2 0 1 4 .3 全史料協会報 N o . 9 5 調査には 9 0 2件(回収率 63%) の有効回答 があり、これを分析した結果、回答館の 5割 強がマイクロ資料を所蔵し、長期保存の媒体 に位置付けていること、 4害1 1 でビネガーシン 4時間の ドロームなどの劣化が見られるが、 2 空調管理は 3害1 1 のみで可能で、あるなど、根本 的な対策である環境改善が進んでいないこと が明らかになった。また既によく知られてい るビネガーシンドロームの他 に、銀鏡化やフ エロ化といった既存のマニュアル類には触れ られていない劣化が見過ごされている実態も 浮き彫りとなった。 日本におけるマイクロフィルム保存 の現状と課題 (小島浩之) 東京大学経済学部資料室 70余年の歴史を誇 マイクロフィノレムは、 1 り、多くの記録媒体 の中で紙に次ぐ歴史があ る。つまり 、媒体の歴史から考えるならば、 マイクロフィルムは紙に次ぐ情報量を有して いると推定される 。 またマイクロフィルムの ような複製物は、原本が滅失した場合に、原 本に代わるものとなる。東日本大震災などの 大災害において失われた史料がフィルムとし て残されている可能性もあり、貴重な文化資 産としてフィルム保存に取り組むべきである と考えられる 。 このため、東京大学経済学部 資料室のメンバーを中心に科学研究費補助金 を申請し、平成 2 4年度から 3年をかけて研究 に取り組むこととなった。 マイクロフィノレムに関しては、物理的数量 や劣化状況等を把握できるような統計データ は存在しないことから、研究班では基礎デー タの集積を最重要課題と位置付けた。 このた め様々な保存施設を実際に訪問して実見、聞 き取りを行い(訪問実態調査)、 この成果を 基に質問紙を作成して、四年制大学図書館、 国立国会図書館、都道府県立図書館を対象に 質問紙による悉皆調査を実施した。 43
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