1-1 都市計画マスタープラン策定の趣旨・目的【パブリックコメント版】 第1章 都市計画マスタープラン策定の背景 1‐1 都市計画マスタープラン策定の趣旨・目的 1 都市計画マスタープランとは 「都市計画マスタープラン」とは、市民の意見を反映させながら、創意工夫のもとで地域の 都市空間を重視したまちづくりを目指すため、市が都市計画に関する基本的な方針等を総合的 に定めるものです。 1992 年(平成4年)の都市計画法の改正により、『市民参加のもとに、市町村自らが「市町 村の都市計画に関する基本的な方針」を定める』とする制度(都市計画法第 18 条の 2)が創設さ れました。この「市町村の都市計画に関する基本的な方針」を「都市計画マスタープラン」と いいます。 従来の都市計画に関するマスタープランとして「緑の基本計画」や「住宅マスタープラン」 などの各部門における個別計画がありますが、都市計画マスタープランは、これら従来の諸計 画を総括するとともに、総合的かつ体系的な都市計画を推進していくことを目的として制度化 されたものです。 この「都市計画マスタープラン」の策定により、用途地域の指定や都市計画道路の決定など の規制型の都市計画はもとより、市民と行政の協働による誘導型のまちづくりの指針にもなり、 市の都市計画の総合的な指針としての役割が果たせるものになります。 2 上位・関連計画の中での都市計画マスタープランの位置づけ 「都市計画マスタープラン」は、我が国の計画行政の中に位置づけられ、国が策定した上位 計画をはじめ、県や本市の関連計画との整合性を図る必要があります。 国が策定する上位計画としては、国土形成計画(全国計画・中部圏広域地方計画)、国土利用 計画、中部圏開発整備計画がありますが、各計画の中で示されている国土計画及び中部圏の地 域づくりの潮流変化と方向性を踏まえて、都市計画マスタープランを検討する必要があります。 関連計画としては、県の「新しい都市計画の基本的方針」 、「愛知県国土利用計画」 、「新しい 政策の指針」及び「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画区域マスタープラン) 」 、 本市では「大府市総合計画」があります。この中でも「都市計画区域マスタープラン」と「大 府市総合計画」は、 「都市計画マスタープラン」の基本フレームを規定する計画であり、2つの 計画で示された方針を踏まえた計画づくりが必要です。 1 1-1 都市計画マスタープラン策定の趣旨・目的【パブリックコメント版】 図 1-1 上位計画・関連計画における都市計画マスタープランの位置づけ 国土形成計画 国土利用計画 全国計画・中部圏広域地方計画 (国土形成法に基づく計画) (国土利用法に基づく計画) ︻ 上位計画︼ ≪国≫ 中部圏開発整備計画(第4次) (中部圏開発整備法に基づく計画) 新しい都市計画の基本的方針 (都市計画の見直しの基本方針) 国土利用計画 新しい政策の指針 (国土利用法に基づく計画) (地域づくりの基本方針) ︻ 関連計画︼ ≪県≫ 都市計画区域の整備、開発及び保全の 方針(都市計画区域マスタープラン) ≪市≫ 大府市総合計画 (地方自治法に基づく市の基本構想) 大府市都市計画マスタープラン 市町村の都市計画に関する基本 的な方針 都市計画の決定・実施等 ○緑の基本計画 ○住宅マスタープラン ○環境基本計画 ○都市景観基本計画 など 3 これまでの経緯と計画の策定目的 本市では平成7年3月に「大府市都市計画マスタープラン」を策定し、平成 13 年9月には「第 4次大府市総合計画」の策定にあわせた見直しを行いました。本計画は、平成 22 年度を目標に 本市の都市づくりに向けた理念と目標、将来の都市構造、都市整備の方針、地域別構想で計画 されています。 今回の計画策定は、都市計画区域マスタープランや第5次大府市総合計画が見直し時期を迎 え、さらには、人口減少時代や少子高齢化、環境問題の深刻化などの社会経済状況の変化や、 住民のニーズの多様化、都市計画に関する各種事業の進捗状況等の時代の変化に対応するため 行うものです。 4 目標年次 本計画の目標年次は、第5次大府市総合計画の目標年次にあわせて平成 32 年度(2020 年度) とします。 ただし、都市基盤施設は、整備完了後に長期にわたって都市活動を支える基盤となるもので あり、超長期を展望しながら検討する必要があります。したがって、本計画で対象とする事業 は、計画期間に実施するものばかりではなく、検討する事業も含みます。 