国内・海外共に浄化槽 ビジネスの拡大を図るフジクリーン

水泥新聞
日本に初めて浄化槽が設置されたのは1911年︵明
治 年︶。と は い え、当 時 の 浄 化 槽 は 汚 水 を タ ン ク に 溜
め腐敗・分解させるだけで、汚水を﹁浄化﹂させるとい
うにはほど遠い代物であった。その後、浄化槽の技術は
着 実 に 進 歩 し、1 9 5 0 年︵昭和 年︶に﹁腐 敗 型+散
水ろ床﹂の構造基準が制定、今では独自の技術を搭載し
た性能評価型浄化槽が主流となっている。
フ ジ ク リ ー ン が 浄 化 槽 の 開 発 と 販 売 を 開 始 し た の は
1 9 6 9 年︵昭 和 年︶。そ し て 今、環 境 意 識 の 高 ま り
と共に浄化槽の役割は大きく変わり、日本の水処理技術
は世界から大きく注目されている。
た。放流水に含まれる汚れは
㎎/L、それでもこ
うした浄化槽のおかげでト
BOD
﹁どぶ掃除﹂は、今や死語に
イレの水洗化が進み、人々の
年︶ 暮らしは快適になった。だが
そんな折り、フジクリーン
事となっていた。
で行う﹁どぶ掃除﹂が恒例行
1∼2回は町内の人達総出
を放っていた。そこで、年に
溝にはヘドロが溜まり、悪臭
です﹂と語った。
大きさに懸念を抱いたから
槽が水環境に及ぼす影響の
に踏み切ったのは、単独浄化
た。それにもかかわらず発売
の か、と い う 意 見 も 多 か っ
く、この製品が本当に売れる
型は水道水源域を抱える
で 初 め て 発 売 し た 。C R X
0 2 年︵ 平 成
ク リ ー ン C R X 型 ﹂を 2 0
に 除 去 で き る 浄 化 槽﹁ フ ジ
ていた窒素とリンを同時
化槽では不可能と言われ
の単独浄化槽に比べ大きさ
あ る 。と こ ろ が 、 閉 鎖 性 水
域と呼ばれる海や湖沼で
は水質汚染の改善は思う
よ う に は 進 ま な か っ た 。原
因は生活排水に含まれて
い る 窒 素 や リ ン だ 。水 の 流
出入の機会が乏しい環境
で は 、富 栄 養 化 と 呼 ば れ る
その後も増え続けている。
多くの 市町村で採用され、
14
単独浄化槽ゼロを目指して
単独浄化槽は2000年
年︶に浄化槽法が改
源 を 除 去 す る た め 、小 型 浄
生活排水に含まれる栄養
そ こ で フ ジ ク リ ー ン は
どい悪臭が発生する。
素欠乏で魚が死んだりひ
常 に 増 殖 し 、そ の 結 果 、酸
る 。し か し 、2 0 1 3 年 3 月
努 力 が 義 務 づ け られてい
用者は合併浄化槽へ の 転 換
浄化槽法で、単独浄化槽の使
置が禁止されている。さらに
正、翌年施行され、新たな設
を 栄 養 源 と し て 藻 類 が 異 ︵平成
現 象 が 起 こ る 。窒 素 や リ ン
年 ︶に 世 界
はトイレ排水だけでなく、台
合 併 浄 化 槽 が 徐 々 に 普
日 本 初 の 窒 素 ・ リン
除 去 型 浄 化 槽の開 発
て成功。放流水はBOD
及 す れ ば 、家 庭 か ら 排 出 さ
㎎
/Lとなり、単独浄化槽に比
発 売 当 時 を 知 る フ ジ ク
トイレ以外の生活雑排水は
リーンの担当者は﹁開発した
より前は、家庭用浄化槽とい
家の周りの溝︵どぶ︶や川に
合 併 浄 化 槽K型 は そ れ ま で
えばトイレ排水だけを処理
水環境は改善するはずで
れ るBODの 量 は 減 少 し、
※写真は環境省浄化槽サイトより
べ、はるかに少なくなった。
K型﹂の量産化に日本で初め
用合併浄化槽﹁フジクリーン
排水すべてを処理する家庭
所や洗濯、風呂水などの生活
電 話(052)733-0325
垂れ流しになっていたため、 が 4 倍 も あ り、コ ス ト も 高
▲神奈川県の水道水源の一つとなっている丹沢湖の水質に
それほど問題はありませんが、それでも美しい水を守るため、
地元自治体では生活排水処理対策に取り組んでいます。
発 行 FC水 泥 編 集 室
なりかけているといっても
合併浄化槽の幕開け
44
いい。1984年︵昭和
▲汚れて悪臭を放つ「どぶ」も最近めっきり減ってきた
20
単独浄化槽設置地域の
側溝の例
合併浄化槽設置地域の
側溝の例
第 13 号
国 内・海 外 共に浄 化 槽 ビジネス
の拡大を図るフジクリーン
《残し伝えたい美しい水環境》
する単独浄化槽しかなかっ
◀
12
25
90
44
59
2016 年(平成 28 年)1月5日 火曜日 発行 水 泥 新 聞
(1)
槽の数は未だ約437
置されている単独浄化
︵平成
高 い 評 価 を 得 て お り 、転
た 。C A 型 は 市 場 で 大 変
リ ー ン C A 型 ﹂を 発 売 し
ギ ー な 浄 化 槽﹁フ ジ ク
が適切な衛生施設を利
民の
世 界 中 に は 今 な お 、国
刻化している。
じように水質汚染が深
槽法が改正された20
化 槽 を 作 ろ う と、浄 化
ちが歓声を上げて水遊
都 会 の 中 に も 、子 ど も た
今から
