平成 27 年度 海外研修報告書(米国)

平成 27 年度 海外研修報告書(米国)
薬科学科
森
4 回生
大知
私がフロリダ研修に志願した理由は 2 つあります。1 つ目は、日米の医療制度の違いが米国にもたらす
影響を実際に目で見て体感したいと考えたからです。以前私は「沈みゆく大国アメリカ」というタイトル
の本に出会いました。その本には、2014 年に施行されたオバマケアによって米国の医療は崩壊していると
書かれていました。そこで実際米国の医療現場ではどのような状況であるのか確かめたいと思ったからで
す。2 つ目は、実際に英語圏の地で、英語でのコミュニケーションスキルを向上したいと考えたからです。
これらの理由から、今回フロリダ研修に応募いたしました。
今回の研修を通して印象的だったことはフロリダ大学での授業と、薬局での薬剤師の方のお話です。
まずは、授業です。我々は 2 つの授業に参加しました。1 つは 3 年生の Pharmacotherapy の授業、もう
1 つは 1 年生の Principles of patient centered care の授業です。
3 年生の授業は便秘に苦しむ患者(もしく
は患者の家族)が薬局に来院した際の服薬指
導をロールプレイ形式で学習していました。
生徒はランダムで指名されるため、全員予習
が必要であり、指名された生徒は 100-200 人
の前で服薬指導を行います。実際に指名され
た約 10 名の生徒は誰一人沈黙になる時間は
無く、しっかりと予習をして授業に参加して
いるのが伝わり、生徒の意識の高さを感じま
した。また、医療保険に加入していない人が多いと言われる米国では薬局における薬剤師の服薬指導は大
きな役割を担っているため、米国で薬剤師になる生徒にとっては重要な授業であり、患者の症状に合わせ
た適切な医薬品を選択できる薬剤師を育成するための授業であると感じました。
1 年生の授業は患者との適切なコミュニケーションについて学習しました。具体的には、7-8 人のグル
ープを作り、服薬指導中、患者にかける言葉として適切な表現を選択形式の問題の中から選ぶ授業でした。
実際現場で薬剤師として働く時、患者とのコミュニケーションはもちろん大事であるが、それと同時に医
師やテクニシャンとのチームワークも不可欠です。この授業は、患者とのコミュニケーションを学ぶと共
に、グループで授業を行うことでチームワークも学んでいるのではないかと感じました。
次に薬局での薬剤師の方のお話です。米国の薬局は日本の
薬局と異なる点が多く見られました。例えば、3 ヶ月分処方
され、3 ヶ月経過し再び同じ薬を処方してほしい場合、自分
で薬局に電話すれば病院で処方箋を受け取る必要はなく、そ
のまま薬局から同じ薬を受け取ることが出来ます。このシステムは安全性よりも患者のニーズを重視した
米国らしいシステムだと思いました。日本では、処方箋がほとんど変わらない場合でも、病院にかかり、
処方箋をもらう必要があります。私は現在薬局でアルバイトをしていますが、毎回処方箋の内容がほとん
ど変わらない患者が特に高齢者に多く、そうしたシステムが導入できれば患者の負担を軽減できるのでは
ないかと考えました。ただし、そのシステムは、米国のように薬剤師に権限があってはじめて行えるため、
日本への導入はまた厳しいのではないかと感じました。
薬局へ行った際に、オバマケアが薬局にもたらす影響を薬剤師の方にお聞きしたところ、患者や薬局に
雇われている薬剤師、テクニシャンがオバマケア施行後、保険加入者より無保険者の方が多くなったと語
っていました。また、保険に入らないことで患者の自己負担が大きくなり患者も容易に薬が購入できない
ため、薬局の経営にも大きく影響していると話していました。本来オバマケアは、保険会社に拒絶、破産
をされることなく保険に入ることができ、無保険者を無くすことが目標であったのに、結果的に施行前よ
り保険料は上がり、無保険者は増加してしまいました。実際にオバマケアの影響を聞いて、日本の国民皆
保険制度のすばらしさを感じました。
今回の研修を通して、薬剤師になるためのシステムの違い、学生の授業に対する姿勢の違い、食文化の
違い等、多くのことを現地の薬剤師の方や学生に教えていただきました。また、米国の制度によってうま
れる臨床現場の違いを実際に現地で体感することができ、日本の保険制度について以前より客観的に見る
ことが出来ました。このような貴重な体験をする機会を与えていただいた村山様をはじめ、先生方、フロ
リダ大学の学生に感謝し、今後自身の研究においても、客観的な目をもって研究をすすめていきたいと考
えております。