4月29日~5月31日

特産果樹生産情報第2号
(4月29日~5月31日)
平成28年4月28日発表
青森県「攻めの農林水産業」推進本部
生育早まる、適期作業を!
結実確保に全力を!!
霜害防止対策と病害虫防除を万全に!!!
Ⅰ 要 約
○生育は、露地栽培では各樹種とも平年より3~10日早まっている。
○おうとうは、人工授粉を徹底し結実確保に万全を期す。
○おうとうの灰星病、もものせん孔細菌病などの病害虫防除や各種管理作業は、樹の
生育に合わせて適期に行う。
○霜害を受けやすい時期のため、気象情報に十分注意し、危険と考えられる場合は対
策を必ず行う。
Ⅱ 生産情報
1 生育概況
2月中旬以降、気温が高めに経過したことから、全般に生育は進んでいる。
五戸(りんご研究所県南果樹部)では、西洋なし「ゼネラル・レクラーク」の
展葉日が平年より4日早かった。開花日はおうとう「佐藤錦」で平年より6日早
く、もも「あかつき」で平年より8日早かった。
うめの「豊後」は落花日が平年より9日早かった。
黒石(りんご研究所)では、発芽日がももの「川中島白桃」で平年より9日早
く、露地ぶどうの「スチューベン」で平年より7日早かった。開花日は、おうと
うの「佐藤錦」で平年より5日早かった。
ぶどうの「キャンベル・アーリー」の無加温ハウスでは、五戸の展葉日が平年
より3日早く、三戸(県生育観測ほ)の展葉日が平年より1日遅かった。
生育ステージ(4月27日現在、りんご研究所県南果樹部)
樹 種
西洋なし
日本なし
年
ゼネラル・
品 種
幸 水
レクラーク ラ・フランス
本年
4. 7
4. 5
4. 7
発芽日 平年
4.13
4.12
4.14
前年
4. 5
4. 3
4. 6
本年
4.26
4.26
-
展葉日 平年
4.30
4.30
5. 2
前年
4.25
4.25
4.26
本年
-
-
-
開花日 平年
5. 6
5. 6
5. 7
前年
4.27
4.27
4.28
本年
-
-
-
満開日 平年
5. 8
5. 8
5. 9
前年
4.28
4.28
4.29
本年
-
-
-
落花日 平年
5.14
5.14
5.17
前年
5. 4
5. 4
5. 6
(月.日)
おうとう
佐藤錦
4.19
4.24
4.19
-
5. 3
4.28
4.26
5. 2
4.27
-
5. 5
4.28
-
5.15
5. 8
南
陽
4.21
4.26
4.22
-
5. 5
4.29
-
5. 4
4.28
-
5. 7
4.29
-
5.17
5.10
樹
品
種
種
年
も
あかつき
も
川中島白桃
う め
豊 後
本年
4. 7
4. 9
3. 7
発芽日 平年
4.17
4.19
3.22
前年
4.11
4.14
3.19
本年
-
-
4.24
展葉日 平年
5. 7
5. 9
4.27
前年
4.28
4.28
4.23
本年
4.26
-
4.14
開花日 平年
5. 4
5. 7
4.23
前年
4.27
4.27
4.14
本年
-
-
4.15
満開日 平年
5. 6
5.10
4.26
前年
4.28
4.28
4.16
本年
-
-
4.23
落花日 平年
5.14
5.19
5. 2
前年
5. 5
5. 6
4.24
注)平年値:1996~2015年(20年間)の平均
ただし、もも「川中島白桃」は2004~2015年(12年間)の平均
生育ステージ(4月27日現在、りんご研究所)(月.日)
樹 種
おうとう
も も
年
品 種
佐藤錦
川中島白桃
本 年
4.19
4.14
発芽日
平 年
4.23
4.23
前 年
4.19
4.14
本 年
-
-
展葉日
平 年
5. 5
5.10
前 年
5. 2
5. 2
本 年
4.27
-
開花日
平 年
5. 2
5. 5
前 年
4.27
4.28
本 年
-
-
満開日
平 年
5. 4
5. 8
前 年
4.30
4.29
本 年
-
-
落花日
平 年
5.15
5.16
前 年
5.11
5. 4
注)平年値:おうとうは2000~2015(16年間)の平均
ももは2003~2015年(13年間)の平均
露地ぶどうの生育ステージ(4月27日現在、りんご研究所、県南果樹部)(月.日)
品 種
キャンベル・アーリー
スチューベン
年
