放射線とその有用性 早川吉則 放射線と聞くとすぐ広島・長崎の原爆

 http://ccmg.cc.toin.ac.jp/tech/bmed/ft28/RadiationIntroJP.pdf 放射線とその有用性 早川吉則
放射線と聞くとすぐ広島・長崎の原爆による惨状を思いおこし
怖いという感じが先行する人が多いと思う。
しかし実際には放射線は医療・産業・科学の色々な分野で身近に使
われている。
例えば火星の探査車ソジャーナー(滞在者と言う意味)にはα線を
出す放射性同位元素が積まれており火星の岩石の成分を分析した。
また油田の探索には中性子を放出する放射性同位元素が使われてい
る。癌の治療には放射線が使われているし、遺伝子工学の研究では
β線をだす放射性同位元素が頻繁に使われる。X線は診断のためだ
けでなくテロ防止のための手荷物検査など、非破壊検査では欠くこ
とのできない重要な手段である。ウランによる原子力発電はウラン
235 の量が少ないため近い将来原料がなくなる。またチェルノブイ
リ原発事故や福島原発事故に見られるように事故を起こすと大変な
被害をもたらす。しかしトリウムによる原子力発電は資源が豊富で、
ウラン 235 による原発よりもずっと安全である上に原水爆の原料と
なるプルトニウム 239 も生産できない。トリウムはウラン 235 に比
べて核分裂で発生する中性子が少し少ないので技術的に少し難しい
点はある。しかしじつはトリウムによる原子炉はウラン 235 による
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原子炉とほぼ同時期に開発さている。しかし核兵器生産のためにウ
ラン 235 による原子炉が普及したという事情がある。
また銀河宇宙線による雲の発生と太陽磁場によこの遮蔽の関係から、
銀河宇宙線と太陽の黒点が地球の気候変動と重大な関係があること
が指摘されている。放射線発見後1世紀を経て以前にも増して科学
技術、産業には放射線の知識が必要となって来ている。これに伴っ
て社会生活上でも放射線の基礎知識が必要である。本書は主として
放射線の医学利用を中心として概説するが、これにとどまら
ず放射線に関する基本的な知識や考え方を理解して欲しい。
放射線は難しいという印象を受けるかもしれない。しかし実際は簡
単な実験や例え話を交えて直感的に分かりやすい授業を行うので容
易に理解できる。これからの社会生活や職業生活では放射線に関す
る知識を従来になく必要とする。ぜひ放射線に関する基本的な知識
や理解を身に付けて欲しい。現在日本の義務教育で放射線の教育を
取り入れる試みが進行中である。
参考書 読んでほしい一冊の本
1. 人は放射線になぜ弱いか(第3版)。近藤宗平 講談社 B860 1998年
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2.放射能を考える。 森永晴彦 講談社 B568 1993年
3.放射線利用の基礎知識。 東嶋和子 講談社 B1518 2011 年
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