動物の形態、行動、適応進化 キーワード 金沢 謙一 教 授 ■ 理学部 ■ 生物科学科 進化、生態、行動、形態、動物 身近に生息する動物の形や行動の不思議を研究しています。扱っている動物は、ウ ニ類や貝類などの水棲動物、トカゲやヘビなどの陸棲動物と様々で、これらが持つ 形や行動の由縁や意義を生息場所での観察、様々な実験、分子系統学的解析等の手 研究概要 法を用いて調べています。すべての生物には祖先があり、その形も行動も、進化の 長い歴史の結果として、現在の状態に落ち着いています。そこには、極めて合理的 だと感心する一方、ちょっと無駄ではないかと思われるものまで含まれています。 その由縁は過去の歴史にあります。どの祖先から来たのか、祖先はどの様な生活を 送っていたのか。このように過去の歴史と現在との妥協の産物として生物を扱い、 研究を進めています。 デジタルマイクロスコープ 水槽実験 現代の生物学では、いわゆる「ライフサイエンス」と呼ばれる分野にあるように、 すぐに何かの役に立つとかお金儲けにつながるような実学が流行していますが、 研究の 特徴・比較・ 優位性 もっと根源的な自然の仕組みを解き明かす、いわば自然に挑んで行く分野もあるの です。大学が本来、文化教養を学び高める場所であることを考えると、進化生物学 は、まさしく大学における学問ではないかと考えています。実際、この分野は会社 や専門学校で学ぶことはできず、また、経済中心の発展途上国の大学にはまず存在 しません。しかし、そこでのものの捉え方は、世の中を俯瞰し、道理を考えること に通じています。 応用研究 ■ 基礎研究 基礎研究 今 後 の 展 望 我々の周りに暮らす生物のほとんどは、その生態がよく分かっていません。それでも自 然界を構成する生命のひとつとして存在しています。今後とも、様々な生物の形と行動 に着目して、その存在の意味を探って行くつもりです。また、ウニ類に関しては、西太 平洋諸国の研究者と協力して、この地域の化石から現生種までを網羅して、分類と生態 を中心にDNA解析も含めた総合的な研究を行う予定です。20世紀から21世紀にかけて大 発展した生物学の知見の上にまとめられたこの研究は、未来の研究者にとっての重要な 礎になると確信しています。 MESSAGE I N F O R M A T I O N 著書:古生物学辞典(2010年)、ウニ学(2009年) 、 実学を意識しない進化生物学の研究ですが、それ 故、目先のことだけに捕らわれず、大局を見て、時間軸 動物たちの気になる行動(1)(2002年)、ヒト デ学(2001年)、古生物の科学第3巻(2001年) 他。 を考慮した四次元の中に、対象とする事物を見ることを得 論文:Adaptive morphology for living in shallow 意とします。物事に対するこの発想と理解は、生物活動のあ water environments in spatangoid echinoids らゆる場面に適用が可能です。人間活動も生物活動であり、 その理解のための大枠と本質は、進化生物学的発想と理解に ヒントを求めることができます。現在の具体的な事案は、 その道の専門家の解析で当面の対処は可能でしょう。 しかし、その事案を含む大局と歴史を考慮し、こ の先10年、50年、100年の計を立てることは、 (2013) 他。 所属学会:日本動物学会、日本古生物学会、 日本生態学会、日本地質学会、日本ベントス 学会、英国古生物学会。 その他:放送大学面接授業:機能形態学(2013 -) 今の日本ではとても重要であると 思われます。 問い合わせ先:産官学連携推進課 神奈川県横浜市神奈川区六角橋3-27-1 TEL:045-481-5661(代) [email protected]
© Copyright 2024 ExpyDoc