第 94 条第 2 項)。
85
治安管理違反行為について、本人の陳述がなくとも、他の証拠によって事件にかかる事実を証明するこ
とができる場合には、処罰の決定をすることができる一方、本人の陳述しかなく、事実を証明することがで
きる他の証拠がない場合には処罰の決定をすることができない(治安管理処罰法第 93 条)。
86
治安管理処罰法第 95 条
78
14
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(a) 法に基づき治安管理の処罰を与えるべき違法行為が確実にある場合、情状の軽重
及び具体的状況に基づき、処罰の決定をしなければならない。
(b) 法により処罰をしない場合又は違法の事実が成立しない場合は、処罰しない決定
を下す。
(c) 違法行為について犯罪の疑いがある場合、主管機関に移送し、法により刑事責任
を追及する。
(d) 治安管理違反行為者にその他の違法行為があることが発覚した場合は、治安管理
違法行為に対する処罰の決定を行うのと同時に、関係行政主管部門に通知してそ
の処理に付す。
公安機関が治安事件を処理する期限は、受理した日から 30 日を超えてはならないと
されているが、事件が重大で複雑な場合は、1 級上の公安機関の承認を経て、30 日延長
することができる 87。治安管理処罰条例では、治安事件を処理する期限が定められてお
らず、治安事件の処理が非効率であったため、治安管理処罰法ではその期限が明確に定
められたものである。
(3) 執行
処罰を受けた者は、処罰に不服がある場合には、行政再審査請求又は行政訴訟の提起
をすることができる 88。特に、行政拘留処罰の決定に対して不服申立をした場合、不服
申立て期間においては、行政拘留の執行停止を申請することができ、公安機関において、
行政拘留の執行停止をすることが社会的に危険でないと認めた場合には、身元引受人の
提供又は 1 日の行政拘留につき 200 元の割合による保証金の納付をすることにより、執
行停止が認められる 89。
なお、身元引受人は次の条件に適合する者でなければならないとされている90。
(a) 当該事件と全く関わりがないこと
(b) 政治的権利を享有し、身体の自由の制限を受けていないこと
(c) 現地に常住の戸籍及び固定の住所を有すること
(d) 身元引受の義務を履行する能力があること
5.法律執行の監督
公安機関は、法により過料の処罰を実施する場合、関連の法律、行政法規の規定に基づ
き、過料の決定の実行と過料の徴収とを分離しなければならず、受取った過料は全て国庫
へ上納しなければならないとされている 91。
人民警察において、治安事件を処理するにあたり、次の各号に掲げる行為のいずれかが
あった場合には、法により行政処分を与え、犯罪を構成する場合には、法により刑事責任
を追及するとされている 92。
87
治安管理処罰法第 99 条
治安管理処罰法第 102 条
89
治安管理処罰法第 107 条
90
治安管理処罰法第 108 条
91
治安管理処罰法第 115 条
92
治安管理処罰法第 116 条。治安事件を処理する公安機関に前項に述べる行為のあった場合、直接責任を
負う担当者とその他直接責任者に相応の懲戒処分を与える。
88
15
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(a) 拷問により自白を迫り、体罰し、虐待し、又は他人を侮辱した場合
(b) 尋問取り調べ時間を超過して身体の自由を制限した場合
(c) 過料決定と過料徴収の分離制度を実施しない場合又は規定によらず過料として設
定された財物を国庫に上納せず、若しくは法によらずに処分した場合
(d) 徴収し、又は差し押さえた財物を密かに分配し、不法に占有し、流用し、又は故
意に毀損した場合
(e) 規定に違反して被侵害者の財物を使用し、又は速やかに返還しない場合
(f) 規定に違反して保証金を速やかに返還しない場合
(g) 職務上の便宜を利用して他人の財物を受け取り、又はその他の利益の取得をはか
った場合
(h) 現場で過料を徴収する際に過料の領収書を発行せず、又は事実どおりに過料の金
額を記入しない場合
(i) 治安管理の違反行為の制止を要求する通報を受けながら、直ちに出動しない場合
(j) 治安管理の違反活動を取り締まる際に、違法犯罪行為者に情報を流した場合
(k) 私利私欲により不正をはたらき、又は職権を濫用し、法により法定の職責を履行
