調査研究報告書 - 伊藤つぐや

議員政策研究会
市街化調整区域における
土地活用の規制緩和分科会
調査研究報告書
平成 28年5月 16 日
目
1.調査研究項目
次
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P1
2.委員名簿 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P2
3.調査研究の実施経過
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P2
4.調査研究結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P3~
(1) 都市計画制度
(2) 都市計画マスタープラン
(3) 本市の市街化調整区域の土地利用の現状と課題
(4) 本市の市街化調整区域における開発規制の現状と課題
(5) 他市における規制緩和の状況(事例研究)
5.分科会まとめ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P8~
6.参考資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P10~
1.調査研究項目
(1)調査研究項目
市街化調整区域における土地活用の規制緩和について
(2)具体的内容
平成 27 年2月定例月議会における四日市市開発許可等に関する条例の一部改正によ
り、平成 28 年4月から、人口減少地区における市街化調整区域の既存集落内において自
己居住用一戸建て専用住宅の建築が認められるようになり、既存集落の維持、活性化に向け
た第一歩を踏み出したところである。
全国的にも高齢化が進み、人口減少社会が始まる中で、本市が自治体間競争を勝ち抜くた
めには、土地政策が大きなポイントとなってくると考える。無秩序な開発を助長するのでは
なく、都市計画法の方向性の枠内で、幹線道路沿いやインターチェンジ周辺における店舗、
工場等の開発など、今後、さらなる市街化調整区域の規制緩和を図ることができないのか、
本市の実情に合った具体的な手法の検討やまちづくりの方向性について研究課題とした。
(3)研究手法
①基礎調査
市全体のまちづくりの視点に立ち、都市計画マスタープランを含めた都市計画制
度、市街化調整区域における幹線道路沿いやインターチェンジ周辺及び既存集落等
における開発規制の現状、現在の市街化調整区域の土地利用の方針を調査し、今後
の市街化調整区域における規制緩和の具体的な手法の検討を行った。
②他市事例の調査研究と先進地視察
様々な手法を用いて市街化調整区域における規制緩和を実施している4都市の事
例を研究するとともに、実際に先進地への視察研修を行い、本市の現状に照らし合
わせながら、規制緩和を行うことの方向性や今後のあり方について議論を行った。
③委員間討議
本市における開発規制の現状やまちづくりの課題を整理しながら委員間討議を重
ね、論点の整理を行った。
④調査研究報告書の作成
これまでの当分科会での調査結果や議論を踏まえて、市街化調整区域における今
後の土地利用と規制緩和の考え方を取りまとめ、調査研究報告書を作成した。
1
2.委員名簿
議員政策研究会 市街化調整区域における土地活用の規制緩和分科会
(19 名)
分科会会長
森
智広
委
員
早川新平
分科会副会長
石川善己
委
員
樋口龍馬
委
員
伊藤嗣也
委 員
藤田真信
委
員
荻須智之
委 員
三 木
委
員
川村幸康
委 員
三平一良
委
員
小林博次
委 員
村山繁生
委
員
竹野兼主
委 員
森
委
員
谷口周司
委 員
森川
慎
委
員
豊田祥司
委 員
諸岡
覚
委 員
中森愼二
隆
康哲
3.調査研究の実施経過
(1)平成 27 年 9 月 29 日
・分科会会長及び分科会副会長の互選について
・当分科会の名称について
・平成 26 年度四日市市開発許可等に関する条例改正の振り返りと現状報告について
・今後の当分科会の進め方について
(2)平成 27 年 10 月 16 日
・市街化調整区域における沿道の開発の現状について
・四日市市における今後の考え方について
(3)平成 27 年 11 月 13 日
・前回分科会で確認のあった事項について
・先進地事例の調査、研究について
(4)平成 28 年 1月 19 日
・先進地視察(岡山県岡山市、兵庫県川西市)
(5)平成 28 年 1月 20 日
・視察の振り返り
・今後の当分科会の方向性について
(6)平成 28 年 4月 20 日
・当分科会まとめ(案)について
・調査研究報告書について
(7)平成 28 年 4月 27 日
・調査研究報告書について
2
4.調査研究結果
(1) 都市計画制度
ア.都市計画とは
<都市計画の基本理念と定義>
○基本理念:都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び
機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地
の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。
○定
義:都市計画とは、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施
設の整備及び市街地開発事業に関する計画をいう。
○どこでも建物OKの場合
・市民が使うものをいろんなところに整備
(道路・公園・上下水道等)
⇒多額の税金が必要
・守るべき自然も守れないかも
○規制した場合
・市民が使うものをまとまって整備
・住む、買う、働くところがまとまって便利
・守るべき自然も守れる
都市計画区域の指定
都市計画区域の指定を受けることによって、土地利用に関する諸制限(用途地域、開
発許可制度等)
、都市施設(道路、公園、下水道等)の決定などが可能となり、都市計画
関連の制度が適用される地域となる。
市街化区域と市街化調整区域の区域区分(線引き)の必要性
スプロール化を防ぎ、計画的な公共施設整備による良好な市街地の形成、無秩序な市
街地の拡大による環境悪化の防止、都市近郊の優良な農地との健全な調和をはかるため、
都市計画区域を「既に市街化になっている区域や計画的に市街地にしていくところ(市
街化区域)
」と「原則、建築を規制し市街化を抑制するところ(市街化調整区域)」に区
分する必要があり、これを区域区分(線引き)という。
3
イ.都市計画制度の主な経緯
○1992 年(平成4年)
都市計画法改正により、市町村都市マスタープランの制定が
位置付けられる。
○2000 年(平成 12 年)
都市計画法改正により、都道府県が全ての都市計画区域につ
いて、都市計画区域マスタープランを制定することが義務付
けられる。
○2000 年(平成 12 年)
計画期間を概ね 15 年とする第4次中部圏基本開発整備計画
が策定される。
○2006 年(平成 18 年)
都市計画法改正(まちづくり三法改正)による大規模集客施
設に係る立地規制の見直しが行われる。
○2014 年(平成 26 年)
立地適正化計画制度の創設
≪資料1≫
ウ.本市の都市計画の変遷等
本市では、昭和 45 年8月に、市街化区域と市街化調整区域の区域区分(線引き)の
当初の決定を行い、その後、定期的な見直しを図っている。なお、本市全域は、周辺
の桑名市、いなべ市(旧員弁町に限る)等とともに中部圏開発整備法に基づく都市整
備区域に指定されており、区域区分が義務付けられている。
また、四日市都市計画区域は、一体的な都市の区域として四日市市及び菰野町の一
部、朝日町、川越町にまたがって指定されている。
≪資料2≫
(2)都市計画マスタープラン
平成 12 年の都市計画法の改正による都市計画区域マスタープランの義務化に伴い、
四日市市都市計画マスタープランは平成 14 年7月に策定された。また、平成 19 年 12
月の都市計画まちづくり条例の施行を受けて、地区まちづくり構想や都市計画マスタ
ープラン地域・地区別構想の策定に向けた取り組みを進めている。
平成 23 年には、本格的な人口減少・高齢化社会へ対応するために、プランの見直し
を行っている。広域幹線道路網の整備に伴う内陸部の土地利用や既存農村集落の定住
促進を課題として捉え、市街化調整区域の土地利用として、
「インターチェンジ周辺や
北勢バイパスの主要な交差点付近における土地利用を適切に誘導すること」および「既
存集落地域に農村集落における定住促進に向け、住環境の改善や新規居住者の受け入
れが可能となる具体手法として地区計画制度の活用を図ること」が新たに記述された。
≪資料3≫
〈都市計画に関する分科会での主な意見〉
・四日市公害の発生によって市西部地域の郊外に大規模な住宅団地を開発し、沿岸部地
域からの集団移転を図ってきたことは本市ならではの政策であり、全国的な傾向や他
都市と同様の考え方で都市計画を考えるのではなく、これまでのまちづくりの歴史や
