演習第5回

解析学 I
第5回
(担当:日野)
[5-1] (X, M) を可測空間とする.以下を示せ.
(1) M = 2X =⇒ X 上の任意の実数値関数は M-可測*1 .
(2) M = {∅, X} =⇒ X 上の実数値関数で M-可測なものは定数関数しかない.
[5-2] µ を可測空間 (R, B(R)) 上の 1 次元 Lebesgue 測度とする*2 .R 上の関数
f (x) =
√
max{4 − |x|, 0} (x ∈ R)
∫
f (x) µ(dx) の値を,Lebesgue 積分の定義に従って次の順に求めよ*3 .
に対して,Lebesgue 積分
R
(1) 講義における命題 2.11 の証明中で構成した単関数近似列 {fn }∞
n=1 をとる.fn を具体的に記
∫
述し, fn (x) µ(dx) の値を定義通りに計算する.
(n が十分大きいときのみ求めればよい)
∫ R
(2) lim
fn (x) µ(dx) を求める.
n→∞
R
[5-3] (X, M, µ) を測度空間とする.X 上の非負可測関数 f に対して,等式
}
{∫
∫
g dµ g は X 上の非負単関数で,g ≤ f
f dµ = sup
X
X
を示せ.
(g ≤ f とは,任意の x ∈ X に対して g(x) ≤ f (x) であることを意味する.)
[5-4] x ∈ [0, 1) の 10 進展開を x = 0.x1 x2 x3 · · · とする.但し表記が2通り考えられる場合は0が無限
個続くほうを選ぶことにする*4 .f (x) = max xi は [0, 1) 上の Borel 可測関数であり,Lebesgue
i
測度 µ に関してある定数関数とほとんど至るところ等しいことを示せ.
(裏面に続く)
M/B(R)-可測ということ
すなわち,区間 I = (a, b] に対しては µ(I) = b − a となるような測度.本問と [5-4] ではその存在を認めて議論す
るものとする.
*3 これはあくまで練習のための問題である.具体的に積分値が計算できるのは特殊な場合であり,そのような場合でも
普通は Riemann 積分における知識を用いた方がずっと早く計算できる.
*4 例えば,x = 1/2 に対しては 0.4999 · · · ではなく 0.5000 · · · の方を選ぶ.
*1
*2
1
[5-5] f を可測空間 (X, M) 上の [0, +∞]-値可測関数とするとき,
f (x) =
∞
∑
(aj ∈ [0, ∞), Ej ∈ M)
aj 1Ej (x)
j=1
と表されることを示せ.(もちろん {Ej }j∈N は互いに素でなくて構わない.)
参考:以下の解答はともに誤りである.
∞
×1) 「f を近似する非負単関数の増大列 {fn }n=1 をとる.fn =
kn
∑
aj 1Ej のように表せるから f =
j=1
∞
∑
aj 1Ej となる.」
j=1
×2) 「各 α ∈ [0, +∞] に対して Eα = f
f=
∑
α≥0
α1Eα +
∞
∑
−1
({α}) とおけば Eα ∈ M である.従って,
1E∞ と表わして右辺を整理したものが求める表現式.」
k=1
以上
2