表紙・はしがき・研究体制・目次

背 7.2 mm(仮)
朝 鮮 半 島 の シナリオ・プランニング
平成26 年度外務省外交・安全保障調査研究事業(総合事業)
朝鮮半島のシナリオ・プランニング
平成
年3月
27
平成27 年 3 月
公益財団法人 日本国際問題研究所
はしがき
本報告書は、当研究所の平成 26 年度外務省外交安全保障調査研究事業(総合事業)「朝
鮮半島のシナリオ・プランニング」の成果をとりまとめたものです。
日本国際問題研究所では、平成 25 年度に「朝鮮半島のシナリオ・プランニング」を企
画し、2 年間の研究プロジェクトとして実施してきました。特に、同名を冠した研究会を
立ち上げるとともに、これをプロジェクトの活動のコアをなすものと位置付け、プロジェ
クトの開始直後からほぼ毎月一回のペースで研究会合を開催し、議論を重ねてきました。
その際に一貫して念頭に置かれたのは、北朝鮮の現状を正確に把握するとともに、その知
見に日本としての問題意識を接合し、日本として取るべき対策とその実現のための課題を
導き出すという問題意識でした。
外交政策は「相手あってのもの」であり、真に効果的な政策は相手方の内在的文脈に対
する理解に裏打ちされてこそ実現します。また他方で、外交政策の主体となるのがあくま
で自国であることもいうまでもなく、このことは日本の現状への理解に根ざした透徹した
思考の重要性を再確認させるものといえるでしょう。そして、この両者を過不足なく組み
合わせることは、実際には―イメージや語感とは裏腹に―大きな困難がともないます。
多様なバックグラウンドと専門分野―しかも時には直接的な関係性を持たない―を背
負ったメンバーそれぞれの知見をスポイルすることなく、同時にそこに一定の方向性を持
たせるためにはどうするべきか。本プロジェクトではこの課題に対処するため、「北朝鮮
の分野別状況分析」と「シナリオ」にメンバーの役割を大別した上でそれぞれの担当分野
を定める一方、会合を重ねる過程では担当分野を超えた自由な議論を行い、それによって
銘々の認識を緩やかに連結させるよう心がけてきました。そして、各メンバーが自分の直
接的なバックグラウンドのみならず、このような議論もふまえながら、北朝鮮の政治・経
済・外交の各分野を網羅した情勢分析、さらには外交・防衛・安全保障面でのシナリオ研
究を行った結果算出されたものが、まさに本報告書であります。そのような企図が奏功し、
本報告書を開かれる皆様にとって、ひとつひとつの部分(パーツ)をピックアップしても、
また通読しても―個別のケーススタディとして、政策に示唆を与える資料として、そして
それらの総体として―意義を感じられるようなものとなりましたならば、一同にとってこ
れ以上の喜びはありません。
なお、本報告書に掲載された記述内容はすべて各執筆者個人の意見に基づくものであり、
当研究所の立場を代表するものではありませんが、本書が北朝鮮情勢、そして北東アジア
の安全保障環境の行方を考えていく上での一助となれば幸いです。
最後に、ご多忙のなか本研究会のためにご参集くださり、報告書の作成にご尽力をいた
だきました参加者各位、そして研究会を含む各種事業の運営にあたってご協力をいただき
ました関係各位にあらためて深甚なる謝意を表します。
平成 27 年 3 月
公益財団法人 日本国際問題研究所
理事長 野上 義二
研究体制
主 査:
小此木 政夫
慶応義塾大学名誉教授
委 員:
阿久津 博康
防衛研究所地域研究部北東アジア研究室主任研究官
伊豆見 元
静岡県立大学教授
金田 秀昭
岡崎研究所理事/日本国際問題研究所客員研究員
加茂 具樹
慶應義塾大学准教授
倉田 秀也
防衛大学校教授/日本国際問題研究所客員研究員
阪田 恭代
神田外語大学教授
西野 純也
慶應義塾大学准教授
兵頭 慎治
防衛研究所地域研究部米欧ロシア研究室長
平井 久志
共同通信客員論説委員
平岩 俊司
関西学院大学教授
三村 光弘
環日本海経済研究所調査研究部長兼主任研究員
飯島 俊郎
日本国際問題研究所副所長
飯村 友紀
日本国際問題研究所研究員
冨田 角栄
日本国際問題研究所研究部主任
委員兼幹事:
研究助手:
(敬称略、五十音順)
目 次
報告書要旨
小此木 政夫…
1
平井 久志…
9
【第1部 分野別現状分析】
第1章 金正恩政権 3 年目(2014 年)の国内政治について
―3 年間を振り返りながら―
第2章 北朝鮮の対外姿勢と国際関係
第3章 北朝鮮経済の現状と今後の見通し
第4章 金正恩体制期水産振興政策の考察
―「新たな並進路線」下の経済運営の一類型―
平岩 俊司… 31
三村 光弘… 41
飯村 友紀… 49
(第5章 米国の朝鮮半島政策 …別紙)
第6章 ウクライナ危機後のロシアの対北朝鮮政策
―露朝関係は戦略的に深化するか―
兵頭 慎治… 63
(第7章 中国の朝鮮半島政策 …別紙)
第8章 米韓抑止態勢の再調整
―「戦時」作戦統制権返還再延期の効用―
第9章 日朝協議の再開、合意、そして停滞
拉致問題再調査をめぐる日本の対北朝鮮政策
倉田 秀也… 73
西野 純也… 93
補 論 イラン核交渉の現状と見通し
―長期包括合意の成立可能性をめぐる一考察―
坂梨 祥…105
【第2部 シナリオおよび政策提言】
日本の対応(安全保障シナリオ編)
阿久津 博康・金田 秀昭・阪田 恭代…113
第10章 北朝鮮をめぐる安全保障情勢シナリオの析出と日本の対応への含意:
趨勢・衝撃アプローチの試み
阿久津 博康…115
第11章 日米韓シナリオ 防衛面での対応と提言
―日本の対応を中心として―
金田 秀昭…131
第12章 日本の対北朝鮮政策―外交面での対応
阪田 恭代…143