Title Author(s) Citation Issue Date URL The Orientation Overgrowth of Metal-phthalocyanines on the Surface of Single Crystals( Abstract_要旨 ) Ashida, Michio Kyoto University (京都大学) 1966-11-24 http://hdl.handle.net/2433/212044 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 氏) 田 芦 あし 夫 道 だ みち お 学 博 士 学 位 の 種 類 理 学 位 記 番 号 論 学位授与の 日付 昭 和 41 年 11 月 22 日 学位授与の要件 学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当 学位 論文題 目 TheOr ie nt at i o nOve r gr o wt h ofMe t al pht hal o c yani ne s o nt heSu . r f ae eo fSi ngl eCr ys t al s 理 博 第 162号 (単結晶面上 における金属 フタロシアニ ンの配 向成長) (主 査) 論 文 調 査 委員 教 授 水 渡 英 二 論 文 教 授 小寺 熊 三 郎 内 容 の 要 教 授 高 田 利 夫 旨 金属 フタロシアニ ン化合物を単結晶奨開面上に真空蒸着 し, 薄膜の形態を電子顕微鏡を用いて観察 し, 結晶の方位配 向を電子線回折法によ り決定 して, 下地結晶 とフタロシアニ ン結晶 との相互関係を求めた。 第 1部では下地単結晶 として白雲母奨開 面を用い, 蒸着の条件によ り結晶の方位配向が異な ることを見 00o C にて 1 時間加熱を行 な った後 , 1 50o Cから 1 70o Cの 出 した。 真空中にて下地 白雲母結晶を予め 3 α型) 構 温度範囲に保つ と蒸着膜は一方 向に揃 って成長 した板状結晶か ら形成 され る。 結晶は準安定型 ( 1 0 0 )。。♂ ( 001 )mi。a または ( 001 )。。♂ ( 0 01 )mi。aのいずれか 造 に属 し, 結晶の長辺は b軸方向と一致す る。 ( 00の方 向 と の晶癖を もつ 2種類の結晶が常に混在 している。 また結晶の b軸方 向は下地 白雲母の a 軸 と 6 50o C 以下で加熟 し, 前述の温度範囲以下 の 1 0 0o C か ら 20 0o C に保つ 一致 している。 下地結晶は予め 3 時は, 蒸着膜は 1 20o C の角度で交わる 3方 向に成長 した比較的小 さい板状結晶の綱 目模様か ら形成 され 00の角度を とり, さきに述べた 1方 向配向性結晶 る。 この 3方 向の うちの 1 方 向は白雲母結晶の a 軸 と 6 0o C にて 1時間加熟 された後 ,1 00 と同 じ晶癖を もった結晶が 3方 向に成長 している。 下地結晶が予め 40 C に保 たれ る時は, 結晶は くさび形の外形を とり, 膜は不連続 となる 結 晶 は 白雲母の a o C か ら 200o 。 軸 と6 00 方向の垂直面を鏡映面 とす る C2, の対称性を もつ 4群よ り形成 されている。 結晶の各 軸は下地面 , b, に対 し一定角度で傾斜 している。 すなわち, 白金 フタロシアニ ンの場合は a C 軸が下 地面の法線 に対 し, それぞれ約7 40,3 50 ,1 2 00 の角度を とり, 結晶の ( 21 4 )面が下 地 面 に殆んど平行であ り, 銅 フタロ シアニ ンの場合は a ,b,C 軸が各 々約7 50 ,3 20, 11 80の角度を とり,( 31 豆)面が下地面に殆んど平行 であ る。 下地 白雲母の壁関南は 6回対称性を もつのに対 し, 蒸着結晶群は白雲母の a軸 と 6 00をなす方 向の垂直 面 による面対称性を示 している。 