経緯を踏まえて本市独自の視点に立った都市計画を議論していく必要がある。
・都市計画マスタープランに関して、状況に応じて修正すべきところは柔軟に修正し、
「まち」の定義を明確に位置付けて地域ごとの方向性を定める必要がある。
・地域や集落単位での現状や課題の検討内容を積み上げて、市全体の都市計画のあり方
や方向性を検討する必要がある。
4
・現在の線引きの状況や用途地域、残すべき優良な農地等について、市全体のトータル
で丁寧に検証し、実態に応じた見直しを図る必要がある。
・現在の都市計画制度が人口減少社会にそぐわなくなってきており、市民が求める制度
となるようにまちづくりのあり方を見直す必要がある。
(3) 本市の市街化調整区域における土地利用の現状と課題
ア.北勢バイパス沿いにおける規制緩和
具体的な土地利用(用途)の方針について、北勢バイパス及び交差道路の広域交通
ネットワーク特性を生かし、雇用創出や本市の発展に寄与する工場・流通業務施設等
(産業系土地利用)を配置するとともに、市外から多くの来街者との交流促進や情報
発信にとどまらず、地域における農業振興・観光振興等に寄与すると認められる施設
(交流系土地利用)を配置することを基本とした考え方が示されている。
今後、幹線道路との交差点付近を中心として、学校等の公益施設が周辺にない農地
や山地、雑種地等の土地など、周辺の土地利用の状況を踏まえながら、具体的に必要
な規制緩和の検討を行っていく必要がある。
≪資料4≫
イ.地区計画の指定状況
市街化調整区域での地区計画の策定にあたっては、市街化調整区域の性格や各種関
係法令に沿って定めるものとし、都市計画マスタープランに適合していることを前提
として、地区計画のガイドラインを策定している。
現在、市内で地区計画決定がなされている 17 地区のうち、市街化調整区域での指
定は6地区ある。
≪資料5≫
ウ.大規模集客施設の規制
平成 18 年の都市計画法の改正に伴う大規模集客施設の立地規制の見直しにより、
床面積が1万㎡超の大規模店舗等については、全国的に市街化調整区域では原則建て
ることができなくなっており、本市においても同様となっている。
≪資料6≫
エ.隣接する菰野町との関係
本市における都市計画区域外の区域は、水沢地区の一部(市域面積の約2%)のみ
であるが、隣接する菰野町は、市域面積の約3分の2が都市計画区域外である。一例
として、保々地区においては、行政区の境界を挟んで菰野町側が都市計画法の規制を
受けない都市計画区域外であり、自治体間で工場等の建設に関する取り扱いが大きく
異なる状況となっている。
≪資料7≫
オ.農地に対する規制
市街化調整区域の農地での開発が制限される根拠としては、主に、①農地法 ②農
業振興地域の整備に関する法律(いわゆる「農振法」)の2つがある。①については
「農地転用の許可」
、②については「農業振興地域の農用地区域における農業用施設
以外の原則建築不可」という厳しい規制が課せられており、市街化調整区域の農業振
興地域・農用地区域内農地での開発は現実的には困難な状況にある。
5
今後の土地利用については、農地制度の基本的な考え方である「農地の効率的な利
用」「優良農地の確保」と、開発の促進による「利便性の向上」「地域の活性化」との
バランスが重要であり、地域ごとのきめ細かな検討が求められる。
≪資料8≫
(市街化調整区域の土地利用に関する分科会での意見)
・本市を取り巻く状況は短期間に変化するため、早期に方針を定め、市民・企業からの
ニーズに対応できる体制をつくり、迅速に手続きに移るスピード感が求められる。
・行政の役割として、規制するばかりではなく、都市を活力あるものにしていく発想を
持った施策の検討が必要である。
・土地施策は、人口の流入・流出に影響を与えるなどインパクトが大きい。多くの他市
事例を研究しながら、慎重に、かつ前進しながら最適な手法を検討する必要がある。
・まちづくりの方針に沿って大規模小売店舗が出店できるように条件整備するなど、知
恵を絞って将来を見据えた計画的な対策が必要である。
・新たなインフラ整備が進む土地について、地域に必要なものを配置していくことで、
コンパクトシティの考え方に沿ったまちづくりにつながる。
(4)本市の市街化調整区域における開発規制の現状と課題
市街化調整区域で開発を行う場合、都市計画法第 34 条各号の内容に適合する必要が
あり、周辺地域の状況、建物の種別、規模等から個別に審査し、許可している。
≪資料9≫
ア.沿道サービス施設
都市計画法第 34 条第9号に該当する沿道サービス施設(ドライブイン・給油施設)
については、市が指定する道路沿いであって、敷地規模や予定建築物などで一定の要
件を満たす場合に限り許可を得て建築できる。現在、本市の幹線道路沿いで建築が可
能な施設は当該施設を含めて非常に限定されており、新たな店舗の出店や工場の誘致
は難しい状況にある。
≪資料 10≫
イ.大規模な流通業務施設又は特定流通業務施設
都市計画法第 34 条第 14 号に基づく四日市市開発審査会提案基準で、市街化調整区
域における幹線道路の沿道等における流通業務施設のための開発行為又は建築行為に
ついての取り扱いを定めており、一定の要件を満たし、個別に開発審査会の議を経て
許可を得た上でなければ、建築することができない状況にある。
≪資料 11≫
ウ.特別積合せ貨物運送の用に供する施設
都市計画法第 29 条第1項第3号に基づき、駅舎その他の鉄道の施設、図書館、公民
館、変電所その他これらに類する公益上必要な建築物として許可を要しない開発行為
となるため、当該施設の建設に関し、都市計画法に基づく規制はかからず、同法にお
いて調整池や緑地帯等の設置は義務とされていない。これらは、あくまで事業者の任
意による協力に委ねられている部分があり、地域での水処理や環境の問題もあるため、
事前協議を含め行政の関わり方に課題もある。
6
≪資料 12≫
エ.四日市の地場産業に係る施設
本市の地場産業の関連施設については、都市計画法第 34 条第2号、同条第4号及び
同条第7号の規定に基づき、市街化調整区域内での建築が許可されることが想定され
る。しかし、許可の要件が厳しく、実際の許可件数は少ない状況にあり、集団的に立
地している同種・同規模の建て替えが許可の要件となるなど、新たな投資による工場
の新設や事業拡大に向けた増築は厳しい状況にある。
≪資料 13≫
オ. 人口減少地区における一戸建て住宅の規制緩和(議員提案による条例改正)
平成 28 年4月から始まった規制緩和について、該当地区における開発申請・相談件
数の変化を確認するため調査を行った。なお、改正条例には、「市長は、この条例の施
行後5年を経過した場合において、国勢調査の実施ごとに、この条例による改正後の規
定の実施効果、人口動態、社会情勢の変化等を勘案し、必要があると認めたときは、そ
の結果に基づいて、条例改正その他の適切な措置を講ずるものとする。」との規定を付
している。
(5) 他市における規制緩和の状況(事例研究)
当分科会では、本市の市街化調整区域において、どのような規制緩和を目指していく
べきか制度設計や手法を参考とするため、先進自治体の取り組み事例を調査した。
4つの規制緩和事例では、状況に応じて段階的に規制緩和の制度設計を行ったり、丁
寧な見直し作業を行うなど、それぞれの市が地域の実情に応じた手法を用いて規制緩和
を行っていることを確認し、理解を深めた。
① <諌早市> 拠点施設を中心とした既存集落内での店舗等の規制緩和
②<和歌山市>国道、主要幹線道路沿道等における規制緩和
③ <川西市> インターチェンジ周辺における一定の建築・開発に向けた土地利用
④ <鳥栖市> ジャンクション地域における用途制限付き大規模開発に向けた規制緩和
≪資料 14≫
また、これを受けて、①岡山市と②川西市における規制緩和の取り組みについて視察
を行い、
本市の現状と照らし合わせながら、今後の進むべき規制緩和の方向性について、
委員間で議論を深めた。
①<岡山市>
平成 26 年に条例改正を行い、幹線道路沿線において、これまでは建物用途を定め
ずに市長が公益的見地から立地が望ましいと判断した建物については、審議会の議
を経て建設できるとしていた内容から、許可する対象を「社会福祉法・病院・学校・
小売店舗」の4つの建物用途に限定し、予定建築物の延べ面積を 1 万㎡以下とする
など、国が示す機能的でコンパクトなまちづくりの方向性に基づいて用途や面積を
設定して、規制緩和の見直しを図る内容であった。
②<川西市>
インターチェンジ建設が進む周辺の一部の市街化調整区域について、地区計画制
度を活用して5つのゾーン設定とそのゾーンごとの想定用途を定め、自然環境に配
慮しながら計画的な開発を進めていく内容であった。
≪資料 15≫
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5.分科会まとめ
