参考資料 H27 年度に策定された「ヤマネコの交通事故防止対策基本計画(案)」の概要 ヤマネコの交通事故防止対策の基本方針 ヤマネコの交通事故防止対策の基本方針を以下に示す。 【ヤマネコの交通事故防止対策の基本方針】 1.路上進入防止柵等の設置により、ヤマネコの路上 進入抑制対策を強化する 2.小動物の路上進入を抑制することにより、ヤマネコ の二次的ロード・キルの発生を防ぐ 3.これまでのソフト対策の効果を検証し、効果的な 啓発活動に連携して取組む 4.地域や関係機関が相互に協力し、ロード・キル対策 の環境保全に取組む ヤマネコの交通事故防止対策の具体案の検討 (1)『動物の移動経路対策(ヤマネコ)』の工法の選定結果 『路上進入抑制対策(ヤマネコ)』の工法の選定結果を表 1 に示した。 表 1 『路上進入抑制対策(ヤマネコ)』の工法の選定結果 区分 工法 概要 抑路 制上 対進 策入 お取 け付 る道 路路 上等 進の 入開 抑放 制部 対に 策 動 物 の 移 動 経 路 道 路 か ら の 脱 出 施 設 路上進入防止柵 物理的な障壁により、動物の 路上進入を抑制する。柵の構造 は対象とする動物により、個別 に検討する必要がある。 グレーチング式 ディアガード グレーチングを水路や溝に 橋を渡すように設置し、動物の 進入防止を目的とした構造物。 開閉・管理 ゲート 人が道路の内外を出入りす るための開閉式のゲート。 ゲートを閉じた状態では動 物が道路内に移動できない構 造となっている。 ヤマネコ ストッパー ヤマネコの側溝からの路上 進入防止を目的とした構造物。 ネコボックス呑口・吐口に設置 されている側溝部を横断する ように柵を設置し、側溝の開口 部に開閉式の板を設置する。 ネコボックス 動物が路上を横断せず安全 に陸域~海域へ行き来できる ようにする施設。排水兼用と動 物専用の 2 種がある。 橋梁桁下通路 橋梁の桁下に動物が行き来 できるように通路小動物の桁 下横断を容易にするため、橋台 前面に動物の移動経路を設置。 押し板式 ワンウェイ ゲート 柵の下部に設置した板を押 すことで、道路内に入ってしま った動物が道路外に脱出でき るが、返し構造のため、道路に は進入できない施設。 アウトジャンプ 路上進入防止柵の道路側の 盛土により高くすることによ り、動物が道路外へ容易に飛び 出せるが、道路外から道路内に は進入できない施設。 写真・イメージ図 (2)『動物の移動経路対策(小動物)』の工法の選定結果 『路上進入抑制対策(小動物)』の工法の選定結果を表 2 に示した。 表 2 『路上進入抑制対策(小動物)』の工法の選定結果 区分 工法 概要 物理的な障壁により、動物の 路上進入を抑制する。柵の構造 路上進入防止柵 は対象とする動物により、個別 に検討する必要がある。 小動物(体サイズが小さな動 路 上 物 ) が 路 上 へ 進 入 し ない よ う 誘導パネル 進 に、道路の外側に反った形のコ (エコパネル) 入 ンクリート製の壁を設置した 抑 構造物。 制 対 小動物(体サイズが小さな動 策 物)が路上へ進入しにくく、道 路と反対側がスロープになっ 片勾配側溝 (返し付) ており、小動物が側溝へ落下し た際、脱出が容易な構造となっ ている。 主に偶蹄類が隙間の空いた 構造物の上を歩くのを忌避す お取 グレーチング式 る性質を利用し、グレーチング け付 る道 ディアガード を水路や溝に橋を渡すように 路路 設置し、動物の進入防止を目的 上等 とした構造物。 進の 入開 人が道路の内外を出入りす 抑放 るための開閉式のゲート。 制部 開閉・管理 ゲートを閉じた状態では動 対に ゲート 物が道路内に移動できない構 策 造となっている。 動 物 の 移 動 経 路 ネコボックス 動物が路上を横断せず安全 に陸域~海域へ行き来できる ようにする施設。排水兼用と動 物専用の 2 種がある。 小動物用 小型横断溝 動物が路上を横断せず安全 に陸域~海域へ行き来できる ようにするグレーチング付側 溝。 橋梁桁下通路 橋梁の桁下に動物が行き来 できるように通路小動物の桁 下横断を容易にするため、橋台 前面に動物の移動経路を設置。 写真・イメージ図 (3)実証試験が必要な工法 表 3 に示した対策(工法)は、これまで西表島(沖縄県内)においてヤマネコまたは小動物に 対し行われていない(または、構造などの改善が必要)、新たな交通事故防止工法である。 工法の構造および材料などの条件により、 『動物(ヤマネコおよびヤマネコ以外の動物)に対 する路上進入抑制効果や影響』および『耐久性および施工費』が異なってくるが、ヤマネコ の行動予測などの不確実性が伴うことから、 「路上進入防止柵」、 「グレーチング式ディアガー ド」、「開閉・管理ゲート」 、 「ヤマネコストッパー」、「押し板式ワンウェイゲート」、 「アウト ジャンプ」の 6 工法について実証試験を行うこととする。 『工法の実証試験』において、動物に悪影響が確認された場合や、効果が得られなかった 場合は、『工法の実証試験』を打ち切り、構造物を撤去しなければならない。 しかし、『恒久構造物』により実証試験を実施すると撤去に時間と費用がかかることから、 台湾の「路上進入防止柵」の事例にならい、 『簡易構造物』で「効果に係わる主要な要因」に 関して実証試験を行い、効果検証により効果が確認された場合は、 『恒久構造』の仕様につい て検討することとする(表 4)。 表 3 ヤマネコおよび小動物に対する効果が検証されていない・改善が必要な工法 区分 工法 対象動物 備考 ・ヤマネコ 路上進入抑制対策 路上進入防止柵注.1 ・小動物 ・ヤマネコ グレーチング式ディアガード ・小動物 取付道路等の 開口部における ・ヤマネコ、 開閉・管理ゲート 路上進入抑制対策 ・小動物 ヤマネコストッパー ・ヤマネコ 押し板式ワンウェイゲート ・ヤマネコ 道路からの 脱出施設 アウトジャンプ ・ヤマネコ 注.1 西表島において行われ、ヤマネコに対する道路進入抑制効果は検証されているが、構造や設置方法などに ついて改善が必要。 表 4 『簡易構造物』および『恒久構造』の例 項目 簡易柵 恒久柵 イメー ジ写真 特徴 機能性 耐久性 持続性 景観性 経済性 写真:竹富町設置簡易柵 プラスチックなどの耐久性の低い素材で 作成された簡易的な路上進入防止柵。 恒久柵と比較すると施工および撤去が容 易である。 端部処理、地形の接続部処理が比較的容 易である。 台風などで破損した際の修理が容易であ る。 耐久性が低い。 恒久柵と比較すると持続性が低い。 柵の色、構造や材質の違いによる透過性 などにより異なる。 恒久柵と比較すると安価である。 写真:マングース北上防止柵 金属製などの耐久性のある素材で作成 された恒久的な路上進入防止柵。 恒久柵と比較すると施工および撤去に 時間を要する。 端部処理、地形の接続部処理が困難。 台風などで破損した際の修理に手間が かかる。 耐久性がある。 簡易柵と比較すると持続性が高い。 柵の色、構造や材質の違いによる透過 性などにより異なる。 簡易柵と比較すると高価である。
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