3次元ダイレクトモデラー「ANSYS SpaceClaim」ユーザー事例 レーシングチームのクルマ作りに 貢献するANSYS SpaceClaim の 魅力と可能性 サードはモータースポーツ関連自動車の企画・開発・製造・販売を行う会社で、 「SUPER GTレー ス」用のレーシングカーをLEXUS ベースで開発している。また航空機や船体などの開発も行っ ており、熱/流体の構造解析なども行っている。そういった業務に向けてサードでは ANSYS SpaceClaimを導入した。エンジニアの笠井昭則氏に ANSYS SpaceClaim の導入経緯 や導入効果などを聞いた。 (株) サード 創業者の加藤眞氏が1972年に トヨタ自動車モータースポーツ 部門から独立して設立。1973 年、国産オリジナルマシンとし て 日本 で 初 め て「 ル・マン24 時間レー ス 」に 挑戦。現在 は LEXUSブランドでトヨタ系レー シングチームとして「SUPER GTレース」に参戦、数々の勝利 と名勝負を歴史に刻んでいる。 http://www.sard.co.jp/ のでしょうか? ●レーシングカーを開発するサード 笠井:まずハイエンド CAD は導入コスト、運用コストが高い ——まず、サードの業務について簡単にご説明ください。 ですね。他社のハイエンド CAD も複数利用していますが、ハ 笠井:弊社はレーシングチームの活動をしており、主にレー イエンド CAD はそれぞれ固有の特徴的な操作が必要となり、 シングカーに取り付ける部品の開発などを行っております。 それぞれのツールをマスターするまでが大変で、時間が掛か 加えて、小型飛行機の開発、部品制作なども手がけています。 ります。その間仕事が止まってしまいます。ハイエンド CAD ——レーシングカー、小型飛行機の開発において、笠井さんは は導入時のトレーニングでも最低5日は必要になります。も どのような業務を担当されていらっしゃいますか? ちろん、覚えてしまえばハイエンド CAD の良さを活用できる 笠井:私はエンジニアとして、部品の設計から流体解析まで のですが。 の業務を担当しています。 ——そういった状況で、はじめてANSYS SpaceClaim を操作し ——具体的にどのような解析をされていますか。 た時のファーストインプレッションをお聞かせください。それと、 笠井:主に流体解析をしています。これは走行中の空気抵抗 どのくらいの時間でひと通り操作できるようになりましたか? の解析など、レーシングカーの開発には欠かせない工程です。 笠井:なにしろ ANSYS SpaceClaim は、画面がシンプルで直感 的なインターフェイスですね。それに驚きました。またオペ ●既存の CADシステムとANSYS SpaceClaim レーションも2〜3日でモデルの取り扱い、モデリング方法を ——今回の ANSYS SpaceClaim の導入に際し、従来利用されて 習得することができました。社内では他社のハイエンド CAD いた既存の CADシステムに関して、問題点、悩みなどがあった を使っていますが、私は現在 ANSYS SpaceClaim だけですべ ての業務を行っています。 ● ANSYS SpaceClaim の導 入効果とメリット ——これまでのハイエンド CADと比 べ て、ANSYS SpaceClaim は 生 産 性 の面ではいかがですか。 笠井:ANSYS SpaceClaim は、モデル 作成時間がとても早い。そして読み 込める CAD データが多いのが助か ります。モデリング時間が早いので、 パーツ量が多い時は圧倒的に便利で す。部品点数が増えれば増えるほど、 生産性に差が出てきます。 また解析面でも、例えば基板の隙 間を全部つぶすとか、仮想の空気を 作るなど、解析モデルの作成を行っ ています。仮想の空気を作るがすご く簡単でいいですね。個体の空気を ▲ LEXUS ベースで開発された、サードの「SUPER GTレース」用のレーシングカー 3 話を伺った SARD RACING PROJECT ENGINEER の 笠井昭則氏 ▲ ANSYS SpaceClaim のオペレーション画面 作るのが簡単です。 穴を空ける。そういった、設計というより流体解析モデルに ——従来の CADとANSYS SpaceClaimを併用したり、あるいは おいて有効です。なにしろプルコマンドとフィルコマンドだ 乗り換えることも可能ですか? けで使流体解析モデルができてしまうわけですから。 笠井:併用という面では、各種モデリングデータなど、読み ただ、履歴のない CAD データを、ハイエンド CAD で編集す 込 め る デ ー タ フ ォ ー マ ッ ト が 多 い の が 便利 で す。ANSYS るのは手強いですね。すべてをまた設定し直しになります。 SpaceClaim は、さまざまなハイエンド CAD のネイティブデー ●今後の活用方法 タを取り込めるので、いちいち変換しなくてすみます。です ので、中間ファイルが壊れることが少ないんじゃないでしょ ——ANSYS SpaceClaimには他にもさまざまな機能がありますが、 うか。 サードでは今後どのように活用されていかれる予定ですか。 ANSYS SpaceClaim は、既存の CAD と並行して使っても、乗 笠井:主に流体解析モデルの作成です。あとは STL の修正用 り換えても問題ないと思います。 途ですね。STL データの編集が専用ツールを使わなくても ——ANSYS SpaceClaim には操作の履歴がありませんが、その ANSYS SpaceClaim でできてしまう。 点はいかがですか? 例えばリバースエンジニアリングで、3D スキャンした 笠井:履歴がない点は、設計だけを考えると良し悪し両面あ STL データをソリッドモデルにする場合など、今後 ANSYS りますが、流体解析モデルを作る際はとても便利です。 SpaceClaim で行いたいと思っています。 形状を選択して一括でフィルすればできてしまう、プルで C OL U M N 流体領域を簡単に 抽出することが可能です ! ! 流体解析の場合にはそもそも解析に必要なモデル形状 が存在しないということがあります。例えば、設計者は、 部品そのものはモデリングしますが、部品内部の流体ボ リューム形状のモデルは作成しません。従来のツールで は、流体領域を作成するモデリングに、時間を費やし、ま た3DCAD 初心者ではモデリングを終えることが出来な いケースも少なくありません。ANSYS SpaceClaim には、 モデルから流体領域をソリッドとして抽出する専用ツー ▲およそ5分で流体領域(紫色)をソリッドとして抽出 ルがあります。ユーザは、モデルの開口部を選択し、流体 領域となる箇所を選択するだけで操作を終えることが可 写真の例では、およそ5分で流体領域 (紫色) をソリッドと 能です。また、小さな開口部などの一見みつけにくいよ して抽出しています。解析モデルの準備に最適なプラット うな開口部を、オプション機能で簡単に把握することが フォームであるANSYS SpaceClaimを是非お試しください。 出来ます。詳細は下記 URL をご参照ください。 http://www.spaceclaim.com/ja/Solutions/ModelingFor お問合せ先:スペースクレイム・ジャパン株式会社 CAE/CFD_Thermal_Prep.aspx [email protected] 4
© Copyright 2024 ExpyDoc