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平成28年5月1日発行
(第138号)
智 創 税 理 士 法 人
㈱ 日 本 資 産 総 研 札 幌
相続空き家 売却で節税
~税制改正、最大約600万円~
4月から、相続した空き家を売って手にした利益について、いくつか
の条件を満たすと、譲渡所得について3千万円の特別控除が認められ
るようになりましたので、ご紹介します。
1970年代ころまでに建てた家であれば、もともとの土地の取得
費がとても安く、その分だけ譲渡所得が大きくなります。また、そも
そも取得費がわからないというケースでは、売却価格の5パーセント
が税務上の取得費になり、仲介手数料などの費用を差し引いても、売
却価格の9割ほどが譲渡所得とみなされてしまいます。このため、相
続した空き家を売却すると、譲渡所得(売却益)にかかる税金が重く
なっていました。
しかし、今年4月からは、相続した空き家で以下の条件を満たせ
ば、譲渡所得を3千万円まで特別控除してもらえるようになりまし
た。条件を満たす不動産の譲渡所得は税率が20.315%なので、
最大で約600万円の節税になります。
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◆ 相続した空き家の売却で3000万円の特別控除を受ける条件
①1981年5月までに立てられた一戸建て
②亡くなった人が一人暮らしをしていた自宅
③相続発生以降、住んだり、貸したり、事業をしたりしていない
④相続発生の3年後の年末までに売る
⑤建物を解体するか、新耐震基準を満たすよう改修して売る
⑥売却価格が1億円以下
ところで、上記の3千万円の特別控除は節税に有効ですが、他の税
制を活用したほうが節税効果がより大きい場合もあります。
相続税の「取得費加算の特例」は、空き家の土地に限らず、相続し
た不動産や株式などの財産を売る場合、かかった相続税を取得費に加
算できる仕組みで、譲渡所得を減らす効果があります。ただし、相続
発生から3年10カ月以内の売却が対象になります。
この特例は、3千万円の特別控除とは併用できませんので、多額の
相続税を納付した人は、取得費加算の特例を選ぶほうが税金が少ない
かもしれません。
相続したまま放置してきた空き家や、いずれ相続で空き家になりそ
うな実家がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
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