2016年みずほアジアビジネスアンケート、ベトナムに

リサーチ TODAY
2016 年 5 月 17 日
2016年みずほアジアビジネスアンケート、ベトナムに注目集まる
常務執行役員 チーフエコノミスト 高田 創
下記の図表はみずほ総合研究所が2016年2月に実施したアジアビジネスアンケートの結果である1。図
表は「今後最も力を入れていく予定の地域」を時系列でみたものだ。1999年の第1回調査から中国が一貫
してトップを続けていたが、2012年に初の首位陥落となり、代わってASEANがトップの座についた。昨年
ASEANの比率はやや低下したが、今年は再び盛り返す状況にある。これは、ASEANのなかでベトナムへの
注目が高まったからと考えられる。今年のアンケートの特徴は、東アジア(ASEAN・中国など)への関心が再
び高まり、そのなかでもTPPの関係からベトナムへの関心が高まったことである。TPP域内向けの輸出拠点
化及びTPPルールに基づく国内市場の対外開放への期待がベトナムに対する関心を高めている。ここ数
年、日本企業はアジアの賃上げの影響を深刻に受け止め、さらに円安が進展したことから、生産拠点を国
内回帰させる動きも見せたが、本年初来の円安反転の動きもあって、日本企業には再びアジアへの注力
の姿勢が見える。
■図表:日本企業の「今後最も力を入れていく予定の地域」のトレンド
70
(%)
中国
金融危機
60
50
中国
WTO加盟
40
ASEAN
日中関係緊張
NIEs
30
20
米国
欧州
10
0
1999 2000 01
02
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
インド
中南米
(年度)
(注)資本金 1,000 万円以上の製造業を対象とした 2007 年度以降のアンケート調査結果
(資料)みずほ総合研究所作成
この図表から、景気減速下においてASEANの回答率は2年ぶりに上昇し、日本企業のASEAN重視が続
いていることがわかる。次ページの図表でASEANの内訳をみると、ベトナムの回答率が大きく上昇し、
ASEANをけん引したことがわかる。ASEAN拠点におけるベトナムの重要性の高まりはTPPとの関連が高い。
今回のアンケートでTPP参加12カ国の当面の投資・輸入・輸出拡大先を聞いたところ、投資拡大先としてベ
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2016 年 5 月 17 日
トナムが1位となった。輸入拡大先もベトナムが1位。そして輸出拡大先は、米国に次いでベトナムが2位と
なった。
■図表:今後最も力を入れていく予定の国・地域のASEANの内訳
57.5
59.7
タイ
ベトナム
48.6
41.5
インドネシア
53.5
46.2
23.4
22.2
マレーシア
15.1
15.0
フィリピン
6.8
ミャンマー
2.9
カンボジア
2015年度
8.9
2014年度
5.4
1.7
1.9
ラオス
0
10
20
30
40
50
60 (%)
(資料)みずほ総合研究所作成
下記の図表から、ベトナムは中国からの移転先候補のNo.1であり、TPP参加で輸出拠点としての魅力が
一層増加していることが読み取れる。ベトナムについてはTPPルールに基づく人口9,000万人を要する国内
市場の対外開放への期待から、成長市場としての魅力も高まっている。中国は過剰生産能力を受け、一部
の産業において問題が生じているため、引き続きASEAN、なかでもベトナム、への期待が続くことを確認さ
せるのが今年のアンケート結果であった。
■図表:中国からの移転の実施検討先
バングラデシュ
3.2%
その他
12.9%
カンボジア
3.2%
ベトナム
32.3%
ミャンマー
3.2%
インドネシア
6.5%
中国国内(現在よりも生
産コストが低い地域)
9.7%
タイ
19.4%
フィリピン
9.7%
(資料)みずほ総合研究所作成
1
詳しくは、酒向浩二 「ベトナムへの関心を高める日本の製造業―2016 年 2 月アジアビジネスアンケート調査結果」
(みずほ総合研究所 『みずほリポート』 2016 年 5 月 12 日)を参照いただきたい。
アジアビジネスアンケート調査は 1999 年に開始され、資本金 1 千万円以上の製造業を対象にして今回は 1,100 社から回答をい
ただいた。ここでの地域分類における「アジア」とは NIEs4カ国・地域(韓国、台湾、香港、シンガポール)、ASEAN5 カ国(インド
ネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム)、中国、インドの11カ国・地域を主対象としている。
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