地 域
五 戸
五 戸
黒 石
本 年
4.25
-
4.23
発芽日
平 年
4.29
4.30
4.30
前 年
4.24
4.26
4.24
本 年
-
-
-
展葉日
平 年
5.13
5.13
5.10
前 年
5. 3
5. 4
5. 1
注)平年値:五戸は1996~2015年(20年間)の平均
黒石は2000~2015年(16年間)の平均
キャンベル・アーリー(無加温ハウス)の生育ステージ
(4月27日現在、県南果樹部、県生観ほ)(月.日)
品 種
キャンベル・アーリー
年
地 域
五 戸
三 戸
本 年
3.22
3.18
被覆月日
平 年
3.22
3.14
前 年
3.26
3.17
本 年
4.13
4. 2
発芽日
平 年
4.17
4. 5
前 年
4.11
4. 1
本 年
4.26
4.15
展葉日
平 年
4.29
4.14
前 年
4.24
4.11
本 年
-
-
開花日
平 年
5.29
5.13
前 年
5.23
5. 8
本 年
-
-
満開日
平 年
5.31
5.16
前 年
5.24
5.11
本 年
-
-
落花日
平 年
6. 5
5.19
前 年
5.30
5.14
注)平年値:五戸は2005~2015年(11年間)の平均
三戸は1997~2015年(19年間)の平均
2
霜害防止対策
霜害を受けやすい時期なので、気象情報に十分注意し、危険と考えられる場合は
対策を必ず行う。
降霜は一般に晴天無風で、午後7時の気温が6℃以下の日の翌朝に発生しやすい。
(1)防霜ファンによる防止
温度検知器は地上1.5mに設置し、防霜ファンの始動温度を2℃に設定する。
寒気を伴ったときや著しく低温になったときは、防止効果が小さいので燃焼法を
併用する。
(2)燃焼法による防止
燃焼法を利用する場合は、「火災と紛らわしい煙、または火災を発する恐れが
ある行為の届出書」などを所轄の消防署に提出する。
燃焼資材はあらかじめ園地内に配置しておき、気温が0℃になったら点火する。
①霜カット(おがくず:灯油の容量比=2:1)
霜カット2kgを缶または袋に入れ、10a当たり40~60個配置する。
②A重油
4ℓ缶を利用する場合は、10a当たり30缶以上を配置する。
なお、灯油等の保管については、保管量が200ℓ以上~1,000ℓ未満の場合は「少
量危険物貯蔵届出書」の提出、1,000ℓ以上の場合は「危険物取扱者」の資格が
必要である。
(3)ハウスぶどうでは、ハウス内を石油ストーブなどの暖房器具を用いて加温する。
3 作業の重点
(1)ぶどう
ア 露地
(ア) 摘芽、摘梢
ぶどうは、1節から新梢が数本伸びるので、養分の競合を防ぐため、摘芽、摘
梢はできるだけ早めに行う。樹勢が強い場合や降霜の恐れがあるところでは軽く
行い、結実が確保された後や霜の心配がなくなってから、花穂の発育の良い中庸
な新梢を残して必要な結果枝数を確保する。
結果枝の目標本数は、列間2.5mの場合、キャンベル・アーリー、スチューベ
ンとも主枝1m当たり8~10本とする。
○サニールージュの摘芽・摘梢
「サニールージュ」では、樹勢ごとに管理を行う。
中樹勢では、摘芽は5月中旬に行い、摘梢は5月下旬に中庸な長さの結果枝を
残すよう行う。強樹勢では、摘芽及び摘梢とも中庸な場合より10日程度遅らせて
行い、摘芽は5月下旬に、摘梢は6月上旬に中庸からやや短めの結果枝を残すよ
う行う。弱樹勢では、摘芽及び摘梢を5月中旬に同時に行い、長めの結果枝を残
すようにする。
サニールージュの樹勢の判断方法と樹勢別樹体管理法
樹勢の判断方法
摘芽・摘梢の方法
展葉3~4枚
展葉10~11枚時
摘 梢
樹勢
時に展葉した
に結果枝長81cm
摘芽時期
残す結果
時期
主芽の割合 注1) 以上の割合 注2)
枝の目安
中~やや
強
60%
30%以上
5月下旬 6月上旬
短め
中
70~75%
10~20%
5月中旬
5月下旬
1結果枝
当たりの
着房数
中庸
2房
2房
1房
(摘心時に不良
な花穂を摘除)
注1)樹全体の20%以上の芽が3~4枚展葉した時期に、1枚以上の展葉が認められ
た主芽の割合
注2)樹全体の80%以上の結果枝が10枚以上展葉した時期の結果枝長の割合
弱
80~90%
0~10%
5月中旬
(同時に行う)
長め
