はじめまして!2011 年 3 月にドイツ語学科を卒業した渡邉真希と申します。現在私 は青年海外協力隊のコミュニティ開発という職種で、中米のエルサルバドルという国 で暮らしています。今回は第一号ということで、この国について、また現在の活動内 容などをご紹介させていただきます。 【エルサルバドル】 みなさんはエルサルバドルという国を聞いたことがあるでしょうか。中米諸国の中 で一番国土が小さく、火山や山間部が多いのが特徴です。気候は乾季と雨季に二分さ れる亜熱帯気候ですが、アジアに比べるとからっとしていて過ごしやすいです。 特に、私の任地である東部モラサ ン県は山間部に位置するため、様々 な場所で美しい風景に出会えます。 他県や首都等の都市部に住む人々か らは開発途上地域と呼ばれることも 多いですが、電灯が少ない為に夜は とてもきれいな星空を見ることがで き、また断水が起きれば水が使える ことのありがたみを知ることができ 1 任地モラサン県の風景 る等、協力隊の任地として体験でき るからこそ気付く良さもたくさんあります。適応するまでは大変なこともありました が、まもなく赴任後 2 年目を迎える今となっては、私は自分の任地が大好きと公言す るぐらい、ここでの生活を満喫しています。 また、エルサルバドルの人々はとても日本人によく似ていると感じることが多いで す。例えば、働き者で勤勉であること、ひとに対する思いやりがあること等。また、 この国の人々にとって家族はなによりも大切な存在であり、子供と一緒に出勤する場 面も多く見られます。家族以外にも隣人やコミュニティ毎のひととひととの結びつき は強く、繋がりや絆を大切に暮らすその姿勢は、ひとと共に生きる社会ではとても大 切なことだと改めて気付かされる瞬間も多いです。 【活動について】 私は現在、FUSAL という現地の NGO に所属し、5 歳未満の子供や妊婦の栄養改 善を通して貧困克服を目指すプログラムに取り組んでおります。 内容としては、対象地域の9つの自治体を定期的に巡回 し、身長体重測定の計測とデータのモニタリング、対象住 民に栄養補助食品の配布、またそれを使った調理のワーク ショップや、親子でモノづくりやうたを一緒に歌うなどの 知育のワークショップ、そして必要に応じてビタミン剤を 提供するなど、業務は多岐にわたります。またそれ以外に も、持続可能な社会形成という枠組みで開発専門家の同僚 と共に、青少年や母親、地域ボランティアを対象に自己啓 2 プログラム対象の子ども 発のワークショップも行っています。その中でも特に、知 育ワークショップにおいて母親や子供たちと一緒にモノづ くりを行い、知育の必要性や重要性をママたちと対話する、また青少年を対象にした 自己啓発のワークショップでは日本文化紹介等も導入し、異文化を知ることで自国文 化に対する客観的な視点や自尊心を高められるようなアクティビティを行い、多くの 人々とコミュニケーションを重ねることにも注力しています。というのも、現地に暮 らす人々の考えや価値観を知ることは活動上必要不可欠であり、また私が協力隊を志 望した動機もそれを知りたい、自分で体感したいと考えた為です。実際、着任直後よ りも時間をかけて関係性が構築された現在の方が、 活動の幅や内容も少しずつ広がってきていると感じ ています。 共に日々働く同僚は医師や栄養士、児童福祉専 門家、開発専門家、普及員等、様々な職種を持つ 12 人ほどのチームで、皆とても仕事熱心で陽気な方々 です。巡回の移動中や事務所内でも常に笑い声が絶 えず、着任直後の余裕のなかった私はイライラする 時も度々あったほど(笑)ですが、現地に適応した今と 3 体重測定の一場面 なっては、彼らと笑い合える時間に救われることも多いです。着任当初から現在に至 るまで、まだまだスペイン語が拙い私の言葉にも聞く耳を持ち、チームの一員として 接して下さる同僚の皆、また同じようにいつも笑顔で迎えて下さる巡回先の地域ボラ ンティアや対象住民の方々には、ただただ感謝するばかりです。 異文化理解とか、互いの文化を尊重するとか、言葉にするのは簡単にできても、実 際は多くの困難が伴うことを私はここにきて初めて学んだような気がします。もとも と幼少時から海外経験があったおかげで、学生時代の留学先でも楽しいことばかりで 困難に出会うことは今ほど多くはありませんでした。でも困難があるからこそ、その 壁を乗り越えてわかり合えたときの喜びや、感情を共有できる瞬間は、とても言葉で は言い尽くせないくらい幸せに感じることができます。まもなく残りの任期もちょう ど 1 年となりますが、最後までそういった時間を現地の方々と共有していけるよう、 これからも積極的に行動していきたいと思っています。 (プロフィール) 2011 年 3 月外国語学部ドイツ語学科卒業。幼少期を タイで過ごし、学生時代はドイツ・ワイマールのバウハ ウス大学とトリーア大学に留学する。卒業後は(株)浜屋 保険事業部にて営業職として約 3 年半保険代理店に勤 務。留学中にドイツ国際平和村を訪ねたことがきっかけ となり、国際協力に興味を持つ。会社員時代に国際協力 の情報収集を続けた後、2015 年 3 月よりコミュニティ 開発としてエルサルバドルに赴任。
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