このようにヘルパー制度を利用しています

このようにヘルパー制度を利用しています
私は 10 年前からヘルパー制度を利用しています。55 才になった時分でした。それまで 30
年余り会社勤務をしてきましたが、もともと両下肢障害だけと思ってきたものが上肢にも筋
力低下が現れてきたのでした。犬学病院で精密検査の結果、やはりポストポリオ症候群の発症
でした。会社勤務もままならず、退職。
日々の生活は何とか妻と二人で出来てきましたが、思い通りにいかないのが外出です。クル
マは手動改造車で何とか運転できるのですが、車イスから運転席への乗り込みをはじめ、車
イスをトランクに積み込むことが出来なくなりました。外出が思い通りに出来なくなったこ
とは大きなダメージです。
ちょうどポリオの友人が「外出はヘルパーを伴っている」ということを聞き、私も区役所の
福祉課に相談し、「障害福祉サービス」の制度が利用できるということだったので、迷わず申請
しました。調査員が開き取り調査に来られ、障害程度を詳しく説明、即刻、制度の利用が詰
められたのです。
ヘルパーをお願いする事業所はこちらで決めることができたので、友人が利用している事
業所を紹介してもらい、その事業所と契約、ヘルパー派遣が始まりました。「移動支援」と呼ば
れるサービスで、私の場合、当初は、月に 30 時間程度だったと思いますが、現在は、最多の 50
時間を認めてもらっています。
利用目的は申請時に申告するのですが、ほぼどのような外出にも派遣してもらえます。ただ
交通手段は公的なものを使うことが条件です。電車、バス、ククシーなどを利用することに限
られます。妻も同時に申請して認められましたので、二人で外出するときは二人のガイドヘル
パーに来てもらい、外出することが可能となりました。
でも、公的交通手段を使うと結構な出費になってしまいます。近隣のショッピングセンター
など、近くの目的地まででもタクシーを利用すると交通費は高く付きます。そこで事業所と相
談。白分のクルマは何とか運転できるのに使えないというのは不経済なことですので、何とか
マイカーを使うことが出来ないかを相談したところ、マイカーにヘルパーが同乗することを
事業所も丁解してくれたので、ヘルパーさん個人が同意するなら使ってもいい、ということに
なりました。
マイカーを使えない理由は、万一の事故の場合です。公的な制度のため、公的な交通手段な
ら事故の場合ヘルパーには労災が下りますが、マイカー利用だと労災が適用されず当事者の
保険で解決しないといけません。そういう理由からだと思われますが、当然のことながら行政
はマイカーの利用を認めていないのです。
そういうことで、現在は、公的交通手段と自分のクルマを使うことを、目的によって併用し
ています。近隣のショッピングモールなどで昼食や買い物を楽しむだけなら、自分のクルマで
行きます。ポリオ会の行事などへもマイカーにヘルパー同乗で行きます。
また、京都散策が好きなので、遠足気分で出掛けたいときは、多少の出費を覚悟して公的交
通機関で行きます。マイカーではできない飲酒もククシーや電車ならできます。
一、二泊の小旅行にもヘルパー同伴してもらいます。もちろんですが、交通費・宿泊費は私
たちで持たないといけません。六月には東京のサントリーホールヘ、好きなコンサートに出掛
けました。一泊して次の日はスカイツリー見物。楽しい思い出となりました。
ここまでは余暇利用の「移動支援サービス制度」の利用状況をお話ししましたが、さて、やは
り困るのは目常生活です。妻はある程度の家事はこなしますが、目常のことでもヘルパーに肋
けてもらっています。炊事、洗濯は出来ますが、風呂や部屋の掃除、食料品の買い出しなどはや
はり肋けてもらうと有り難いものです。これは「障害福祉サービス制度」といって別に認定を
受けないといけません。役所に申請し、審査され、必要と認められれば月に何時間という具合
にヘルパー派遣が可能となります。私たちの場合は二人合わせて週二回、二時問ずつヘルパー
が来てくれます。
さらに私の場合は五、六年前から入浴が困難となりましたので、同じ「障害福祉サービス」で
「身体介護」が認められました。これも週二回、男性ヘルパーに来てもらっています。
こうなってくると、一か月のカレンダーはほぼ毎目と言っていいほどヘルパーに入っても
らう日で埋まっています。一か月の予定は前月の 20 日には事業所に希望を出さないといけま
せん。家事と入浴は決まった曜日で固定されますが、外出の支援はその月により変わります。
やはり気に入ったヘルパーの人に来てもらいたいのが人情ですから、出来る限りヘルパーの
人とは人開関孫はもとよりコミュニケーションを大事にし、お互いに良い関係が持てるよう
に努力しています。個人的に連絡をとり、時問を取ってもらうようにして、事業所の担当者だ
けに頼らずヘルパー個人と密接な開係を保つことを大切に考えています。
最後に、私は本年で 65 才を迎えましたので、難題に直面したことをお伝えしないといけま
せん。障害者が直面する「65 才の壁」です。これは、「障害福祉サービス」から「介護保険サービ
ス」に切り替わることを言います。
介護保険は国の制度ですので、医療保険とのからみなどもあり色々な制約があります。これ
まで非課税世帯には自己負担がなかったものが、収人などを考慮されても最低一割の自己負
担が発生します。また、通院などの場合はこれまでの利用支援の範囲では認められなくなり、
介護保険のサービスとなりますので、病院の玄関までしか介肋できないとか、待ち時間が実費
負担となるなど諸問題と直面してきます。このあたりの問題は私たち障害者にとってはとて
も不合理なものです。
また場を改めて、私がどのように対処しているか別の機会にお話ししたいと思います。
これは切実な問題ですので、皆さんと一緒に考えていきましょう。