(イ) 摘心(1回目)
実止まりを良くするため、開花1週間前頃に行う。下表に従い、品種や樹勢に
応じた摘心を行う。
品種別摘心方法(1回目の摘心)
品
種
樹勢
摘心部位
強
①全ての副梢を欠いた後発生した先端の副梢を
第1花穂上位5枚
スチューベン
副梢の取り扱い
中
残す。
②上位1本の副梢を残し、下位の副梢は摘除する
注)を参考に①か②を選択する。
弱
第1花穂上位5枚
上位2本の副梢を残す。
キャンベル・アーリー
第1花穂上位3~4枚 上位2本の副梢を残す。
サニールージュ
第1花穂上位5枚
上位1本の副梢を残す。
シャインマスカット
ポートランド
ナイアガラ
第1花穂上位4~5枚 上位2本の副梢を残す。
注)副梢の取り扱い(スチューベン)
①では、着粒密度は高くなるが、果粒が小さくなり、熟期が遅れる。
②では、品質、着色は良くなるが、着粒密度がやや劣る。
(ウ) 花穂の整形
開花5日前頃から1~2花咲き始める時が適期である。
キャンベル・アーリーは、岐肩、岐肩下の長い支梗や軸の間隔が広い支梗を除
去し、花穂先端の切り詰めをする。
スチューベン、ポートランド及びナイアガラは岐肩のみを除去する。
サニールージュは、無核2回及び1回処理の場合、岐肩と上部支梗を除去し、
花穂の先端4~5cmを残す。ジベレリン1回目早期処理の場合は、満開後から2
回目のジベレリン処理時期までに、着粒数50~60粒を目安に、果房の先端軸長8
~10cmの支梗を残し、上部支梗を除去する。
シャインマスカットは、岐肩と上部支梗を除去し、花穂の先端4cmを残す。先
端が二股などの異常花穂が多く残さざるを得ない場合は、①先端を一つにするか、
②分岐部分まで切り詰めるか、③大きな健全な岐肩に切り替えて、先端4cmとし
て利用する方法もある。
図
花穂の整形方法
軸長
8~10cm
図
図
サニールージュの1回目早期処理の花穂整形
シャインマスカット異常花穂への対応の仕方
(エ) サニールージュのジベレリン1回目早期処理(着粒密度低減)
サニールージュでは、ジベレリン1回目早期処理により、着粒密度を低減させ、
摘粒を省力化できる。
1回目は、満開予定日14~20日前(目安として、露地栽培では第1花穂長が5
~6㎝で展葉数が8~9枚頃)にジベレリン25ppm溶液に3ppmのフルメット液剤
を加用した溶液に花房浸漬する。
2回目は、満開10~15日後にジベレリン25ppm溶液に果房浸漬する。
図
早期処理時の展葉の数え方(左)と花穂の測り方(右)
(オ) 病害虫防除
ア)薬剤散布
キャンベル・アーリー基準
散布時期
殺
菌
剤
新梢伸長期 ポリオキシンAL水和剤
(約20cm) 又はインダーフロアブル
又はオンリーワンフロアブル
殺
虫
散布量
/10a
剤
500倍 パダンSG水溶剤 1,500倍
8,000倍 又はアグロスリン水和剤 2,000倍
2,000倍 又はアディオンフロアブル 1,500倍
アリエッティC水和剤
800倍 ベストガード水溶剤
開花10日前 又はオーソサイド水和剤80 800倍 又はパダンSG水溶剤
(6月上旬) 又はインダーフロアブル
8,000倍 又はアグロスリン水和剤
又はオンリーワンフロアブル 2,000倍 又はアディオンフロアブル
1,000倍
1,500倍
2,000倍
1,500倍
200ℓ
250ℓ
スチューベン基準
散布時期
殺
菌
剤
殺
虫
剤
新梢伸長期 ジマンダイセン水和剤
1,000倍 パダンSG水溶剤 1,500倍
(約20cm) 又はポリオキシンAL水和剤 500倍 又はアグロスリン水和剤 2,000倍
又はインダーフロアブル
8,000倍 又はアディオンフロアブル 1,500倍
又はオンリーワンフロアブル 2,000倍
アリエッティC水和剤
800倍 ベストガード水溶剤
1,000倍
開花10日前 又はインダーフロアブル
8,000倍 又はパダンSG水溶剤 1,500倍
(6月上旬) 又はオンリーワンフロアブル 2,000倍 又はアグロスリン水和剤 2,000倍
又はキノンドー水和剤40 600倍 又はアディオンフロアブル 1,500倍
散布量
/10a
200ℓ
250ℓ
注1
アリエッティC水和剤は殺虫剤と組み合わせる場合、最後に調合する(物理
性の悪化)。
