Vol.305 ブラジル株式急上昇。気になる今後の行方は?

2016年
5月26日号
Vol.305
ブラジル株式急上昇。気になる今後の行方は?
 なぜ今年に入って急上昇?
 今後の政策の行方は?
今年に入ってブラジル株式が急上昇した理
由は、まず原油や商品価格に持ち直しの兆
しが見られたことです。そして、ルセフ大統領
が社会保障関連の予算を不正操作したとし
て野党が弾劾請求したのをきっかけに、政
権交代した場合、これまでの課題であった経
済や財政の立て直しが進むのではないかと
の期待が高まったためです。(図表1参照)
現在、テメル副大統領が大統領代行に就任
して暫定政権が発足しています。そして8月
以降にルセフ大統領の弾劾の最終的な採決
が行われるとみられています。もし、弾劾が
確定すればテメル大統領代行が正式に大統
領に昇格する見通しです。テメル大統領代
行の出身政党は、今より改革志向の強い産
業界寄りの政策を提唱しており、こうした改
革が議会で支持され実行されていけば、長
年、成長の足かせと言われてきたいわゆる
「ブラジル・コスト」(複雑で負担の大きい税
制、労働・雇用関連の過剰な優遇措置、不
十分なインフラによる流通コスト高など)の低
減も期待されます。時間は要すると思われま
すが、今後も「成長」が期待できる国となる可
能性はあるのではないでしょうか。
■図表1:ブラジル・ボベスパ指数の推移
(日次、期間:2014年12月末∼2016年5月19日)
2014年12月末=100として指数化
120
110
100
90
80
70
14年12月
15年3月
15年6月
15年9月
15年12月
16年3月
出所:データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
 現在の株価の動きは?
しかし、足元では株式市場の急騰を受けて、
バリュエーション(投資価値評価)水準も上昇
しています。また、5月12日に上院において
ルセフ大統領の弾劾決議が可決し、ルセフ
大統領の停職にともない、今後の政策動向
を様子見したいとの動きから足元のブラジル
株式市場には一服感が見られます。
■ブラジル大統領弾劾裁判関連の流れの概略
年月日
2015年後半
2016年3月17日
2016年3月29日
2016年4月11日
2016年4月17日
2016年4月26日
2016年5月6日
2016年5月12日
2016年5月12日
ブ ラ ジ ル弾劾裁判関連の流れ
予算の違法執行で野党が大統領弾劾の請求
下院の大統領弾劾の特別委員会メンバー選出
ブラジル民主運動党(PMDB)連立離脱
下院特別委員会で採決可決(賛成38、反対27)
下院が弾劾の採決可決(賛成367、反対137)
上院特別委員会設置、弾劾裁判審議開始
上院特別委員会で採決可決(賛成15、反対5)
上院が弾劾の採決可決(賛成55、反対22)
ルセフ大統領は180日間の停職、テメル副大
統領が代行に
予想:2016年後半 上院で弾劾採決(可決は54議席以上)
出所:各種報道等のデータを参照しピクテ投信投資顧問作成
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