Title Author(s) Citation Issue Date URL Kinetics of Diffusion-Controlled Free-Radical Polymerizations( Abstract_要旨 ) Nishimura, Norio Kyoto University (京都大学) 1966-11-24 http://hdl.handle.net/2433/212042 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University ー 村 むら 学 46 生 【 山 範 氏 学 位 記 番 号 論 学位授与の 日付 昭 和 41年 1 1月 24 日 学位授与の要件 学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当 学位論文題 目 Ki ne t i c sofDi fus i onCont rol l e d Fre eRadi c alPol yme ri 2 : at i ons(拡散律速段 階におけるラジ カル重合の動力学) 論文調査委員 教 授 大 杉 治 郎 博 お土 理 的博 学 位 の 種 類 西 にし 理 第 160号 (主 査) 論 文 内 教 授 国 近 三 吾 容 の 要 教 授 波 多野 博 行 旨 ビニル化合物 に関す る動力学 (反応速度論) 的研究 は1 9 50 年頃よ り広 く研究 され , 重合機構 な らびに重 合 に及ぼす種 々の因子の効果 は充分 に論議 されているが, これ らの研究 はいずれ も重合の初期段階の研究 よ り得 られた結果 に基づ くもので ある。 しか し比較的低温 における塊状重合では例外 な くゲル効果 が起 こ り, この効果 の拡 散律遠 の段階における反応速度論的研究 はかな り立 ちお くれている。 申請者 は この点 に興味をいだ き, さらに発表 した d e a de nd重合の理論 (参考論文) に基づ き, ゲル効 果 とい うあいまいな概念 を さらに明確 にす るために, スチ レンおよび メタ ク リル酸 メチル ( MMA) の塊 状重合 につ きゲル効果 の起 こる領域 における重合速度, 重合率 , 分子量分布 , 連鎖 の停止な らびに移動の 問題 を詳 しく検討 して いる。 主論文第 1 部 において は, スチ レンの塊状触媒重合 における異常性 につ いて吟味 している。 すなわち, e a de nd 理論 触媒濃度を変化 させて反応の全過程 にわた って重合速度を膨脹計および重量法で追跡 し, d 0% まで は殆 ど理論式 と一致す るが , それを こえると徐 によ って予測 され る値 と比較 している。 重合 は約2 々に第 1の加速が起 こる。 重合率が4 0% を こえると更 に加速が著 しくな る第 2の段階が ある。 そ して急速 に極限重合率 に達す ることにな る。 停止が再結合機構 によるもの と仮定すれば, ある重合率 x まで に生 じた高分子の数平均重合度 PTn が 計算で きる。 計算値 と実測値 を比較す ると, 重合速度の加速 に対応 して 戸nも異常 に増大す る。 Pn ∼xの 界重合率 xc が あ り, xc 以上で は,予n<o とな る。 申請者 は この xc をゲル生成 の尺度 とし, xc を こえ るとラジカル に関 して定常状態が もはや成立 して いない ことを指摘 している。 ゲル効果 の結果 として高重合度の高分子が生成す ることによ って分子量分布 に も変化 を及 ぼ し, 高重合 度側で分布がのび ることを明 らかに している。 主論文第 2部で はスチ レンおよび MMA の塊状蚕合 の拡散律速段階における問題 を扱 ってい るが, 特 -1 3 1- に架橋機構 を詳 しく吟味 している。 ビニル単量体 の重合で は反応 の進行 とともに体積が収縮す るが, これは速度論では重要な問題で ある。 この点 に関す る To bo l s ky の式を修正 して, これ に基づ いて速度の異状性 を吟味 し, スチ レンについて は同一 の結果 を得たが, MMA はスチ レンよ りも加速が著 しく, 初期よ りも加速がみ られ ,3 0%を こえる と爆発的 に反応が進行す る。 また極限重合率が温度に依存す ることか ら系のガ ラス化 によ って ラジカルが 0 0%に達 しない ことが理解 され るが ,ESR スペ ク トルの測定 によ って 凍結 され ると考えると, 重合率が 1 0 1 5s pi ns / ml以上の ラジカルが埋れて存在す ることを実証 している。 反応 の終期 には 1 MMA の ラジカル濃度は時間 と共 に増大 し飽和 に達す るが , 飽和濃度 には最適温度が あ り, それよ り高 い温度では ラジカル濃度は急 に減少す る。 この最適温度はガ ラス転移の温度 T g に対応す ると考え られ , Tg 以上 に温度をあげるとさ らに重合が進行 して遂 に完結す ることを明 らかに している。 