研究開発/知的財産 (PDF : 3.73MB)

研究開発/知的財産
研究開発の基本方針
種々の社会課題に対して、研究開発部門が主導する材料と物質のイノベーションを通して社会と当社グループの持続的発展
に貢献します。
成長のターゲット事業領域として設定した、
モビリティ、
ヘルス
新事業・新製品創出の開発マトリックス
2020 年の営業利益 1,000 億円の達成に向けて、新事業・新
ケア、
フード&パッケージングの3領域に重点化し、マーケティン
製品の利益貢献は必須です。
グ主導の研究開発を推進しています。
開発確度向上のために、市場・技術による分類を行って、向う
次世代を担う新事業・新製品の創出や、
既存事業の周辺・川下
べき方向性を整理し、開発領域ごとに課題とキーサクセスファ
展開を加速するため、マーケット情報、顧客ニーズ、産官学・ベ
を明確にしました。
クター(KSF)
ンチャー企業情報などを、R&D戦略室に集約し、共有・精査する
①新製品:技術開発領域
研究開発戦略
R&Dマネジメントシステムを構築しました。また、オープンイノベ
ーションを積極的に活用し、当社のコア技術との総合力によっ
て、顧客ニーズに対する独自のソリューション提案を行っていき
ます。
さらなる顧客価値の追求と顧客ニーズの深耕に努め、
「新たな
顧客価値」
を創造します。
得意な市場で、
当社グループ技術の総合力を駆使して開発
②新製品:市場開拓領域
既存技術・製品を応用し、新たな市場で顧客ニーズに合わせた用途
展開
③新事業領域
初めての領域において、M&A やオープンイノベーションを活用
し、当社グループ技術とのシナジーから開発
ターゲット市場ア
ヘルスケア
モビリティ
フード& パッケージング
新たな顧客価値の創造
顧客価値の追求
顧客ニーズ
ソリューション
素材
部材・部品
不織布成形技術
フィルム成形技術
配合技術
ポリマー変性技術
触媒技術
材料設計技術
有機合成技術
生物評価技術
計算科学技術
システム
サービス
オープンイノベーション
3D設計・加工技術
コア技術
最終製品
外部技術
異種材料複合化技術
コンパウンド技術
粘接着技術
重合プロセス技術
光学設計技術
創薬技術
バイオ技術
先端分析技術
音響設計・部品設計技術
部材・部品設計技術
データ管理技術
産官学連携
開発マトリックス
①新製品・技術開発領域(テクニカルイノベーション)
③新事業領域(ビジネスモデルイノベーション)
新規
課題 川下展開に向けた不足資源の獲得
● オープンイノベーション
● 安全性
・信頼性の確保
課題 出口の明確な大型テーマの開発加速
● 製品開発と生産技術の総合力発揮
技術
開発例 M :外装用コンパウンド
H :メガネレンズ新材料、高機能不織布
F:農薬新規原体、新規エボリュー®E など
開発例 M : 金属樹脂一体成形部材、LIB部材
H : Whole You™ デンチャー、電子メガネ、
マウスピース など
②新製品:市場開拓領域(アプリケーションイノベーション)
既存
既存事業
(M:モビリティ、
H:ヘルスケア、F:フード&パッケージング)
既存
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三井化学株式会社 アニュアルレポート 2015
課題 顧客との共創
● リード顧客選定とマイルス
トーンの共有
● 製品試作提案機能の強化
開発例 M : エンプラ部材、ロボット部材
F :農薬の海外展開 など
市場(ビジネスモデル)
新規
知的財産戦略
当社グループは、知的財産を、特許・秘匿ノウハウ・実用新案・意匠・ブランド
(商標)
・著作権に、契約上の権利、営業秘密等を含
めた事業に資する無形資産として、広く捉えています。知的財産部は、事業部門の事業化戦略を実現するために必要な知財ポート
フォリオマネジメントのシナリオを策定し、
これを事業部門/研究開発部門/生産技術部門と共有し、
さらにグループ内外の関係部
署とも緊密に連携して、知的財産を活用した事業機会の最大化と知的財産に起因する事業リスクの最小化に取り組んでいます。
知財ポートフォリオの構築・強化
知的財産にかかわる社会への貢献
当社と主要3関係会社(三井化学東セロ㈱、三井化学アグ
さらに、当社グループの枠内にとどまらず、官公庁および知
ロ㈱、㈱プライムポリマー)が有効に保有している国内外の特
的財産関連機関等とも積極的に連携して活動し、知的財産活動
許権(特許ファミリー)は、2015 年 3 月末で4,000ファミリーを
の基盤の整備および国内外の人材の育成に貢献しています。
フード&パッケー
超え、その約60%が、モビリティ、ヘルスケア、
ジング の 成 長 を 牽 引 する事 業 に 関 連 する特 許 権 で す 。ま
をはじめ、当社グループが保有する豊富な知的財産のベストミ
2014(平成26)年度
特許情報普及活動功労者表彰
「特許庁長官賞」を受賞
ックスを戦略的に活用し、事業で勝てる牽制力ある知財ポート
一般財団法人日本特許情報機構(以下「Japio 」)主催
た、2014 年度に出願した特許出願のうち約3 分の 2が、上記の
成長を牽引する事業分野に関わるものです。引き続き、特許権
フォリオを構築・強化していきます。
保有特許ファミリー数
モビリティ
成長牽引
ヘルスケア
フード&パッケージング
収益基盤
基盤素材
その他
合計
の2014年度特許情報普及活動功労者表彰にて、当社知
的財産部副部長 菅原好子が最高位である「特許庁長官
保有数
1,356
573
525
1,054
552
4,060
※2015年3月末における国内外保有特許ファミリー
賞」を受賞しました。
当表彰は、Japioが特許情報の普及、活用、研究、人材
育成に顕著な功績があった個人および団体に対して実施
しており、今回の受賞は、約 20 年にわたる継続的な活動
および実績が評価されたものです。
受賞理由には、一般社団法人知的財産協会(JIPA)での
調査・啓発活動、特許庁等政府機関の特許調査研究事業
や途上国支援工業所有権人材育成協力事業等の人材育
成事業への参画、
また、特許調査従事者の評価・顕彰の場
海外重要事業地域における知財戦略の促進
当社グループ事業のグローバル拡大に伴い、
アジアなどの新
である「特許検索競技大会」の運営、改善への寄与等が
挙げられています。
興国における知財リスクへの対策がますます重要な課題となっ
ています。特に、中国における関連法規の改正動向および事業
環境変化をタイムリーに考慮しながら、当社、現地の地域統括
会社、現地のグループ会社が緊密に連携して、海外事業におけ
る三井化学グループブランドの保護強化を含め、知財戦略の浸
透・推進に取り組んでいます。
三井化学グループの知財基盤の強化
当社では、戦略連携グループ会社を含めた知財戦略の実行
のため、
グループ一体運営を推進する基盤強化に取り組んでい
ます。また、知財教育体系を確立し、知財人材育成プログラムに
基づき、高い知財マインド/知財スキルを持った人材育成の
支援・強化に努めています。
三井化学株式会社 アニュアルレポート 2015
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