しないその他の事由がある場合
また、公安機関及びその人民警察が違法に職権を行使し、国民、法人その他組織の適法
な権益を侵害した場合、謝罪しなければならず、損害をもたらした場合には、法により賠
償責任を負わなければならないとされている 93。
[応用編]
治安管理処罰法は、公安機関が社会治安を維持し、国民の権利を保障することを目的
に制定された非常に重要な法律であり、公安機関が治安事件を処理する際のルールとな
っている。治安管理処罰法は、国民の基本的な権利を保護し、法律執行の監督を強化す
る面において、重要な役割を果たしている。
しかしながら、今後も、社会経済の発展により、治安管理にも新しい問題や状況が発
生することも考えられ、その場合には、全ての問題を現行の治安管理処罰法によって解
決できるわけではない。
また、近時、治安管理の取締り実施時に、対象者が死亡する事件が起こるなど、公安
機関の行き過ぎた法執行による問題点も指摘されている。
今後、社会の変化に応じて、逐次、治安管理処罰法の内容の補充や改定が行われると
ともに、法執行の適正化が図られることにより、治安管理がより円滑かつ適切に行われ
ることを期待したい。
(崔俊・中国弁護士)
93
治安管理処罰法第 117 条
16
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三.中国法務の現場より
1.「IPHONE」商標に係るアップルと中国企業との紛争
(1) 概要
今月初旬、新通天地科技(北京)有限公司(以下「新通天地」という。)が登録を出
願した「IPHONE」商標(商品区分第 18 類94)に関してアップルが異議を申し立てた行
政訴訟について、北京市高級人民法院(日本の高等裁判所に相当する。)がアップル社
の敗訴を言い渡したことが報じられた。
(2) 事実関係
アップルは 2002 年 10 月 18 日に商標局に対して「IPHONE」の商標登録を申請し(商
品区分第 9 類95)、同商標は 2003 年 12 月 16 日に登録された。同社は、その後 2007 年 6
月にアメリカで iPhone の販売を開始し、2009 年 10 月には中国に進出した。
他方、新通天地は、アップルがアメリカで iPhone の販売を開始した 3 か月後の 2007
年 9 月 29 日に、「IPHONE」商標(商品区分第 18 類)を登録出願した。
商標局が新通天地の出願を審査し、初歩査定広告を行ったところ、アップルがかかる
商標出願について異議を申し立てた。商標局は、2012 年 6 月に当該商標の登録を行う
(アップルの異議申し立てを棄却する)旨の裁定を下した。
アップルはこれを不服として商標評価審査委員会に商標異議不服審査手続を申し立
てたが、同委員会はアップルの申立てを退けた。そこで、アップルは北京市第一中級人
民法院に対して、同委員会に再審査を行わせることを求めて訴訟を提起した。同法院が
アップルの請求を棄却したことから、アップルは北京市高級人民法院に控訴したが、高
級人民法院は第一審判決を支持する決定を下した。
(3) 争点
本件における主要な争点は、アップルの登録商標が、新通天地の商標出願時点で既に
馳名商標になっていたか否かである。仮にアップルの登録商標が同時点で既に馳名商標
であった場合、その指定商品・役務以外の区分であっても、同一又は類似の商標の登録
は認められないため、新通天地の商標出願は認められないことになる。
本件では、新通天地が登録出願を行ったのは 2007 年 9 月であり、アップルが中国に
進出する前である。そのため、アップルの登録商標が 2007 年 9 月時点で登録商標が既
に中国において馳名商標と評価されるだけの認知度を有していたと立証することは極
めて困難であったものと思われる。実際に、商標評価審査員会の裁定では、申立て手続
の中でアップルから提出された資料はほぼすべてが 2007 年 9 月 29 日以降のものであっ
たと認定されている。
(4) 本件から得られる教訓
本件において新通天地にアップルの商標に便乗して利益を得ようという主観的意図
があったか否かは推測の域を出ないが、一般論として、中国では著名な商標に便乗して
94
95
革及びその模造品、旅行用品並びに馬具
電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品
