平成27年度人権問題文芸作品「のじぎく文芸賞」入賞作品及び受賞理由

平成27年度人権問題文芸作品「のじぎく文芸賞」入賞作品及び受賞理由
賞
作者名
最優秀賞(
4名)
部 門
部
小 説
一般
随 想
一般
詩
学齢
創作童話
一般
柴田 慶子
一般
佐々倉秋 吾
(ペンネーム)
こやま
な な
作品名
小山 菜那
自立法
かぎもと
鍵本 直哉
聞こえない
やまもと
ゆうくん、とうくん
なお や
とし え
山本 季枝
しばた
けいこ
さ さ く ら しゅう ご
トクさんのおす
そ分け
神様のイタズラ
小 説
学齢
一般
優秀賞(
7名)
一般
進路で両親と揉め、友人とも浅薄な関係の高校3年生、杏は、60年前の自立法のあった時代に紛れ込む。「人の自立を妨
げるような人助けをしてはならない」という悪法から、助け合っていく大切さを説く逆説的設定の作品である。
自分の耳が聞こえなくなった時の様子を描きながら、寂しさや怖さを表現し、高度難聴者の感性が手に取るように伝わって
くる。人権課題の解決に向けて、明るい展望をもたせる作品である。
地球をサッカーボールにして蹴らんばかりのゆうくん。地球を舞台に思いっきり泣くとうくん。二人の兄弟の育児に悩みなが
らも、子育てを乗り越えていく、優しい愛情や思いやりが感じられる作品である。
右半身が動かなくなったトクさん。公園の掃除をやめることになる70歳を前に、クローバーをもらい、おすそ分けをし、他
人に幸せを運ぼうとする。心温まるエピソードが活き活きと描かれた作品である。
兄ヒロキはトランスジェンダー。スカートをはいて登校しだした兄に教師は抗議するが、母が先生を納得させる。両親と兄弟
の理解が社会を動かしていくことを示唆した作品である。
該当作品なし
あいかわ
ひろし
愛川 弘
甘い白桃
しばた
心で伝わる思い
随 想
学齢
受 賞 理 由
柴田 らな
やまもと
みつのり
山本 光範
風の電話
詩
学齢
コニー
一般
藤本 忍
学齢
名田 栞
ふじもと
しのぶ
私は知りたい
約束
創作童話
な だ
しおり
百てん
神戸空襲を思い出し、70年経た今も「母親ともはぐれ、絶望的な状況の中で、見ず知らずの女性からふと差し出された桃
の缶詰が忘れられない」出会いと感謝について考えさせる作品である。
自閉症の兄は、高校2年生だが、行動は2歳半、周囲との関係も難しい。作者と家族は、あきらめず、パニックの時も、どの
ような時も原因を見つけ魔術師のような見事さで解決する。家族愛を考えさせる作品である。
大津波で亡くなった人と繋がろうと電話ボックスを開けて受話器をとる。自然の本当の力は、死者とともにあること、死者と
繋がっていることが描写され、人のやさしさや思いやり、命のかけがえのなさを表現した作品である。
目の不自由な作者の不安や心配が素直にあらわれている。後半は、周りの人たちのぬくもりに支えられながら、力強く前
向きに生きようとする思いを込めた作品である。
ペンキ塗りという父の仕事に対して抱いていた息子祐太の気持ちが、夏休み中、学校の遊具に、黙ってペンキを塗る父の
姿を見て、祐太も同じようにしたいという思いに変わる。祖父から父、子へと心の継承を伝える作品である。
テストでズルをした主人公が、弟から自分の心に嘘をつかないことを教えられる。短いが、小学生らしい発想で、嘘をつか
ず正直に生きる大切さを伝える作品である。