当分科会においては、平成 27 年9月から6回にわたって会議を開催し、本市における市街
化調整区域の規制緩和の必要性やまちづくりについて、他市における規制緩和の事例研究も
行いながら幅広く調査研究を行ってまいりました。
調査研究を行っていく中では、都市計画制度の考え方を確認しながら、本市の市街化調整
区域の土地利用及び開発規制の現状や課題についての論点整理を行い、議論を深めてまいり
ました。そして、新たにスタートした一戸建て住宅に係る規制緩和については、年次報告を
受けるなど、継続的に、人口減少社会における規制緩和のあり方について議論し、また、本
市におけるまちづくりの歴史や経緯を踏まえた将来のまちづくりのあり方も併せて議論して
いくべきです。
このような調査研究、議論を踏まえて、次のとおり、当分科会における「市街化調整区域
における今後の土地利用と規制緩和の考え方」を取りまとめるに至った次第であります。
◎市街化調整区域における今後の土地利用と規制緩和の考え方
人口減少社会における諸課題を乗り越え、四日市が魅力的で活力ある都市であるためには、
次の①から③の視点を踏まえ、市街化調整区域における多様な地域特性に応じたきめ細かな
土地利用、道路施策・公共交通施策と一体となった土地利用の具体的な検討が必要です。
また、まちづくりの根幹となる都市計画マスタープランの必要に応じた見直しも視野に入
れて、時代の変化に柔軟に対応したスピード感のある施策展開が望まれます。
【土地利用の視点】
① 幹線道路沿いにおける都市の活力向上に向けた規制緩和
② インターチェンジ周辺における産業活性化に向けた規制緩和
③ 地域の実情や課題に応じたきめ細かな規制緩和
このような考え方のもと、市街化調整区域の規制緩和における本市の実情に合った具体的
な手法やまちづくりの方向性を確認し、当分科会における調査研究報告といたします。
8
議員政策研究会 市街化調整区域における土地活用の規制緩和分科会
まとめ
市街化調整区域における今後の土地利用と規制緩和の考え方
人口減少社会における諸課題を乗り越え、四日市が魅力的で活力ある都市であるためには、次の視点を踏まえ、市街化調整区域における
多様な地域特性に応じたきめ細かな土地利用、道路施策・公共交通施策と一体となった土地利用の具体的な検討が必要です。
また、まちづくりの根幹となる都市計画マスタープランの必要に応じた見直しも視野に入れて、時代の変化に柔軟に対応したスピード感
のある施策展開が望まれます。
≪ 土地利用の視点 ≫
(3)地域の実情や課題に応じた
きめ細かな規制緩和
(1)幹線道路沿いにおける都市の
活力向上に向けた規制緩和
(2)インターチェンジ周辺における
産業活性化に向けた規制緩和
幹線道路の広域性と集客力を生かし、そ
の沿線に雇用創出や地域振興につなが
る施設の立地を戦略的に誘導すること
は、都市の活力を創出する。
この地域が持つ交通の利便性を最大限
に生かし、民間投資による物流拠点等の
整備を促すことは、四日市の産業活性化
の強力な呼び水となる。
より暮らしやすい既存集落となるよう、
地域の活性化に向けた土地利用を後押し
することは、人口減少社会における市全
体の持続的な成長・発展につながる。
【分科会での意見】
【分科会での意見】
【分科会での意見】
○住民が必要とし、市民生活に役立つ大規模小売店舗につい
○物流拠点として企業進出が期待できる地域であり、立地条
○高齢化社会に対応して、高齢者が日常生活を送る上で利用
ては、郊外地域への出店に向けた規制緩和の検討が必要。
件を生かした有効な土地利用の検討が必要。
○沿道サービス施設や一定の診療所など一部の建物用途の
○四日市ジャンクション周辺は、みえ朝日インターチェンジ
みに限定しない、バランスのとれたまちづくり対策を講じ
を双方向の出入口にすることにより、観光資源である伊坂
るべき。
ダムの活用と合わせて、有効な土地利用が期待できる地域
○一定の幹線道路で範囲を指定し、その範囲内で建物用途や
面積を設定しての規制緩和は必要であり、適正な手法を用
いることでスプロール現象や乱開発は防止できる。
○大幅な規制緩和はマイナス面もあるが、地域で必要とされ
である。
する施設を建てやすくし、地域の活性化を図るべき。
○定住者を増やすためには、既存集落内に「遊ぶ」「食べる」
「働く」ための場所が必要。
○地場産業の事業者が地元で新たな工場を建てやすい環境
を整え、商品に地元名を冠したブランドを名乗りやすいよ
○整備計画を策定するだけで終わるのではなく、実際の土地
利用が着実に進むように、行政が積極的に企業等の支援に
関わって計画の実現に向けた役割を果たす必要がある。
る施設を誘致することは、住民が生活する上で利便性の向
うに地場産業の育成を支援すべき。
○市外に工場が移転、流出することのないように、周辺の住
宅地の環境に配慮しつつ、地場産業の振興に寄与する規制
緩和策を検討すべき。
上につながる。
9
6.参考資料
≪資料1≫
都市計画法制度の経緯 〈 P11~P14 〉
≪資料2≫
四日市市の都市計画の変遷など 〈 P15~P16 〉
≪資料3≫
都市計画マスタープラン 〈 P17~P20 〉
≪資料4≫
「北勢バイパス」の土地利用における今後の考え方
≪資料5≫
地区計画制度と本市の状況について
≪資料6≫
大型店舗の規制について 〈 P26~P27 〉
≪資料7≫
菰野町の都市計画区域について 〈 P28 〉
≪資料8≫
市街化調整区域における農地の規制について
≪資料9≫
市街化調整区域の開発許可基準について 〈 P31~P32 〉
≪資料 10≫
沿道サービス施設(ドライブイン・給油施設)について〈 P33 〉
≪資料 11≫
大規模流通業務施設について 〈 P34 〉
≪資料 12≫
特定積合せ貨物運送施設について
≪資料 13≫
市街化調整区域における地場産業の取り扱い 〈 P36 〉
≪資料 14≫
他市規制緩和事例一覧 〈 P37 〉
≪資料 15≫
岡山市・川西市における規制緩和
10
〈 P21 〉
〈 P22~P25 〉
〈 P29~P30 〉
〈 P35 〉
〈 P38~P44 〉
資料1
都市計画法制度の経緯
(概要)
日本の都市計画法制は、1888 年の東京市区改正条例が最初であるが、当時の都市計
画の関心は専ら東京にあった。また、都市計画の内容は都市のために必要な土木事業が
中心であり、土地利用計画という考え方は希薄であった。このため、都市への人口・産
業の集中に伴う土地利用の混乱や居住環境の悪化に十分対応できるものではなかった。
そこで 1919 年の(旧)都市計画法において、都市計画の対象となる都市の拡大、土
地利用計画制度、受益者負担金制度及び超過収用制度等が盛り込まれ、ここに欧米並
みの都市計画制度が完成した。
その後、関東大震災、第2次世界大戦における敗戦を経験し、国の主導の下、特別
都市計画法が策定され、震災復興、戦災復興のまちづくりが展開された。
1960 年代には、高度経済成長、それに伴う三大都市圏を中心とする都市への人口・
産業の集中が起こり、急激な都市化が進展した。しかしながら、このような人口・産
業の受け皿となる開発が住宅団地開発、工業団地開発の名のもとに行われたが、こう
した開発を秩序立ててコントロールする仕組みは無かった。
このため、区域区分制度、また、それを実効あるものにする開発許可制度の創設等
を中心内容とした(新)都市計画法が策定され、無秩序な市街地の拡大の防止が図ら
れた。その特徴的なものとして、都市計画の策定権限の地方公共団体への委譲及び住
民参加手続きの導入がなされた。その後も社会経済情勢の変化等による時代の要請に
応じて、諸処の改正がなされてきている。
(沿革)
○ 1888(明治 21 年)「東京市区改正条例」
○ 1919(大正 8 年)「(旧)都市計画法」
都市計画区域・都市計画決定の導入、決定権者:国
○ 1919(大正 8 年)「市街地建築物法」
3用途地域、建ぺい率、高さ制限
○ 1950(昭和 25 年)「建築基準法」
4用途地域 「市街地建築物法」廃止
○ 1968(昭和 43 年)「(新)都市計画法」
区域区分・開発許可制度の導入、決定権限の地方公共団体への委譲、住民参加手
続きの導入(案縦覧、公聴会等)
○ 1970(昭和 45 年)「建築基準法」改正
8用途地域、容積率制限等
○ 1974(昭和 49 年)「都市計画法」「建築基準法」改正
開発許可制度の拡充(未線引き都市計画区域への拡大)
○ 1980(昭和 55 年)「都市計画法」「建築基準法」改正
地区計画制度の創設
○ 1990(平成 2 年)「都市計画法」「建築基準法」改正
住宅地高度利用地区計画、用途別容積型地区計画、遊休土地転換利用促進地区
○ 1992(平成 4 年)「都市計画法」「建築基準法」改正
11
市町村都市マスタープラン制定、用途地域の細分化(12 用途地域)
○ 1997(平成 9 年)「都市計画法」「建築基準法」改正
高層住居誘導地区の創設
○ 1998(平成 10 年)「都市計画法」改正
○ 2000(平成 12 年)「都市計画法」「建築基準法」改正