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利益を得る目的又は事後的に登録商標を「本家本元」に買い取らせる目的での商標登録
を行う事例が存在する。
本件の問題を予防するためにアップル側に何ができたかと言うと非常に難しいが、馳
名商標の認定に際しては、馳名商標であると主張する商標権者の日頃の準備、危機管理
が重要である。馳名商標であることを立証するためには、その認知度を裏付ける資料を
日々整理、保管しておくことが必要である。会社によって、マーケティング資料、広告
宣伝資料等の保管が必ずしも十分でない場合も見受けられるが、いつ起こるか分からな
い中国国内での商標紛争に備えて、万全の準備を行って頂きたい。
(中城由貴・弁護士)
2.日本人駐在員の過労死について考える
4 月 27 日、東京高裁で、運送会社の従業員として上海の現地法人に赴任中に過労死した
男性(当時 45 歳)に対して、日本の労災保険が適用されるかが争われた訴訟で、これを否
定した一審判決を覆し、適用を認める判決が言い渡された96。
男性は、2002 年から、香港、上海、東京の間の出張を繰り返して業務に当たり(その間
香港駐在員事務所での勤務をしていた時期もある)、2006 年 5 月に設立された上海代表処
に首席代表として赴任し、同年 8 月には家族を呼び寄せて 4 年ほど上海に駐在し、2010 年
7 月に急性心筋梗塞で亡くなった。その間、2009 年 12 月には、上海に現地法人が設立され、
総経理に就任している。亡くなる直前の 1 か月の時間外労働は約 104 時間であったという。
判決によれば、男性は、現地の責任者(首席代表ないし総経理)という立場でありなが
ら、本社においては、同社東京営業所の国際輸送課に所属し、赴任時は係長、死亡時は課
長代理まで昇進していた。男性の業務の中心は、日本本社が取引先から受注した運送業務
に関する中国国内における運送手配等であったが、男性は、契約内容の決定を行う権限を
本社から与えられておらず、見積書についても、本社の担当課長の決裁が必要であり、毎
日のようにメールで本社の指示を仰ぎながら業務を遂行していた。また、労務管理につい
ては、自らの出勤簿を東京営業所の管理課課長宛てに毎月月末に提出していたほか、現地
のスタッフの採用についても、採用人数や賃金については本社にて決裁がなされていた。
経理業務についても、本社の経理課が現地の作業をチェックしており、現地の経理スタッ
フが本社経理課に問い合わせをしながら収支報告をしていた。他方、男性の裁量に任され
ていた業務としては、現地の荷主への表敬訪問、荷の受取時期の設定、受け渡し等の作業
手順についての部下への指導等の特定の分野に限られていた。
判決では、これらの事情を勘案し、男性については、
「単に労働の提供の場が海外にある
にすぎず、国内の事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮命令に従い勤務する労働者
である海外出張者に当たるというべきであり、海外の事業場に所属して当該事業場の使用
者の指揮に従って勤務する海外派遣者ではない」と認定して、
「海外派遣者を対象とする特
別加入手続がなされていないことを理由に(中略)労災保険上の保険給付の対象から除外
することは相当ではない」として、実質的に見て本社からの出張者であるとして、労災適
用を認めたものである。
海外赴任者に対する日本の労災適用はこれまでなかなか認められず、泣き寝入りのケー
スが多かったとされており、判決としては画期的なものといえる。
96
http://www.asahi.com/articles/ASJ4W521CJ4WUTIL037.html
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http://www.tmi.gr.jp/
しかし、国の制度を整え、司法的救済を充実化するだけではなく、そもそも、駐在員が
過労死するような環境を是正することこそが、今、重要であると思われる。
上海では、在留邦人の数は、現在届出ベースで 5 万人弱と言われ、これに江蘇省、浙江
省、安徽省、江西省を合わせた上海総領事館管内の在留邦人数は 6 万人程度と言われる(男
女比は、単身赴任者が多いことに起因してか 2 対 1)。他方 2008 年~2013 年までの 6 年間
で上海総領事館管内で亡くなった日本人は 247 人(うち男性は 202 人、女性は 45 人。男女