フ ジ ク リ ー ン の 海 外
賞 ﹄を 受 賞 し た 。
水 大 賞 経 済 産 業 大 臣
く語っている。そのため、 化 槽 ビ ジ ネ ス を 発 展 さ
させ、施工やメンテナン
くの国々の技術者を来日
水環境の改善を求める多
リ ピ ン 、セ ブ 島 で 行 わ れ
折りしも
いる。
せていきたいと考えて
世界のスタンダードに
フ ジ ク リ ー ン は 浄 化
槽のリーディングカン
パ ニ ー と し て、常 に 水
環境問題に正面から向
き 合 い、社 会 が 求 め る
浄化槽の開発と普及に
努 め て き た 。そ し て こ
れからの未来に向け
て、世 界 の 水 環 境 改 善
に 積 極 的 に 関 わ り、浄
年に創設さ
年間にわたり、環境
種の絶滅など地球環境問題は深
して今、温暖化、資源の枯渇、生物
た取り組みが表彰されてきた。そ
るため、時代の要請に応える優れ
保全や環境の質の向上に貢献す
れた。以来
叫ばれていた昭和
﹁環境賞﹂は公害問題の解決が
社会ニーズに応えて
環境賞を三度受賞
したい。
しいチャレンジに期待
年 ︶、フ ジ ク リ ー ン の 新
2 0 1 6 年︵平 成
話170号掲載︶
を 集 め た 。︵ 詳 細 は 水 の
国から高い関心と賛同
活 用 す べ き ﹂と 講 演 、 各
本の浄化槽の優位性を
を 解 決 す る た め に は 、日
は 、﹁ 世 界 の 水 環 境 問 題
工 業︵ 株 ︶渡 辺 嘉 一 社 長
に お い て 、フ ジ ク リ ー ン
た2015年APEC
月 に 、フ ィ
ス技術の研修実施に力を
▲維持管理の重要性の説明を受けるインドからの訪日視察団
年 ︶末 時 点 で 設
万 基 に の ぼ る 。こ れ は
換促進が期待される。
用 で き な い 国 が 、 中 国 、 入れている。
%を超える人々
合併浄化槽の約333
万 基 を 上 回 る 数 字 だ。
ん あ る 。そ こ で 今 、 日 本
の浄化槽に大きな期待
が寄せられている。
たゆまない環境保全・
改善活動を目指して
フ ジ ク リ ー ン は 水 環
境と生態系の回復のため
の啓発活動に真剣に取り
組 ん で い る。そ の 企 業 活
00年頃から開発に着
びのできる川がたくさ
担当者は﹁浄化槽は適切
りと広め、伝えていかな
日本のスタンダードを
インドをはじめたくさ
併浄化槽への早期転換
が 欠 か せ な い 。し か し
現 実 問 題 と し て、い く
ら使用者が合併浄化槽
に転換しようとして
も、浄 化 槽 の 大 き さ が
ネックとなって断念す
る ケ ー ス も あ る 。そ こ
で 、フ ジ ク リ ー ン は 、単
独浄化槽を掘り起こし
た場所にそのまま設置
浄化槽の新たな使命
手 し た 。そ し て 研 究 を
ん あ っ た 。し か し 、 日 本
な維持管理があって初め
動に対して、2008年
積 み 重 ね た 結 果、2 0
の経済成長と共に水辺
できるサイズの合併浄
年 ︶に 極
て性能を発揮できるの
回 日本
1 0 年︵ 平 成
環 境 は 悪 化 し 、水 質 汚 染
で、単に製品を輸出する
年︶﹃第
めてコンパクトな浄化
という環境問題を引き
だけではなく、それらの
年 前 は 、 ︵平成
槽﹁フ ジ ク リ ー ンCF
起 こ し た 。以 前 は 後 進 国
∼
型 ﹂を 発 売 し た 。そ し て
その後の経済成長の過
年 ︶ と 呼 ば れ て い た 国 々 も 、 技術やノウハウをしっか
に は 、さ ら に 転 換 が し や
ければなりません﹂と熱
刻さを増し、身近な生活環境も悪
化 を 続 け て い る。こ う し た な か、
環 境 を 守 り、未 来 に つ な げ る 調
査、
研究、
技術・製品開発、
活動に、
画 期 的 な 成 果 を あ げ た 個 人、法
人、団体・グループ等に環境大臣
賞等が授与されている。
フジクリーンK型は1987年(昭和62年)
に
「水環境の改善に対し大きな役割を果たす」
として
『環境賞優良賞』
を受賞した。
K型
フジクリーンCRX型は「窒素リン同時除去できる
初の家庭用浄化槽」として2004年(平成16年)
『環境賞優秀賞』と『環境大臣賞』をダブル受賞した。
第14回 環境賞
▶
水 環 境 の 改 善 に は、合
▲合併浄化槽に入れ替えたことできれいになった川
程でかつての日本と同
2015年︵平成
10
28
50
20
受賞
W受賞
受賞
60
優良賞
第31回 環境賞
第38回 環境賞
優秀賞・環境大臣賞
優良賞
50
1987年
2004年
2011年
CRX型
CF型は既設の単独処理浄化槽から合併処理
浄化槽への転換に適した浄化槽として2011年
(平成23年)
に『環境賞優良賞』を受賞した。
CF型
22
11
49
25
す く、し か も 省 エ ネ ル
27
42
2016 年(平成 28 年)1月5日 火曜日 発行 水 泥 新 聞
(2)