平成26年度 事業報告

平成26年度
事業報告
センター会員の意識が徐々に変わってきています。
就業においては、高年齢者特有の生真面目さをもって、誠実か
つ上質な仕事を提供することが、顧客深耕となり得意先から更に
新たな仕事を呼び込んでいます。
会員がセンターを支える意識も向上しており、昨年の総会では
その運営に100名を超えるボランティアの申し出があり、出席
者も200名を超えました。「シルバーの日まつり」においても、
80名を超えるボランティア会員が、たくさんのこどもたちや親
子連れの笑顔が輝く、成功へと導きました。その縁の下では、会
員理事を中心とする実行委員会が、4ヶ月にもわたり、議論や試
行錯誤を重ねて準備を行ってきたことは、忘れることのできない
事実です。
1月~3月の清掃活動やPRチラシ配布にも多くの会員がボラ
ンティア参加しました。清掃できれいになった公園に、参加会員
から「今日はよかった!」という言葉が発せられたことに、これ
ら活動の本当の意味を知ることができるのではないでしょうか。
ただ、残念なこともありました。
長年、懇意にしていただいた介護施設からの発注業務が、奈良
労働局から請負として適さないとして、是正指導を受けたことも
その一つです。シルバーの仕事を守るため、自らの仕事の手順を
詳細に書き出し、どう改善すれば適正になるのか、共に考えた就
業班もありました。自分たちは一生懸命仕事をしてきたことはわ
かってほしい、と訴える会員もいました。残念ながら3箇所で合
計60名近い会員が就業する契約が解除となりました。
大口契約の工場、店舗の閉鎖、閉店も相次ぎました。2箇所で
約50名の会員の就業が失われました。また、労働者派遣事業の
3年問題で契約を失ったり、施主との契約条件交渉や会員への精
力的な紹介活動にもかかわらず、希望会員が集まらず、長年続い
た請負契約を手放さざるを得ない事態も起こりました。
就業中の事故もなかなか減少しません。ただ、平成25年度の
ような入院を伴う事故が起こらなかったことは数少ない朗報でし
た。
このように、センターにとって、良いことや残念なことが入り
交じった1年ではありましたが、会員が一つにまとまって、良い
面を伸ばし、問題に立ち向かっていけば、高年齢者のいきがいづ
くりに資する素晴らしいセンターになっていく、その素地は充分
持ち合わせていると理解しております。
平成26年度事業計画の項目毎の成果
(1)お客さまに喜んでもらえる仕事を提供する。
会員の仕事は、高年齢者特有の心遣いを感じる生真面目な
対応で顧客から高い評価をいただいています。一時相次いだ
顧客からの苦情も会員の努力により少なくなってまいりまし
た。ただ、最近は人気のある業種とない業種がはっきりして
きており、店舗でのカート整理や品出し、公民館窓口事務、
公園での維持管理作業などは希望者が多いが、自動車での送
迎作業や清掃業務には、就業会員を見つけられない結果、契
約を失ったり、今後の見込が立たない業務も増えており、顧
客の要請に応えられない状況が増えてきています。
また、人気のある業種でも、楽そうだから、といった安易
な理由で希望する会員が少なからずおり、仕事の質を落とし
かねない危険をはらんでいます。
(個別対策の成果)
・就業適正化委員会を立ち上げ、施主からの苦情や会員交代
要請等につき審議を行った。また、就業・接客意識の向上を
図るための講習会の準備を進めている。
・「シルバー人材センターニュース」に会員啓発記事を掲載し、
窓口配布の外、就業場所向けに1人1部配布を行い、イン
ターネットブログにも公表する等周知を図った。
・会員同士の意思疎通が図れている就業班は多いが、未だ事
務局頼みのチームワークに欠く就業場所も存在する。
・センターとして、各就業班の現状を聞く懇談会がほとんど
開催できなかった。
(2)安全な就業を推進し、事故を未然に防ぐ。
平成26年度の事故発生件数は25件と、件数では前年度
を上回り、過去最悪の件数を更新しました。内訳としては、
会員自身が傷つく傷害事故が10件(前年度13件)、顧客や
第三者に損害を与えた賠償事故が14件(前年度6件)、セン
ター財産を損壊した自損事故1件(前年度1件)でした。
平成26年度の事故の特徴としては、ほとんどが一部の外
業班に集中して起こっていたことです。具体的には、剪定・草
刈及びデーサービス送迎の3分野だけで発生件数20件と全
件数の8割を占めています、うち交通事故は11件でした。
センターでは、安全就業対策委員会と事務局が連携して、
安全パトロールを12回行い、随時パトロールも含めると延
べ94件の現場の視察・指導をしてまいりました。9月には、
シルバードライバースクールに、日頃就業において運転に携
わっている会員29名が参加しました。更に2月には安全就
業講習会を開催し、88名が参加しました。しかしこれらの
努力も未だ事故の減少には繋がっておりません。
なお、「危険予知シート」については、439名の会員から
提出があり、就業会員での提出率は94%でした。安全就業
対策委員会では会員から得られた貴重な危険予知データを分
析し、新たな事故防止マニュアルを作成しています。
(個別対策の成果)
・会員においては、一部、危険予知シートの記入依頼や安全
防具の着用指導に反発する者もいたが、概ね、その趣旨を
理解し、安全に配慮してきたと思われる。結果、四半期毎
の事故発生数も、1~3四半期が8、8、7件であったの
に対し、4四半期は2件と減少した。ただ班内での安全相
互チェックにまでは至っていないと思われる。
・安全就業対策委員会においては、安全スローガンの選定や
危険予知シートの分析など活動を活発化させ、事故防止に
積極的に取り組んだ。
・事務局においては、主にシルバー人材センターニュースを