白雲母結晶の a軸 と6 00をなす方 向は積み重な った雲母層の K+ イオ ン のずれの方 向であ り, この ことは蒸着結晶の配位 は表面の K十 イオ ンによ って作 られ る 6角 形 の 網 目に よ り左右 され るのではな く, 雲母層の 3次元的な構造の影響を強 くうけていることを示 している。 - 1 37 - 結 晶軸 に対す る平 面分子 の傾斜 か ら考 え る と平 行 b 軸方 向を とる結 晶で は分子面 が下 地結 晶面 に斜め に 立 ち, 斜立 b軸配 向を とる結 晶で は分子面 が下 地 表面 に殆 んど平行 に位 置 して い る。 白雲母 の構造水 は真空 中で は 400o C 前後 か ら結晶構造 を破壊 す る ことな しに徐 々に脱 離 を始 め る。 フ タ ロシアニ ンの よ うな縮 合 多環 芳香族化合物 は水 と強 く反摸 しあ うために, 構造水 の存在 す る時は フタ ロ シアニ ン分子 は反 槙力の ためにで きるだ け雲母 表面 か ら離 れ た状態 , す なわ ち分子面 が直立 した状態で雲 母面 に接触す る。 一方 白雲母 を 40 0o C に加 熟 して表面層 の近 くの構造水 が脱離 した状 態 で は フタ ロシア ニ ン分子 と下 地面 との反 醸力 が減少 して分子面 が雲母 奨開面 に平行 に接触 して来 る もの と考察 した。 第 2部で は, アル カ リ- ライ ド単結 晶の奨開面 を下 地面 と して用 い, その上 に蒸着 した鋼 フタロシアニ ン結 晶の形態 と方 位配 向を調べ た。 塩化 カ リウム努開面 への蒸着 の初期段 階 にお いて は, 下 地壁開面 の階 段 の所 には微細 結 晶が集 ま り, 装飾 模様 が見 られ , 平滑 な面 には大 き く成 長 した樹枝 状結 晶が見 られ る。 これ は蒸着結 晶の核 形成 速度 と成 長 速度 が下 地 壁開面 の地形 によ り異 な るためで , 結 晶の方 位配 向は変 ら 31 台)面 が下 地面 と平行 に配列 し, フタ ロシアニ ンの平 面分子 が下 地面 に平行 ない。 す なわ ち, 結 晶の ( 1 00〕 軸 と 〔 01 0〕 軸 を含 む 2重直面 を に接触 して い る ことを示 して い る。 蒸着膜 は塩 化 カ リウム結 晶の 〔 対 称面 に とる C 。 , の対 称性 を もつ 8 種 の異 な った配位 を持 った結 晶癖 が形成 され る。 臭 化 カ リウム上 の蒸着結 晶 は塩化 カ リウム上 の結 晶 とよ く似 た形態 を とるが , 配 向性 は幾分異 な って い 31 5)面 を下 地面 に平行 に と り, 臭 化 カ リウム結 晶の 〔 1 00〕 軸 と 〔 01 0〕軸 を含 む 2つ の垂直 る。 結 晶の ( 面 を対称面 とす る C 4 , の対 称性 を もつ 8 種 の結 晶群 か ら形 成 されて い るが , 各群 中の結 晶 は 対 称面 に対 し+1 20または -1 20の角度 内で 自由に回転 した方 向を と って分布 して い る。 以上 の結果 , フタロシアニ ンのよ うな大 きい分子 によ って構成 され る分子性結 晶 も単結 晶奨開面上で方 位配 向を と って成 長 し, 配 向成長 は下 地結 晶の表面層 のみな らず , その 3次元 的構造 の影 響 を受 ける こと を見 出 した。 また下地面 に定着 した 1 分子 の配位 によ り蒸着結 晶の配 向が決定 し, その後 の分子の積 み重 な り方 によ って対 称面 を もった結 晶群 に成 長す る と結論 した。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 単 結 晶の一 定格子面上 に真空蒸着 させ た結 晶性 薄膜が下 地 の原子配列 に従 って方位配 向成 長す る ことが 見 出 されて い る。 