J.ブラームス「ドイツ・レクイエム」アルヴォ・ぺルト

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2001年9月11日。アメリカ同時多発テロ事件が起こった
でしょう。一人一人の心が穏やかになり、憎しみが消え、大き
の公演に出演するためです。そのときの記憶は今でも鮮明に
そこに、
平和が生まれ育ってゆくのではないでしょうか。
日、
私はワシントンにいました。
ワシントン・ナショナル・オペラ
思い出されます。町は瞬く間に厳戒態勢となり、手が届きそ
うなところに軍の飛行機が飛び交い、物々しい武装をした人
たちが街を包囲し、人々が街から逃げ出すために大渋滞とな
り、街行く人はパニックとなり・・・、戦争はこんなふうにして
始まるのかと思うほどでした。テロを警戒するため「人の集ま
るところに行かないように」とニュースでも繰り返し放送され
ていました。
しかし、
驚くべきは、
テロに屈しないという姿勢か
ら、すぐに経済は動き出し、学校や会社も開かれ、オペラも次
の日から再開されたことです。劇場が、ホワイトハウスのほど
近く、
襲撃されたペンタゴンの隣の駅にあるにもかかわらず、
公演は通常のとおりに行なわれ、
当日は、
ほぼ満員となった観
客がスタンディングとなり、
舞台の私たちに
「ありがとう、
芸術
が平和を呼ぶように!」
と拍手とともに大きな勇気を送ってく
ださいました。テロ直後の公演こそ、私にとって音楽の力が人
の心を一つにする瞬間を目の当たりにした貴重な経験となり
ました。街ゆく人が「God bless you」と言って見知らぬ私に
まで声をかけてくださり、みんなが積極的に心を一つにして
いる様子は、感動するほどでした。音楽が持つ懐の深さと、
愛のような大きな力を、私はこのときに身をもって感じること
ができ、その経験こそが、私の人生を、音楽の道へと強く導い
ていったように思います。
「平和とは何だろう」とこの時期になると思い返します。危
機に瀕しても人々が一つになれる強い心を持てること、それ
が平和へつながり、どんなテロにも壊すことのできない絆を
つくるのだと、あの時に教えられたように思うのです。たとえ
戦争が無くても、貧困や差別があり、飢えに苦しみながらた
だ命をつなぐ暮らしを強いられるようでは平和とはいえない
な意味で人を愛し、思いやり、助け合える心の余裕があって、
2011年3月11日。私たちは日本人として東日本大震災を経
験し、決して癒されることのない大きな悲しみから命の尊さ
を思い、
平穏に暮らせることの有り難みを深く考えさせられま
した。そして、亡くなった方を 思い祈ること、被災された方の
気持ちになって悲しみを分かち合うことも、心をひとつにす
ることへつながってゆくということを、被災地でのコンサート
を通じて、
身をもって感じることができました。
私にとって、アメリカ同時多発テロ事件から10年の節目
は、
平和についてあらためて考えるきっかけとなり、
多くの人々
を悲しみの渦に巻き込んだ東日本大震災は、祈りをつなげた
いという思いがつのり、
「愛と平和への祈りを込めて」コンサ
ートのスタートにいたりました。
2011年9月11日にスタートした「愛と平和への祈りを込め
て」コンサートは、私のライフワークとして毎年テーマをかえ
て行なっています。ですから、今年5年目の節目に、大阪で開
催できることは、とても大きな喜びです。大阪は私に挑戦と
夢をくれる熱い街です。毎年のいずみホールでのリサイタル
では新しい作品に取り組むことができましたし、昨年の兵庫
オペラ「椿姫」5公演でいただいた連日のスタンディング・オ
ベーションは、私をオペラ歌手として大きく成長させてくれた
ように思います。
人を愛すること、人を思うことが平和に繋がると信じて、音
楽の力を借りて、大阪の皆様と共に祈り、心を一つにできる
よう精一杯歌います。
平和の輪が人々の心をつないで
いきますように。
森 麻季
森 麻季 Maki MORI
東京藝術大学、同大学院、文化庁オペラ研修所修了後、
ミラノとミュンヘンに留学。プラシド・ドミンゴ世界オペラ
コンクールをはじめ、多数の国際コンクールに上位入賞。
ワシントン・ナショナル・オペラ「後宮からの逃走」でアメリ
カデビュー以来ワシントンとロサンジェルス・オペラに出
演を重ねて成功をおさめる。国内外の著名指揮者および
主要オーケストラとの共演に加えて、ドレスデン国立歌劇
場「ばらの騎士」、トリノ王立歌劇場「ラ・ボエーム」等に出
演し国際的な評価を高める。また、NHKスペシャルドラ
マ「坂の上の雲」メインテーマ、NHK東日本大震災復興
支援ソング「花は咲く」を歌うなど、日本を代表するオペ
ラ歌手として常に注目を集めている。最新CD「翼をくだ
さい∼ベストソングス(エイベックス)」。ワシントン・アワー
ド、出光音楽賞、ホテルオークラ賞、安宅賞受賞。
〈オフィシャル・ホームページ 〉
http://www.makimori.com/
山岸 茂人 Shigeto YAMAGISHI (Piano)
1994年東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、97年同
大学大学院(音楽学専攻)修了。在学中に安宅賞受賞。
2000年よりライナー・ホフマン教授によるドイツ歌曲講
習会を度々受講する。ピアノを川口恒子、渡辺健二、高出
紘子の諸氏に、また、音楽学を船山隆、本田脩の各氏に師
事。声楽の伴奏者としては演奏家から常に深く信頼され、
これまで著名な歌手と数多く共演を重ねる。二期会イタ
リア歌曲研究会ピアニスト。
アルヴォ・ぺルト:弦楽オーケストラのためのスンマ
J.ブラームス
「ドイツ・レクイエム」
J.ブラームス:ドイツ・レクイエム
9/2(金)
19:00 フェスティバルホール S6000円 A5000円 B4500円 Box7000円(全席座席指定)
指揮:岩村 力 管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
演
出演
季出
森
麻季
森麻
独唱:森 麻季 三原 剛 合唱:大阪新音フロイデ合唱団