都市計画区域マスタープランの義務化、区域区分の選択制、準都市計画区域の創
設、都計区域外開発許可制度の創設
○ 2002(平成 14 年)「都市計画法」「建築基準法」改正
都市計画提案制度の創設
○ 2006(平成 18 年)「都市計画法」(まちづくり三法改正)「建築基準法」改正
大規模集客施設に係る立地規制の見直し、準都市計画区域制度の拡充、広域調整
手続きの充実
○ 2011(平成 23 年)「都市計画法」改正
地域主権の推進(協議・同意の見直し、都市計画決定権限の委譲、建築等の許可
権限の委譲、計画等の策定及びその手続きの見直し)
○ 2014(平成 26 年)「都市再生特別措置法」改正
立地適正化計画制度の創設
(中部圏開発整備計画)
(1)中部圏開発整備計画
中部圏開発整備計画は、中部圏開発整備法(昭和 41 年法律 102 号)に基づく計画であり、
中部圏の建設とその均衡ある発展を図り、あわせて社会福祉の向上に寄与することを目的
とする中部圏の開発及び整備に関する総合的な計画である。
本計画は、「21世紀の国土のグランドデザイン」を受けて、計画期間を概ね 15 年とす
る第4次中部圏基本開発整備計画が、平成12年3月に策定された。
・策定主旨 中部圏開発整備地方協議会等地元の考え方を基本としつつ、「21世紀
の国土のグランドデザイン」の考え方を踏まえた、新たな中部圏の開発整備の方向
を示す。
・計画区域 中部 9 県全域
・計画期間 今後概ね 15 年間
(2)中部圏建設計画
本市の区域においては、政策区域として中部圏開発整備法に基づく都市整備区域に指定
されている。
・中部圏開発整備法に基づく都市整備区域
四日市市、桑名市、いなべ市(旧員弁町に限る)
、木曽岬町、東員町、朝日町、川越町(3市4町)
(_は一部指定)
前計画が平成 17 年度をもって計画期間が終了したことから新たな建設計画の策定が行
われ、最新の計画は平成 18 年である。
中部圏においては、それぞれの区域が特色ある産業や高次の都市機能を集積するなど
一体的に発展を図るとともに、東西軸の多重化や南北軸の強化等を図ることによって連
携し、連合体としての中部圏を構築するべく策定している。
12
中部圏政策区域図
四日市市
13
近年の国の動き
(近年の都市計画制度の見直し)
14
H26
(都市再生特別措置法等の一部を改正する法律)
✓立地適正化計画制度の創設
資料2
四日市市の都市計画の変遷など
①四日市都市計画区域
都市計画区域は、一体の都市の区域として総合的に整備、開発及び保全する必要ある
区域として指定するものであり、この区域内では、都市計画法やその他の法律の適用を
受けることとなります。
四日市市では、昭和3年10月に市域の一部が都市計画区域に指定され、その後市域
の拡大に伴って区域の拡大がなされてきました。
四日市都市計画区域は、一体的な都市の区域として四日市市及び菰野町の一部、朝日
町、川越町にまたがって指定されています。
(四日市都市計画区域の変遷)
指定年月日
昭和 3.10. 1
9. 8. 2
14. 4. 9
35. 12.23
43. 12.20
53. 3.14
54. 4. 6
54. 10.23
56. 4.10
59. 1.24
60. 7.10
平成 1. 9.22
1. 11.10
2. 8.17
7. 6. 6
11. 12. 6
16. 10. 29
17. 2. 7
19. 9. 7
25. 5.24
変更内容
四日市市の一部、塩浜村、日永村、海蔵村、
羽津村、常磐村
川越町、富田町、富洲原町を追加
楠町、河原田村、内部村、四郷村を追加
町村合併で拡大された四日市市の区域を追加
菰野町の一部、朝日町を追加
公有水面埋立地を追加
〃
〃
〃
〃
〃
〃
国土面積改訂
公有水面埋立地の追加
〃
〃
〃
市町合併
公有水面埋立地の追加
〃
面積(ha)
3,333
8,915
9,694
20,221
24,501
24,844
25,016
25,018
25,067
25,084
25,112
25,134
25,183
25,187
25,189
25,191
25,208
25,984
26,007
26,012
備考
当初決定
四日市市 18,721
〃 19,051
〃 19,147
〃 19,149
〃 19,198
〃 19,215
〃 19,234
〃 19,256
〃 19,250
〃 19,254
〃 19,256
〃 19,258
〃 19,275
〃 20,051
〃 20,074
〃 20,079
都市計画区域外
都市計画区域
20,079.9ha
市街化区域
7,505.5ha
市街化調整区域
12,574.4ha
都市計画区域外
479.0ha
四日市都市計画区域
楠町は H17.2.7 に四日市市に合併
15
②市街化区域と市街化調整区域
市街化区域と市街化調整区域の区域区分(線引き)は、都市における無秩序な市街化を
防止し、公共投資の効率化を図るため、昭和43年の新都市計画法の制定により設けられ
た制度です。
四日市市においては、昭和45年8月に当初の決定を行い、その後定期的に見直しを行
っています。
線引き制度は都市計画の骨格をなす重要な区域区分であり、これを基に用途地域などの
地域地区や都市施設などの計画、市街地開発事業が実施されたり、開発許可の制度が適用
されます。
●市街化区域
既に市街地を形成している区域、概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図る
べき区域であり、用途地域を定めるほか、道路、公園、下水道などの都市施設の計画
を定め、計画的な市街地の整備を図る区域です。
●市街化調整区域
市街化を抑制すべき区域であり、農林漁業の用に供する建物などを除いて開発を抑制
しています。
(市街化区域と市街化調整区域の変遷)
決定年月日
市街化区域(ha)
市街化調整区域(ha)
合計(ha)
備考
昭和 45. 8.31
6,572.4
12,148.6
18,721
当初決定
53. 3.31
6,505.3
12,557.7
19,063
編入:霞二丁目等
逆線:西坂部町
60. 3.15
6,750.5
12,464.5
19,215
編入:伊坂、霞一丁目等
逆線:山城町
61. 5.30
6,824.1
12,409.9
19,234
編入:釆女、小山田
平成 2. 5.22
6,887.5
12,362.5
19,250
編入:山之一色
4. 2.14
6,979.9
12,274.1
19,254
編入:波木・釆女、霞等
4.12.11
6,977.9
12,276.1
19,254
逆線:広永
5. 6. 4
7,027.2
12,226.8
19,254
編入:別山、東坂部等
9. 1.21
7,040.4
12,215.6
19,256
編入:波木、尾平
11. 6.15
7,054.1
12,201.9
19,256
編入:生桑、小林町等
16.10.29
7,082.4
12,192.9
19,275
編入:霞二丁目、川北等
逆線:川北
17. 2. 7
7,457.7
12,593.6
20,051.3
市町合併
19. 9. 7
7,480.4
12,594.1
20,074.5
編入:霞二丁目
逆線:垂坂
25. 5.24
7,505.5
12,574.4
16
20,079.9
編入:中村
資料3
都市計画マスタープラン
(1)マスタープランとは
都市計画は、その目的の実現には時間を要するものであることから、長期的な見通しを
もって定められる必要がある。
また、個々の都市計画の決定にあたっては、その必然性、妥当性が説明される必要があ
るが、これが総体としての都市計画の一部を構成するものである以上、将来のめざすべき
都市像との関係を踏まえ、総合性、一体性の観点から常に検証されるべきである。
このため、法第6条の2の規定に基づく都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(以
下「都市計画区域マスタープラン」⇒三重県都市計画区域マスタープランという)、法第
18条の2の規定に基づく市町村の都市計画の基本方針(以下「市町村マスタープラン」
⇒四日市市都市計画マスタープランという)においては、それぞれ住民に理解しやすい形
であらかじめ長期的な視点に立った都市の将来像を明確にすることが求められている。
マスタープランにおいて、どのような都市をどのような方針の下に実現しようとするの
かを示すことにより、住民自らが都市の将来像について考え、都市づくりの方向性につい
ての合意形成が促進されることを通じ、具体の都市計画が円滑に決定される効果も期待で
きる。
国土交通省 HP 「みんなで進めるまちづくりの話」より
(2)都市計画区域マスタープランと市マスタープランの関係
都市計画区域マスタープランは、一体の都市として整備、開発及び保全すべき区域とし
て定められる都市計画区域全域を対象として、都道府県が一市町村を超える広域的見地か