2 EBI剤(インダーフロアブル、オンリーワンフロアブル)は薬剤耐性の懸
念があるので、年1回の使用にとどめる。
イ)べと病対策(スチューベン)
発生が見られる園地では次の対策を講ずる。
・軟弱な生育を避けるために、窒素肥料を施用し過ぎない。
・被害葉は見つけ次第、摘み取って処分する。
・排水不良園では排水溝を掘って、雨水が長くたまらないようにする。
・発生の多い園地では、
「新梢伸長期(約20㎝)」にジマンダイセン水和剤、
「開
花10日前(6月上旬)」にアリエッティC水和剤又はキノンドー水和剤40を選
択する。
ウ) 灰色かび病対策
新梢の摘心や誘引を適切に行い、園地内の通風を良くする。また、発病葉、
発病花穂及び発病枝はできるだけ早く取り除き土中に深く埋める。
スチューベンでは、新梢伸長期に低温多湿の気象条件が予想され、多発生が
懸念される場合は、「新梢伸長期(約20㎝)」にポリオキシンAL水和剤、イン
ダーフロアブル、オンリーワンフロアブルのいずれかを選択し、新梢での被害
を防止する。
エ)褐斑病対策(キャンベル・アーリー)
発生の多い園地では、「新梢伸長期(約20cm)」にインダーフロアブル又はオ
ンリーワンフロアブル、「開花10日前(6月上旬)」にオーソサイド水和剤80を
選択する。ただし、「開花10日前(6月上旬)に灰色かび病又は黒とう病対策
でアリエッティC水和剤を散布すると、この時期の褐斑病対策の防除剤は必要
ない。
オ)ツマグロアオカスミカメ対策
発生の多い園地では、「展葉直前(5月上旬)」にモスピラン顆粒水溶剤
2,000倍を特別散布する。
イ 無加温ハウス
(ア) 摘芽、摘梢
摘芽、摘梢は養分の競合を防ぐため、できるだけ早めに行う。樹勢の強い樹で
は、花振るいの心配があるため軽く行い、結実を確保してから最終結果枝数を決
める。
最終的な結果枝数は、列間2.5mの場合主枝1m当たり8~10本を目安とする。
(イ) 無加温ハウスの温度管理
高温による花振るいを防止するため、日中の温度は25℃を目標とし、30℃以上
にならないように換気する。
(ウ) 1回目の摘心(実止まりを良くする摘心)
開花1週間前頃に行う。
キャンベル・アーリーでは、第1花穂の上位3~4枚で摘心し、上位2本の副
梢を残す。
その他の品種では、第1花穂の上位5枚で摘心し、上位1本の副梢を残す。
(エ) 花穂の整形
開花5日前頃から1~2花咲き始める時が適期である。
キャンベル・アーリー、サニールージュ、シャインマスカットは、露地栽培に
準ずる。
ルビーオクヤマ、ロザリオ・ビアンコは、岐肩と上部支梗3~4段を除去し、
残った支梗のうち長いものは切り詰め、さらに、花穂先端を切り詰め、花穂の長
さを7㎝程度にする。
ロザリオ・ロッソでは、岐肩と上部支梗3~4段を除去し、花穂先端を1㎝程
度切り詰め、花穂の長さを5cm程度にする。
図
花穂の整形方法
(オ) ジベレリン処理
○バッファロー(アーリースチューベン)
1回目は無種子化のために満開予定日約14日前にジベレリン100ppm溶液に花
房浸漬する。
2回目は果粒肥大促進のために満開約10日後にジベレリン100ppm溶液に果房
浸漬する。
○サニールージュ
【通常処理の場合】
1回目は無種子化のために満開時にジベレリン25ppm溶液に花房浸漬する。
2回目は果粒肥大促進のために満開10日後にジベレリン25ppm溶液に果房浸
漬する。
【1回処理の場合】
満開3日後にジベレリン25ppm溶液に10ppmのフルメット液剤を加用した溶液
に花房浸漬する。
【早期処理の場合】
露地栽培に準ずる。ただし、無加温ハウス栽培における1回目処理の目安は、
第1花穂長が3.5~5㎝で展葉数が6~7枚頃である。
○シャインマスカット
無種子化を確実にするため、ストレプトマイシン処理を行ってからジベレリ
ン及びフルメット処理を行う。
<手順>
①花穂の整形
ストレプトマイシン処理に先立ち、開花始め頃までに花穂の先端を4㎝残
して整形する。
②ストレプトマイシン処理
満開予定日14日前~開花始期にストレプトマイシン200ppm溶液を花房に散
布または浸漬する。
③ジベレリン処理
ジベレリン処理は、必ず花穂の先端まで開花してから行う。
【通常処理の場合】
1回目は無種子化のために、満開時~満開3日
