健翔会だより52号が発行されました。

いつまでも健康な体でどこまでも
けん しょう かい
健翔会だより
52
発
行
所
香川県坂出市川津町
号
(〒762-0025)3329-14
医療法人社団 健翔会
堀
2016・5 月 1 日
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口 医 院
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<担当>高橋,青北
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HP
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病気と闘うには、
凄まじい気迫と闘志が
必要です。
堀口 裕 先生
病気と闘う方法
病気を防いだり、あるいは病気と闘うためのとっておきの方法は、
自分の自己防御力を高めることです。私たちの身体には、いかなる
病気も防げるだけの力があるのです。そのような力を自己防御力と
いいますが、決して自分でこしらえたものではありません。生まれ
たとき、すでに授かっている力です。しかし自己防御力は、身体を
使い過ぎると低下します。低下した状態が長く続くと、突如病気が
現れます。場合によっては、そのまま一生を終えてしまうこともあ
ります。一方、自己防御力が低下しないように、身体を手入れする
こともできます。「私は絶対に病気で寝込みたくない! 誰にも面
倒をかけずに、ぴんぴんコロッといきたい。」そう願う人は、常に
自己防御力を高めておくべきです。
病院の治療は何故必要か
では、病気が起こったとき、私たちは病院でお薬の処方を受けたり、
ときに手術を受けたりします。それは自己防御力とどう関係してい
るのでしょうか。そもそも病気が現れるということは、長きにわた
って自己防御力が低下していたことになります。もしも一瞬にして
自己防御力を回復することができるならば、薬を使わずとも、きっ
と速やかに病気を治せるに違いありません。しかし自己防御力は、
最善の方法を使ったとしても、急に改善することはありません。自
己防御力の回復には、相当の時間が必要なのです。ですから何らか
の方法で病気の進行を抑えなければなりません。それがお薬や手術
を必要とする理由になります。お薬や手術によって病気の進行を抑
えている間に、一刻も早く自己防御力を回復させ、その後のお薬が
少量になるようにすればよいのです。最終的にお薬が不要になれ
ば、それが一番よいことです。
自己防御力を支える土台
自己防御力を高めるために何をすべきでしょうか。実は、自己防御
力を支えている土台は「病気と闘うこころ」です。昔から「病(やま
い)は気から」といいますが、どんなに時代が変わっても、病気を治
すこころこそが、最も大切なのです。そして病気と闘うこころとは、
まさに真剣勝負です。病気としっかり向き合って、病気を圧倒しな
ければなりません。
病気と闘うこころ
病気と闘うこころとは、具体的に何でしょうか。最も大事なこと
は、①病気と闘う覚悟を決めることです。病気になったことは、
とっても嫌なことです。でもそのままにしていても、何も解決し
ません。はやばやと覚悟を決めて闘うしかないのです。これが病
気と闘うこころの80%を占めます。残り20%については、ま
ず②油断しないこころです。薬や手術によって、少しくらい良く
なったからといって安堵してはいけません。一度発症した病気
は、そんなに簡単に治りません。次に③平常のこころと④不動の
こころを持つことです。病気になったことは、とても悲しいこと
です。重い病気ともなれば、毎日が不安でいっぱいです。しかし
病気を恐れたり、強い不安感を抱いても快復の足しにはなりませ
ん。また、治療方針が決まったら、とにかく集中して実行するこ
とです。あれこれ迷っていては、一向に治療が進みません。それ
どころか、病気にのみ込まれてしまいます。私が口癖のように言
っているのが⑤何くそ!精神です。誰にも迷惑をかけたりしませ
ん。何くそ!と吠えることです。自分の病気を治すのに体裁も何
もありません。ひたすら歯を食いしばって乗り切るしかありませ
ん。必ずや日の目を見るに違いありません。そして最後に⑥粘り
強く治療してください。病気との闘いは短期決戦ではなく、長期
にわたります。闘っているうちに、必ず快復のチャンスがきます。
是非頑張ってください。
顕微鏡で調べて初めて識別できます。
いろいろ豆知識
タンパク尿
タンパクは体にとって大切な構成成分ですから、健康であ
ればほとんど尿に混ざりません。しかし腎臓に病気が起きる
と、尿に出るようになります。
腎臓のはたらき
