外国人漁業の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令案等の概要

外国人漁業の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令案等の概要
Ⅰ 趣旨
(1)外国人漁業の規制に関する法律(昭和42年法律第60号。以下「外規法」という。)
第4条の2においては、外国漁船の船長が、特定漁獲物等(外国漁船によるその本邦
への陸揚げ等によって我が国漁業の正常な秩序の維持に支障が生じ、又は生ずるおそ
れがあると認められる漁獲物等で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を本邦に陸
揚げし、又は他の船舶へ転載することを目的として当該外国漁船を本邦の港に寄港さ
せることを禁止しているところである。
(2)公海に棲息し、又は公海と沿岸国の排他的経済水域等との複数の水域にまたがって
棲息するマグロ類等の魚種については、関係国が地域的な漁業管理のための機関(以
下「地域漁業管理機関」という。)を設立し、資源管理のための措置を講じてきたと
ころであり、我が国漁業者も当該措置を遵守してきた。しかしながら、近年、これら
の措置に反し無秩序な操業を行うIUU漁業(違法漁業、無報告漁業及び無規制漁
業)が問題化し、特に、IUU漁業のうち地域漁業管理機関に加盟していない国の船
舶が行うものについては、地域漁業管理機関による監督が及ばないことから、その対
策が困難となっている。
(3)このため、IUU漁業対策として、船籍を問わずIUU漁業を行う船舶に対し寄港
拒否等の措置を講ずることの有効性が国際的に認知されるようになり、各地域漁業管
理機関においては、IUU漁業及びこれを支援する漁業関連活動に従事した明白な証
拠のある船舶のリスト化を進め、加盟国に対し、当該リスト(以下「IUUリスト」
という。)に登録された船舶の寄港拒否等により、各国への漁獲物等の流入等を規制
する措置を講ずるよう要求しているところである。
(4)我が国は、我が国漁業と関係のある地域漁業管理機関に加盟していることから、我
が国が加盟する地域漁業管理機関が作成するIUUリストに登録されている船舶(以
下「IUUリスト登録船舶」という。)は、我が国漁業者と競合する漁場において、
IUU漁業及びこれを支援する漁業関連活動に従事しているものとなっている。
このため、IUUリスト登録船舶が積載し、又は積載していた漁獲物等(以下「I
UU漁獲物等」という。)が本邦の港に陸揚げ等されれば、不当に安価なIUU漁獲
物等が国内に流通することにより、
① 地域漁業管理機関が定める資源管理のための措置を遵守する我が国漁業者の経営
に著しい悪影響を与えるとともに、
② IUUリスト登録船舶の更なる無秩序な操業を助長することとなり、我が国漁業
者と競合する漁場における水産資源の維持・回復が困難となること
から、我が国漁業の正常な秩序の維持に著しい支障を生ずるおそれがある。
(5)このため、今般、外国人漁業の規制に関する法律施行令(昭和42年政令第325号)
を改正し、特定漁獲物等としてIUU漁獲物等を位置付けることとする。
Ⅱ
政令案等の概要
1 外国人漁業の規制に関する法律施行令の一部改正
(1)特定漁獲物等として、IUU漁獲物等を規定する。
IUU漁獲物等については、「水産資源の持続的な利用に関する国際機関その
他の国際的な枠組み(我が国が締結した条約その他の国際約束により設立された
ものに限る。以下「国際的な枠組み」という。)が決定した水産資源の適切な保
存及び管理のための措置に違反して用いられた船舶(国際的な枠組みによつてそ
の旨が公表されているものに限る。)として農林水産大臣が指定する船舶が積載
し、又は積載していた漁獲物等」と規定することを予定。
(2)(1)に伴う条項の移動等の整理を行う。
2 外国人漁業の規制に関する法律施行規則(昭和42年農林産省令第50号)の一部改正
(1)1(1)の改正の実効性を担保するため、外国漁船の船長が、本邦の港に寄港す
る場合に農林水産大臣に提出する申請書の記載事項として、外国漁船の国際海事機
関識別番号及び呼出符号を追加する。
(2)(1)に伴う条項の移動の整理を行う。
3
Ⅲ
1(1)の農林水産大臣が指定する船舶を定める件(仮称)の制定
IUU漁獲物等については、1(1)のとおり「~として農林水産大臣が指定する
船舶が積載し、又は積載していた漁獲物等」と規定することを予定している。この農
林水産大臣が指定する船舶として、我が国が加盟している地域漁業管理機関において
作成されているIUUリストに登録されている船舶を具体的に規定することとする。
施行期日
いずれも、Ⅱ1の外国人漁業の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令案の公
布の日から起算して30日を経過した日とする。