Title Author(s) Citation Issue Date URL リンパ内細胞の比較解剖学的知見補遺( Abstract_要旨 ) 松下, 薫一 Kyoto University (京都大学) 1966-09-27 http://hdl.handle.net/2433/211961 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 【170 】 松 下 薫 まつ した くん いち 学 位 の 種 類 医 学 博 士 学 位 記 番 号 論 学位授与 の 日付 昭 和 41 年 9 月 27 日 学位授与 の要件 学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当 学位論文題 目 リンパ 内細胞 の比 較解剖学 的知見 補 遺 氏 名 医 博 第 319 号 (主 査) 論文 調査 委員 教 授 堀 井五 十 雄 論 文 教 授 西 村 秀 雄 内 容 の 要 教 授 岡 本 道 雄 旨 著者は未分化, 未発達 なが ら リンパ 節を有す るア ヒル と分化発達 した リンパ 節を有す る数種 の噂乳類 に つ いて比較解剖学上の見地か ら リンパ 内細胞 につ いての検索を行な った｡ 従来の リンパ 内細胞の比較解剖学が リンパ採取 の部位 につ いての充分な考慮が行なわれていなか ったこ とは指摘 さるべ きである｡ 一般 に鳥類で も嘱乳類で も, リンパ節を経 由 しない第一次節前 リンパ は安定性 を欠 き, 比較解 剖学上の 対象 とす るに不適 当である｡ 第一次節前 リンパ はいずれの動物で も部位差の著 しい ことをあげなけれげな らない｡ 源泉領域 にみ るべ き リンパ組織 の存在 しない第一次節前 リンパ は細胞数は少な く, リンパ球系細胞は少な く, リンパ芽球 は 出現せず , 単球が多い｡ これに反 して源泉領域 に リンパ組織 の発達 してい る ものでは, 細胞数 は多 く, リ ンパ 球系細胞は多 く必ず リンパ芽球 を含 み, 単球 は少 ない｡ 両者 い ず れ の 場 合 も少数 の頼粒 白血球 は出 現 し, 鳥類 , 晴乳類 において も差はない｡ 第一次節後 リンパ は安定 し, 鳥類で も噂乳類で も細胞数は多 く, リンパ球系細胞の占める比率 は大で リ ンパ芽球は必ず 出現 し, 単球 出現率 は低 い｡ また通常少数 の貯粒球 は鳥類で も哨乳類で も現われ, これを もって両者間の本質的なちがい とす るわ けにはゆかない｡ 第一次節後 リンパ につ いての鳥類 と晴乳類 との問の差 を求め ると, 単球 出現率が噂乳類では 1 % 以下 , 鳥類では 2 - 3 % とい う点であるが, これは主 と して リンパ 節の単球除却能力の程度の差 に基づ くもので 本質的のちがいではない｡ 少 な くとも リンパ 節のやや発達 した雁鴨 目を例 にとれば, 鳥類 と哨乳類 との問 には, 比較 に供すべ き リンパ採取の部位 の選択 さえ適切であれば, 従来考 え られたよ うな本質的なちがい はない｡ む しろ リンパ 内細胞の比較解剖学の見地 か らすれば, 晴乳類 , 鳥類 を一体 と して, これ と リンパ 節を全 くもたない脂虫類以下 との問 に深 い断層が存在す るもの と言 え る｡ - 1.419 - 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 従来の リンパ 内細胞の比較解剖学が, リンパ の部位的変動 につ いての考慮がほ とんど全 く払われていな か ったことは じゆ うぶん指摘 されるべ きである｡ ことに リンパ 節の分化発達 をみる一部鳥類や哨乳類 につ いては, この点 の考慮 が払われていない研究 は全 く意義がない と言 うて も過言ではない｡ 著者は この点 にかんがみ, ア ヒル , ウサギ, イヌ, ネ コ, モルモ ッ ト, ヤギ につ き, リンパ の部位差 を 厳密 に規制 して, 同一種類 の リンパ につ いてその細胞比較を各動物問 に試 みた｡ これによると第一次節前 リンパ はいずれの動物 において も部位的相違 による変動が大であ って, 比較解 剖学上の検索材料 と して不適 当であ って, 従来 この種 の リンパ と他動物の他部位 の リンパ と比較 したよ う な研究 は比較解剖学上正 当な意義を有 しない｡ これに反 して鳥類 , 哨乳類 を問わず , 第一次節後 リンパ は安定 した リンパで正 に相互比較の材料 に供せ らるべ きものであるが, 鳥類 と哨乳類 とを比較す ると従来言われたよ うな著差はない｡ わずかに単球 出現 率 に若干 の相違 がみ られ る程度であ って本質的な ものではない｡ リンパ 内細胞の比較解剖学的見地 か らみ れば, 噂乳類 , 鳥類 は一体 とな って, は虫類以下 の リンパ節を もたない リンパ と鋭 い対立を示す もの と言 い得 るのである｡ 本論文は学術上有益 に して医学博士 の学位論文 と して価値 ある もの と認定す る｡ - 420 -
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