熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System Title Quorum sensing阻害物質による緑膿菌の病原性制御 Author(s) 右山, 洋平 Citation Issue date 2016-03-25 Type Thesis or Dissertation URL http://hdl.handle.net/2298/34548 Right 右 山 洋 平 氏 の 学 位 論 文 審 査 の 要 旨 論文題 目 Quorum (Suppression sensing of Pseudomonas 阻 害 物 質 に よ る緑 膿 菌 の 病 原 性 制 御 aeruginosa Virulence by Quorum-Sensing Inhibitor) 緑 膿 菌 は 日和 見 感 染 症 の 代 表 的 な 原 因 菌 で あ り、 再 発 や 慢 性 化 、 多剤 耐 性 化 の た め に難 治 性 とな る こ と も 多 く、 新 た な 治 療 戦 略 の 開 発 が 必 要 で あ る 。 緑 膿 菌 を は じめ と した グ ラ ム 陰 性 菌 の 多 くは 貼acylhomoserinelactones(AHL)を 介 す るQuorumsensing機 お り、近 年 、 このQuorumsensing機 酵 素AiiMが 構 を用 い て病 原 因子 の 発 現 を制 御 して 構 が 治療 タ ー ゲ ッ トと して 注 目 され て い る。 本 研 究 は 、AHL分 解 、緑 膿 菌 の病 原 性 に 及 ぼ す 効 果 の 解 明 を 目的 と して 実 施 され た 。 プラ ス ミ ドpMJT1に ∂〃〃遺伝 子 を組 み 込 み 、AiiMを ア ラ ビノー ス で誘 導 で き るベ ク ター を作 製 し た 。 この プ ラ ス ミ ドベ ク タ ー を用 い て 、 緑 膿 菌 標 準 株Pseu(㎞o佃3∂eruginosaPAO1の い 、invitroに 形 質 転 換 を行 お けるAHL濃 度 、毒 素 の 産 生 、細 胞 障 害性 を測 定 した 。 さ らに 、SPFマ ウ ス(ddY系 6週 令 、 雄)に 、 緑 膿 菌=1.Ox10'cfu/mouseを 、 気 管 内 投 与 し、急 性 肺 炎 モ デ ル を作 製 した 。 この モ デル に お け る マ ウ ス の 生 存 率 、 各 臓 器 の 生 菌 数 、 肺 病 理 組 織 、 な らび に気 管 支 肺 胞 洗 浄 液 中の サ イ トカ イ ンに つ い て 、 コ ン トロー ル株(PAO1/pMJT1)感 染 群 とa〃 〃遺 伝 子 導 入 株(PAO1/pMJT1-aiiM) の 感 染群 とで 比較 を行 った 。 そ の結 果 、PAO1/pMJT1-aiiMの 培 養 上清 中 に含 まれ るAHL濃 度 は、コン トロー ル株 よ りも減 少 して い た 。同様 に 、ピオ シア ニ ンや エ ラス ター ゼ の 産 生 、肺 胞 上 皮細 胞 株(A549 細 胞)へ の 障 害性 も、PAO1/pMJT1-aiiMに お いて 有 意 に低 下 して い た。 マ ウ ス急 性 肺 炎 モ デル で は 、 コ ン トロー ル 株 の感 染 群 で は72時 間 以 内 に ほ ぼ100%の 感 染群 で は7日 後 の 死 亡 率 が25%で マ ウ スが 死 亡 したの に対 し、PAO1/pMJT1-aiiM あ り、 生 存 率 が 大幅 に 向 上 して い た 。PAO1/pMJT1-aiiM感 染 群 は 、 コ ン トロー ル 株 と比較 して 肺傷 害 が 軽 度 で あ り、 気 管 支 肺 胞 洗 浄 液 中の 炎症 性 サ イ トカ イ ン も低 い傾 向 が見 られ た 。感 染24時 間 後 の 肺 内 の生 菌数 は両 群 で 明 らか な 差 は な か った が 、脾 臓 や 血 液 中か ら検 出 され る 生 菌 数 はPAO1/pMJT1-aiiM感 審査 で は 、1)AHLに よ る病 原 因子 の 発 現 調 節 機 構 、2)AHLを 緑 膿 菌 の抗 菌剤 耐性 機 構 、4)AHLの 6)緑 染 群 で 有 意 に 少 な くな って いた 。 膿 菌 の細 胞 障 害 性 、7)感 標 的 と した 治 療 薬 開 発 の 可 能 性 、3) バ イオ ア ッセ イ 方法 の分 子種 特異 性 、5)AHLの 染 病 巣 にお け る菌 の 排 除 、8)緑 転写制御機構 、 膿 菌 の 感 染 経 路 、9)留 置 型 デバ イ スへ の応 用展 開 な どに つ い て 活 発 な 質 疑 が な され 、 申請 者 よ り概 ね 的 確 な 回答 が な され た 。 本論 文 は 、AiiMに よ って マ ウス 気 道 感 染 に お け る緑 膿 菌 の 病 原 性 を大 き く低 下 させ る ことが 可 能 で あ る こ とを 実験 的 に 証 明 し、 難 治 性 の 緑 膿 菌 感 染 症 に対 す る新 た な治 療 法 へ の 応 用 が 期 待 で き る有 意 義 な研 究 で あ り、学 位 論 文 に 相応 しい と評 価 され た 。 審査委員長 微生物学担当教授 藩1猫 裕
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