①細胞を働きやすくする
腎臓の最も重要な役割は、からだの中の水分の量と濃度を
調節して、からだの細胞を働きやすくすることです。
②血液をろ過する
腎臓は血液中の不要なものをろ過して尿を作ります。
(この
機能を担っているのが糸球体とよばれるところです。)腎臓
の働きが低下してくると、血液中に不要なものが溜まった
り、逆に必要なものが尿に混ざって出ていってしまいます。
③血圧を調節する
腎臓は血圧を調節するホルモンも分泌しています。血液を
いつもきれいな状態にしておくには、つねに一定量以上の
血液が、血液の浄化器官である腎臓を通過していなければ
なりません。そのため腎臓の血流量が少なくなると、腎臓
自身が血圧を上げるホルモンを分泌して、血流量を増やし
ます。
④その他
上記以外に、腎臓には赤血球を作るホルモンを分泌したり、
骨の強度を保つビタミンDを活性化する働きがあります。
無症状のまま病気が進行する
腎臓に病気があると腎臓内部の血管が細くなったりして、
腎臓の血流量が減ります。また、本来は糸球体を通過しな
いはずのタンパク成分が通過してしまい、糸球体が目づま
りの状態となります。すると腎臓は、血流量を保つために
血圧を上げるホルモンを分泌して血圧を上げ、ろ過量を増
やし、尿量を保とうとします。
このように、タンパク尿と高血圧は腎臓の病気で引き起こ
されるものですが、同時に病気を進める原因にもなります。
どちらも自覚症状がほとんどないために、治療の必要性を
理解しにくいのですが、病気の進行を抑えるには、それら
をきちんと管理することがとても重要です。
尿タンパクの原因となるおもな腎臓の病気
●慢性糸球体腎炎
血液をろ過し尿を作る糸球体に炎症が起き、その働きが
徐々に低下する慢性の病気です。
●腎硬化症
おもに高血圧による動脈硬化の影響が腎臓に現れるもの
で、高齢者に多い病気です。病気の進行は比較的ゆっく
りしています。
●ネフローゼ症候群
多量のタンパクが尿中に排泄されてしまう状態です。こ
のため血液中のタンパクが少なくなりすぎます。むくみ
や脂質異常症(高脂血症)を伴います。糖尿病性腎症や
慢性糸球体腎炎でも起こります。
病気を進行させない、生活面での工夫
①食事の工夫
タンパク尿は、それ自体が腎臓にとって負担をかける
ため、必要以上のタンパクを摂取しないように指示され
ることが多くなります。とはいってもタンパクは必要不
可欠な栄養素ですので、ただ摂取量を減らせばよいとい
うものではありません。タンパクを摂取する際は、良質
なものを適量とることが大切です。そして、十分なエネ
ルギーを確保するために、炭水化物の摂取を増やすなど
の工夫が必要です。また、血圧管理のために減塩が欠か
せません。塩分を控えて、香辛料や香味野菜を上手に利
用してみましょう。工夫しだいで美味しい食事が楽しめ
ます。
※塩分は腎臓から排泄されるので、摂りすぎは腎臓の負担
になります。
②翌日に疲れをもち越さない
体に疲れを感じたときは腎臓も疲れています。睡眠を
よくとって、その日の疲れを次の日にもち越さないよう
にしましょう。なお、病気の状態によっては積極的な運
動を控えたほうがよい場合もあります。その場合は1日
の運動量・労働量を、医師と相談して決めて下さい。
③感染症に注意
かぜなどの感染症にかかると腎臓の働きが低下しま
す。インフルエンザの流行シーズンには、なるべく人込
みを避けるなどの対策を立てましょう。
よく耳にする尿検査の意味合い
○タンパク尿…
健康な人は陰性で、腎臓に病気があると陽性になります。
病気の重症度によって、弱陽性から強陽性となります。
○アルブミン尿…
タンパクのなかでも分子量がより小さなものをアルブミ
ンといいます。タンパク尿のほとんどはアルブミンです
が、微量のアルブミンはタンパク尿が陽性になる前から
尿中に現れますので、病気の早期発見に役立ちます。
○クレアチニンクリアランス…
一定時間尿を溜めて、そのなかに血液中の老廃物である
クレアチニンがどのくらい排泄されているかを調べま
す。病気の進行とともに値が低下します。
○血尿…
腎臓病のほかに泌尿器の病気でも現れます。腎臓に原因
がある場合の血尿は、見た目ではわからないことが多く、
★次の症状は、腎臓の病気のサインかもしれません。
気になる方は、早めに調べてもらいましょう!!
□尿の泡立ちがなかなか消えない
□朝起きたとき、足や顔がむくんでいる感じがする
□無理をしていないのに、なんとなくだるい
□夜中2回以上トイレに立つ
□めまいや立ちくらみが多くなった
□動悸・息切れがする
□のどが渇く
□血圧が高くなってきた
□顔色の悪さが気になる
出典:わかりやすい病気のはなし
タンパク尿の意味と対策
一般社団法人 日本臨床内科医会