後にジベレリン25ppm溶液に5ppmのフルメット液
剤を加用した溶液に花房浸漬する。
2回目は果粒肥大促進のために、満開10~15日
後にジベレリン25ppm溶液に果房浸漬する。
【1回処理の場合】
満開3~5日後(落花期)に、ジベレリン25ppm
溶液に10ppmのフルメット液剤を加用した溶液に花
房浸漬する。
図
シャインマスカット
の満開時の花穂
(2)おうとう
ア 結実確保
おうとうの結実率は一般に開花後3~4日後まで高いので、結実確保に向け、
毛ばたき等による授粉を行う。
毛ばたきによる授粉は、5分咲きの頃と満開頃の2回以上行う。
霜が降りた園地では、授粉をこまめに丁寧に行う。
霜害によりめしべが褐変したり欠落した花でも、開花時に花粉が出ている場合
は授粉用花粉に用いることができる。
霜によってめしべが褐変及び欠落した花から採取した花粉の発芽率
品 種
採取時の花の状態
発芽率(%)
佐藤錦
風 船 状
44.5
開花始め
59.5
南 陽
風 船 状
29.6
開花始め
58.7
注)平成13年県南果樹研究センター調査。花粉の発芽率が30%以上で
あれば正常花粉と同等とみなせる。
× × ○ ○
× × ○ ○
× × ○ ○
× × ○ ○
○ ○ × ×
○ ○ × ×
○ ○ × ×
○ ○ × ×
○ ○ × ×
○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○
×:和合性なし
ト
○
○
○
○
×
×
×
×
×
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
×
×
×
×
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
×
×
×
×
○
○
○
○
○
紅 香 サ ナ
秀 夏 ミ ポ
峰 錦 ッ レ
ト オ
ン
ジ
ャ
ボ
レ
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
×
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
×
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
○
ー
佐 藤 錦
× ×
南
陽
× ×
Jのしずく
× ×
紅 真 珠
× ×
北
光
○ ○
紅さやか
○ ○
ジュノハート ○ ○
高
砂
○ ○
紅てまり
○ ○
紅 秀 峰
○ ○
香 夏 錦
○ ○
サミット
○ ○
ナポレオン
○ ○
ジャボレー
○ ○
注) ○:和合性あり
紅 北 紅 ジ 高 紅
真
さ ュ
て
珠 光 や ノ 砂 ま
か ハ
り
ー
品種間の交雑和合性
花 粉 佐 南 J
藤
の
錦 陽 し
ず
めしべ
く
イ
摘果
着果が多すぎて品質の低下が懸念される場合は摘果を行う。摘果は生理的落果
が終わり、実止まりが確認された後(果実横径が佐藤錦、南陽では10mm以上、紅
秀峰では8mm以上)にできるだけ早く行い、満開後30日頃までには終える。1花
束状短果枝当たり2~3果に制限することで、果実肥大が促進し、着色が良くな
る。摘果する果実は、障害果や病害虫被害果、肥大の劣るものを優先して行う。
図 摘果する果実
ウ
摘心
樹勢が強く新梢伸長が旺盛な場合は、樹勢の抑制や樹冠内の明るさを保つため
に摘心を行う。摘心時期は満開後3~4週間とし、摘心方法は新梢基部の葉を5
枚程度(新梢の基部1~2cm程度)残して剪去する。摘心は側枝の背中から伸び
た強い新梢や、主枝または側枝の延長枝と競合する新梢に対して行う。
エ 病害虫防除
(ア) 薬剤散布 (基準薬剤)
散布時期
殺
菌
剤
殺
虫
剤
散布量
/10a
パスワード顆粒水和剤 1,500倍
満開5日後 又はオンリーワンフロアブル
2,000倍
500ℓ
又はラリー水和剤
2,000倍
又はオーシャイン水和剤
3,000倍
満開12日後 オーソサイド水和剤80 800倍 ダイアジノン水和剤34 1,000倍
500ℓ
満開25日後 オーソサイド水和剤80 800倍 ダイアジノン水和剤34 1,000倍
500ℓ
アミスター10フロアブル
1,000倍
満開35日後 又はナリアWDG
