第1回美しい宮崎づくり推進有識者会議 議事概要 ○ 意見交換 〔議長〕 ・ まず、宮崎県の沿道修景の考え方等を交えながら、意見をいただきたい。 〔委員〕 ・ 宮崎の沿道修景は、岩切章太郎さんがバス観光のために植栽を始めたのが始ま り。その後、全県公園化構想や沿道修景美化条例の制定により、全県に広がった。 ・ メリハリをつけた方がいい。植栽をするべきところを絞り、自然景観として残 すところは残し、伐採して景観を見せてもいいと考える。 〔議長〕 ・ 宮崎は観光・おもてなしのために、移動空間を更新してきたという実績がある ので、交通関係の方の意見を伺いたい。 〔委員〕 ・ 関東・関西で集客する際、宮崎県は集客力で劣っていないが、他の県もレベル アップしているので、宮崎県も頑張らなければ置いて行かれる。 ・ 日豊海岸は道路脇の樹木が繁茂し、乗用車ではほとんど眺望を楽しめなかった。 法規制により伐採は困難だと聞いていたが、県に相談したらすぐに伐採をしてく れた。障害があっても、みんなで知恵を出し合い、協力する形で条例を作れれば いいと思う。 〔委員〕 ・ 先ほど山梨県の桃源郷の写真が出たが、この景色を見た岩切章太郎さんはいく ら植栽をしても地域の取組に勝るものはないと悟ったという。 ・ 空港でもブーゲンビリアを作り、20年以上地域の人に配っている。 ・ 行政は財政が厳しいので予算を削っている。ボランティアなど、少ない予算で よく見せる方法を考えるべき。 ・ 一方で、ボランティアは事故時の責任の所在など、制約がある。ボランティア でできることとできないことの整理をしていくと、地域の人も一緒になってでき るのではないか。 〔委員〕 ・ 宮崎の人は、花や景観、自然などを見る目が肥えている。県外の人が宮崎の景 観を楽しんでもらっているのは、レベルの高い県民がいるから。一人ひとりが力 を合わせると大きな力になる。 ・ 教育を含めた人づくりを条例に盛り込んで欲しい。小学生・中学生の段階から、 花木や景観に親しいで欲しい。大人と子どもが一緒になって景観を作る場や仕組 みがあるといい。 -1- 〔委員〕 ・ 東九州道では日向市の寺迫ちょうちょ大橋の景観が素晴らしい。 ・ 景観について、高速道では玄関口となるICが重要な箇所になると認識している。 〔議長〕 ・ 交通事業者同士で観光のセミナー等、連携があるのか。 〔委員〕 ・ 宮崎県の観光について、3年前から、交通事業者5社で意見交換を行っている。 ・ 飛行機やフェリー、鉄道で県外からお連れしたお客様を2次交通のバスで観光 地に運ぶ。それも観光バスではなく、既存の路線バスを使えないかということを 検討している。 ・ また、宮崎の子どもたちに宮崎の乗り物に乗ってもらうという取組も行ってい る。 〔議長〕 ・ 観光の観点から、宮崎の景観における課題等について、意見をお伺いしたい。 〔委員〕 ・ 美しい景観を生かすには、花に尽きる。これまでフラワーフェスタをやってき たことにより、県内各地に花の名所ができた。今後はこれをどう生かすか。 ・ 構築物を作って景観を壊すのは一番よくない。再生可能エネルギー、例えば、 太陽光パネルや風力発電用の風車などはある程度制限すべきと考える。 ・ のぼり旗もある程度制限すべき。 〔議長〕 ・ 人が食っていく風景も風景なので、いかにそれを調和的に作っていくかが大事 だし、難しいところ。そこで、事業者の立場から御意見をいただきたい。 〔委員〕 ・ 現在の道路事情は岩切章太郎さんが開発されたときと大きく変わっている。バ イパスができている箇所など、道路の沿道というのをどこに位置付けるのかが気 になる。 ・ 観光という視点で言えば、みんな陸から見た景観について議論するが、海から 見た景観も議論すべき。 ・ 中山間の景観をどうするのか。山の尾根伝いに、太平洋や東シナ海までの景観 をどうしていくのか。 ・ 大型クルーズ船が来ると、観光バスが100台単位で必要になる。それが一般 道を通ると渋滞になる。一方、高速道やバイパスを通るとトンネルの連続で、景 観を楽しめない。何を軸に考えるかがすごく大事。 -2- ・ 新幹線整備との整合性をどう図るのか。新幹線をつくるとすれば防音壁の連続 で、美化と相反する。 ・ 各論の前に総論を十分議論する必要がある。 〔議長〕 ・ 外から来た人にどう楽しんでもらうかが宮崎がどう食っていくかに直結してい ると考えるため、前半は観光に絞って意見を伺った。その中で、理念や、インフ ラ整備と景観をどう両立させるのか、人づくりをやっていく必要性等、沿道美化 の次のステージの意見がすでに出てきたかと思う。 ・ 休憩後、これらの意見を参考にしながら、自由にそれぞれの委員に意見を伺い たい。 ( 休 憩 ) 〔議長〕 ・ 前半に引続き、各委員から意見をいただきたい。 〔委員〕 ・ 延岡 JCT からの五ヶ瀬川沿いには河津桜が植栽されている。これはほとんど市 民ボランティアの手によるもの。いろんな人がこの河津桜の維持に関わっている。 ・ 海岸に打ち上げられた流木の処理も行政だけでやるものではない。みんなが協 力することが大事だと考える。 ・ やれることは県民が自らやるということが基本にあっていいのではないか。 〔委員〕 ・ 今の季節だと早期水稲の風景が美しい。宮崎の原風景。そういう風景が美しい 宮崎づくりの中にあっていいのではないかと考える。 ・ 岩切章太郎さんのように美しい風景を作るのも大事だし、今ある田園風景や里 山の風景をいかに維持していくかも大事。 ・ 何が美しい風景なのか地域みんなで共有し、理念化すること。そうすることで、 ボランティアが向かうべきものが見えてくるのではないか。 ・ 次世代にどうつなげるかが大事。 〔委員〕 ・ 自分の地域を誇れるものにするために、また、交流人口を増やすために取り組 んできたのが、植物の植栽。 ・ 国や県が植えた植栽は地域の人が愛着を持てないので、そのままになってしま う。地域の気候に合った樹木については、その土地に住んでいる人が最もよく知 っている。 ・ 条例は、中心部だけを主体にしたものではなく、中山間地域など各地域の視点 も大事に考えて欲しい。 -3- 〔委員〕 ・ 「守っていく」という価値観の共有が大事。 ・ そして、地域の人だけに限らず、この価値観の共有を伝えていくことも重要で ある。地域の個性をどう発信するか。 ・ 人づくりという話もあったが、この価値観を共有していくことを条例に盛り込 んで欲しい。 〔委員〕 ・ 大きな問題は何なのか、宮崎の強みは何なのかを意識することが大事。 ・ 大きな問題として、消滅可能性都市問題や人口減少問題がある。今までのやり 方を続けてはいけず、人口減少の中で活き活きしたまちづくりへ取り組む必要が ある。 ・ また、将来ビジョンの構築力も問題である。フラワーフェスタの廃止など、こ れまでの成果を生かし切れていない。 ・ 外から来る人も街に住んでいる人も、双方が満足できるアプローチが必要。 ・ 宮崎の強みを考えたときに、一つのコンセプトでまちづくりができるといいと 考える。 〔委員〕 ・ 山梨はぶどうや桃の産地だが、地域にあった景観が形成されている。地域で価 値観を共有することは大事だと思う。 ・ 学生時代に見た宮崎の海の印象が忘れられないが、列車や自動車の車窓からは 海が見えないところが多い。 〔委員〕 ・ スポーツの観点からすると、自転車のロードレースにとって、宮崎の地形は起 伏に富んでいて素晴らしい。 ・ 条例には「安全・安心」という視点を盛り込んで欲しい。 ・ 宮崎を「観る」ではなく、宮崎を「する」という視点もあるのでは。 〔委員〕 ・ 県民運動としてやって欲しい。ただ、行政の掛け声倒れにならないよう、民間 や広い世代を巻き込む仕掛けを工夫して欲しい。 ・ 予算がなくても活動が継続するよう、民間と連携した仕掛けづくりをして欲し い。 ・ 県と市町村の連携を図って欲しい。県は市町村任せにせず、一緒に取り組む必 要がある。市町村、住民、企業がしっかり組めるような体制づくりをして欲しい。 〔委員〕 ・ 道路という線の風景だけではなく、その向こう側も大事で、それを作っていく -4- のが地域住民。また、住民の暮らし方が表れるのが景観である。 ・ 景観という意味では、観光ではなく自分たちの暮らしの中で求めるもの、そう いうものをもっと取り入れて欲しい。50年後、精神的に豊かに暮らしていると いうものを見に来てもらえる、そういうまちにできたらと思う。 〔委員〕 ・ 景観について、日本では「守る」という意識が強いが、欧州は「つくる」とい う意識が強い。 ・ 景観は、「守る」だけではなくて「つくる」という意思が必要である。 ・ 魅力的な街は、食べ物がおいしく、女性がおしゃれで、川の景観が美しいとい う共通点がある。宮崎は、食べ物もおいしく、女性もおしゃれだと評価されてい る。後は川をもっときれいにしていくといいのではないか。 〔委員〕 ・ 好きな色と似合う色は違う。 ・ 主役をどう生かすか。色を考えるときのテクニックとして、色がごちゃごちゃ しているとよくないので、引き算で考える。 ・ 美しい風景は写真を撮りたくなる風景。 〔委員〕 ・ 市街地の中に緑が少なすぎる。 ・ 行政が緑化を戦略として推し進めることが必要。行政機関にスペシャリストを 置くといい。 ・ 維持管理を計画的に行うことが大切だと感じる。 ・ モラルの向上が大事であり、小さい頃から緑に触れることが重要だと考える。 〔委員〕 ・ 拾っても拾ってもゴミが落ちている。もっとモラルやマナーの向上を促進して 欲しい。 〔委員〕 ・ 人づくりと地域の生業というキーワードをぜひ条例に入れて欲しい。 ・ 庁内検討委員会で実際のプログラムを議論されると思う。いい条例ができると 思うので、条例の中に実効性のあるシステムについて謳って欲しい。 〔委員〕 ・ 県土として新たな戦略が必要だと思うが、沿道修景の関係でどうしても観光産 業に引っ張られてしまうことが気に掛かる。 ・ 条例の骨格の中で、推進体制や審議会の間に、県民一人ひとりがどうするのか というコミュニティの問題があると思う。 ・ 顕彰をやって欲しい。沿道修景から50年近く経つので、宮崎からそのような -5- 賞を発信してもいいのではないか。 ・ 教育機能が大事になる。造園技術、景観技術は宮崎に素晴らしいものがあると 発信すべき。 〔委員〕 ・ 美しい景観づくりには広告物の議論が欠かせない。宮崎でも広告物の老化が問 題になっている。 〔委員〕 ・ 自然、農地、市街地などの棲み分けも大事。地域ごとに特性を見極めて整理す るべき。 ・ 管理については県民に頼らなければならないところもある。管理技術をどのよ うに県民に継承していくかも大事。そういう文化を作っていく必要がある。 〔議長〕 ・ これまで沿道修景をしてきたボランティアが、少子高齢化の中で孤立してしま う恐れがあるので、どうやってうまく連携していくかが課題と感じた。 ・ 本日の会議だけでは話し足りないという方も多いと思うので、次回の会議でま た意見を伺いたい。 -6-
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