腰部悪性軟部腫瘍における 疼痛緩和ケア

腰部悪性軟部腫瘍における
疼痛緩和ケア
平成28年5月23日
緩和ケア病棟看護師
症例
• 患者 70歳代 女性
• 病名 腰部悪性軟部腫瘍(原発巣不明)
• 経過 Y年 9月 腰痛の増強を自覚
Y年 12月 生検で肉腫よりは、低分化な癌の疑いが示唆される
手術困難であると家族に説明
陽子線治療が勧められるも家族は積極的希望されず
X年 1月 当院緩和ケア外来受診
X年 1月 放射線療法(サイバーナイフ 35Gy)
X年 4月 腰部~臀部、右大腿部痛増強し、当院緩和ケア病棟に
緊急入院
症例
• Y年 12月4日 CT所見
腰椎L2~L5に最大径70×70cmの軟部組織あり
脊椎管や椎間孔への浸潤もあり、脊髄の圧迫
骨破壊像あり
・X年 4月13日 CT所見
腰部腫瘍の著名な増大はなし。
L2~L4の脊柱管への浸潤が進行➡疼痛増強
・X年 4月25日頃より膀胱直腸障害が出現
➡入院後、膀胱留置カテーテル挿入
CT画像
悪性軟部腫瘍とは
• 筋肉・神経・脂肪・血管などの軟らかい組織に発生した悪性腫瘍
• 様々な種類があり、診断が困難
• 悪性軟部腫瘍は2~3人/10万人の発生頻度
• 症状:悪性であっても痛みがないことがほとんど
徐々に大きくなる腫瘍、特に5cmを超えるものは精密検査が必要
• 診断:単純X線写真、MRI、CT。必要に応じて血液検査、エコー、
核医学検査、PET-CTなど。臨床経過と画像から悪性腫瘍が
疑われる場合には生検を行う
• 治療:手術、化学療法、放射線療法、対症療法
入院後の経過
・入院前:オキシコンチン錠60mg/日、セレコックス、サインバルタ
など内服するが、疼痛軽減得られず
入院当日:ロピオン注点滴、オキファスト・ケタラール注の
持続皮下注開始
➡レスキュー対応で徐々に疼痛軽減
・入院翌日:呼吸抑制あり➡持続皮下注減量し改善
・入院後:傾眠➡現在は意識レベルクリア
食事の自己摂取や家族との会話が可能
・入院後「早く死にたい」などのスピリチュアルペイン
➡疼痛軽減と共に表出見られず。
実際の看護・ケア
①継続的な疼痛評価と症状の観察
②苦痛の全人的評価
③疼痛評価に合わせた薬剤の適切な使用
副作用の観察
④疼痛緩和のケア
1 継続的な疼痛評価と症状の観察
• 疼痛軽減に重要なこと➡痛みの包括的評価
①痛みの原因の評価
身体所見、画像所見、血液所見、
神経学的所見
②痛みの評価
③痛みのアセスメントに影響を与える
患者要因
④痛みの緩和のバリア
痛みの神経学的分類と特徴
痛みの評価ツール
2 苦痛の全人的評価
3 疼痛評価に合わせた適切な薬剤の使用
副作用の観察
• 嘔気
• 便秘
• 眠気
• せん妄・幻覚
• 呼吸抑制
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口腔内乾燥
掻痒感
排尿障害
ミオクローヌス
痛覚過敏
まとめ
・患者の痛みを全人的苦痛として理解する
・継続的に痛みや症状の観察・アセスメントを行い、
適切な薬物療法とケアを実施する
・薬物療法以外の疼痛緩和方法と生活の
工夫をする