通じた安全啓発を行った他、仕事の紹介においても、担当
は現場を了知し、危険と思われる作業の受注や会員選任に
ついては注意を払った。
(3)より多くの会員に就業機会を提供する。
平成26年度から、毎月第4木曜日午後1時から個人就業
懇談会を開催し、未就業会員の相談に応じています。また、
懇談会以外の日においても、現在、市内発注者からの依頼案
件を「就業紹介一覧表」にまとめており、事務局に来られた
会員に閲覧してもらっている。しかし、スーパーのカート整
理や公民館窓口など一部の就業場所に人気が集まり、不人気
な就業先ではなかなか希望会員を集められず、せっかくの依
頼を逃しているのが現状です。
営業活動として「元気城下町クラブ」へは、一部の会員理
事及び事務局から参加はしていますが、自動車運転や農業分
野などの就業依頼の問い合わせがあったものの会員に「人気」
の職種の獲得には至っておりません。
介護施設での就業は、女性会員向けに従来多くの需要があ
りましたが、昨年8月に奈良労働局から是正指導を受けて以
来激減しました。この分野では介護保険で定められた報酬に
限度があるため、大半が派遣契約への転換には至りませんで
した。
(個別対策の成果)
・シルバーの日まつりでは多くの会員が参加し、市民に対し
元気な高年齢者をアピールした。
・顧客へのイメージ回復に取り組んだ就業場所(スーパー)
では、その成果として新しい発注を呼び込んでいる。
・多くの会員で仕事を分け合う月80時間の就業制限につい
ては会員間に浸透してきた。
・就業の公平化については、会員理事懇談会において引き続
き議論を行っている。
・事務局においては、適法就業や会員の人気を考慮した営業
活動にならざるを得ず、得意先を中心に、先ず信頼を得る
活動から進めている。
(4)会員数を増やし、社会的存在感を高める。
2年前の平成25年3月より入会説明会を開催し、会員理
事からの勧誘挨拶や事務局からのセンターの趣旨・概要につ
いてのポジティブな説明を行っており、過去24回の開催で
333名の参加中、247名の入会があり、入会率は74.1%
になっている。他の市町村の入会率は5割以下のところもあ
ると聞いており、説明会としては成功してるものと思われる。
しかし、奈良労働局からの是正指導により介護施設に直接
雇用となった会員が次々と退会しており、その他個人的な理
由での退会を含め、なかなか会員増加につながっていないの
が現状である。実施計画での目標である1200名の会員登
録を達成するためには、年間60名程度の会員増加が必要と
なるが、現在のところは計画を下回っていると言わざるを得
ない。
(個別対策の成果)
・団塊の世代層の加入を促すようなセンターのイメージアッ
プ策については、会員理事が新規事業開拓のための研究を
重ねている。
・シルバーの日まつりやPRポケットティッシュ配布などで
市内高年齢者層、センター並びに元気な会員の活動をアピ
ールした。
・市広報誌つながりに随時入会案内を行った。
(5)センター運営への会員の参加拡充及び役員との連絡強化を
図り、情報を共有する。
3%ボランティア運動による総会やシルバーの日まつり、
清掃奉仕活動、PRポケットティッシュ配布といったセンタ
ー事業への参加依頼に多くの会員が応じてもらい、その活き
活きとした動きが目立った。
また9名に増員となった会員理事がセンター経営、行事運
営の中心となって活動しました。その活動は、総会やシルバ
ーの日まつりの企画・運営に留まらず、将来のセンターづく
りに向け、研究を重ねている。また、安全就業対策委員会な
ど3つの委員会にも、リーダー格やヴェテランの会員に就任
し、講習会運営や現場パトロールなどに活躍しました。
(個別対策の成果)
・総会に200名を超える会員が出席し、100名を超える
ボランティア会員がその運営を支えた。
・シルバーの日まつりを開催し、80名を超えるボランティ
ア会員がその運営を支えた。
・年間を通じて、約40名の会員が3%ボランティアを達成
し、約160名の会員がボランティア活動を経験した。
・会員理事がセンターの全体運営及び総会、シルバーの日ま
つり等の企画運営の中心として活動した。
・各委員会委員にリーダー格やヴェテランの会員が就任し、
講習会等諸行事の企画運営に参加した。
(6)法令を遵守するため事業・事務の適正化を推進する。
本センターにおいては、平成24年度から労働者派遣事業に
着手し、平成26年度における派遣事業売上は、県内29のシ
ルバー人材センターでトップとなっています。このように本セ
ンターは早期から適正化に取り組んでまいりましたが、一昨年
県内で発生したシルバー会員の死亡事故をきっかけとした奈良
労働局の立入検査において介護施設との請負契約が是正指導を
受け、最終的に解約となりました。施主様、センター、会員共
に就業場所での指揮命令や混在には気をつかっていただけに残
念な結果であり、またセンターにとっては優秀な会員を喪失し
たことで売上の数字以上の損失となりました。なお指導案件と
類似の契約についても併せて見直しを行いました。
(個別対策の成果)
・公益法人のルールに則り、事務・経理等を適切に行った。
・就業中に知った顧客または第三者の個人情報の厳守をシル
バー人材センターニュースで啓発した。
・就業の適正化について、就業適正化委員会を設置した。
・事務局においては、依頼案件を請負で受注できるか、派遣
であれば可能かを的確に判断し、問題が認められる場合は、
受注の断念も含め、法にかなった対処を行った。
(7)収支均衡を保ち事業の永続に努める。
平成26年度は、請負・派遣とも契約解除が相次ぐなど、収入
面でマイナスの状況であったが、機材等の新規購入は比較的少
なく、収支はほぼ均衡であった。