2 1-2 上位計画・関連計画の整理【パブリックコメント版】 1‐2 上位計画・関連計画の整理 1 上位計画 国土形成計画(全国計画・中部圏広域地方計画)、国土利用計画、中部圏開発整備計画といっ た国の計画から、今後の地域づくりの方向を示すキーワードが次のように抽出されます。 ①交流・活力 ・アジアの成長のダイナミズム(活力)の活用/高度で幅広い人材と産業の集積/人・物・情 報の活発な交流 ・中部の文化・歴史・自然・産業を活かした広域観光交流圏形成/「まんなか」国際交流圏づ くり/地域産業のブランド力の向上(ものづくり文化と環境共生文化)/ものづくり産業の 国際競争力の強化/産業・農林水産業の持続的発展/効率的な物流ネットワークの構築 ②持続可能性 ・環境負荷を低減できる集約型都市構造/都市と自然との調和/利便性の高い快適な生活環境 ・生物多様性の保全/健全な水循環の構築/環境にやさしい交通先進都市圏づくり/地球温暖 化防止対策の推進/循環型社会の形成/環境保全活動の推進 ③安全・安心 ・総合的な災害対策/防犯環境・交通安全環境/すべての人が安全・安心に暮らせる環境 ・多様で健全な森林整備・流域圏の連携/複合災害による被害の拡大防止/地域の防災力向上 /代替補完機能を有する広域交通体系の構築/交通安全対策の推進/防犯対策・防犯教育の 推進/快適な移動環境の構築/保健・医療・福祉サービスの充実 ④個性・新たな公 ・環境負荷を低減できる集約型都市構造/都市と自然との調和/利便性の高い快適な生活環境 ・自然景観の保全/多様な主体の取組の展開/多文化共生社会の形成 2 関連計画 県では、都市計画の見直しの方針を定めた「新しい都市計画の基本的方針」(平成 19 年 10 月)を策定し、それに基づいて平成 22 年を目途に「都市計画区域マスタープラン」の策定作業 を進めています。本市は、 (仮称)知多都市計画区域に含まれており、本計画も知多都市計画区 域マスタープランと整合を図る必要があります。 また、本市では平成 21 年度に「第5次大府市総合計画」を策定し、平成 32 年度を目標に、 将来の都市像と今後の政策の基本方針、主要施策・事業を示しています。本計画も、本市にお ける上位計画となる総合計画の方針を踏まえて検討する必要があります。 3 1-2 上位計画・関連計画の整理【パブリックコメント版】 図表 1-2-1 (仮称)知多都市計画区域マスタープラン(素案)の概要 構成市町 半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市、阿久比町、東浦町、美浜町、武豊町、 南知多町 半島の自然環境、歴史ある産業文化、広域交流拠点をいかした活力ある都市づくり 【将来都市構造図】 都市づくりの 基本理念 ①人口動向等を踏まえた住居系市街地の形成に向けた目標 ●鉄道駅を中心にさまざまな都市機能を集積し、まちなか居住を促進します。高齢 者をはじめとして誰もが暮らしやすい生活環境を確保し、多様な世代の交流とふ れあいが生まれる居住空間の形成をめざします。 ●自然環境に恵まれた地域では、地域の創意と工夫により定住人口や週末人口を確 保して、活力と魅力ある住宅地の形成をめざします。 ②都市機能の立地・誘導に向けた目標 ●知多半田駅から半田駅を中心とする地区を区域拠点に位置づけ、住民や企業が広 く利用できる広域的な都市機能の集積をめざします。 ●常滑駅、太田川駅、大府駅、朝倉駅および緒川駅の周辺を、暮らしを支える都市 拠点に位置づけ、地域住民が利用できる都市機能の集積をめざします。 都市づくりの 目標 ③広域交通体系および公共交通網構築に向けた目標 ●さらなる地域活力の向上を図るため、広域交通体系や、それらを補完する幹線道 路網の構築をめざします。 ●区域拠点や都市拠点の分担と連携を強化して区域の一体性を確保するために必 要な道路など、主要な幹線道路網の充実をめざします。 ●公共交通網を軸に自家用車に過度に依存しない身近な生活圏を構築するため、公 共交通網の維持や強化をめざします。 ④産業動向等を踏まえた工業系市街地の形成に向けた目標 ●広域交通体系による利便性をいかし、臨海部などに集積した物流・工業機能の維 持・強化をめざします。 ●地域活力を生み出す新たな産業の誘導や既存の工業機能の強化が可能となるよ うに、物流の効率化が図られる地域、既に工場が集積している工業地の周辺など に、新たな工業系市街地の形成をめざします。 4 1-2 上位計画・関連計画の整理【パブリックコメント版】 ⑤環境負荷が小さく、防災性が高い都市の構築に向けた目標 ●海岸、丘陵地の農地や緑地、点在するため池、市街地の公園、道路などを活用し た自然的環境インフラネットワークを形成し、緑豊かで快適な都市をめざしま す。 ●パークアンドライドの取り組みの促進などにより公共交通の利用を高め、環境負 荷の低減が図られた都市をめざします。 ●地震、水害、土砂災害などに強い都市をめざします。 5 1-2 上位計画・関連計画の整理【パブリックコメント版】 図表 1-2-2 第5次大府市総合計画の概要 「健康都市」の実現 まちづくりの 基本理念 ・「市民一人ひとりが心身ともに健康であると同時に、市民が生活する地域社会や都市 全体が健康であること」であり、本市に住み、働き、集い、学ぶ人々が、快適で健や かな生活を送ることができ、住み続けたいと実感できる魅力のある社会を指していま す。 ・まちづくりを推進するうえでの基本的な視点を「市民力」 「地域力」「都市力」とし、 3つの「力」が相互に連携し調和することで、次世代に誇ることができる持続可能な まちづくりの仕組みをつくります。 『みんな輝き 将来都市象 基本指標 将来都市構造 6 幸せ感じる 健康都市』 ●「みんな輝く健康都市」の実現 ・市民一人ひとりが個性や能力を発揮していきいきと活動し、多様な主体がまちづくり に参画することで活力あるまちの実現を目指します。 ●「幸せ感じる健康都市」の実現 ・人々がお互いに助け合い、連携しながら温かみのある地域を形成し、日々の暮らしに 幸福を実感でき、いつまでも住み続けたいと思える魅力あるまちの実現を目指しま す。 【計画期間】 ・2010 年度(平成 22 年度)から 2020 年度(平成 32 年度) 【人口】 ・2020 年度(平成 32 年度)目標人口:98,000 人 1-2 上位計画・関連計画の整理【パブリックコメント版】 ●健康長寿の「幸齢社会」づくり ・本市の特色である健康づくりや子育て支援に関する施策などをさらに充実するととも に、 「健康都市」としてのブランドイメージを確立し、 「住み続けたいまち」としての 魅力を広く発信することにより、いつまでも健康で元気に暮らすことのできる「幸齢 社会」の実現に向けたまちづくりを進めます。 ●交流と連携による地域づくり ・福祉活動、文化・学習活動、コミュニティ活動、環境保全活動など、それぞれの地域 まちづくりの において様々な活動が行われており、今後は、それぞれの活動主体相互の連携や世代 基本戦略 間の交流、住民の地域コミュニティへの参画など、人と人とのつながりによる地域の 特性を活かしたまちづくりを進めます。 ●コンパクトで持続可能なまちづくり ・人口増に対応しながら良好な居住環境を維持するために、良好な土地利用の推進や都 市施設の整備を進めるとともに、緑があふれる環境に配慮したまちづくりや、誰もが 移動しやすい都市空間形成のために、JR新駅設置の推進など公共交通の充実等を図 り、コンパクトで持続可能なまちづくりを進めます。 1 健康で生きがいあふれる生活づくり ①市民が主体となった健康づくりの推進 ②安心できる医療の充実 ③安心して子育てができる地域社会づくり ④安心して高齢期を過ごせる環境づくり ⑤高齢者が活動できる地域社会づくり ⑥障がい者が自立して生活できるまちづくり ⑦共に支え合う地域社会づくり 2.まちを支え将来を担う人づくり ①学校教育の充実 ②地域・家庭の教育力の向上 ③文化・学習活動を通した豊かな心の醸成 ④国籍・性別を越えてお互いを尊重し合える社会づくり ⑤スポーツを通した豊かなライフスタイルの実現 3.安心・安全な生活を守る環境づくり ①地球規模の環境対策の推進 ②地域での環境対策の推進 ③循環型社会の構築 ④消防・救急の充実 施策体系と ⑤災害対策の推進 ⑥防犯対策の推進 主な関連基本 ⑦安心できる消費生活の実現 事業 ⑧交通安全対策の推進 ⑨協働のまちづくりの推進 4.大府らしさを活かした賑わいづくり ①企業活動の活性化 ②商業機能の充実 ③就労環境の充実 ④都市近郊農業の活性化 ⑤地域資源を活かした観光の活性化 5.快適で便利な暮らしの基盤づくり ①良好な土地利用の推進 ②スムーズに移動できる道路の整備 ③安心・安全な移動空間の整備 ④利便性の高い公共交通の充実 ⑤水の安定供給 ⑥下水処理対策の推進 ⑦災害に強い都市基盤整備の推進 ⑧良好な住環境の形成 ⑨水と緑の環境づくり 7 1-2 上位計画・関連計画の整理【パブリックコメント版】 6.戦略的で効果的な行政経営の仕組みづくり ①機能的で弾力的なマネジメント体制の強化 ②効率的で効果的な事務事業の推進 ③健全で戦略的な財政運営の推進 ④市民との対話の推進と都市ブランドの発信 8
© Copyright 2024 ExpyDoc