2,000倍
500ℓ
又はアンビルフロアブル
1,000倍
又はオンリーワンフロアブル
2,000倍
注)「満開35日後」に紅さやかなどの早生種に散布する場合、「収穫前日数」に注意
して薬剤を選択する。
(イ) 灰星病対策
花腐れ防止のため、「満開5日後」の薬剤散布を遅れないように適期に行う。
雨の多い場合は晴れ間を見て散布する。
花腐れや実腐れは見つけ次第、摘み取って処分する。
(ウ) 炭疽病対策
発生が例年多い園地では、「満開35日後」にアミスター10フロアブル、ナリア
WDG、オンリーワンフロアブルのいずれかを選択する。
発芽しない枝や枯死した花束状短果枝などは伝染源になるので、切り取って処
分する。
(エ) 幼果菌核病対策
発生の多い園地では、「満開日」にトップジンM水和剤1,000倍、オ-シャイン
水和剤3,000倍、サンリット水和剤2,000倍のいずれかを特別散布する。
被害果は翌年の伝染源になるので見つけ次第、摘み取って土中深く埋める等の
処分をする。
(オ) ハマキムシ類対策
ミダレカクモンハマキの多い園地では、「開花直前」と「満開5日後」にカス
ケード乳剤4,000倍又はアタブロンSC4,000倍を連続散布する。
(カ) オウトウハマダラミバエ対策
発生の多い園地では、「満開12日後」と「満開25日後」に基準薬剤のダイアジ
ノン水和剤34の代わりにアディオンフロアブル2,000倍を使用する。
「満開12日後」
にアディオンフロアブルを散布すると、この時期のハマキムシ類対策の防除剤は
必要ない。
(キ) ショウジョウバエ類対策
発生が懸念される場合は、「満開35日後」にテルスターフロアブル4,000倍又は
スカウトフロアブル3,000倍を特別散布する。
(ク) カメムシ類対策
5月末頃から8月上旬まで断続的に成虫が飛来し、葉に産卵するので卵塊は見
つけ次第、つぶして処分する。
「満開12日後」と「満開25日後」に発生がみられた場合、オウトウハマダラミ
バエ対策でアディオンフロアブルを使用するとこの時期のカメムシ類対策の防除
剤は必要ない。また、「満開35日後」に発生が見られた場合、ショウジョウバエ
類対策でテルスターフロアブル又はスカウトフロアブルを特別散布すると、この
時期のカメムシ類対策の防除剤は必要ない。
(ケ) コスカシバ対策
薬剤の散布や交信撹乱剤の設置、幼虫の刺殺などの総合防除を行う。
成虫発生前の5月中~下旬に交信撹乱剤のスカシバコンLを40~100本/10a
設置する。30a以上のまとまった面積で取り付けると効果的である。園地周縁部
に多めに取り付ける。また、傾斜のある園地では上部に多めに取り付ける。
枝幹部や地際部に樹脂(ヤニ)又は虫糞が見られる場合は、削り取って幼虫を
捕殺あるいは刺殺する。
(3)もも
ア 結実確保
花粉が少ない川中島白桃などの品種では、毛ばたきや梵天、花粉交配機による
人工授粉を必ず行い、結実を確保する。授粉作業は晴天無風の午前中が最適であ
る。
イ
摘果
摘果は生理的落果を考慮して、満開20~30日後頃とその10~20日後頃の2回に
分けて行う。
1回目の摘果は、横向きから下向きに着生した大きめの果実を残す。残す果数
は仕上げ摘果終了時の2倍量程度とする。2回目(仕上げ)の摘果は、短果枝(10
cm以下)では4~5本に1果、中果枝(10~30cm)では1本に1果、長果枝(30
cm以上)では長さによって1~3果とする。
なお、満開44~75日後頃の硬核期(果実の肥大が鈍化し、核が硬化する時期)
に過度な摘果を行うと、核割れや裂果を起こしやすいので注意する。
ウ
芽かき
新梢が15cm以下の時期(5月下旬頃)に、剪定の切り口付近や上側の芽など強
くなりやすいものを早めに基部からかき取る。
成木の大枝は日焼けを起こしやすいので、勢力の強くない新梢は残しておく。
エ 病害虫防除
(ア) 薬剤散布
散布量
/10a
落花10日後 アグリマイシン-100
1,500倍 ダイアジノン水和剤34 1,000倍
300ℓ
又はアグレプト水和剤 1,000倍 又はダーズバンDF 3,000倍
チウラム水和剤
500倍
又は水和硫黄剤
500倍
マイコシールド
2,000倍 ダイアジノン水和剤34 1,000倍
400ℓ
落花20日後