ら、区域区分をはじめとした都市計画の基本的な方針を定めるものである。
一方、市マスタープランは、都市計画区域マスタープランに即し、都市計画区域内の各
市町村の区域を対象として、住民に最も身近な地方公共団体である市町村が、より地域に
密着した見地から、その創意工夫の下に、市の定める都市計画の方針を定めるものである。
このため、両マスタープランが整合を図って策定されることが重要であり、県と市町村
の間で意見聴取や案の申し出等を行うことを通じて調整が図られることが必要である。
17
区
分
根
拠 法
策定主体
都市計画区域
マスタープラン
都市計画法
第6条の2
都道府県
市町村
マスタープラン
都市計画法
第 18 条の2
市町村
対象範囲
主に定める内容
関
係
広域的、根幹的な都市 都 道 府 県 と
都市計画
計画に関する事項
市町村の間
区域全体
(主に県決定都市計画) で の 意 見 聴
取、案の申し
地域に密着した都市計
出等を通し
市町村単位
画に関する事項
て調整
【県の考え方】
法には、市町村マスタープランは都市計画区域マスタープランに即して定めるもの
(法第18条の2)とされている。このため、相互の位置づけは上下関係とも解される
が、むしろ、広域的根幹的な都市計画の方針を定める都市計画区域マスタープランと、
地域に密着した都市計画の方針を定める市町村マスタープランという役割分担の中
で、相互に補完しながら総合的、一体的な都市計画を行うべきであると三重県では判
断しており、このため、両マスタープランが整合を図って策定されることが重要であ
り、県と市町村の間で意見聴取や案の申し出等を通じて調整を行うべきと考えてい
る。
(3)都市計画区域マスタープラン
都市計画区域マスタープランは、
「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」とし
て、法第6条の2に以下のように記載されている。
(都市計画区域の整備、開発及び保全の方針)
法第6条の2
都市計画区域については、都市計画に、当該都市計画区域の整備、開発及び保全
の方針を定めるものとする。
2
都市計画区域の整備、開発及び保全の方針には、第一号に掲げる事項を定めるものとすると
ともに、第二号及び第三号に掲げる事項を定めるよう努めるものとする。
一
次条第一項に規定する区域区分の決定の有無及び当該区域区分を定めるときはその方針
二
都市計画の目標
三
第一号に掲げるもののほか、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する主要な
都市計画の決定の方針
3
都市計画区域について定められる都市計画(第十一条第一項後段の規定により都市計画区域
外において定められる都市施設(以下「区域外都市施設」という。)に関するものを含む。)
は、当該都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に即したものでなければならない。
平成 12 年の法改正により、都道府県が全ての都市計画区域について「都市計画区域の
整備、開発及び保全の方針」
(都市計画区域マスタープラン)を定めることが義務づけら
れた。この都市計画区域マスタープランは、長期的な視点に立って都市の将来像とその
実現のための大きな道筋を示すものであり、都市施設の決定や区域区分などの個々の都
市計画は、このマスタープランに即して定められることになる。都市計画区域マスター
プランの策定により、土地利用コントロールや市街地整備等の総合性と一体性を確保し、
より合理的かつ効率的な都市づくりが推進され、また都市づくりの方向性に対する県民
の理解が得られることが期待できる。
18
また、平成 23 年の法改正により、義務付け、枠付けの見直しがなされ、区域区分の決定
の有無及びその方針以外は、努力規定となった。
(4) 市マスタープラン
市マスタープランは、平成4年の法改正(法第 18 条の2)により位置づけられ、その
後、三重県内においても着実に策定が進められ制度として定着してきた。
平成 12 年の法改正においても、市マスタープランの内容や手続きの自由度が高いこと、
実績が上がりつつあることが評価され、引き続き従来の枠組みを維持し、その策定を促
進していくこととされた。
市マスタープランは、地域の創意工夫で自由度の高い計画が策定されていることが特
徴であり、特にその良さを活かすことを期待されている。また、都市計画区域マスター
プランと市マスタープランとの連携が求められている。
(市町村の都市計画に関する基本的な方針)
法第 18 条の2 市町村は、議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想
並びに都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に即し、当該市町村の都市計画に関する基
本的な方針(以下この条において「基本方針」という。
)を定めるものとする。
2 市町村は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、公聴会の開催等住民の意見
を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
3 市町村は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、都道府県知
事に通知しなければならない。
4 市町村が定める都市計画は、基本方針に即したものでなければならない。
なお、市マスタープランは、市における上位計画(総合計画)に即しつつ、長期的な
視野に立ったまちづくりの方向を指し示すものであり、市の主体的な意志によって、個
別具体の都市計画をリードしていくものとして位置づけられる。
また、市マスタープランの策定にともない、緑の基本計画や住生活基本計画など関連
計画の見直しなど、都市計画全般の整合を図っていくことも必要である。
市のまちづくりについては、住宅・住宅地供給や産業、交通をはじめ各種の都市施設・
機能の配置などに関する方向づけが課題となるものであり、策定にあたっては市内部や
周辺地域との総合的な土地利用や計画推進に関する整合が求められるため、関連する各
種の構想や計画を把握するとともに、関連部局や隣接市町等との調整を図る必要がある。
19
市町村総合計画 等
都市計画区域マスタープラン(県マス)
上位関連計画
・基本計画・部門別計画
(福祉・教育・文化・
その他)
・道路整備5ヵ年計画
・治水事業5ヵ年計画
・その他
部門別マスタープラン
・産業振興計画等地域
活性化に関する計画
市
町
村
の
都
市
計
画
に
関
す
る
基
本
的
な
方
針
区域区分(線引き)
【
市
都
市
計
画
マ
ス
タ
ー
プ
ラ
ン
】
都市再開発方針等
<関連計画>
緑 の 基 本 計
景
観
備
基
基
本
本
計
画
計
画
中心市街化活性化基本計画
住 生 活 基 本 計 画
そ
の
他
<都市計画の決定・実施>
地域地区
促進区域
画
市街地開発
事業予定区域
地区計画
等
<都市計画>
20
都市施設
市街地
開発事業
資料4
「北勢バイパス」の土地利用における今後の考え方
現在、幹線道路沿いにおける規制緩和については、今後、供用が予定される「北勢バイパス」
の土地利用について検討を要するものと考えており、その考え方を以下に示す。
国道1号 北勢バイパス(区間距離
28.5 ㎞〔みえ川越IC~みえ朝日IC
・供用区間 : みえ川越IC~山之一色町
3.6km 含む〕)
(区間距離 8.5 ㎞)
・供用予定区間(平成 27~31 年度):山之一色町 ~四日市土山線バイパス(区間距離 4.1 ㎞)
2-1.道路ポテンシャル評価
・ポテンシャル 高 :富田山城線、 四日市土山線バイパス、 国道1号線
・ポテンシャル 中 :四日市関ヶ原線、 塩浜波木線
・ポテンシャル 低 :赤堀山城線、 子酉小林線
2-2.土地利用の方針の設定
(1)基本的な考え方
都市的土地利用エリアにおける土地利用方針(具体的な用途)の設定にあたっては、交
差道路の機能・位置づけや本市における、開発のニーズ、周辺の土地利用実態等を踏まえ、
誘導を図るべき具体的な土地利用(用途)の方針を決定する。
なお、具体的な土地利用(用途)の方針については、北勢バイパス及び交差道路の広域
交通ネットワーク特性を活かし、雇用創出や本市の発展に寄与する工場・流通業務施設等
(産業系土地利用)を配置するとともに、市外から多くの来街者が見込まれることから、
市の情報発信や地域振興・観光振興等に寄与すると認められる施設(交流系土地利用)を
配置することを基本とする。
(2)産業系土地利用の配置方針
産業系用途の配置方針を以下のように定める。
・臨海部工業地帯等の再生、高度化に向け、臨海部とを結ぶ交差道路においては、流通業務
系施設等の配置を基本とする。