蒸着物質 と して従来 は金 属や無機化合物が用 い られ たが , 申請者 は分子結 晶を作 るフタ ロシアニ ン化合物 を用 いて興 味 あ る結果 を えて い る。 第 1 部で は, 白雲母 奨開面上 に各種 の金 属 フタ ロシアニ ンを蒸着 した。 下地 の 白雲母 の処理 温度 と蒸着 200の角度で交 わ る 3方 向に 時の温度 で配 向方 位を異 にす る。 予熱温 度が低 い場合 には, 蒸着膜 はお互 に1 成 長 した比 較的小 さい板 状結 晶の網 目模様 とな り, この板 状結 晶の長辺す なわ ち, b 軸が下地面 に平行 に な って い る。 しか るに予熱温度 を 400o C にす る と, 蒸着膜 は不連続 な くさび状 結 晶 とな り, b 軸 が下 地 面 に対 し斜立す る ことが見 出 され た。 0A の 四角板 状 を して い るが , この分子 面に注 目す る と, b 軸斜立 の と フタ ロシアニ ン分子 は一辺約 1 き分子 面は下 地 面に 平行 とな り, b 軸平行 の とき分子面 は斜立す る ことにな る 。 白雲 母の構造水 は 40 0o C で結 晶構造 を破壊す る ことな く脱離す る。 フタ ロシアニ ンのよ うな縮合 多環 芳香族 化合物 は水 と強 く反 摸 -1 3 8- す るので , 構造水 の存在 す る とき分子面 が直立 し, それが な くな る と反 掩 力の減少 によ って分子面 は雲母 面 に平行 して安定 に接触す る と考 え た。 b軸平行 の場 合 にお いて , と くに蒸着温度が 1 50-1 70o C の ときフタ ロシアニ ンの板 状結 晶 は一方 向に 大 き く成長 し, その b 軸 は雲母 の a軸 と 6 00に配位す る。 この方 向は雲母 の層 状結 晶の積 み重 ね にお いて K+ イオ ンのず れ の方 向に一致す る これ よ り蒸着結 晶の配 向は単 に下地表面層 の原子 配列 によ り左 右 さ 。 れ るのみな らず , 内部層 の影 響 を考慮す る必要 の あ る ことを始 めて見 出 した。 第 2 部で は, アル カ リ ・ - ライ ド単結 晶の奨開面 への銅 フタ ロシアニ ンの方位成 長 につ いて同様 な研究 を行 な った。 この場合 は, 結 晶の b 軸が斜立 し, フタ ロシアニ ン分子面が下地面 に平 行 とな る。 フタ ロシ C 電子密度 は, イ ソイ ン ド- ル環を結 ぶ窒素原 子上 で最 も大 きいので , この窒素原子 と勇 アニ ン分子 内の 7 開面 にある- ロゲ ン ・ イオ ンが接触す る と考 え られ る。 要 す るに, 蒸着粒子 が分子 の場合 には , 先ず 1 個 の分子 が下 地面 に定着す る ときにす で に下地 の結 晶構 造 によ り配位 し, その後 の分子結 晶の成 長方 向 も下 地 の結 晶構 造 によ り決定 され , しか も下 地 結 晶の表 面 層 の原子配列 の みな らず , 3次元 的 な構造 が影響す る とい う重要 な結論 を得 た ことは高 く評価 す る ことが で きる。 また, 参考論文 1 0編 の大部分 は, 金 属 フタ ロシアニ ンの結 晶構造 , 結 晶成 長 と相転移 に関す る研究 で あ り, いず れ も価値 あ る もので あ る。 以 上 のよ うに, 申請者芦 田道夫 の学位 申請論 文 は, 分子結 晶を用 いて単 結 晶面上 の配 向成 長 につ いて詳 細 な実験 を行 ない, 重要 な結論 を得 た もので あ って , この分野 の進歩 発展 に寄与す る ところが大 きい。 よ って , 本論文 は理 学博士 の学位論 文 と して価値 が あ る もの と認 め る。 - 1 3 9 -
© Copyright 2024 ExpyDoc