日本におけるマイクロフィルム保存の現状と課題

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全史料協会報
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5
調査には 9
0
2件(回収率 63%) の有効回答
があり、これを分析した結果、回答館の 5割
強がマイクロ資料を所蔵し、長期保存の媒体
に位置付けていること、 4害1
1
でビネガーシン
4時間の
ドロームなどの劣化が見られるが、 2
空調管理は 3害1
1
のみで可能で、あるなど、根本
的な対策である環境改善が進んでいないこと
が明らかになった。また既によく知られてい
るビネガーシンドロームの他 に、銀鏡化やフ
エロ化といった既存のマニュアル類には触れ
られていない劣化が見過ごされている実態も
浮き彫りとなった。
日本におけるマイクロフィルム保存
の現状と課題
(小島浩之)
東京大学経済学部資料室
70余年の歴史を誇
マイクロフィノレムは、 1
り、多くの記録媒体 の中で紙に次ぐ歴史があ
る。つまり 、媒体の歴史から考えるならば、
マイクロフィルムは紙に次ぐ情報量を有して
いると推定される 。 またマイクロフィルムの
ような複製物は、原本が滅失した場合に、原
本に代わるものとなる。東日本大震災などの
大災害において失われた史料がフィルムとし
て残されている可能性もあり、貴重な文化資
産としてフィルム保存に取り組むべきである
と考えられる 。 このため、東京大学経済学部
資料室のメンバーを中心に科学研究費補助金
を申請し、平成 2
4年度から 3年をかけて研究
に取り組むこととなった。
マイクロフィノレムに関しては、物理的数量
や劣化状況等を把握できるような統計データ
は存在しないことから、研究班では基礎デー
タの集積を最重要課題と位置付けた。 このた
め様々な保存施設を実際に訪問して実見、聞
き取りを行い(訪問実態調査)、 この成果を
基に質問紙を作成して、四年制大学図書館、
国立国会図書館、都道府県立図書館を対象に
質問紙による悉皆調査を実施した。
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