次世代型いちご品種育成手法の 確立に取り組んでいます

成果の速報
間欠冷蔵処理を用いたいちごの花芽分化促進技術の確立
近年、ポット育苗では猛暑による花芽分化の遅延
と年内出荷量の低下が課題となっています。このた
め、予冷庫を活用した低コストな育苗技術である間
欠冷蔵処理を利用した早期出荷技術の確立に取り
組みました。間欠冷蔵は「15℃暗黒条件 3 日間」+「自
然条件 3 日間」の処理を 3 回繰り返して行う技術で
あり、本試験では採苗時期と処理開始時期が「とち
おとめ」及び「スカイベリー」の収量におよぼす影響
について検討しました(図)。
とちおとめでは、間欠冷蔵の効果が現れにく
8月
処理
開始日 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 1 2
間欠冷蔵処理
8月22日
冷蔵
自然下
冷蔵
自然下
間欠冷蔵処理
冷蔵
自然下
8月25日
冷蔵
間欠冷蔵処理
冷蔵
自然下
8月28日
く、年内収量は無処理と同程度以下となりました。
スカイベリーでは、とちおとめより花芽分化促進効
果が得られ、特に 8 月 25 日処理開始ではいずれの
採苗時期でも開花始期、処理有効株率(表の脚注参
照)ともに高く、年内収量も優れる結果となりまし
た(表)。今後は、効果に影響をおよぼす環境要因に
ついて検討する予定です。
※本試験は「攻めの農林水産業の実現に向けた革新的
技術緊急展開事業」により実施しました。
(いちご研究所
3
4
5
冷蔵
開発研究室)
9月
8 9 10 11 12 13 14 15
定
自然下 植
6
7
自然下
冷蔵
自然下
冷蔵
自然下
冷蔵
定
植
自然下
定
植
図.間欠冷蔵処理の概要
表.間欠冷蔵処理の処理開始日及び採苗時期の違いが収量性に及ぼす影響
品種
処理
開花始期
処 理有 効
処 理開 始日 採苗 時期
(月/日)
株 率(% )
7/上旬
7/中旬
7/上旬
8月25日
7/中旬
7/上旬
8月28日
7/中旬
無処理
7/上旬
8月22日
7/中旬
7/上旬
8月25日
7/中旬
7/上旬
8月28日
7/中旬
無処理
10/19
10/21
10/20
10/21
10/27
10/24
10/30
10/19
10/19
10/20
10/23
10/25
10/25
10/27
65
60
95
90
65
95
8月22日
とちおとめ
スカイベリー
90
70
95
100
70
80
収穫始期
(月/日)
11/17
11/23
11/25
11/24
12/1
11/27
12/1
11/22
11/27
11/29
11/29
12/3
12/4
12/5
月別収量(g/株)
11月
12月
年内計
40
74
114
36
112
148
22
174
196
23
157
181
6
175
181
18
163
181
6
184
190
38
138
176
16
128
143
18
210
227
13
213
226
6
192
197
2
225
227
5
167
173
注.処理有効株率は、対照区の平均開花日より早く開花した株を処理有効株として算出した。
試験の紹介
次世代型いちご品種育成手法の
確立に取り組んでいます
いちご研究所では、周年・多年栽培に対応できる
四季成性品種や、育苗管理の省略・省力化が可能な
種子繁殖性品種などの次世代型いちご品種の育成
手法の確立に取り組んでいます。今年度はこれまで
に作出した多収性や糖度、硬度、四季成性、耐病性
の特定形質に優れる高次自殖世代系統間で交配を
行い、得られた実生個体の特性調査や遺伝様式の解
明を行う予定です。 (いちご研究所
写真
いちご自殖第4世代の生育状況
-5-
開発研究室)