(落 花 2 0 日 後 ~ 落 花 4 0 日 後 に 1 ~ 2 回) 又はダーズバンDF 3,000倍
ダコニール1 0 0 0 1,000倍
又はチウラム水和剤500倍
又は水和硫黄剤
500倍
注1 チウラム水和剤(チオノックフロアブル、トレノックスフロアブル)
2 水和硫黄剤(サルファーゾル、イオウフロアブル)
散布時期
殺
菌
剤
(イ) 縮葉病対策
被害葉は見つけ次第、摘み取って処分する。
殺
虫
剤
(ウ) せん孔細菌病対策
近年、一部園地で発生が多いので、薬剤散布や強風対策、枝病斑の処分など総
合的に対策を実施する。
風を強く受ける地帯で多発するので、防風網の設置などの耕種的対策は必ず行
う。
春型枝病斑は、葉や果実への伝染源となるので見つけ次第、枝ごと切り取って
処分する。
「開花直前」~「落花40日後」は、重要な防除時期なので、遅れないように適
期に薬剤散布を行う。
せん孔細菌病
春型枝病斑(落花後)
(エ) ナシヒメシンクイ対策
ナシヒメシンクイの加害による新梢の芯折れは見つけ次第、切り取って処分す
る。
(オ) コスカシバ対策
おうとうに準ずる。
(カ) カメムシ類対策
5月末頃から8月上旬まで断続的に成虫が飛来し、葉に産卵するので、卵塊は
見つけ次第、つぶして処分する。
(4)なし
ア 摘花
2~4番花を残し、他の花は摘み取る。
なしの開花順序
イ
結実確保
マメコバチによる授粉を基本とし、開花期間中の天候が不順な場合やマメコバ
チの数が不足している園地、霜害を受けた園地は、結実確保のため人手授粉を行
う。その際、果形の揃いや品質が良い2~4番花に授粉する。
ウ
摘果
受精が不完全な果実は、落花5日後頃から果柄が黄化し始めるので、予備摘果
は落花5日後頃から開始し、2~4番果のうち肥大、形の良い1果を残す。
主枝、亜主枝の延長枝、枝ずれを起こすような位置や上向きの果実は全て摘果
する。
仕上げ摘果は、落花15日後頃から始め、遅くとも落花25日後までに終了する。
適正な着果程度は、幸水で3~4頂芽に1果、ゼネラル・レクラークで5.5~
7頂芽に1果、ラ・フランスで4頂芽に1果とする。
エ 芽かき
芽かきは、5~10cm伸びたころの新梢がかきやすいので、5月下旬頃までに早
めに実施する。また、授粉や摘果期にも不要な新梢が伸び出したら、その都度か
き取る。ただし、側枝として使用できる新梢は残す。
オ 病害虫防除(西洋なし)
(ア) 薬剤散布(基準薬剤)
散布時期
殺
菌
剤
散布量
/10a
エルサン水和剤40 800倍
350ℓ
殺
虫
剤
オーソサイド水和剤80
800倍
又はEBI剤
オーソサイド水和剤80
800倍 エルサン水和剤40 800倍
落花10日後 又はデランフロアブル 1,000倍 又はダイアジノン水和剤34
1,000倍
落花20日後 オキシラン水和剤
500倍 ダイアジノン水和剤34
又はベフキノン水和剤 1,000倍
1,000倍
落花直後
注1
2
350ℓ
400ℓ
EBI剤:ルビゲン水和剤4,000倍、スコア顆粒水和剤4,000倍、ラリー水和
剤2,000倍、アンビルフロアブル1,000倍、トリフミン水和剤3,000倍
エルサン水和剤40は、年間使用回数が「2回以内」であるので注意する。
(イ) 輪紋病対策
発病枝は伝染源となるので見つけ次第、切り取って処分する。
伝染源となる枝幹部のいぼ病斑は胞子飛散の始まる5月下旬までに削り取り、
トップジンMペーストを塗布する。なお、トップジンMペーストの年間使用回数
は3回以内であるので注意する。
(ウ) 胴枯病対策
小黒点病斑が形成されている枝や枯死した枝は見つけ次第、切り取って処分し、
切り口にバッチレートを塗布する。
主幹や主枝など大枝の病患部は見つけ次第、削り取ってトップジンMペースト
又はバッチレートを塗布する。
発生の多い園地では、「落花20日後」に基準薬剤の他にトップジンM水和剤
1,500倍も使用する。
(エ) 黒星病対策
フレミッシュ・ビューティでは、「落花10日後」は基準薬剤に代えて、EBI
剤を使用する。例年発生の多い園地では、「落花10日後」にジマンダイセン水和
剤600倍も使用する。
(オ) 黒斑病対策
「落花直後」にスコア顆粒水和剤を2,000倍で使用し、「落花10日後」にデラン
フロアブルを選択する。
