Web マーケティングとは 2.従来のマーケティング

Web マーケティングの展望
2年
1.Web マーケティングとは
2.従来のマーケティングと Web マーケティングのちがい
3.Web マーケティングの今後の課題
4.結論
長谷川
1.Web マーケティングとは
Web マーケティングとは、事業に関する市場調査やマーケティングリサーチを行う際
に、Web サイトや Web 技術を利用すること。しかし、事業によってその内容は多岐にわ
たる。Web 広告による自社の Web サイトや商品の告知宣伝、Web サイトで展開する商取
引活動、Web サイトを窓口とした顧客との継続的な双方向の情報交換、消費者参加型の
商品企画イベントの開催なども Web マーケティングに含まれる。また、Web マーケティ
ングには二つのアプローチがある。一つは、BtoC の Web マーケティング戦略だ。BtoC
とはその名の通り、Business
to Customer、つまり企業から消費者にむけての Web マ
ーケティングである。多くは、短期で集めたユーザーを中長期な観点でファンに育てる
ことや、ファンユーザーを短期でコンバージョンさせるなどの事例がある。具体例の一
つにゲーミフィケーションがある。
ゲーミフィケーションとは海外で生まれた概念で、その本質を説明すると「ユーザ
ーエンゲージメントを高めるために、ユーザーに楽しんでもらうための方法」といえる。
「ユーザーエンゲージメント」とは、ユーザーからの愛着心や信頼のことである。つま
りゲーミフィケーションとは、Webサイトでいうなら、「ユーザーに愛してもらうWeb
サイトを作るために、ユーザーに楽しんでもらう方法」となる。 1。
LINE アプリとしてのゲームもその一つである。難易度設定やコインなどの報酬を設
定し、継続的な参加を促している。そして、二つ目は、BtoB の Web マーケティング戦
略だ。BtoB とは、Business to Business、つまり企業から企業にむけての Web マーケ
ティングである。BtoB の Web マーケティングにおけるターゲットは多様であり、大き
く四つに分けることができる。
一つ目は、求職者である。新卒採用・アルバイトの募集などの求職者を集めるだけで
なく、求職サイトと連携してその中に専用ページを構築したり、内定者向けの専用 SNS
を構築している企業もある。二つ目は、投資家である。株式を公開している企業におい
1
浜俊太郎(2011)。
て、株主報告会を資料つきでライブ中継したり、投資判断のための決算情報を公開する
ことで新たな株主を集めようとしている企業もある。三つ目は、CSR である。情報の発
信源がもともと少なかった CSR において、Web サイトは新たな情報提供やコミュニケー
ションの場となっており、今後の更なる展開が期待されている。四つ目は、顧客である。
ただし、顧客には五つの性格がある。まずは、新規顧客である。既存の営業手法の効果
が落ちている企業において、新たな顧客に対する期待値は高い。次に、既存接点顧客で
ある。過去にセミナーへの参加があったり、問い合わせはあったが売り上げにつながる
ことがなかった顧客層である。そして、過去に取引のあった既存顧客。予算時期を狙っ
たマーケティングができたり、会員サイトで囲い込みを行ったりと、Web サイトを利用
して営業活動を効率化する施策を打つことができる。そして、販売活動を助けるパート
ナーである。販売促進のためのデータを提供したり、マニュアルを Web で配布すること
ができる。最後にエンドユーザーである。販売代理店を通じてしか商品・サービスを販
売していない場合は直接エンドユーザーをターゲットにすることが可能である。
2.従来のマーケティングと Web マーケティングのちがい
従来のマーケティングと Web マーケティングとは一体なにが違うのだろうか。具体的
に二つのちがいをあげようと思う。一つ目は、マス広告よりも効果測定が行いやすいこ
とだ。新聞、雑誌、ラジオ、テレビなどのマス広告よりも PV 数、CTR(クリック率)
、
CPC(クリックあたりの広告費)など結果を表わす数字が出るためより集客率の高い媒
体やマーケティングの方法がわかる。そして、二つ目は低コストでグローバルなマーケ
ティングが可能になることだ。今日では、インターネット上で自社の広告や、自社のホ
ームページを無料で作成することができ、またそれらを世界中に発信することが可能な
ので経済的なマーケティングが可能になっている。Web マーケティングが流行するのと
並行して企業と消費者も変化している。企業の変化から見ると、広告予算の抜本的変化、
キャンペーンの構造変化、企業内におけるマーケティング部門の需要拡大などが挙げら
れる。
図1
日本企業の媒体別広告費の伸び率と構成比
出典:http://www.dentsu.co.jp/books/ad_cost/2012/media.html
図1を見ると、2010 年から 2012 年にかけて衛星メディア関連広告費についでインタ
ーネット広告費の伸び率が高いことがわかる。また、2012 年の広告費媒体別構成比を
見ると、新聞・ラジオ・雑誌広告と同じくらいの割合でインターネット広告が占めてい
る。このインターネット広告費の伸び率と構成比の原因は 2009 年から世界的に普及し