・工場については、環境関連産業や地域資源を活かした新産業などの技術先端型施設をはじ
め周辺環境に大きな影響を及ぼさない工場の配置を基本とする。
(3)交流系土地利用の配置方針
北勢バイパス沿道をはじめ、本市の市街化調整区域においては、まとまった優良農地が多
く残る一方で、年々、農業生産の基盤となる農地は減少し、農業経営者の高齢化等により農
業生産性は低下している。(四日市市総合計画より)このような課題を解決するため、北勢
バイパス主要交差点周辺に配置する交流系土地利用については、人と人との交流促進や情報
発信機能にとどまらず、本市の農業振興に資するような来訪者と農(や農産品)とのふれあ
いを促進できるような機能(生産~加工~販売・流通機能を備えた 6 次産業施設等)の配置
を基本とする。
21
資料5
地区計画制度と本市の状況について
○地区計画制度とは
都市計画法に規定される都市計画(決定権者:市)のひとつで、地区の特性に応じ、
道路などの配置や建物に関するきめ細かなルールを定めることができます。
市街化調整区域での地区計画の策定にあたっては、市街化調整区域の性格を損なう
ことなく、本市都市計画区域の計画的な市街化に支障がないように定めるものとし、
都市計画マスタープランに適合していることが前提となります。運用にあたっては、
「地区計画のガイドライン」を策定しています。
○地区計画の構成
地区計画 ※1 は、地区のまちづくりの基本的方向を示す地区計画の方針等 ※2 とまちづ
くりの具体的な内容を定める地区整備計画 ※3 で構成されます。
地
区
計
画
※1
地
区
計
画
の
方
針
等
※2
地区計画の目標
区域の整備、開発
及び保全に関する
方針
土地利用の方針、地区施設の整
備の方針、建築物等の整備の方
針、その他当該地区の整備、開
発及び保全に関する方針を定め
ます。
地区計画の方針等に従って、地
区施設の配置及び規模、建築物
等に関する事項、土地の利用に
関する事項を定めます。
地区整備計画※3
※1 地区計画
地区計画とは、例えば、古いまち並みが続いている沿道や戸建住宅がまとまっ
て立地している一定の区域などを、ひとまとまりの単位として、その中に暮らす
住民の合意に基づいて、建物の建築や宅地の造成に関するルールをつくり、規制
又は誘導する都市計画の手法です。
一方、本市には地区住民の合意に基づき、まちづくりを提案できる「地区まち
づくり構想」の仕組みがあり、市内 24 地区を単位として策定が進められていま
す。例えば、「地区まちづくり構想」の中で、良好な住環境や美しい街並みを守
ったり、つくっていくという方針が合意された場合には、地区計画制度を活用し
て必要なルールを定めることができます。
※2 地区計画の方針等
地区のまちづくりの基本的方向を示すものであり、地区計画の目標及び当該区
域の整備、開発及び保全に関する方針を明記します。
※3 地区整備計画
目指すべきまちづくりの実現に向けた具体的なルールを定めます。定める内容
は、メニュー方式となっており、地区の実情に応じて選択することができます。
22
○都市計画マスタープランと地区計画の関係
区域区分、用途地域、地区計画など、個々の都市計画はマスタープランに即して
定められることとなります。三重県が決定権者となる区域区分に関しては、その要
否、方針を三重県都市マスタープランに記載することが都市計画法で規定されてい
ます。
また、四日市市が決定権者となる地区計画については、四日市市都市計画マスタ
ープランに即して定められることとなります。
個々の都市計画
(方針を実現す
る手段)
三重県都
市マスタ
ープラン
即
す
四日市市
都市計画
マスター
プラン
る
具体の都市計画
手法の一つ
23
○四日市市の地区計画の状況
市内には 17 地区で地区計画決定されており、現在、市街化調整区域での指定が 6 地区あ
ります。
■地区計画の概要
№
1
名称
小林地区
位置
小林町地内
面積
※第 1 種住居地域
21.5ha
2
新正地区
※第 2 種住居地域
準工業地域
3
4
日永地区
新正五丁目
地内
※近隣商業地域
日永四丁目
地内
生桑地区
生桑町地内
※第 2 種中高層住居
専用地域
準住居地域
準工業地域
5
別山地区
桜今井地区
川島町地内
27.5ha
桜町地内
3.4ha
※第 1 種中高層住居
専用地域
7
波木地区
波木町地内
7.2ha
※第 1 種住居地域
近隣商業地域
8
尾平地区
尾平町地内
4.7ha
※近隣商業地域
9
緑丘地区
※第 1 種低層住居
専用地域
10
中村工業地区
緑丘町の一
部
上海老大沢
工業地区
36.9ha
上海老町
大沢地内
※市街化調整区域
12
山田工業地区
5.8ha
中村町地内
※工業専用地域
市街化調整区域
11
5.7ha
14.3ha
※第 1 種低層住居
専用地域
※第 2 種低層住居
専用地域
6
11.9ha
22.0ha
(全体
30.5ha)
山田町地内
6.8ha
西坂部町
地内
3.3ha
※市街化調整区域
13
西坂部地区
※市街化調整区域
※
土地利用の方針
○良好な居住環境としての土地利用を促進するため、個々
の開発・建築を良好な住宅地系形成に向けて、計画的誘
導を図る。
○本区域内に区画道路網を配置し、その計画的担保を図っ
て、それらと適合した土地利用を誘導し、整然とした住環
境の形成を図る。
○住宅と軽工場、商業、業務施設を適正に配置し居住環境
と生産業務環境が調和したまちづくりを進める。
(住宅街区、住宅・業務街区、業務街区を設定)
○沿道地域に相応しい商業、業務機能の集積を図り建物用
途の純化を推進して用途の混在による都市環境の悪化を
防止するとともに、円滑な商業、業務活動の維持、増進に
務める。
○幹線及び補助幹線道路沿いでは、周辺地域の商業拠点
や沿道商業地域に相応しい商業機能の集積を図り、建物
用途の純化を促進して、土地利用の混在による都市環境
の悪化を防止する。
○幹線及び補助幹線道路の背後地では、居住機能の集積
を図り、商業機能と調和した良好な住環境を形成する。
○土地区画整理事業による土地利用計画を基に、低層住
宅の閑静で落ちつきのある住環境を守るための制限をし
つつ、地区内の日常利便を確保するための機能を一定地
区に誘導して用途の混在化を防止する。
○生活利便施設の誘導を図りながら、主として住居としての
土地利用の増進を図る。
○低層住宅、中高層住宅および商業施設の計画調和的な
誘導を図り、南部丘陵公園の豊かな緑と調和した、ゆとり
とうるおいのある住宅・商業市街地の形成を図る。
○良好な文教・住宅地区や恵まれた自然との調和を図りな
がら、本市の新しい顔としてふさわしい、商業業務地区を
形成する。
○調和のとれた良好な住宅市街地としての発展を期するた
め、建築物等の規制・誘導を推進し、良好で緑あふれ、ゆ
とりある居住環境の形成と合理的な土地利用を図る。
○住宅や店舗のほか、法の主旨に照らして地区にふさわしく
ない用途を制限するとともに、生産活動に伴う周辺環境へ
の影響を考慮し、隣接する既存のハイテク工業団地と一
体となるよう適切な都市基盤施設の配置や緩衝帯を設
け、周辺と調和した土地利用を図る。
○周辺の自然や農業環境と調和した土地利用を誘導する
ため、住宅や飲食店などの建築物の用途制限等を行うと
ともに、道路や調整池など必要となる都市基盤施設の配
置を行い、良好な工業地の形成を図る。
○良好な工業地として適正な土地利用を誘導するため、建
築物の用途制限等を行うとともに、調整池や公園等を配
置し、周辺の自然や農業環境と調和した土地利用を図
る。
○周辺環境と調和のとれた良好な住宅地としての発展を期
するため、自然林等と公園を一体として計画し、また建築
物の規制を設けることで、緑あふれ、ゆとりある住環境の
形成と合理的な土地利用を図る。
:市街化調整区域の地区計画
24
■地区計画の概要
№
14
名称
東坂部地区
※市街化調整区域
15
小古曽地区
※第 1 種中高層住居専用
地域、第 1 種住居地域
16
下海老地区
※市街化調整区域
17
※
国道 23 号
四日市地区
沿道整備計画
位置
東坂部町
地内
面積
2.3ha
小古曽
四丁目、
五丁目
地内
下海老町
地内
北納屋町、
中納屋町他
地内
土地利用の方針
○周辺環境と調和のとれた住宅地としての発展を期するた
め、大規模な公園の計画し、また建築物等の規制を設け
ることで、良好でゆとりある居住環境形成と合理的な土地
利用を図る。
○周辺環境と調和の取れた良好な住宅地としての発展を期
するため、建築物等の規制・誘導を推進し、良好で緑あふ
れ、ゆとりある居住環境の形成と合理的な土地利用を図
る。
○自然環境と調和した福祉・医療拠点として、適切な土地
利用を誘導するため、建築物の用途制限等を行う。
○本市の中心商業業務地の一角を形成しているものの、住
商の混在する地域型の商業地となっている。また、一部は
環境保全型の工業地を形成している。
今後とも幹線道路の沿道にふさわしい適正な土地利用を
誘導する。
11.9ha