(カ) ナシキジラミ対策
発生の多い園地では、「落花10日後」にエルサン水和剤40を選択する。
(キ) ナシミハバチ対策
発生の多い園地では、「落花10日後」にエルサン水和剤40を選択する。
被害果は落花25日後までに集めて水漬けした後、処分する。
(ク) カメムシ類対策
5月末頃から8月上旬まで断続的に成虫が飛来し、葉に産卵するので卵塊は見
つけ次第、つぶして処分する。
発生が見られた場合はMR.ジョーカー水和剤2,000倍を特別散布する。ただ
し、落花期までは薬害を生じるので使用しない。
(5)うめ・あんず
ア 摘果
摘果は基本的に必要ないが、着果過多になると、小玉で玉揃いが不良となり品
質低下を招く。このため、果実が小指大の大きさの時期(満開20~25日後頃)に、
収穫期に果実が肥大しても、互いに触れ合わない程度の間隔に摘果する。
摘果の間隔は、豊後や節田などで3~5cm、八助などの大玉品種で5~6cmに
1果残す。
イ 病害虫防除
(ア) 薬剤散布(基準薬剤)(うめとあんずの複合栽植園対象)
散布量
/10a
落花10日後 オーソサイド水和剤80 800倍 ダイアジノン水和剤34 1,000倍
350ℓ
又はファイブスター顆粒水和剤
2,000倍
落花20日後 オーソサイド水和剤80 800倍 ダイアジノン水和剤34 1,000倍
350ℓ
又はスカウトフロアブル
2,000倍
落花30日後 オーソサイド水和剤80 800倍
350ℓ
又はイオウフロアブル 500倍
散布時期
殺
菌
剤
殺
虫
剤
(イ) 縮葉病対策
被害葉は見つけ次第、摘み取って処分する。
(ウ) 灰星病対策
花腐れや被害果は見つけ次第、摘み取って処分する。また、花腐れは枝枯れを
伴っているものが多いので、枯れた枝も必ず切り取って処分する。
(エ) かいよう病対策
風当たりの強いところでは防風対策を行う。
うめでは「落花10日後」と「落花20日後」に、基準薬剤の他にマイコシールド
1,500倍も散布する。
(オ) 変葉病対策
被害部は摘み取り、土中に埋めるなどの処分をする。
(カ) コスカシバ対策
おうとうに準ずる。
《 農薬使用基準の遵守 》
農薬を使用する場合は、必ず最新の農薬登録内容を確認する。
また、短期暴露評価の導入により使用方法が変更される農薬は、登録内容の変
更前であっても、変更後の使用方法で使用する必要があるため、変更の有無を次
のWebサイトで確認してから使用する。
○農林水産省「農薬情報」
http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_info/
○(独)農林水産消費安全技術センター「農薬登録情報提供システム」
http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm
○青森県農業情報サービスネットワーク「アップルネット」農薬情報
http://www.applenet.jp/
農薬の使用にあたっては、事前に周辺住民に対し、農薬の散布日時や使用者の
連絡先等を十分な時間的余裕を持って知らせる。また、農薬の飛散により、周辺
作物や近隣の住宅等に被害を及ぼすことのないように、農薬飛散低減対策に留意
して散布する。
《 ポジティブリスト制への対応 》
農薬の飛散により、周辺住民及び作物に被害を及ぼすことのないように、散布
情報の提供・交換等地域が連携し、農薬飛散低減対策に留意して散布を行う。
日本一健康な土づくり強化月間(平成28年4月~5月、9月~11月)
安全・安心な農産物を安定して生産するためには、土づくりが重要です。堆肥
の施用や土壌診断などにより、健康な土づくりに取り組みましょう。
青森県農薬危害防止運動が5月1日から始まります!
農作業事故が多発しています!農作業安全を心がけましょう!
融雪水による園地浸水や土砂災害に注意しましょう!
霜害防止対策を万全に!
山火事など火災の発生防止に努めましょう!
次回の「特産果樹生産情報」第3号は5月31日(火)発表の予定です。
担 当 課
担 当 者
電話番号
報 道 監
報道機関用提供資料
りんご果樹課
生産振興グループ 今総括主幹
直通 017-734-9492
内線 5092
農林水産部 津島農商工連携推進監
内線 4966