比は 4.5 対 1)、平均年齢は 54 歳であった。同期間の死因は、突然死 35%、心疾患 11%、
癌 10%、事件事故 10%、自殺 8%である。調査によれば、男性の死亡率は女性の 2 倍以上、
30 歳代から 60 歳代の男性の死亡者数が多く、また、突然死の割合が日本国内より高いこ
とが分かる。これには、環境や食事・飲酒の原因等もあるが、男性が圧倒的に多い駐在員
が、過酷な環境で心身を害して命を失うことが多いことが分かる。以上、詳細は「海外勤
務者の過労死予防」
(独立行政法人労働者健康福祉機構、2015 年 3 月発行)97をご参照され
たい。
小職が見聞する限りにおいて、中国の日系企業においては、いわゆる現地化の推進(現
地法人の経営をできるだけ現地の人間に委ねるようにする)という傾向がある一方で、日
本本社における「グローバル化」、「コンプライアンス経営」の掛け声(それ自体は有意義
なことであるが)の下で、現地の業務が、直接本社の管理下に置かれ、或いは本社の事業
部門ごとに縦割りの管理がなされて、駐在員は、本社とのより緊密な連絡を求められるよ
うになっていると感じられる。特に、IT 技術の進化に伴い、メールシステムやデータベー
スその他業務上必要なシステムを世界中の拠点で共有する利便化の一方で、各方面からの
リクエストに迅速にレスポンスすることが求められる駐在員の労働負荷は、以前にも増し
て強化されているとも思われる。
時に、出張者や顧客へのアテンドや国内出張をこなしつつ、会社に平常出勤している平
日の日中は、現地の取引先や現地スタッフとの業務上の対応に追われ、始業前、終業後、
ひいては週末の時間外労働(しかも、本社の管理職扱いということで、通常、残業手当は
払われない例がほとんど)で、日本との連絡や、本社から与えられた課題の処理に忙殺さ
れている駐在員の方は尐なくないと思われる。現地スタッフが定時で帰宅する中、日本人
だけが残業しているというのは、多くの現地法人で目にする光景である。
四半世紀前には、
「駐在員になると、優雅な暮らしができ、厚い手当で貯金をして、帰国
したら家が新築できる」などという噂もあった。コストの節約による経営の合理化や、企
業運営の現地化を進めるうえでは、かつての噂のような駐在員生活を設計するべきでない
ことは確かであるが、近年では、発展途上国といっても物価は高騰し、他方で駐在員の手
当も薄くなる傾向がある。以前は日本人駐在員向けに商売をしていた飲食店やサービス業
も、現在は、現地顧客をターゲットとする方が儲かると言われるのも、駐在員の懐事情を
反映するものといえる。
駐在員と現地スタッフとの生活水準の格差が縮まる傾向は、現地法人における駐在員と
現地スタッフの心の溝を埋め、より現地の実情に即した現地法人経営を行うのに有利な面
もあるが、駐在員に現地の責任者としての任務を与えつつ、本社の従業員として本社から
事細かな指示命令が飛び、それがどんどん強化される現状は、もともと駐在員に存在する、
現場の声と本社の立場での管理要求との板挟みでプレッシャーを受け易い構造に、さらに
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http://www.research.johas.go.jp/seikatsu/docs/0608kaigai.pdf
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拍車をかけて、労働負荷と精神的プレッシャーを増大させるものと言える。
最近では商社でも海外赴任をしたがらない社員が増えているという話を聞くが、これも
単に、若い社員に覇気がないという世代的な問題ではなく、実は、海外赴任がそれほど魅
力的ではなくなったということなのかもしれない。
そこで、本社において、現地法人を巻き込んで、各種の管理施策を検討・実施する際に
は、是非とも、駐在員の労働負荷が過大にならないよう、十分な配慮が必要と思われる。
現在の傾向では、過労死する駐在員は減らないと危惧する。
(弁護士・山根基宏)
TMI 中国最新法令情報―2016 年 5 月号―
発
行:TMI 総合法律事務所
監
修:何連明・外国法事務弁護士
編集主幹:山根基宏、包城偉豊・弁護士
発 行 日:2016 年 5 月 31 日
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