2.1ha
7.0ha
※商業地域
準工業地域
工業地域
:市街化調整区域の地区計画
■
地区計画位置図
⑪
⑯
⑩
⑬
⑭
⑥
⑨
④
⑧
⑤
⑰
①
②
③
⑫
⑦
⑮
25
資料6
大型店舗の規制について
平成18年の都市計画法の改正により、大規模集客施設の立地規制について見直しが
ありました。
26
赤枠:大規模集客施設が立地可能な区域
27
資料7
菰野町の都市計画区域について
四日市市:中部圏開発整備法に基づく都市整備区域の指定があるため、区域区分を定めなければならない。
菰 野 町:都市整備区域の指定はないが、区域区分を定めることができる。
四日市市
菰野町
都市整備区域
-
四日市都市計画区域
四日市都市計画区域
北勢圏域
北勢圏域
定める(義務づけ)
定めることができる
中部圏開発整備法
中部圏開発整備計画
第5条(都市計画区域)
都 第6条の2
市 (都市計画区域の整備、 開発 及び保全の方
計
針)
画
※ 三重県マスタープラン
法
第7条(区域区分)
・中部圏開発整備法に基づく区域指定状況
菰野町
四日市市
2. 四日市市と菰野町の区域・地域地区等の指定状況について
四日市市
行政区域
20,644
平成27年4月1日現在 都市計画区域外
菰野町
ha
菰野町行政区
10,728
ha
〔各市町HPより〕
平成27年3月31日現在 都市計画区域
市街化区域
用途地域指定
用途地域無指定
市街化調整区域
都市計画区域外
20,079.9
ha
3,687.0
ha
7,505.5
ha
367.9
ha
7,468.4
ha
367.9
ha
37.1
ha
-
ha
12,574.4
ha
3,319.1
ha
479.0
ha
7,041.0
ha
28
四日市都市計画区域
資料8
市街化調整区域における農地の規制について
1
農地制度
農地制度は、農地を取り巻く状況に対応して、次の3つの考え方を基本として整備されてきま
した。
①農地の効率的な利用
②優良農地の確保
③市民農園など新たな農地ニーズへの対応
優良農地の確保(②)を実現するために、農地について様々な規制がされています。
2
農地に対する規制
農地に対する規制としては、次の2つが主なものです。
①農地法
②農業振興地域の整備に関する法律(いわゆる「農振法」)
(1)農地法
農地制度の根幹である農地法は、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮
した農地の権利取得を促進するとともに、農地転用の規制をする内容になっています。
農地法の考え方(イメージ)
転用期待の抑制
国内の食料生産の増
貸借等による利
大を通じ、国民に対す
用促進
る食料の安定を確保
これ以上の農地
農地の貸借を進
の減少を食い止
め効率的に利用
め、農地を確保
●農地転用許可制度
<農地転用許可制度の目的>
食料の安定供給の基盤である優良農地の確保と農業以外の土地利用との調整を図り、
農地転用を農業上の利用に支障が少ない農地に誘導すること。
農地転用とは、農地を住宅や工場等の建物敷地、資材置場、駐車場、山林等、農地以外の用
地に転換することです。
農地を転用するときは、農地法に基づき、農業委員会を経由して三重県知事の許可を受ける
必要があります。ただし、2ヘクタール以下の場合は、四日市市長に権限移譲されているため、
四日市市長の許可を受ける必要があります。
なお、市街化区域内農地を転用する場合は農地法に基づき農業委員会に届出が必要です。
29
(2)農振法
農地法に基づく農地転用許可制度と併せて優良農地を確保するとともに、農業振興施策を計
画的に推進するため、農振法に基づく「農業振興地域制度」が設けられています。
市町村の農業振興地域整備計画は、集団的農地や農業生産基盤整備事業の対象地等の優良農
地を農用地区域として定めるほか、農業生産基盤の整備、農業経営の規模拡大等の農業振興の
マスタープランとなる計画を定めます。
農用地区域においては、農業振興施策を計画的・集中的に実施する一方で、土地の形質の変
更等の開発行為及び農地の転用を制限することにより、農業生産の基盤となる農用地等を確保
します。
<四日市の場合>
農業振興地域≒市街化調整区域
農用地区域
30
資料9
市街化調整区域の開発許可基準について
市街化調整区域とは、市街化を抑制すべき区域として定められたものであり、一定のものを
除き開発及び建築の行為を制限し、無秩序な市街化を防止することになっています。
市街化調整区域内で開発行為および建築行為を行う場合は、都市計画法第34条各号の内容
に適合する必要があります。
法第34条第1項
該当号
事
例
具体例、内容
第1号
地域サービス施設
医院、福祉施設、小規模店舗(コンビニ)
など
第2~4号
当該区域にて行う必要のある施設
鉱物資源の利用施設、農林水産物の処理
施設など
第5号
農林業等活性化基盤施設
第6号
中小企業の事業の共同化、集団化な 左記に該当するものとして県が認定し、
どに寄与する施設
助成を行う施設
第7号
調整区域内の既存工場(工業の用に
事業活動の効率化を図れる施設
供されているもの)の関連施設
第8号
危険物の貯蔵又は処理に供する施設
火薬庫など
第9号
沿道サービス施設、火薬製造施設
給油施設、ドライブイン、火薬類製造所
第10号
地区計画または集落地区計画施設
地区計画の内容に整合する施設
第11号
条例で指定する区域内での行為
該当無し(条例制定なし)
第12号
四日市市条例第54号(四日市市開発許
条例で定めた目的、用途に適合する
可等に関する条例第17条各号に定め
行為
る行為)
第13号
都市計画の変更に際して既存権利の 届出を行った行為で、当該都市計画の変
届出を行ったもの
更の日から5年以内に行うもの
第14号
上記第1~13号に該当しない行為の
内、市街化区域で行うことが著しく不適
当と認められるもの(※1)
開発審査会の議を経て行う行為
上記各号については、個々に周辺地域の状況、建物の種別、規模等から個別に審査、判断さ
れるので、すべてが市街化調整区域内で建設できるものではありません。
(※1)開発審査会の議を経て行う行為の内、分家住宅などの基準を市提案基準(10項目)
として定型化しています。当該基準以外で個別に開発審査会の議を経る場合もありますが、建
設については非常に困難となります。
31
市街化調整区域における四日市市開発審査会提案基準表
提案基準番号
内
容
1
市街化調整区域における農家等が分家する場合の取扱い
2
土地収用対象事業により移転する場合の取扱い
3
市街化調整区域における自己用住宅の取扱い
4
地区集会所等の準公益的な施設である建築物の取扱い
5
市街化調整区域内の既存建築物の改築(建替え)等の取扱い
6
削除(平成19年11月5日第16回四日市市開発審査会同意)
7
指定既存集落における自己用住宅の取扱い
8
指定既存集落における分家住宅の取扱い
9
指定既存集落における小規模工場等の取扱い
10
市街化調整区域における「大規模な流通業務施設等」の取扱い
11
相当期間適正に利用された建築物等の用途変更について
都市計画法(抜粋)
<特別積合せ貨物運送の用に供する施設>
(開発行為の許可)
第29条 都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじ
め、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(地方自治法 (昭和 22 年法律第 67 号)
第 252 条の 19 第1項 の指定都市又は同法第 252 条の 22 第1項 の中核市(以下「指定都市等」
という。)の区域内にあつては、当該指定都市等の長。以下この節において同じ。)の許可を受け
なければならない。ただし、次に掲げる開発行為については、この限りでない。
(1)及び(2) (略)
(3) 駅舎その他の鉄道の施設、図書館、公民館、変電所その他これらに類する公益上必要な建
築物のうち開発区域及びその周辺の地域における適正かつ合理的な土地利用及び環境の保
全を図る上で支障がないものとして政令で定める建築物の建築の用に供する目的で行う開発
行為
(4)から(11)まで (略)
2及び3 (略)
32
資料 10
沿道サービス施設(ドライブイン・給油施設)について
都市計画法第34条第9号に該当する沿道サービス施設のドライブイン及び給油施設は、次の要
件(給油施設については4、5を除く)を具備するものであることとしています。
(許可の対象となる施設の範囲)
1 道路の円滑な交通を確保するために適切な位置に設けられる休息所又は給油所等である建
築物であること。
(1)自動車の運転者の休息のための適切な規模の休息施設であり宿泊施設は含まない。
(2)自動車が遠隔の目的地に行く途中で必要な燃料を補給できる給油施設
(立地基準)
2 産業又は観光を目的とした 2 車線以上の道路で、かつ頻繁な通過交通である道路として市が
