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Press
Release
平成28年5月31日
浜松商工会議所記者クラブ
御中
国立大学法人静岡大学長 伊 東 幸 宏
報道タイトル及び報道概要
生ゴミからの直接発電 〜高性能微生物燃料電池の開発〜
静岡大学総合科学技術研究科工学領域 二又裕之・教授が、微生物によって新規蓄電物質が生
成されることを発見しました。本研究は、生ゴミから直接電気エネルギー生産が可能な微生物
燃料電池の性能向上を目指す研究から得られた成果です。微生物燃料電池は、微生物が有機物
を分解する際の生物化学反応によって廃棄物処理とエネルギー生産を同時に行うことが可能な
一石二鳥的な装置です。しかし、電流密度が低いこと、装置の安定化に時間がかかること、内
部抵抗が高いこと、などのために、未だ実用化には至っていません。しかし、本新規物質
の添加によって、短期間での装置の安定化、内部抵抗の大幅な削減と電流密度の約 100 倍の増
加が認められました。この結果は、本新規物質が微生物と電極間の電子伝達を円滑にしたため
と推察されました。そのため、本物質は微生物が関わっている廃水処理や環境浄化にも有効利
用されることが期待されます。また、電気化学的な解析によって、本物質が蓄電能を有するこ
とが実証されました。これらの成果は、廃棄物の処理およびグリーンエネルギーの生産という
我々が直面している社会問題の解決に大きく貢献し得るものです。今後、物質および微生物の
更なる解析を通じて、更に高性能蓄電物質の開発、並びに、新しい学術的知見の獲得が期待さ
れます。本成果は特許出願されています。
お問い合わせ先
部 局
名 総合科学技術研究科 工学領域
担 当
者 二又 裕之(ふたまた
ひろゆき)
電 話 番 号 053-478-1178(大学研究室)
FAX番号 053-476-0095(大学事務室)
メールアドレス
[email protected]
国立大学法人 静岡大学 ウェブサイト http://www.shizuoka.ac.jp/
○広報室
〒422-8529 静岡県静岡市駿河区大谷836
TEL:054-238-5179 FAX:054-237-0089
Press Release
生ゴミからの直接発電 〜高性能微生物燃料電池の開発〜
1. 本発明の背景と目的
解決すべき社会的問題として、日常的に排出される有機性廃棄物の適正な処理とグリーンエネルギー生産技術
の開発が挙げられます。微生物燃料電池は、微生物の生物化学的反応によって有機物から直接電気を生産できる
装置であり、上述した社会的問題を同時に解決できる装置として期待されています。しかし、電流密度が低いこ
と、安定化までに時間がかかること、内部抵抗が高いことなどの問題点を有し、現在まで実用化には至っており
ません。そこで、高効率型微生物燃料電池を開発するために、どのようにすれば微生物と電極間の電子移動を円
滑できるのか、という視点から研究を実施してきました。
2. 本研究の技術的特徴
微生物燃料電池の発電効率化に向けた研究の過程で、偶発的に電流密度
が著しく増加しました。その原因を探るため微生物の解析を進めていたと
ころ、微生物が導電性物質を生成することを発見しました(右図上:微生
物が物質を生成したため、微生物培養液が黒く濁っている。右のボトルの
様に、直ぐに沈降する。右下図:共焦点レーザー顕微鏡による観察結果)。
本物質を微生物燃料電池に添加したところ、数日で電流密度が増加し、
未添加の場合と比較し約 100 倍の電流密度の増加を示しました。電気化学
的解析の結果、大変興味深いことに、本物質には蓄電能があることが示さ
れました。
3. 今回の発明の特徴(世界初の点を含む)
(1) 微生物による蓄電物質の生成を世界で初めて発見。
(2) 微生物燃料電池の性能を飛躍的に向上。
(3) 生物が関わる反応場(廃水処理、環境浄化、生体内マイクロデバイス
など)へ適応の可能性あり。
4. 現在の段階
・本新規物質の物質科学的解析ならびに蓄電性能の更なる向上化。
・微生物の特定および生成機構と電子伝達機構の解明。
・微生物燃料二次電池の開発に着手。
国立大学法人
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