共通特論Ⅰ:臨床腫瘍学総論 医学物理学総論 講義日:平成28年5月7日 講師:小泉 雅彦 (大阪大学大学院 医学系研究科 医用物理工学講座 放射線腫瘍学) 要旨 医学物理学とは医学における物理学である。一般に放射線医学での物理分野を 指す。その実務を担うのが医学物理士である。米国では 7 割が治療領域に属す。 原発事故後対応に象徴される様に、放射線の安全な管理は、余分な放射線被曝 を避けるために重要である。放射線治療での医学物理士の役割は、この物理的 管理である品質保証・管理(QAQC)である。照射装置の精度と、患者の固定つま り照射位置精度の保証である。もう一つの役割は治療計画で、CT 画像の取込み からビーム設定までを行い、適正な照射線量分布を作成する。安全管理全般も 担い、阪大では安全講習会、インシデントレポート作成などを行っている。 医学物理士は諸外国では確立されており、医師・技師・看護師に並ぶチーム医 療の一翼を担う重要な専門職である。日本では国家医療資格でなく未だ少数で、 一般には殆ど認知されていない。今後、放射線治療の高度化に伴い、多くの施 設で求められるようになるであろう。
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