指定する道路(以下「指定道路(別添指定図参照)」という)沿いであること。
ただし、指定道路沿いであっても農用地区域(穴ぬき除外となる農用地も含む)及び風致地区
は除く。
(敷地規模)
3 規模配置については、次の各号の要件をすべて満たすこと。
(1)申請に係る土地の面積は、500 ㎡以上で 3,000 ㎡以下のものであること。ただし、給油
施設についてはこの限りでない。
(2)申請に係る土地には当該施設の規模に見合った駐車場が有効に配置されていること。た
だし、給油施設についてはこの限りでない。
(3)指定道路沿いに接する敷地の長さは、原則として、敷地外周の 10 分の 1 以上であるこ
と。
(4)指定道路沿いの敷地には、幅 1.0m の低木植樹帯を設置すること。
(5)指定道路より乗入れを行い、当該乗入れ口から建物までの距離は概ね6m以上離れてい
ること。
(予定建築物)
4 当該施設は、次の各号の要件を満たすこと。
(1)建物は、原則として1棟、2階建以下で高さが 10m以下であること。
(2)客席数が 20 席以上であること。
(3)客席は開放的な形式とし、席は原則として椅子席であること。
(4)付属する管理用施設の規模は、必要最小限のものであること。
(営業内容)
5 建物の用途は中長距離を走行する自動車の運転者及び同乗者が利用するための飲食、喫茶等
の施設であること。
(その他)
6 本号に該当する施設は、次の要件を満たすこと。
(1)事業主は当該施設の経営者であり、建物の所有権者であること。従って貸店舗は許可対
象とならない。
(2)開発又は建築を行うために他の法令による許認可等が必要な場合は、その許認可等を受
けられるものであること。
33
資料 11
大規模流通業務施設について
都市計画法第34条第14号に基づく四日市市開発審査会提案基準で市街化調整区域における
幹線道路の沿道等(市長が指定した区域内(別添指定図))における流通業務施設のための開発行
為又は建築行為についての取扱いを定め、次の要件を具備するものであることとしています。
(許可を受けようとする者)
(1)自己の業務として自ら「大規模な流通業務施設」又は「特定流通業務施設」(以下「大規
模な流通業務施設等」という。)を建築して営業する確実性のあるもの。(自己用の倉庫は
「大規模な流通業務施設等」には含まない)
(予定建築物)
(2)予定建築物は、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)第2条第2項に規定する
「一般貨物自動車運送事業(同条第6項に規定する特別積合せ貨物運送をするものを除く。)
の用に供される施設」又は倉庫業法(昭和31年法律第121号)第2条第2項に規定する
「倉庫業の用に供する同法第2条第1項に規定する倉庫」であって、次の各号のいずれかに
該当するものであること。
(一)積載重量5トン以上の大型自動車が8台以上配置され又は1日当たりの発着貨物が概ね
80トン以上ある施設であって、中部運輸局長が「大規模な流通業務施設」として認めた
施設であること。
(二)流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(平成17年法律第85号)第5条第
2項に規定する認定総合効率化計画に記載された同法第2条第3号規定する「特定流通業
務施設」で、同法第4条第1項による認定を受けたものであること。
(申請地の要件)
(3)申請に係る土地は、別途市長が指定した幹線道路の沿道及びインターチェンジの区域で次
の要件を満たす土地であること。
(一)幹線道路の沿道に立地する場合は、敷地はその敷地の外周の 10 分の1以上が幹線道路
に接していること。
(二)インターチェンジの区域に立地する場合は、当該申請地からインターチェンジに至るま
での主要な道路が有効幅員6m以上であること。
(予定建築物の敷地規模等)
(4)予定建築物の規模は、次の各号に該当するものであること。
(一)建ぺい率は、50%以下であること。
(二)容積率は、100%以下であること。
(三)予定建築物の敷地は、その事業計画に照らし適正なものであり、かつ5ha 未満とする。
(四)敷地の境界には、その内側に道路からの進入路の部分を除き、次に定める緑地帯を配置
するほか周辺の景観に配慮するものとする。
敷地面積
緑地帯の幅員
(1)
1ha未満
3m以上
(2)
1ha以上
1.5ha未満
4m以上
(3)
1.5ha以上
5m以上
※緑地帯には、樹高3m以上の常緑樹で、針葉樹の場合は100㎡あたり10本以上、広葉
樹の場合は100㎡あたり5本以上植樹すること。
許可事例(平成)3年
(有)佐藤運送店
大矢知町字桜谷 1994-5 他
9,900.95 ㎡
4年
東洋港運(株)
大矢知町字姥ヶ谷 1901-2 他
10,173.05 ㎡
5年
伊勢湾倉庫(株)
大矢知町字大沢 1981-3 他
5,369 ㎡
6年
(株)ミエライス
大矢知町字鳩浦 1900-2 他
9,012.77 ㎡
24 年
四日市コーウン㈱
大矢知町字大沢 1974-20 他
3,676.11 ㎡
34
資料 12
特別積合せ貨物運送施設について
特別積合せ貨物運送の用に供する施設である建築物の建築を目的で行う開発行為は、駅舎そ
の他の鉄道の施設、図書館、公民館、変電所その他これらに類する公益上必要な建築物の建築
を目的で行う開発行為と同様に、許可を要しない開発行為となります。
適合証明発行事例(平成)
2年
新潟運輸(株)
8年
ヤマト運輸(株)
9年
日本郵便逓送(株)
14 年 佐川急便(株)
大字羽津戊字山ノ奥 67
菅原町字南川原 21-1
智積町字城丸 6138 他
大字羽津字山之奥戊 97 他
5,135 ㎡
9,265.47 ㎡
4,025.75 ㎡
21,996.87 ㎡
○調整池について
許可を要する開発行為の場合、開発区域の面積が1ヘクタール以上、又は洪水調整容量
500立方メートル以上である場合にあっては、調整池を設けなければならないとしています。
35
資料 13
市街化調整区域における地場産業の取り扱い
○四日市の地場産業
四日市萬古焼、伊勢茶・かぶせ茶、大矢知手延素麺、食用油、日永うちわ、地酒、その他(煎粉
〔いらこ〕、製網)
※出典 「四日市市の地場産業」(四日市市 商工農水部 工業振興課)
1)鉱物資源を利用するものの場合
都市計画法第34条第2号
市街化調整区域内に存する鉱物資源、観光資源その他の資源の有効な利用上必要な
建築物又は第一種特定工作物の建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為
鉱物の採掘、選鉱その他の品位の向上処理及びこれと通常密接不可分な加工並びに地質調査、
物理探鉱などの探鉱作業及び鉱山開発事業の用に供するもの、すなわち日本標準産業分類C-
鉱業に属する事業 及び 当該市街化調整区域において産出する原料を使用するセメント製
造業、生コンクリート製造業、粘土かわら製造業、砕石製造業等に属する事業に係る建築物で、
当該市街化調整区域でなければ、鉱物資源の有効な利用ができなくなり、事業活動が困難にな
るものに適用される。
地場産業の許可事例
萬古工場
2)農産物等を処理又は加工するものの場合
都市計画法第34条第4号
農業、林業若しくは漁業の用に供する建築物で第 29 条第1項第二号の政令で定める
建築物以外のものの建築又は市街化調整区域内において生産される農産物、林産物若し
くは水産物の処理、貯蔵若しくは加工に必要な建築物若しくは第一種特定工作物の建築
若しくは建設の用に供する目的で行う開発行為
原材料が主として当該市街化調整区域における農産物等であり、かつ、当該生産地において
処理又は加工する必要性があり(畜産食料品製造業、水産食料品製造業、野菜かん詰、果実か
ん詰、農産保存食料品製造業、動植物油脂製造業、精穀・精粉業、砂糖製造業、配合飼料製造
業、製茶業、でんぷん製造業、一般製材業等)、処理又は加工に伴い排出される廃物及び汚水
の処理について衛生上及び環境上支障がないものに適用される。
地場産業の許可事例
茶工場
3)工場が集団的に立地しているものの場合
都市計画法第34条第7号
市街化調整区域内において現に工業の用に供されている工場施設における事業と密
接な関連を有する事業の用に供する建築物又は第一種特定工作物で、これらの事業活
動の効率化を図るため市街化調整区域内において建築し、又は建設することが必要な
ものの建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為
鉱物業、機械業等小規模な工場で、すでに同種、同規模の工場が集団的に立地している場合、
一括原料の購入、製品の集配をするなどの利便をはかることが多く、これらの企業相互間の利
便を増進していると認められる地域に、同種同規模の工場が新設される場合に適用される。
地場産業の許可事例
なし
※市街化区域内にある大矢知手延素麺の工場は当該号に該当しません。
36
42
兵庫県川西市
43
44