はじめたスマートフォンの影響であると考えることができる。
スマートフォンは従来のガラパゴス携帯と比べ、多くのアプリケーションをインスト
ールすることが可能であり、またインターネットを使った複雑な操作をすることができ
る。それゆえに、スマートフォン所持者は、アプリケーションやインターネットを利用
する際に検索エンジンやバナー広告を閲覧する機会が自然に増えていき、企業サイトへ
のアクセスが増加するので企業は近年インターネット広告に費用を割いていると考え
る。そして、企業のマーケティング部門は販促・広報活動やコミュニケーション活動の
成果に関する説明を企業の上層部や株主などから強く求められるようになってきてい
る。
次に図2で日本人の主要メディアの平均利用時間を見ると、高齢者と比べ、若者の
テレビ視聴時間が減り、ネット利用時間が増えていることがわかる。インターネットを
介すれば、YOUTUBE などで視聴したいテレビ番組をリアルタイムでなくとも視聴するこ
とが可能で、新聞やラジオも読んだり聞いたりすることができる。それゆえ、タブレッ
トやスマートフォンが学生、会社員問わず浸透してきた近年では動画広告などのインタ
ーネット広告がますます需要を増やしていくだろう。
図2
主要メディアの平均利用時間(2012 年、平日、分、1 日あたり)
出典:総務省情報通信政策研究所(2015)4 ページ。
3.Web マーケティングの今後の課題
Web マーケティングの今後の課題は、①ネット上でのウイルス対策、②SNS で
の企業ブランドの維持などが挙げられる。
①ネット上でのウイルス対策の具体例として2010年に流行したガンブラ
ーウイルスがある。ガンブラーウイルスとは、感染しコンピューターの管理する
Webサイトを改ざんし、感染用のコードを埋め込む。また、感染したコンピュータ
ーのWebブラウザの挙動を操り、Googleの検索結果に悪意あるサイトへのリンクな
どを表示させる。外部から操作できるような仕掛け(バックドア)も埋め込まれて
しまう 2。企業のWebサイトがウイルスに感染してしまうと、そのサイトを閲覧した
一般ユーザーまでウイルスに感染してしまうので企業のマーケティング部門は外
部からのウイルス対策にはより一層力を注がなければならない。
②SNSの活用はユーザーからの声が企業に届きやすく、商品開発や商品の改善が
しやすいがその分企業の背負うリスクも大きい。そのリスクとは、従業員による不
適切な発言による炎上や消費者からの風評被害による企業ブランドの低下などが
挙げられる。それらのリスクへの対策として企業に代わって炎上を未然に防ぐサー
ビス企業が立ち上げられている。そのサービスとは主に、SNS上で契約先企業への
書き込みが異常なほど増えると警告メールが自動で届くシステムである。3
もちろ
ん、そのようなサービスを利用していてもSNS上の炎上が深刻化していく可能性も
あるので、ケースバイケースの炎上に対するマニュアルや冷静な対応が要求される。
4.結論
商品の購買を決めるまでに、店舗や企業サイトのほか、友人の意見や口コミとい
った第三者の意見を積極的に収集し、購買意欲はいい情報が多ければ促進され、悪
い情報が多ければ減退する。 4
テレビや雑誌、新聞では未だ取り上げられていないマイナーな商品やお店がイン
ターネットを介して SNS、または情報共有掲示板で取り上げられていることがある
のでインターネットの情報の幅はテレビ、新聞、雑誌に比べると非常に広いと考え
られる。しかし、インターネットに掲載される評価や情報は客観性に欠けているの
で参考にする際は信頼しすぎないことが重要である。
そして、若者のテレビ離れが進行する一方で若者のインターネット利用者が増え
続けているのは言うまでもないが、仕事上スマートフォンを利用しているサラリー
マンも増えている。前述したようにスマートフォンを利用することはネット広告を
2
3
4
http://e-words.jp/w/Gumblar.html
http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2014/04/0416.html
村上知紀ほか(2011)。
閲覧する機会が自然と増えるので、これからの時代を担う者たちの間ではWebマー
ケティングの需要は強まり続けると私は考える 5。
参考文献・注釈
総務省情報通信政策研究所(2015)
「平成 26 年情報通信メディアの利用時間と情報行
動に関する調査」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000357570.pdf)
浜俊太郎(2011)
「ゲーム嫌いも知らないと損するゲーミフィケーション入門」
(http://www.atmarkit.co.jp/fsmart/articles/gamification/01.html)
村上知紀ほか(2011)
『Web マーケティング基礎講座』翔泳社。
http://www.atmarkit.co.jp/(アイティメディア㈱)
http://www.dentsu.co.jp/ (㈱電通)
http://www.soumu.go.jp/ (総務省)
http://e-words.jp/w/Gumblar.html (㈱インセプト )
http://www.nhk.or.jp/ (NHK)