おりおりの山 - 千葉県隊友会

おりおりの山 第79 回
2016 年 5 月 1 日
作者プロフィール
柚木 文夫氏 千葉県隊友会会員 習志野支部長 桧町陸幕 平成 2 年退官 1958 年防衛大学卒
元防大山岳部監督 現自衛隊山岳連盟会長
畦 ヶ 丸 ・大 室 山 - 新 緑 と シ ロ ヤ シ オ ツ ツ ジ -
シロヤシオツツジ
1 2 時 4 0 分 、ブ ナ 林 に 囲 ま れ た 静
か な 畦 ヶ 丸 山 頂 到 着 。先 客 数 組 に 交
畦 ヶ 丸 (善 六 ノタワか ら )
ざ っ て オ シ ャ ベ リ に 興 じ な が ら 、弁
当 を 広 げ た 。1 3 時 2 0 分 出 発 。さ す
5 月下旬の週末、西丹沢の畦ヶ丸
がに加入道山方向に向かう酔狂な客は
( 1293 m ) か ら 加 入 道 山 経 由 で 大 室 山
小 生 1 人 だ け 。本 峰 か ら の 急 な 下 り を こ
( 1 5 0 8 m )を 歩 い た 。途 中 、加 入 道 避 難
な し た 後 は 、ゆ っ た り と し た 登 り 下 り の
小屋 1 泊のロングコースである。
連 続 す る 尾 根 歩 き 。森 閑 と し た ブ ナ 林 の
西 丹 沢 自 然 教 室 を 10 時 出 発 で 、 西 沢
中 は 物 音 一 つ 無 く 、深 遠 な 山 の ム ー ド を
を ツ メ て 畦 ヶ 丸 に 向 か う 。朝 の 西 丹 沢 行
満 喫 し な が ら の 一 人 旅 で あ る 。 13 時 40
き バ ス は 超 満 員 だ っ た が 、畦 ヶ 丸 へ 向 か
分 モ ロ ク ボ 沢 ノ 頭 。 14 時 バ ン 木 ノ 頭 。
う 客 は 何 人 も い な い 。そ れ だ け 玄 人 向 き
1 5 時 半 水 晶 沢 ノ 頭 。1 5 時 5 0 分 白 石 峠 。
の地味な山ということか。
16 時 20 分 加 入 道 山 到 着 。
10 時 55
加入
分本棚分岐。
道山の
左の岩壁を
山頂広
ヘツって 5
場から
分程這い進
一段下
んだ奥に、
がった
高 さ 50m
所の避
の本棚と
難小屋
120m の カ
が今晩
ラ棚が向か
のネグ
い合い、瀑
ラであ
加 入 道 山 (モロクボ沢 頭 か ら ))
音轟く井戸
る。訪
底の様な辺
れ る 人 一 人 い な い 静 か な 旅 の 宿 。夕 食 を
り一帯にシ
済 ま せ て 早 々 に 寝 袋 に 潜 り こ ん だ 。風 も
ブ
キ
が
霧
に
な い 夜 の し じ ま に 、遠 く 鹿 の 鳴 き 声 だ け
本棚
なって立ち
が、物悲しく響いて聞こえた。
こめていた。
翌 朝 6 時 出 発 で 大 室 山 に 登 る 。コ バ イ
本 棚 分 岐 に 戻 る と 、ル ー ト は 沢 を 離 れ
ケイソウの大群生地を縫う木道を辿り、
て 尾 根 の ジ グ ザ グ 登 り に な る 。ま さ に 脳
大 室 山 頂 到 着 は 7 時 。下 山 は 、犬 越 路 か
味噌が洗われる感じの新緑の海に全身
ら 用 木 沢 を 下 り 、用 木 沢 出 合 か ら は 車 道
を 浸 し て の 登 行 で あ る 。時 折 、シ ロ ヤ シ
を テ ク テ ク 歩 い て 11 時 、 西 丹 沢 自 然 教
オツツジがトンネルのように登山路を
室 の バ ス 停 に 帰 り 着 い た 。そ し て 帰 路 は
覆 う 。こ の 辺 り の シ ロ ヤ シ オ ツ ツ ジ は 今
例 の 如 く 中 川 温 泉 に 途 中 下 車 し 、風 呂 と
が真っ盛りである。
ビールの定番で締めた。