1605高教組通信3 参議院選挙②

全教職員配布
高教組HPにもUPしています(「兵庫高教組」検索)
のなかで当面の重点施策として「教育の支援」「生活の支援」「保護者に対する就労支援」「経
kokyoso
tsushin
高教組 通信 №3 参院選特集②
URL http://www.hyogo-kokyoso.com
2016年5月 31 日
兵庫高教組書記局
E-mail [email protected]
済的支援」が掲げられましたが、ほとんど予算が付かず、お題目だけになっています。また「保
護者に対する就労支援」をうたいながら、働いているのにワーキングプアーに陥らされている
状態に目をつぶり、むしろ正規雇用を低賃金の非正規雇用におきかえる政策や残業代ゼロ法案
の実現を現政権は熱心に推進しています。
政策転換で抜本的な教育条件の改善を図ろう
教育に対する財政支出のGDP比を、OECD諸国の平均並にするだけでも日本の教育は著
しい改善が見込まれます。「保育所落ちた、日本死ね」のブログで一挙に問題化した保育所増
設や、少人数学級の実現、高すぎる大学授業料の引き下げ、給付制奨学金制度の創設などは、
政治の決断による政策転換で実現が十分に可能です。
ここ 20 年間に渡って続けられてきた新自由主義構造改革によって、日本社会の貧困と格
差の拡大は限界点に達しつつあります。非正規雇用が民間労働者の4割、年収 200 万円未満
が 1000 万人以上、貯蓄なし世帯が3割にものぼっています。一方で、一握りの富裕層の資
産は増え続け、大企業の内部留保は 300 兆円にも達しています。
こうした貧困と格差の拡大は、私たちの働く教育現場にも深刻な影響を与えています。今
度の参議院選挙は、この貧困と格差をどう解消していくのかも大きな争点の一つです。
パナマ文書によって、タックス・ヘイブン=租税回避地を利用して、富裕層や巨大企業が租
税負担を不当に免れている実態が暴露されました。支払われるべき税金が支払われずに富裕層
をより富裕にし、
教育や社会保障に回すべき財源が不当に失われています。
そのようななかで、
日本では低所得者ほど負担率が高くなる消費税の 10%への引き上げ、賃上げにつながらない法
人税率のさらなる引き下げが実施されようとしています。
景気を更に悪化させ、
税収減を招き、
貧困と格差を広げるこのような富裕層と巨大企業優遇の政策をいつまで続けるのか、それとも
その力にふさわしい租税負担をしてもらうのか、それも今回の参議院選挙の大きな争点です。
待ったなしの子どもの貧困対策
「子どもの貧困率」とは、すべての人の年収の中央値の半分に満たない世帯で暮らす17歳
以下の子どもたちの割合のことです。厚生労働省によると日本の「子どもの貧困率」は、2012
年時点の推計で16.3%、実に6人に1人が年収122万円未満の貧困状態にあります。ま
た、
「ひとり親世帯」の「子どもの貧困率」は54.6%と、半数以上が貧困状態で、先進国で
最悪の数字です。
貧困状態にある子どもは、食事が満足にとれず、病気になっても医者にかかりにくいなど、
健康面でも大きなハンディを背負っています。また、勉強面でも勉強部屋の有無、参考書や問
題集の購入、塾代や模擬試験代といった面でハンディがあり、就職や進学で不利になることが
多々あります。そして、その結果として、十分な所得を得ることが難しくなるなど、現代日本
は、子どもの将来が生まれた家庭環境に左右され、親の貧困が子どもにも引き継がれてしまう
「貧困が連鎖」する社会となっています。この連鎖を断ち切り、すべての子どもたちが安心し
て生活でき、自分の希望実現に努力できる環境をつくることが待ったなしの課題です。
お粗末な政府の貧困対策
こうした現状を打開しようという国民の取り組みが背景となり、2013 年 5 月に「子どもの
貧困対策の推進に関する法律」が成立し、貧困対策大綱が 2014 年に閣議決定されました。そ
貧困と格差の拡大が保護者と生徒を苦しめ、教育現場で起きている様々な困難の要因になっ
ていることは間違いありません。今度の参議院選挙で、貧困と格差の解消につながる政治の実
現をめざして、私たちの運動を広げるとともに、各政党の主張・政策を注視し吟味していきま
しょう。
※ 次号は「戦争法」についての特集です。
「せめて、高校には行かせてあげたい」。母親はそう願う。中卒と高卒とでは給料が全然
違うと、友人に聞いたことがあるからだ。
ただ、今の収入では公立で七十万円、私立で二百四十万円ほどかかる三年間の授業料や
部活費などを払えない。生活をこれ以上切り詰めれば、今より貧しかったパート勤めの豊
橋時代に戻ってしまう。みそ汁一杯とコロッケ一個を三人で分ける生活だった。
あんなにつらい思いはもうしたくない。「働く」と言い切る丈司君に甘えたくなる時も
ある。でも、考えてしまう。将来の夢を狭めさせてしまっているのは、母親である自分な
のではないか。
「お金持ちになりたい」。十歳の丈司君が口癖のように言うようになった。それを聞く
たびに自分を責め、悲しくて何も言えなくなる。
中日新聞「新貧乏物語」より抜粋