分子量分布 よ り求 めた 戸n と重合率 x との関係をスチ レンな らびに MMA について比較す ると, ス MMA チ レンで は x c 以上で急激 に架橋度が増大 し, ポ リマー分子 の正味の消失が著 しく起 こるのに反 し, で は架橋度は初め増加す るが , 次第 に飽和 し, 見 かけの停止反応 の消失 によ って ポ リマ- 分子が生成 しな くな る。 両者 の差異 は要す るにスチ レンでは 2重結合の ところで架橋が起 こるのに対 して , MMA で は不 均化停止反応 によ って生成す る 2 重結合が架橋 に重要な役割 を演 じて い る の で あ る ことを明確 に してい る。 1編 あるが, その うち 6編 は有機過酸化物 の反応性 に関す る共著論文で あ り, 他 は レオ ロジ 参考論文 は1 ーに関す る もの 2編 , 沃化銀 に関す るもの 2編がある。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 重合反応の速度論的研究 は主 として重合 の初期過程 に基づ いて展開 され, スチ レンなどよ く知 られた ビ ニル単量体 の重合機構な らびに開始剤 , 溶媒 , 置換基な どの効果 は定量的な吟味がな されている。 しか し 比較的低温 における塊状重合がかな り進行 して , いわゆ るゲル効果 の起 こる条件での速度論的研究 は立 ち お くれた現状で ある。 申請者 はゲル効果 の起 こるよ うな条 件 に お け る速 度論的研究 をスチ レンおよび メ タ ク リル 酸 メチル ( MMA) の塊状重合 につ き行な った。 主論文第 1 部では, スチ レンにつ き重 合 反応 が 充 分 に進行 す る ま で 速 度 を追跡 し, 共著で発表 した de ade nd 理論 の予想 と比較 して , 体積収縮 の補正の重要 な ることを確 かめ, 重合率 2 0%以上 における加 速 を吟味 して, ラジカルの定常濃度が成立 しない こと及び高重合度側の分布 の増大す ることを証 明 してい る。 主論文第 2部では, スチ レンおよび MMA の塊状触媒重合 につ き, ゲル効果 の起 こる拡散律遠の過程 につ き吟味 し, 特 に架橋機構を論 じている。 スチ レンに比べ ると MMA の重合 は加速が著 しく起 こ り, 重合率3 0%に達す ると, 爆発的 に進行す る。 生長の速度定数 k b よ り計算 出来 るラジカル濃度は, ゲル効 果 の起 こる重合率 xc よ り急激 に増大 し, ガ ラス化 による埋れがお こる。 この ことは MMA の ラジカル 濃度を ESR によ って検 出す ることによ り確 かめ られてい る。 すなわち, ラジカル濃度は時間 とともに増 -1 3 2- 大 し, 飽和 に達す る。 この値 は温度によ って異 な るが, ある最適温度 (110o C)で, 濃度は最 も高 くな り, それよ り高い温度では ラジカル濃度 は急 に減少す る。 この最適温度 はポ リマーのガ ラス転移点 に対応す る と考え られ, これよ り高温では ラジカルの運動が盛んにな って, 更 に重合が進行 して完結 に至 ることを明 らかに している。 重合の進行 に伴 う架橋は, スチ レンについては反応 とともに急激 に増大す るが, MMA では増大 はす る が, 著 しくはな く, 一定値 に向 うことを明 らかに し, これは不均化停 止によ って生ず る二重結合が架橋 に 役割を果 して いるためであることを証 している。 その他拡散律速での速度式重合度分布の補正 , 停止速度定数 kt と粘度 との関係の吟味な ど重合反応 の 速度論 における重要な る知見 を得ている。 このよ うにスチ レンおよび MMA の塊状触媒重合を比較的低温 で行な った場合 , 初期の段階は従来の 速度論的取 り扱 いで充分説明出来 るが, 反応が進行す るに従 って速度, 重合度, 分子量分布 に異常性が あ らわれ る。 これは系の粘度増大 によるゲル効果 と して あいまいに説 明 され て き た が, この異常性 を吟味 し, 架橋機構 が重要 な ることを指摘 して速度論 の進歩 に寄与す ること大で あると考 え られ る。 参考論文は, 共著の有機過酸化物 に関す る もの 6編 , その他計 1 1編で あ って , 申請者 の物理化学 におけ る広 い知識を示 し, 特 に反応性 に関す る深 い学識 のあることを知 ることがで きる。 要す るに, 主論文 に示 された研究 は, 重合反応 の速度論 の未開拓な分野を進歩 させ た もので , この分野 の学術の進歩 に寄与す るところ多大で あ り, 参考論文 に示 された学識 と併せ考 えると, 申請者 の論文 は理学博士 の学位論文 と して価値が あるもの と認 める。 -1 3 3- 西村範生
© Copyright 2024 ExpyDoc