第 今回は、前・後編にわたり某企 業の部長A氏からの相談を紹介し め・嫌がらせ問題に関する円卓会 2年1月に公表した「職場のいじ す。ちなみに厚生労働省が201 反(労働契約法5条)に基づきま 前田 はい。使用者責任(民法 715条)や職場環境配慮義務違 ラハラ)も社会問題化しており、 た「 モ ラ ル・ ハ ラ ス メ ン ト 」( モ るものが「パワハラ」と区別され はないとか、陰湿な非有形力によ 職場であっても上司によるもので ンタルヘルス問題にもつながり易 できません。また、パワハラはメ 観に大きく左右されることは否定 す。ハラスメントは被害者側の主 ラブルをどう回避するかが重要で 前田 そうですね。ハラスメン 加害者対被害者という単純な図式 トの範囲は曖昧です。その一方で、 で捉えられ一人歩きしかねないト 前編 ます。対岸の火事ではない「パワ 議ワーキング・グループ報告」で 違法対象は拡大されつつあります。 く解決の難しさがあります。しか 回 ハラ」がキーワードです。 ◇ ◇ A氏 「パワー・ハラスメント」 は「セクハラ」と同様、加害者本 は「職場のパワーハラスメントと 場内の優位性を背景に業務の適正 職務上の地位や人間関係などの職 について事後的な客観的判断によ は実際に訴訟となった特定の事案 綿密に対策を練る必要があります。 にもなりかねません。だからこそ しまうと、人材採用も妨げること 方を改める必要がありそうですね。 その解決策も含め、根本的に考え パワハラやセクハラ問題を数多く経験。企業側の立場で最善の対策を示している。 ハラスメント問題の相談は無料。不安のある経営者はご連絡を。 0120・48・1744 (24時間受付) 〝白黒つけない〟 パワハラ対策 人だけでなく会社も損害賠償責任 な範囲を超えて、精神的・身体的 り、裁判所に日々現場で起こる事 員対象にセミナーを実施したり、 A氏 当社では、労務コンサル タントの指導を受けながら、従業 案の明確な判断基準の提示を期待 置に万全を期しているのですが…。 前田 いいえ。むしろ企業は白 黒つけようとする発想を捨てたほ その点は次回に。 A氏 それでは予防も解決もで きないじゃないですか。 相談窓口を設置したりして事前措 って白黒をつけることです。つま させる行為」と示されています。 A氏 しかし、裁判例をみても 損害賠償義務が発生する場合とそ うでない場合があり、また、その 脱・濫用して、社会通念に照らし うがいいです。単に違法かどうか 基準が「…を総合考慮のうえ」と た客観的な見地から見て」などと 前田 もしやパワハラ問題が現 実に発生したのではないですか。 抽象論ばかりでよくわかりません。 という面ばかりに目を奪われず、 か「 … 職 務 上 の 地 位・ 権 限 を 逸 することが間違っているのです。 苦痛を与える又は職場環境を悪化 もブラック企業と烙印を押されて は、同じ職場で働く者に対して、 を負うのでしょうか。 まえだ・しょういち/1959 年 1月22日岩見沢市生ま れ。 北海道大学法学部卒。 93年前田尚一法律事務 所開設。UHB「のりゆきの トークDE 北海道 」、STV 「どさんこワイド」出演。JR 札幌病院倫理委員・ 臨床 研究審査委員。元・ 北大 法科大学院実務家教員。 82 前田尚一法律事務所 HP は 43 裁判所は社会問題化されたこと を扱うとはいえ、その本来の役割 前田 尚一 弁護士
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